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ニューヨークのストリートアート②

2025年3月26日 (水) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは。

2024年度後期にメディア社会コースに新たに着任しました、助教の陳海茵(ちん・かいん)です。

前回の記事に続いて、2017年の夏にニューヨークのブッシュウィック地区で撮影したストリートアートを紹介しながら、都市と移民とアートの関係について考えてみたいと思います。

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エスニックマイノリティたちの声を映す壁画

ニューヨークのブルックリンにあるブッシュウィック地区。ブッシュウィックの街を歩いていると、移民たちの歴史や苦悩、誇りを描いたアート(壁画)が目に飛び込んできます。ここ数年でアートとカルチャーの街として注目されるようになりましたが、以前は犯罪の巣窟と言われるほど治安の悪いエリアでした。

かつてはドイツ系やイタリア系の移民が多く住んでいましたが、20世紀後半になるとプエルトリコ系やドミニカ系、メキシコ系の移民が増え、現在ではラテン系住民が多い地域になっています。ニューヨークという都市が経済的に急速に発展していくなか、工業地帯で低賃金で働く移民たちの声はしばしば社会の中でかき消されてきました。

とくに移民の子どもたちが描かれた壁画を多く見かけますが、これは「自分たちもこの街の一員であり、どうか1人1人の存在に目を背けないでほしい」というメッセージを込められているように思います。私が訪れた2017年は、移民政策に厳しい姿勢を示すドナルド・トランプ大統領のお姿もありました。

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ジェントリフィケーションとストリートアート

 近年、ブッシュウィックをはじめとする様々な場所で「ジェントリフィケーション」と呼ばれる現象が進んでいます。これは、都市の再開発によって地価が上がり、もともと住んでいた低所得層の住民が押し出されていく現象のことです。おしゃれなカフェやギャラリーが増え、アーティストやクリエイターが流入する一方で、長年住んでいた移民たちは高騰する家賃のために住み続けることが難しくなっています。

 これに伴い、ストリートアートの風景も変わりつつあります。かつて移民たちが描いた壁画の上に、新しいアーティストが別の作品を描いたり、あるいは再開発のために壁ごと取り壊されたりすることもあります。

 

まとめ

ストリートアートは単なる「落書き」ではなく、都市の歴史や社会の変化を映す鏡です。都市が変われば、アートも変わる。それでも、そこに込められた「見えない人々の声」を伝える役割は、これからも変わらず続いていくでしょう。もし、ニューヨークを訪れる機会があれば、ぜひブッシュウィックの街を歩いてみてください。(夏のNYは大変な猛暑なので、レンタサイクルをおすすめします・・・苦笑)

きっと、壁に描かれたアートを通して、この都市に生きる人々の声を感じ取ることができるはずです。

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