生成AIによるセリフ文章を利用したタイピングゲーム
2025年4月 9日 (水) 投稿者: メディア技術コース
先日、言語処理学会第31回年次大会のことを記事にしましたが、この年次大会で学生に研究発表してもらいました。
- 鈴木里彩、松吉俊: 生成AIによるセリフ文章を利用したタイピングゲーム
この発表論文は、年次大会のサイトにおいて誰でも無料で読むことができます。下の写真は、ポスター発表の様子です。
キーボードタイピングを練習するためのゲームは、有料のものも無料のものもたくさんあります。例えば、無料でブラウザー上でプレイできるものとして「寿司打」はかなり有名なのではないでしょうか。タイピングゲームで打ち込むことになる日本語テキストは、一般的な日本語文章であったり、特定のテーマに従って収集された日本語文章だったりします。同じゲームで毎日タイピングしていると、同じ日本語文章ばかり見ることになり、そのうち飽きてきます。だからといって、自分が好むテーマのテキストでプレイできる別のタイピングゲームを探そうとしても、なかなかそういうものは見つけられません。
そこで、ユーザーに好きな「性格語」(勇敢とか、優しいとか)を入力してもらい、「その性格を持ったキャラクターが言いそうなセリフ」を生成AIで自動生成することを考えました。生成AIが全く同じ出力を返すことは稀ですので、飽きが来にくいタイピングゲームになります。同じ性格語ばかりを試すだけでなく、その日の気分によっていろいろな性格語を入力してセリフ文章のバリエーションを楽しむこともできます。
ここまでの開発は順調でしたが、1点問題がありました。タイピングゲームですので、ユーザーの実力に合わせて難易度を調整する必要があります。そのような調整がないと、例えば、タイピング超初心者に、漢字混じりの50文字以上の日本語文を打つことを毎回強いることになってしまいます。生成AIに「その性格を持ったキャラクターが言いそうなセリフ」かつ「5文字程度」を依頼しましたが、この依頼が全くうまくいきませんでした。どちらかの条件を満たさない日本語文章しか返してくれません。そこで、処理を2段階で行うという工夫を思いつきました。下の図のように、まず、生成AIに「その性格を持ったキャラクターが言いそうなセリフ」を自動生成させます。その後、ユーザーのレベルに従って、セリフの一部を切り取ってもらうことにしました。(図をクリックすると、大きな画像を見ることができます。)
下の図のように、レベル1 → レベル2 → レベル3とレベルが高くなるにつれて、切り出す部分を徐々に多くするようにしています。この工夫がうまくいったので、タイピング初心者でも、自動生成されるセリフを楽しみながらタイピング練習ができるようになりました。(図をクリックすると、大きな画像を見ることができます。)
今回の研究は「生成AIの教育応用」を実施したものです。生成AIへの指示(プロンプト)を工夫することにより、教育目的において役に立つアプリやツールを構築しようというものです。生成AIの応用に興味がある方は、どのような教育応用ができそうか、ぜひ考えてみてください。素敵な応用を思いつくことができるかもしれません。
(文責: 松吉俊)
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