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2025年11月

「青嵐(せいらん)」が世界のスパコンランキングにランクインしました!

2025年11月30日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

東京工科大学のスーパーコンピュータ「青嵐(せいらん)」を世界の舞台で評価してみようということで、今回初めて 3つの国際スパコンランキングに挑戦しました。その結果、すべての部門でランクインという、とても良い成果を得ることができました。 

 まずは簡単に順位をご紹介します。 

・TOP500:374位 
https://top500.org/lists/top500/list/2025/11/?page=4 

・HPCG:83位 
https://top500.org/lists/hpcg/list/2025/11/ 

・HPL-MxP:22位 
https://hpl-mxp.org/results.md 

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■ 3つのランキングの違いをわかりやすく説明します 

スーパーコンピュータの性能ランキングにはいくつか種類がありますが、今回挑戦したのは TOP500、HPCG、HPL-MxP の3つです。それぞれ、評価するポイントが大きく異なります。 

<TOP500(HPL)>

TOP500 は、世界で最も有名なスパコンランキングです。ここでは、巨大な「連立一次方程式」を LU分解という方法で解くスピードを測ります。簡単に言うと、「スパコンが理論的にどれだけ速く計算できるか」を全力で試すテストです。精度は FP64(倍精度)の高精度計算のみを使用します。 

<HPCG(High Performance Conjugate Gradient)>

HPCG は、実際の科学技術計算に近い処理をどれだけ速くできるかを測るテストです。疎行列を使い、共役勾配法という別の方法で連立一次方程式を解きます。TOP500のように「理想条件での全力疾走」ではなく、現実のシミュレーションのようにメモリや通信なども含めて計算するため、より“実際の仕事で強いスパコンかどうか”を測る指標です。こちらも FP64 の高精度で評価されます。 

 <HPL-MxP>

HPL-MxP は近年登場した新しい指標で、AI計算に使われる混合精度(FP16・FP8とFP64の組み合わせ)を使って連立一次方程式を解きます。AIとHPCを両方活用する時代に合わせてつくられた評価方法で、GPUの性能を大きく発揮できるのが特徴です。青嵐はこの部門で 22位 と非常に高い順位に入り、AI時代にも強いスパコンであることが示されました。 

 ■ まとめ 

TOP500(理論性能)、HPCG(実利用性能)、HPL-MxP(AI時代の総合性能)の3つを組み合わせることで、スパコンの力を多面的に理解できます。 

 ■ 最後に 

今回「青嵐」が世界ランキングに初めて挑戦し、3つすべてでランクインしたことは、大学の研究環境にとって大きな一歩です。今後もAI、デジタルツイン、数値シミュレーションなど、さまざまな分野で活用を進め、学生のみなさんと一緒に新たな挑戦を続けていきたいと思います。 


文責:三上(情報提供:コンピュータサイエンス学部生野先生)

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国際学会開催のお知らせ(ADADA International 2025)

2025年11月28日 (金) 投稿者: メディア技術コース

来週の121,2,3日に国際学会、ADADA International 2025が都立大学、日野キャンパスで開催されます。ADADAとは、Asia Digital Art and Design Associationの略です。学会のページによると、「その目的は、『メディア技術に基づいたメディアアートデザインの理論的方法を確立し』云々」とありますから、メディア学部に非常に関連性の高い学会と言えるでしょう。メディア学部の教員も何名か参加します。今回日本での開催ですが、日本で開催されるのは11年ぶりです。台湾、韓国、マレーシアなど、アジアの色々な国をまわって開催されていますが、コロナ禍のときには3年間オンライン開催が続いたこともありました。

 

ところで、今回は、大学生、大学院生で、発表を聴講するだけであれば無料で参加できるようになっています。海外での国際学会は自分で発表しないと参加が難しいと思いますが、国際学会での発表を将来目指したい人にとって発表せずに国際学会を経験できるいい機会になっています。口頭発表だけでなくポスター発表もありますから、英語でのやりとりに挑戦してみるのもいいのではないでしょうか?

 

学会の案内は、以下のリンクにあります。

 

https://adada.info/2025/

 

また、registrationから無料での聴講の登録申し込みができます。

直前の案内にはなりますが、場所も最寄りの駅が豊田ですので、工科大からはとても近い場所です。参加してみようと思う方は是非!

 

 

 

太田

NICOGRAPH2025にて学会発表予定

2025年11月26日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

11月30日から広島で開催されるNICOGRAPH2025にて、当研究室より7件の学会発表を予定しています。過去には2021年に開催された映像表現・芸術科学フォーラムでも7件の発表をしたことがありましたが、それと並ぶ研究室最多記録となりました。少しフライング気味ではありますが、既に学会ウェブサイトでもプログラムが発表になっていますので、概要を紹介させていただこうと思います。

発表タイトルは以下の通りです。

  1. 近距離条件におけるParametric Notch-Peak HRTFモデルの性能の検証 (田中涼太さん)
  2. 機械学習を活用したエレキベース奏法の識別 (森田結衣さん)
  3. ゲーム音声による感情データベースの構築と分析 (高子賀さん)
  4. ピアノ演奏における感情の自動分類 (田中悠元さん)
  5. 6種類の異なる手袋を着用した際の拍手音識別 (有賀柊花さん)
  6. 和音進行の自動認識における音響情報と言語情報の統合 (松平暁さん)
  7. ベトナム語音声合成における方言適応の研究 (渡邉南さん)

音響全般の研究が1と5、音楽の研究が2と4と6、人間の声の研究が3と4と7というように、様々な分野に広がっています。扱う対象はそれぞれですが、音をデジタルデータとして扱い、様々なデータを集めた上で、機械学習や信号処理によって新たな知見を得ていこうというアプローチは、すべての研究に共通しています。

この記事を見つけて興味をもってくださった方は、これからでもまだ学会に参加可能です。ぜひ現地でお会いしましょう!

今更コンソールプログラミング?

2025年11月24日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。こんにちは。

現在、メディア学部ではカリキュラム改訂が進んでおり、今年度は2年次生科目が一斉に入れ替わっています。特に大きく変化したのが「メディア専門演習」で、これまではセメスター制、つまり14週間かけて一つの科目としていたのですが、新カリキュラムではクォーター制、つまり7週間で科目が完結します。そのため、我々教員は従来の内容を大幅に変更しなければならなくなりました。

旧カリキュラムでの私のテーマは「リアルタイム3DCGプログラミング」というテーマで、C#言語を使って3Dのプログラムを作成するというものでした。クォーター制に移行する際、単純に前半と後半に分割して2科目にできると楽なのですが、最初にC#言語の基礎を学び、その後に3Dの理論的な話を学んでから自由作品を作るという行程だったため、そんな簡単にはいきません。色々悩んだあげく、前半学期は「C#コンソールプログラミング」、後半学期を「C# 3Dプログラミング」とすることにしました。

「コンソール」とは、各OSに搭載されている文字列表示やコマンド入力ができるアプリのことです。(実際はもっと別の様々な意味もあるのですが、今回は上記の定義で説明していきます。)Windows11 の場合は、「コマンドプロンプト」や「PowerShell」といったコンソールアプリが標準で搭載されています。このコンソールに文字列を出力したり、キーボードから文字列を入力して処理を行うようなプログラムの作成がこのテーマの目的ということになります。これだけ見ると非常に地味に感じると思いますし、実際 3D や GUI 表示とかに比べれば地味なんですが、プログラミングを学ぶ環境としてはとてもシンプルで扱いやすいんですね。また、どんな OS、どんなプログラミング言語でもコンソール入出力機能は必ず存在するので、新たなプログラミング言語を学ぶ際には非常に良いとっかかりになります。

とはいえ、これだけだと本当に地味で学生にとってもつまらないものになりかねないので、後半ではコンソール上で文字によるアニメーションを表示したり、ゲームなどを作成できるような機能を教えました。ただ、これを実現するためにはマルチスレッドプログラミングにも手を出す必要があり、終わってみたらかなり高度な内容まで扱うテーマとなってしまいました。コンソールでアニメーション表現なんて、かなり年配のプログラマーじゃないとやってないと思いますが、今時の学生達にはどのような印象を持たれたのでしょうか...

(メディア学部教授 渡辺大地)

【2025年夏〜秋】プロジェクト演習イベント出展報告③

2025年11月21日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の栗原です。

私の関わっているプロジェクト演習で夏から秋にかけてのイベント出展について報告します。(全3回中3回目)

第1回はこちら

第2回はこちら

 

この記事では2025年10月12日と13日に開催された紅華祭(学園祭)への出展について紹介します。

紅華祭では1回目の記事でも紹介したプロジェクト演習「インタラクティブ・ゲーム制作」と「デジタルコンテンツ表現:インスタレーション」で学生が制作したゲームとインスタレーション(デジタル技術を使ったアート作品)を展示しました。

ゲーム展示の方では2回目の記事で紹介した東京ゲームショウ2025でも出展したゲームを展示しました。

学園祭ということで、本学のOBや東京ゲームショウには来られなかった地元のみなさまにも体験していただきました。

インスタレーション展示は初めての試みということもあり、思うように準備が進まないところもありましたが来場者の方や他のサークルの学生にも興味をもっていただけました。

 

今回の報告では3回にかけてプロジェクト演習のイベント出展について紹介しました。

ゲーム制作とインスタレーション制作の演習について紹介しましたが、メディア学部には他にもたくさんのプロジェクト演習があります。

興味を持っていただけた方はぜひオープンキャンパスやイベントにお越しいただけますと幸いです。

【2025年夏〜秋】プロジェクト演習イベント出展報告②

2025年11月19日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の栗原です。

私の関わっているプロジェクト演習で夏から秋にかけてのイベント出展について報告します。(全3回中2回目)

第1回はこちら

第3回はこちら

 

この記事では2025年9月25日から28日に開催された東京ゲームショウ2025への出展について紹介します。

プロジェクト演習「インタラクティブ・ゲーム制作」やその他のゲーム系プロジェクト演習を履修する3年生(出展時)の学生たちでチームを組み、約1年かけて制作したゲームを展示し、たくさんのご来場者のみなさまに遊んでいただきご感想をいただくことができました。

例年のことですが、ゲーム制作はもちろん展示計画なども学生が行いました。

プロジェクト演習としてのゲーム制作は一旦一区切りとなり、今後は一連の活動を経た経験を生かしながら研究室での研究に励むことになります。

すでに新チームも動いておりますので、ご注目ください。

【2025年夏〜秋】プロジェクト演習イベント出展報告①

2025年11月17日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の栗原です。

今回から3回にかけて私の関わっているプロジェクト演習で夏から秋にかけてのイベント出展について報告します。

第2回はこちら

第3回はこちら

 

〜プロジェクト演習とは〜(大学公式サイトより)

実践と挑戦を重視するメディア学部の特徴を体感できる科目が、1~3年生の学生が履修できる、専門性の高いプロジェクト演習です。多様なテーマのもと、充実した環境を活用しながら将来につながる貴重な実践経験を積むことができます。

 

この記事では2025年8月9日に行われた「東京工科大学×日本工学院 ミライ発見フェス」について紹介します。

まず、東京工科大学×日本工学院 ミライ発見フェスは今回初めて開催された専門学校と共同のイベントで、大学・専門学校での学びに関するたくさんの体験イベントが行われました。

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私はプロジェクト演習「インタラクティブ・ゲーム制作」と「デジタルコンテンツ表現:インスタレーション」の2つのプロジェクトに関わる身として、学生が制作したゲームとインスタレーション(デジタル技術を使ったアート作品)を体験できるイベントの開催を担当しました。

ゲームや作品を制作したのはもちろん学生ですが、会場の設営や運営、片付けも全て学生が担当してくれました。

 

当日はたくさんの中学生・高校生にお越しいただき、ご意見・ご感想をいただくことができました。

来年度についてはまだ未定ではありますが、開催が決まりましたらご案内いたしますので今回来られなかった方もぜひお越しください。

 

合理的な意思決定

2025年11月14日 (金) 投稿者: メディア社会コース

合理的な意思決定とはどのようなものでしょうか。包括的な表現をすれば、与えられた条件のもとで自分にとって最も有利な選択を行うことだと言えます。企業経営であればそれは利益の最大化であり、経済政策であれば国民全体の厚生水準を最大化することです。いずれの場合にも、与えられた制約のもとで、現時点、一時的だけではなく、想定しうる将来にわたっての時間を通じた最適化を図るものと言えるでしょう。

経済学では一般に、合理性を前提としています。行動規範としては理想的な意思決定基準であって、わざわざ合理的でない行動基準を採用する理由もありません。その行動原理を支える合理的予想に対しても、現在劇的な進展を遂げつつある情報技術により、飛躍的な精度の向上が期待されます。しかし、たとえ確率的な予測精度が向上しても、合理的予想のもたらす帰結は、将来の事象に対処する行動原理にとってフィクションの域を出ないという限界があります。従来より合理性を前提としない試みもされてきましたし、非合理性そのものを内包させようとする研究も出てきています。本稿では、非合理的とは言えませんが、場当たり的とも言える行動の帰結について考えてみましょう。

現実の世界においては、企業のみならず個々の家計にいたるまで、現在から将来に向けた意思決定は適応的な行動原理に基づいていると考えるのが経験に即しています。すなわち、行動計画を立案し、実行して、予想と実績との差異を認識して、その差異を修正しながら再計画を積み上げていく、管理会計上の手続きです。しかし、こうした予実対比型行動が適応的にすぎないと言っても、計画案が既存の情報をもとに当該時点で最も有利な代案を選択した結果であるという意味では、意思決定時点に限っては合理的であり、今後の情報技術の成果を十分に享受しうる親和性も併せ持っています。

そこで、消費と投資の計画にかかわる異時点間の意思決定問題を取り上げ、意思決定原理としての合理性と適応性の妥当性を比較検討してみましょう。経済成長論には、最適成長計画というザ・スタンダードとも言うべきモデルがあります。例えば、今日稼いだ所得を今日全て消費してしまえば今日の満足度は最大ですが、明日は何も消費できなくなります。人生が明日以降も続く限り、我々は江戸っ子を気取るわけにはいきません。一方、今日の消費を少し我慢して貯蓄すれば、この資金で設備投資を行えば生産力が向上し、明日は所得が今日より増え、より多くの消費が可能になり得ます。このような今日と明日、今年と来年、すなわち現在と将来に関する消費と貯蓄(投資)の配分を、現在から将来に至るまで最も合理的に計画しようとする理論が最適成長モデルです。

まず、標準的な最適成長モデルに基づく合理的な意思決定からは、最適な、唯一の成長経路が導かれることがわかっています。その嚆矢と言える解が、フランク・ラムゼイが導き、ジョン・メイナード・ケインズが解釈を与えた、有名なケインズ=ラムゼイ公式です。しかし、この最適成長経路は鞍点経路という毛程のミスも許されない、現実の人間行動からすると不安定なもので、まさに完全予見に連なる合理性を貫いているからこそ実現できる代物です。

一方、筆者の研究から、予実対比型の適応的な意思決定の導く成長経路は、最適成長経路の周辺に無数に分布し、多様で冗長的であることがわかりました。しかし、この冗長性は、予実対比という試行錯誤を伴って、最適成長経路を含む複数の次善の目標を許容しながらより有利な計画を遂行していくという意味で、計画の管理運営上の安定性を生み出します。

しかも、数値計算の結果からは、予実対比型の消費/貯蓄(投資)計画は、将来に至る消費効用を累積した社会的厚生基準で測ってみると最適成長計画に匹敵することがわかりました。しかも、実務的に十分実現可能なのです。例えば、同基準で最適成長計画に対する度合が0.9を超える経路は、初期計画の段階で0.58の割合で到達可能なのです。この約6割で実現可能ということは、並の経営者や政策担当者でも達成できる計画と言えるでしょう。

今後、深層学習や情報技術等の進展により、既存のデータに隠された複雑な行動の機構と因果関係を推定する精度が向上していけば、計画と実績の差異を修正していく意思決定上の精度も向上していくでしょう。すなわち、予実対比型の、いわば場当たり的な意思決定であっても、毎回可能な限り諸情報を入手してその解釈にITを活用しながら、与えられた環境条件のもとで合理的な意思決定を繰り返していけば、最適な計画により容易に接近していける期待が膨らんできます。

参考文献

本稿の内容の詳細は、下記をご一読ください。

https://www.nature.com/articles/s41599-023-01667-1

(メディア学部 榊俊吾)

担当講義科目を振り返る

2025年11月12日 (水) 投稿者: メディア社会コース

筆者の常勤としての本学在職も残り5ヶ月を切りました。筆者は、メディア学部が開設された1999年に着任して以来、丸27年在職することになります。この間、講義科目では経済学、社会情報学関連の授業を担当してきました。ここ何年かは、学部3年次開講の社会経済論、社会経済シミュレーション論、大学院コースワークのビジネスシミュレーションを担当しています。今回は、これらの講義科目について紹介していきましょう。

まず、3年次前期開講の社会経済論は、マクロ経済統計の編集、分析、解釈の仕方を習得することを目標とした科目です。頭はもちろん、PCで手を使いながら、データ解釈の技術習得を狙いとしています。

筆者は本来、大学の授業に実践的な目標を位置付けるより、学生に自由に興味関心の赴くままに勉強してもらいたいと考えています。筆者自身が学生の頃、職業を意識することなく牧歌的な学生生活を送ってきたせいもあるでしょう。しかし、時代も移り、就職対策が大学生活の一部になってきました。本学の方針も実学主義を謳っています。

いずれ社会に巣立てば、日々の仕事を計画、遂行するにあたり、広く社会、産業、経済情勢について事実に基づいた知識の活用が試される機会も増えていくでしょう。これは、業種、職種を問わず、特に5〜10年後、自ら業務を計画し、遂行するべき地位で仕事をするとき、必ず求められる素養になるはずです。当該講義は、学生諸君に対してこのような到達目標を掲げています。

一方、3年次後期の社会経済シミュレーション論は、所属する組織の幹部として合理的な意思決定を期待される地位で仕事をするとき、経営戦略の立案に寄与するような方法論を身につけてもらうことを意図しています。ただし、社会シミュレーションの技術は筆者の研究領域でもあり、本学の掲げる実務教育に加えてマニアックな内容になっています。ちなみに本学部のカリキュラムでは、同時期に卒業研究以外のすべての科目を取り終えることを推奨しています。したがって、同科目は、卒業単位を埋める目的のためだけに履修すると機会費用が高く付くことに注意が必要です。

大学院のビジネスシミュレーションは、一転して、実務的な科目です。なぜなら、同科目は、もともとアントレプレナー専攻に開設されたもので、カリキュラム上必然的に実務に沿っているからです。同科目は、会計から財務指標分析に至るまでを総合した内容を教育していますが、工学系大学であるため、情報システムとしての設計も意識しています。筆者は経営学や、まして会計を専攻してきたわけではありませんが、若干社会人としての実務経験と、国の会計システム(国民経済計算SNA:System of National Accounts)の最適化計画に携わった経験を踏まえて、当該科目における教育を実践してきました。(企業会計とSNAは別物、というもっともな批判もあると思いますが、両者の接合を論じたものとして下記参考文献を参照してください。)

27年の間には、いずれも基礎的な内容ながら、マクロ経済学、ミクロ経済学、情報経済論等も講義してきました。対象年次も、1年次生から始まり、2年次、そして現在は3年次開講に定着してきました(本学では現在4年次開講講義科目は原則的にありません)。現在の科目構成に落ち着いたのは、文科系の教育を受けてきた筆者が、経済学のみならず、制度設計や工学領域の優れた先達の知遇を得て、かつ工学系学部に着任し、研究教育を行なってきた軌跡から生じた、試行錯誤的な、あるいは意図せざる結果に他なりません。

 

参考文献

本学部ではコロナ社からメディア学体系として教科書を出版しています。筆者の担当科目に関連する「ICTビジネス」も同シリーズに出版されています。なお、同書の書籍名は筆者の意図したものではないことをこの場を借りてお断りしておきます。

https://www.coronasha.co.jp/mediastudies/

社会シミュレーションに関心のある方は、例えば下記を参照してください(Open Access)。

https://link.springer.com/article/10.1007/s40844-018-0098-5

https://www.nature.com/articles/s41599-023-01667-1

企業会計とSNAの接続に関しては、下記をご一読ください(残念ながら有料)。

https://link.springer.com/article/10.14441/eier.8.123

 

(メディア学部 榊俊吾)

2025年度後期学会報告

2025年11月10日 (月) 投稿者: メディア社会コース

2025年度卒研生の活動

本日より11月10日、12日、14日の3回を担当します。第1回の本日は「2025年度学会報告」、12日「担当講義科目を振り返る」、14日は「合理的な意思決定」です。

 

当研究室では例年8割以上の学生が学会で報告を行なっています。2025年は(昨年もそうでしたが)これまで参加がやや少なく、残念です。2025年の報告実績と見通しを紹介しましょう。

日本地域政策学会2025年度愛知・名古屋大会(中京大学6月28日)ポスター報告

S君「VTuberにおける演者とキャラクターの性別差による視聴者意識の変化と地域共生社会への示唆」ポスター報告

Hさん「アナログレコード産業の復活の要因と今後の展望」ポスター報告

https://ncs-gakkai.jp/convention/entry/

社会情報学会中国・四国支部第1回研究発表会/鳥取短期大学/12月20日

Hさん「アナログレコード産業の復活の要因と今後の展望」現地参加予定

Y君「ゲームプロモーションにおけるSNSマーケティング」遠隔参加予定

情報文化学会北海道支部大会/北海道大学/2026年1月10日

Hさん「アナログレコード産業の復活の要因と今後の展望」現地参加予定

社会情報学会中国・四国支部第2回研究発表会/香川短期大学/2026年開催予定

Hさんは2年生の頃から学会で報告し、4年生の今年で合計5回ほど発表することになります。S君、Y君とともに、来年社会に巣立つにあたって、これから多くの経歴で埋められることになるであろう履歴書の一端を飾って欲しいと願っています。

年が明けて、時期は未定ですが、情報文化学会関東支部会、情報コミュニケーション学会全国大会も開催される見込みですので、他のゼミ生諸君も含めて更なる参加を期待しています。

(メディア学部 榊俊吾)

スマートグラス元年はやってくるか

2025年11月 7日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部技術コースの盛川です。

ここ最近、スマートグラスやAIグラスといったメディアデバイスに関するニュースを目にする機会が増えています。
2025年9月のMeta Connect 2025でMetaが発表したMeta Ray-Ban Displayをはじめとして、AppleがApple Vision Proのアップデート版を10月に発表し、日本でも10月末にシャープが約200gのHMDを発表するなど、グラス型、HMD型のデバイスの開発のニュースが続いています。

Meta Ray-Ban Display(Meta社YouTubeチャンネルより)

おそらく来年にかけて多くのグラス型デバイスが登場し、今年か来年はスマートグラス元年と呼ばれるような年になるかもしれません。このようなデバイスが普及するかどうかは今後の動向次第ですが、その変化を観察すること自体が興味深い時期にあるといえるでしょう。

ただし、新しいメディアやデバイスが流行することと、日常に定着することは必ずしも同じではありません。例えば2010年は立体テレビが多くのメーカーから発売され、「3D元年」と称された年でした。これからは立体映像の時代が来るという宣伝文句のもとで、家電量販店などでテレビやモニターが売られていたのですが、その後一般家庭でその技術が定着するには至りませんでした。

とはいえ、立体映像そのものが消えたわけではありません。現在でも海外映画を中心に立体映像作品は制作・公開され続けており、その表現が効果的な分野では技術が活かされています。重要なのは「メディアの特性をどのように活かすか」という点であるといえます。

スマートグラスも同様に、どのような使い方が効果的であるかを理解し、そのためのサービスやコンテンツが整えば、普及する可能性は十分にあります。むしろ、その有効な使い方をいち早く見つけようと試みる企業や開発者、クリエイターたちが、いま競い合っている最中です。そうした人々の試行錯誤や競争が、後のメディア史の一部として残っていくでしょう。

私たちは、その歴史を今まさに直接体験していることになります。現在起こっているメディア技術の発展に触れながら、5年後、10年後の社会や日常が、どのように変化するのかを想像してみるのも楽しいと思います。

 

動画生成AI:Sora2を使えばAIに授業をさせられるか!?

2025年11月 5日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の藤澤です。先日、OpenAIから発表された動画生成AI:Sora2を使って授業動画を作れないか試してみました。

Sora2とは?

2025年秋、OpenAIが発表した最新の動画生成AI Sora2 が世界中で大きな注目を集めています。Sora2は、テキストや画像の指示から10〜15秒ほどの高品質な動画を自動生成できるAIモデルで、映像の一貫性や物理的リアリティの高さが特徴です。例えば、登場人物の動き、カメラワーク、照明、背景の連続性まで自然に表現され、まるで実写のような短編映像を作ることができます。

さらに、Cameo機能 を活用すると、実在する人物の3Dアバターを動画内に登場させることも可能です。ユーザー自身の姿をCameoとして登録すれば、まるで自分が演技しているかのような動画をAIが生成してくれます。登場人物同士の会話や表情の変化も自然で、AI俳優が演じる“仮想映像制作” が現実のものとなりつつあります。

Sora2では、以下のような点が特に注目されています:

 

 

 

  • シーン間の整合性:複数カットの中でキャラクターや背景が一貫している。

  • 自然な動きと物理法則の再現:風に揺れる髪、重力による落下、歩行などが現実的。

  • 多様なカメラアングル:ズームやドリーショットなど映画的な表現も自動生成。

  • 音声合成との統合:ナレーションや会話を自然に組み合わせられる。

つまり、これまでの動画生成AIが「断片的な映像」を作る段階にとどまっていたのに対し、Sora2はストーリー性や演出を含んだ“映像作品”を生成するAI へと進化しているのです。


実験:Sora2で授業動画を作ってみまし

そこで今回、Sora2を使って短い授業風動画 を生成してみました。Cameo登録したAIが作った私が教壇に立ち、授業を行う映像がどの程度自然に見えるかを検証しました。まずは以下の動画をご覧ください。

一つ目の動画と二つ目の動画では少し声のトーンが変わっていますが、おおむね問題ないようです。


生成してみての印象

Sora2で生成した動画のクオリティは非常に高く、動作も滑らかで、話し方も自然に感じられます。特に注目すべきは、フィラー音(「えーっと」など)が全く入らない こと。コロナ禍のオンデマンド授業では自分の話し声を録音していましたが、どうしても間延びしたり、フィラーが入ったりしてしまいました。Sora2なら、こうした“人間らしい不完全さ”を排除し、スムーズで聴き取りやすい日本語 で授業が進められます。

ただし、いくつかの課題もあります。例えば、動画内に表示される日本語テキストはまだ不自然 な場合が多く、正しい日本語表記にするには調整が必要です。また、適切な内容や演出にするためには試行錯誤が必要 で、生成に時間もかかります。10秒の動画を作るだけなら、自分で喋って撮影した方が早いというのが正直なところです。


今後の可能性

しかし、将来的にSora2が長尺の動画生成 に対応するようになれば状況は変わってくるでしょう。たとえば、自分の著書や授業資料をSora2に読み込ませ、その内容に基づいた完全自動授業動画 が作れる日も遠くないかもしれません。AIが自動で教材を生成し、教師の代わりに授業を行う――そんな未来の入り口に、Sora2は立っているのです。

Sora2は、“AIが話すだけでなく、AIが教える”ことができるようになることを示唆するツール でしょう。教育現場での応用可能性を探るうえで、今後も注目していきたいと思います。

映画「トロン」の新作を観てきた

2025年11月 3日 (月) 投稿者: メディア技術コース

突然、秋を飛ばして冬になったような体感の今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

先日、ふと思い立ってディズニー映画の「トロン:アレス」(2025年)を劇場で観てきました。レイトショーの回だったからか、人はまばら。吹き替え版も上映期間が終わって、劇場公開の規模は縮小しているようです。世間の興行的にはどうだったのでしょうか。

さて、「トロン」という映画、1作目は1982年に公開された映画で、CGが映画作りに導入された歴史では一つのエポックメイキングな作品です。

この旧作「トロン」は配信で観ることもできるので興味ある方は是非観てみて下さい。ただし、私見ですが、マイコン大好き少年だった私が公開当時に見た記憶では妙に子供向けでピンとこなかった印象もあります(中盤までは世界観を楽しめるのですが、徐々に映像に慣れてしまって飽きてくる感じでしょうか? そしてハードなSF感はぐるぐる回るヒラメ顔のラスボス造形で台無しに…)。

この第1作目、当時の興行成績も今一つ振るわなかったらしく、ディズニーの実写絡みのSF映画の制作はいったんここで打ち止めになったそうです。1980年代というとスター・ウォーズのヒットを受けて大SFブームが起こっており、猫も杓子も殺人鬼も怨霊も宇宙に出たりビーム兵器を打ち鳴らしていた時代(参考例:「スペース・キャット」('78年 猫)、「ザ・ダーク」('79年 殺人鬼)、「マニトウ」('78年 怨霊))。なので、ディズニー的にも狙ったのでしょうが、この作品の前の大赤字の黒歴史作品「ブラックホール」('79)でかなりの痛手を被った経営危機の時代でもあったようです(なお「ブラックホール」は映画音楽で初めてデジタル録音を試みた映画だそうな。「ブラックホール」も007シリーズで知られるジョーン・バリーの楽曲はカッコいいのです)。

さて、この1982年版の「トロン」、興行成績はさておき、当時の技術的な力業と独自なデザインの世界観など、見どころが多いのも確かです。”ライトサイクル”と呼ばれる丸っこいバイクやら、”レコグナイザー”と呼ばれる変な門みたいな偵察機など、今見ても独特です(余談ですが、このレコグナイザー(偵察機)は、前述の大コケ大作「ブラックホール」の敵役ロボット"マクシミリアン"のデザインを参考にしているという話もあるそうです。変なデザイン~と思った人は形を見比べていただけると納得すると思います)。
コンピュータ内の世界の描き方もモノクロ撮影に彩色したドラマパート(かなりの手間と工程をかけているらしい)など、モノクロに蛍光色が乗っている感じで、下手に現実の実写世界に近くない分、異世界な印象を残します。線画主体の世界の見せ方も当時のスペックの制限からの描写なのでしょうが、逆に他では見ない表現になっており、新鮮に感じる次第。
この”電脳世界”的な表現は、CG技術が上がった続編以降では、妙に世界をリアルに作りこみすぎて普通のコスプレアクションになっており、物理法則に従わないオリジナル作品の方が魅力を感じるのですが、皆さんはいかがでしょうか。

さて、1作目、当時の裏話的なものがあるのかな?とインターネットのデータベース(IMDB)を見ていたら当時の計算機のスペックが出ていました。

>使用されたコンピュータの1台は、メモリがわずか2MB、ストレージ容量も330MB以下だった

今の皆さんから見たらどうでしょう。ギガバイトが普通になった昨今から考えると時間の流れを感じます(ただし、当時のマイコン(パソコン)のスペックはkB(キロバイト)の世界が普通だったので、これでもかなりの高性能のコンピュータということになります)。

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さて、最新作「トロン:アレス」の話を少ししておくと、懐かしい部分もあり、結構楽しめました。でも、やっぱり物が美麗に高精細になりすぎると他のヒーロー物作品と変わらなくなってしまう印象です。(前作(「トロン:レガシー」(2010年))では、グリッド世界の中で雨とか降ってたはずなのに、今回はそれがないことになってるのか?とかも気にもなりましたが…。)で、映像技術が進歩した昨今ではカッコいいっぽいものを見慣れてしまい、人は”見慣れてる”映像には感銘を受けなくなる”のかなあ、とも思った次第。
あとオリジナル1作目にあったシンセサイザー音楽の良さが無いのも寂しい気がしました(オリジナルのウェンディ・カーロスの楽曲はハッタリが効いてて好きなのです)。

ところで、いつも思うのですが、よく悪者が使ってるディスプレイ一体型の、平面でキーストロークがないキーボード。あれって使いにくいんじゃないかな。

(以上文責:永田明徳)

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