【研究紹介】ドライアイスの CG
2025年5月12日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース
本ブログをご覧の皆様,こんにちは.
メディア学部教授 菊池 です.
先日,私たちの研究グループによる研究成果が「International Journal of Asia Digital Art and Design」という国際的な論文誌に採録されました.
この研究では,「ドライアイス」を CG で表現するための手法を提案しています.
ドライアイスは,学校の授業や工場,映像制作などでよく使われています.水などの液体に入れると,モクモクとした白い霧が出て,見た目もとても印象的です.動画では霧がたくさん出てくるシーンがよくありますが,実は「水に入れてから霧が出るまでの流れ(たとえば,ドライアイスが溶ける様子や泡が上がる様子,霧があふれる様子)」は,コンピュータグラフィックス(CG)の世界ではあまり詳しく表現されていませんでした.
なぜかというと,ドライアイスがどうやって霧を出すのか,その正確な仕組みがはっきりしていないため,CGで本物のように再現するのは難しいからです.
そこで私たちの研究では,ドライアイスが水の中で霧を出す様子をCGでリアルに再現する方法を考えました.
まず,ドライアイスが水に入るときの様子を「炎のシミュレーション」を応用して表現します.これにより,水の中で上がってくる泡を滑らかな球体として CG にします.そして,CG の中でドライアイスや容器,泡がぶつかる様子も再現し,よりリアルな動きを出しています(これはAPIC という技術を使っています).
次に,霧を出すために,水面から出てきた泡の位置をもとに「霧のもとになる点(ポイントクラウド)」を作り,それを霧の形に変えます.そのあと,霧が広がる様子を計算するシミュレーションを使って,容器の中に広がる霧を再現します.
霧が上にのぼっていく速さ(風のような流れ)は,この研究で新しく考えた式を使って計算します.
この式では,最初の霧の速さも考えに入れています.また,霧がだんだん薄れて消えていく様子は,水の中に含まれる水蒸気の量によってコントロールしています.
この方法を使えば,水の中でドライアイスが溶けて霧が出る様子や容器から霧があふれてくる様子を,現実に近い形で効率よく CG で表現できます.さらに,今までの「ただ下に流れる霧」だけでなく,もっと自由な霧の表現も可能になります.
論文では,動画へのリンクも紹介していますので,是非ご覧ください.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/adada/28/4/28_97/_article/-char/en
文責:菊池 司
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