先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」(その1)
2024年11月 4日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース
みなさん、こんにちは。メディア学部の伊藤謙一郎です。
本日から3回にわたって、先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」についてご紹介します。
先端メディア学(1年次後期・2年次前期)は2016年に、先端メディアゼミナール(2年次後期・3年次前期)は2017年にスタートした少人数のゼミ形式の科目です。2024年度は、17名の教員がそれぞれ専門とする分野での研究指導や制作指導を行なっています。先端メディア学・ゼミナールの概要はこちらをご覧ください。
私は2017年度前期に先端メディア学を開講し、今年で8年目となりました。これまで32名が受講し、うち18名が私の卒業研究「ミュージック・アナリシス&クリエイション」に進んでいます。さらに大学院に進学して専門的な研究に取り組む学生も6名おり(現在1名在籍)、その中には1年次後期から3年次前期まで全て受講した学生もいます。音楽に特に強い興味をもつ学生が集まり、自身の研究テーマだけでなく音楽に関する話題について学生たちが自由にディスカッションする雰囲気が私自身とても好きですし、そうした中で学生から学ぶこともあってとても刺激的な時間です。
毎回の「学生の研究進捗報告」「音楽関連の映像資料視聴(または音楽鑑賞)」のほか、たまに「体験コーナー」なるものを設けることもあります。科目名の「先端」にとらわれず、最新の物事だけでなく、それらが歴史的にどのようなプロセスを経て現在に至ったかを実体験を通して考えることで、今日の音楽表現やテクノロジーを新たな視点で捉えることができるでしょう。
例えば「カセットテープ」。CDの出現によって姿を消しつつあったレコードが数年前に再び流行し、アーティストが新譜をサブスクやCDだけでなくレコードでもリリースしたことで話題となりましたが、最近はカセットテープでもリリースされるものもあります。10代、20代の若い皆さんは、「カセットテープ」という名前を聞いたことはあっても実際にその音を耳にしたことがある方は少ないのではないでしょうか。好きなアーティストのカセットテープを買ったとしても、それを聴くための機材や環境がないと難しいですよね。
ちなみに私の自宅ではカセットデッキが今でも現役で、中学から大学にかけてエアチェック(ラジオ番組などを生テープに録音することで、タイヤの空気圧のチェックではありません)したカセットテープが700本ほどあります。写真はその機材とカセットテープの一部です。
私の研究室にもカセットデッキがあり、この機材はカセットテープブームが起こるより前に購入したものです。
先日の第4回(10月17日)の授業では、この「カセットテープ」を取り上げ、カセットテープに録音された音を実際に学生たちに聴いてもらいました。聴いたのは、小林克也さんがDJを務める『渡辺貞夫 マイ・ディア・ライフ』というラジオ番組で、1985年1月5日(土)に放送された『最新ピットイン・ライヴ1』から「ランデヴー」という曲です。(※ライヴハウス「六本木ピットイン」は今から20年前の2004年7月に閉店しています)
学生たちは一様に「すごく音が良い!」と驚いていました。演奏だけでなくライヴ会場全体の音も収録されていて、まるで会場の中にいるような臨場感を味わったようです(その音をブログでお伝えできないのが残念です)。生まれて初めてカセットテープを手にした学生もいて、このようなアナログなものから厚みのある豊かな響きがすることにびっくりしていました。渡辺貞夫さん(今年で御年91歳!)の温かなサックスの音色にも感動したようです。
上の写真を見ての通り、カセットのインデックスは「週間FM」というFM雑誌のもの、そしてエアチェック情報は全て手書きです(高校1年生のときの字)。こうしたカセットテープが今も700本近くあり、どれも思い出があって捨てられずにいます。
(最近、カセットテープが再び増えてきたので保管用の木製ラックを新たに入手しました)
次回は「シンセサイザー体験」をご紹介します。
(メディア学部:伊藤謙一郎)
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