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人工知能とノーベル賞

2024年11月15日 (金) 投稿者: メディア技術コース

もう、ひと月以上前の話になってしまいますが…。

10月初旬に今年のノーベル賞の発表がありました。巷では「AI祭り」とも呼ばれていたように、5つのノーベル賞のうち、2つがAI関連でした!受賞した方々の功績が素晴らしいものであることは間違いないのですが、別の意味で驚きをもって報じられました。ノーベル賞の科学関連の賞は医学生理学賞、物理学賞、化学賞の3つであり、計算機科学からはノーベル賞は取れない、といわれてました。もちろん、それぞれの分野に関連する形での受賞はこれまでもないわけではなく、今年のノーベル化学賞も本質は化学研究に対する大きな貢献があっての受賞です。それに対して、今年のノーベル物理学賞は、受賞者の一人が物理学者で着想店のひとつに物理学的考えがあったとはいえ、本質的な部分は計算機科学であるため、驚きの声が多かったように思えます。実際、受賞したジェフリー・ヒントン博士も受賞の際に驚きを隠さなかったといいます。

 

さて、今年のノーベル物理学賞の内容はというと、今の人工知能の基礎となる人工ニューラルネットワークの仕組みを作り上げたことによるものです。人工知能そのものは、人工ニューラルネットワーク以外にも様々な技術・仕組みがありますが、ここ10年で発展し注目されている人工知能の基盤は、人工ニューラルネットワークになります。人工ニューラルネットワークは人間の脳にある脳神経細胞およびそれが接続されたネットワーク構造をコンピュータ上でシミュレートしたものです。この10年での人工知能の普及・発展には欠かせない研究だったからこその受賞ということになります。個人的な感想としては、これらの発展について、同時期に多大な功績を残している日本人研究者の甘利俊一博士およびメディア学部で教鞭をとっていただいていたこともある福島邦彦博士が入っていないことが少し残念です。

 

一方、ノーベル化学賞については、人工知能を用いてタンパク質の構造を予測する、というものです。これまでは非常に難解な作業といわれていたタンパク質の構造をAIによって高精度に予測するというもので、化学や薬学の分野で非常に有効なものを作り上げました。

 

AIが実用的なツールとして使われるようになっており、今後、様々な分野で当たり前のように使われるようになるでしょう。メディア学部でも多くの研究室で、AI・機械学習・生成AIなどを用いた研究が行われています。近いうちに、情報リテラシーならぬAIリテラシーという授業を大学生だけでなく小中高生も受けるようになるかもしれません。

(メディア学部:藤澤公也)

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