AIと科学(Science)
2024年9月16日 (月) 投稿者: メディア社会コース
この記事の読者の中には実際にすでに利用している方も多いと思いますが、昨今、第三世代のAI(人工知能)システムに注目が集まっています。世の中に大きなインパクトを与えたChatGPTが有名ですが、その他にもGeminiやMeta-AIなどに代表されるような、文章や画像を用いて人間の知的活動を支援する対話型コミュニケーションツールです。
ちなみに、第一世代のAIは、初期のコンピュータが誕生した1950年代にその開発が始まりました。人類が図らずも長年蓄積してきたアナログ情報を、二進の世界(0-1世界)のデジタル情報に置き換えて,それをメディアデータとして利活用するという試みです。
続く第二世代のAIの開発は、1980年代頃に始まったと言われています。不発に終始した第一世代のAI開発の反省を踏まえ、知的CAI(Interigent Computer Aided (/Assisted) Instruction)を基盤としたエージェントシステムで、医療分野などでの支援に活用され、一定の効果を得ました。
さて、第三世代のAI(以下、これを単にAIと記す)は、飛躍的なコンピュータの性能の向上と豊富なビッグデータが後押しをして、ユーザの要求に対してBestではないかもしれませんが、Betterな解答を提案してくれる仕組みに進化しました。
日常生活を支える現在のAIサービスは些細なものではあるかもしれませんが、ある程度そのまま信頼して受け取ってよいレベルに至っています。一方、いまのAIは、エビデンスが重要な科学(Science)の分野にも浸透しています。最終判断はユーザ(学者・学生)側が適切に判断する必要がありますが、AIの提案解は大いに参考になります。
人命に関わる医療分野は一種の科学ですが、最後にそこでの進化したAI活用の例を紹介しましょう。いまや医療の世界では、広く浸透している「AIホスピタル」(AI支援の総合的な医療・看護)という概念があります。第二世代のAIから進化したエージェントシステムも素晴らしいのですが、私が昨今魅了されたのは、CTスキャンで構成される体内の各器官や血管などの3Dモデルを利活用するチームVR外科手術です。
一例ですが、大阪大学医学部附属病院AI医療センターはこの分野で先行していると感じています。私が関心をもった外科手術部門だけではなく、多岐の部門で興味深い内容が下記URLに記されています。
医療現場の「近未来」が実現する 「AIホスピタル」 - 大阪大学 (osaka-u.ac.jp)
メディア学部は、もちろん医療に直接関わることはありませんが、陰で支えるビジョンは見込めるものと考えます。コンテンツコースは可視化や動画の生成、技術コースはリアルタイム画像処理、社会コースは医療ビッグデータの蓄積・分析などです。
人はいずれ衰えて行きます。「転ばぬ先の杖」ではないですが、日々進化する医療支援にメディア学の思想やアイデアが浸透することを期待したいものです。
文責: メディア学部 松永
(2024.9.16)
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