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情報システムにおけるストックホルム症候群

2024年7月 8日 (月) 投稿者: メディア技術コース

 企業や学校などあらゆる組織で情報システム(近年のバズワードで言うとDX)が活用されるようになりました。東京工科大学でも遅ればせながら2023年度からペーパーレスが実現され、教職員の物品購入や出張外出経費精算をPCだけで行えるようになりました。以前は紙に書いて(またはPCで印刷して)捺印して提出だったのを変えたのはたいへん素晴らしいことです。
 
 とは言え、今回の学内のシステムはお世辞にも素晴らしいとは言えない代物でした。いろいろ細かい文句を言うとたぶん100個ぐらいこのブログ記事が書けます。ただ、そのようなシステムは珍しいことではないです(だからそれで良いとは思いませんが)。私はこれまで大企業、ベンチャー企業、外資系企業、大学で勤務してきましたが、これぞ素晴らしい出来栄えの社内ITシステムだ、というものは皆無ではないもののほとんどありません。
 
 話を新しい学内システムに戻すと、ほかの多くの教員と同様、私も使い方がわからなくなると事務局の担当部門に内線電話で質問します。操作方法を逐一指示してもらい、それで解決します。担当の事務の方々はいやな態度を微塵にも出さずていねいに対応して下さり、頭の下がる思いです。
 
 一度操作方法がうまく行けば、その途中状態を保存しておき(保存できます)あとで再利用すればいい、という誘惑にかられます。事務の担当者と話すと、それはやらない方がいい、とおっしゃいます。なぜか。それは、面倒でも操作を何回も繰り返す方が結局ちゃんと身に付くからです。
 
 確かに、このような社内申請は同じ種類で中身が異なるものを何度も繰り返し行います。そうすれば、まるでジャングルのような込み入ったところでもいつも同じ場所を通るうちにやがて進み方を憶えて速く進めるのと同様、事務作業は効率よくできるようになります。初めて行う操作でわからないときは電話で尋ね、二度目からは忘れた場合でもマニュアルのどこを読めばいいかわかるので何とかなります。
 
 習うより慣れろ、という何ともアナログな昭和な感じのやり方ですが、使うシステムに文句をいうよりもさっさと身に付けるのが得策です(ついでにこのようなブログネタを一個増やしてくれたのだからそれもお得でした)。
 
 もしかしたらこのシステムを提供した会社はそこまでちゃんと見越してジャングルのようなソフトを開発したのかもしれません。皮肉ではなく本当にそう思います。事実そのシステムは長年多くの企業で採用されているようです。
 
 事務の方も言われていましたが、慣れて行けばだんだん負荷も少なくなっていくのでそれはそれでいいですよとのことです。私はまるで「ストックホルム症候群」のようですね、と申し上げました。ストックホルム症候群をその方はご存じなかったので、ぜひ今すぐ検索してみてくださいね、と言って長い電話を切りました。
 
 ちなみに最初のほうで言及した「これぞ素晴らしい出来栄えの社内システム」の一例はまたの機会でご紹介します。
 
メディア学部 柿本正憲

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