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先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」(その3)

2024年11月 8日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

本シリーズの最後となる3回目は、受講生の研究をご紹介します。

これまで本ブログで紹介した先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」 での取り組みは、その2のような機材体験でした。下記の過去記事もご興味がありましたら、ぜひご覧ください。

 ■先端メディア学/ゼミナール(ミュージック・アナリシス&クリエイション)で「打ち込み」に打ち込みました[2019.12.21]
 ■授業紹介:1980年代のハードシーケンサーへのデータ入力[準備編][2021.11.30]
 ■授業紹介:1980年代のハードシーケンサーへのデータ入力[実践編][2021.12.04]


その1に書きましたが、先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」の受講生は2017年度前期の開講から2024年度前期までで32名を数えます。授業名の通り「楽曲分析」「音楽制作」を行う学生が多く、今年度前期の受講生は以下のようなテーマでした。
(★のテーマの学生は現在、私の研究室に所属して新たな研究テーマに取り組んでいます)

 ★ボーカロイド楽曲「まにまに」は何故ヒットしたのか(3年生)
 ★ドラマ内における音楽とセリフの関係の分析:
  ①ドラマ『アンサング・シンデレラ』 ②ドラマ『silent』(3年生)
 ★木管五重奏への編曲:
  Valkyrie「Le temps des fleurs」【「あんさんぶるスターズ!!」より】(3年生)
 ■ヨルシカの楽曲分析とそれに基づく楽曲制作:
  ①「思想犯」【アルバム『盗作』より】 ②「嘘月」【EP『創作』より】(3年生)
 ■「オープンコードを用いたギター演奏において、コードトーンの高音域に
  一貫した押弦箇所が存在するコード進行」の歴史的変遷の調査(2年生)


そして、この後期に受講している3名の学生はいずれも、これまでとは一味違ったユニークなテーマを掲げています。現在取り組んでいる研究について学生たちにコメントしてもらいましたのでご紹介しましょう。


【Aさん】(2年生)

私は「病みカルチャーと音楽の関連性」について研究を行っています。

現在、Z世代の若者を中心に「病みカルチャー」が流行しています。これは、メンタルの不調や自己肯定感の低さをあえて表出させたサブカルチャーであり、ファンションやSNS上でのコミュニティなど様々な場面で波及しています。有名な例では「地雷系ファッション」「トー横界隈」が挙げられるでしょう。

病みカルチャーは音楽とも大きな関わりがあります。そして、これらの音楽には、カルチャー独自の特徴があるのではないかと私は考えました。

そこで、病みカルチャー内で流行している楽曲を調査し、これらの共通点の考察に取り組んでいます。このカルチャーは現在進行形で発展しているため、文献調査はもちろん、SNSを活用した情報収集も欠かせません。

今後の最終発表では、病みカルチャーに関連する音楽の特徴について結論づけ、音楽という視点から、若者のサブカルチャーが今後どのように発展していくのか考察したいと考えています。

日本の新しいサブカルチャーを深掘りする、意義のある研究にできるよう努めたいと思います。

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【Tさん】(1年生)

私は、自分自身がバレエを習っていた経験から「バレエ音楽と振付の関係性」についての研究に取り組んでいます。

バレエを完成させるには音楽と踊りの調和をとることが非常に重要です。そこで、音楽を体で表現するにはどのようなことが大切なのか、バレエ音楽の楽譜の解析や使用されている楽器の調査、また、振付に組み込まれている「パ」(ステップ)の種類や意味を考え、それらを照らし合わせて分析を行います。

今回は「『コッペリア』第1幕よりスワニルダのバリエーション」を研究対象としています。

この研究を通して、踊りと音楽の調和のとり方を考え、振り付けに込められた意味を理解することで表現力の向上につなげると共に、自分自身も楽しく、より美しく踊ることができると考えています。

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【Mさん】(1年生)

私は今回、SQUARE ENIXが手掛けたゲーム『NieR:Automata』のフィールドBGMである『遊園施設』の楽曲分析を行っています。このタイトルは大学でゲームサウンドを学びたいと思ったきっかけでもあり、毎日四苦八苦しつつ楽しく分析しています。

調査としては、インタビュー記事や感想記事などを読んで、制作面での楽曲意図を考察しました。現在はAIによるアプリケーションを使用して音源分離し、自身でスコアに起こして曲構成を分析するなど、様々な側面からの調査を行っています。

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当講義を共に受講する仲間たちや先生からの質問やアドバイスも研究の良き刺激となっています。これから、この楽曲がゲーム作品にどのような影響をもたらしているのか紐解いていくのが楽しみです。

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今後、それぞれの研究がどのように展開していくか楽しみです。


(メディア学部:伊藤謙一郎)

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