研究紹介:登場人物間の絡み可視化における変身や変装を伴う事例の分析
2024年5月24日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース
助教の戀津です。
昨日に引き続き、芸術科学フォーラムでの発表について報告です。
もう一件の発表は同じく絡みの可視化における、情報抽出時に迷う場面についての分析です。
タイトルにある通りですが、作品によっては登場人物が変身したり変装したりすることがあります。
変身する登場人物の変身前と変身後の姿は、あらかじめ変身について聞いていたり変身する瞬間を目撃したりしない限り、他の登場人物にとっては違う登場人物という認識になります。
つまり、変身前の本体とだけ絡みのある人物、変身後の姿とだけ絡みのある人物、両方の姿と絡みのある人物がありえます。
更に細かく考えると、両方と絡みがあってもその二つの姿が変身前後の同一人物だと知らない、という場合も考えられます。
(絡みの可視化においては会ってさえいれば絡んでいると考え、同一人物という認識の有無は問題にしませんが・・・)
この場合、可視化結果で〇で描かれる登場人物をどうするかが問題になります。
例として、仮面ライダーアギトの第一話・第二話を分析した結果を使い説明します。
主人公の津上翔一は仮面ライダーアギトに、警察官の氷川誠は仮面ライダーG3にそれぞれ変身します。
G3の方は警察組織としての動きで、基本的に変身前後で絡みはあまり変化しません。
しかしアギトの方は、翔一としての絡みとアギトとしての絡みは全く別になっています。
この場合に、翔一とアギトを同じ一つの〇で表すのは絡みの可視化上問題になります。
しかし、別の登場人物として扱い、二つの〇を出すと今度は別の問題が発生します。
次の図は翔一とアギト、氷川とG3を別の登場人物として可視化した場合の結果です。
当人による変身という都合上、津上翔一と仮面ライダーアギト、氷川誠と仮面ライダーG3には絡みが全くないのです。
先ほど書いた通りG3の方はあまり絡みに変化がないので比較的近くに配置されていますが、翔一とアギトはかなり離れた配置になってしまいました。
これでは主人公の翔一が作品の本筋の一部である戦いに全く関わっていないような結果になってしまいます。
そこで、変身等複数の姿が登場する作品においては、それぞれを別の〇としながら、距離としては常に密着させるという方法をとってみました。
次の図は翔一とアギト、氷川とG3を繋げている場合の可視化結果です。
翔一としての絡みとアギトとしての絡みを両立しつつ、それが同一人物であることもわかるような配置になりました。
現在は2人(4人)分しか密着させる処理を書いていないので(&変身後の姿で誰とも絡んでいないため)仮面ライダーギルスが浮いてしまっていますが、これも変身前の本体である葦原涼と密着させるとより正確な結果になると思います。
今後は任意の人数について変身前後の姿を密着させられる処理にする予定です。
近年の仮面ライダーシリーズやマーベル系の作品等、変身する人物が多くなっても対応できる必要があります。
現状困っているのは、三つ以上の姿がある場合です。コナンの登場人物で多重スパイをしている方々とか・・・
二つの姿は単純に距離を〇の直径まで縮めるだけですが、三つ(またはそれ以上)となるとどうやってつなげればよいか・・・
まだまだ研究することはいっぱいです。進展があり次第報告します。
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