「Fun Theory」 の実践
2024年12月20日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース
特任准教授の安原です。
昨年、拙ゼミで身近な社会における課題の解決手段として「The Fun Theory」を使った実験装置を開発し、卒業論文にまとめたゼミ生がいました。
彼が解決を目指した課題は「ゴミの分別の促進」です。現在、少なくない数のヒトがゴミの分別を面倒なことだと感じています。居住する地域にもよりますが、特にペットボトルのキャップと本体を分別してゴミ箱に捨てることは、あまり為されていない状況が見られました。
どうすればキャップを分別することを促進できるのだろうか?という課題に対し、キャップをコレクションのように集めさせる、というヒントから、集めたものを並べる、それが何かの表現手段になる、集めたキャップで絵を作る、という発想に至りました。キャップには様々な色があります。その色のキャップを並べることでゲームのドット絵のキャラクターを描く装置を設計し制作しました。
その装置にキャップを投入すると、そのキャップは色彩センサーで色を判別され、内部の小型ベルトコンベアによって、その色が必要な列に落とされ、絵を生成する仕組みです。とても単純な装置ですが、実際に制作すると数多くの難題にぶつかりました。内部が暗すぎて色識別センサーが判断できない、巻き取ったベルトにより軸径が変化してステッピングモーターの回転回数が当初の想定とズレてしまう、ベニア板が実験中にたわむため、板に取り付けたモーターの軸からベルトが外れるなどの様々な問題を根気よく一つずつ解決して装置を完成させました。
設計と実際の装置はこうも違うのかと、実践する意味の重要さを自分も改めて学びました。
完成した装置を大学の休憩室に運び込み、キャップの分別実験を行ったところ、装置のもの珍しさが勝ってしまったようで、実際にキャップを捨てるより、装置自体に感心して興味を持ってくれるヒトが集まっていた様に思います。
この実践の研究を行ったゼミ生はこの成果を卒業論文にまとめ、昨年の春に芸術科学フォーラムで無事に研究のポスター発表をして卒業して行きました。モノ作りの過程で得た多くの問題解決の教訓を実社会でも生かしてほしいと希望しています。
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