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サルが襲う映画雑感

2026年3月13日 (金) 投稿者: メディア技術コース

先日立川の映画館で「おさるのベン」("Primate" 2026)というチンパンジーが狂暴化して襲ってくる映画を観てきました。監督は閉鎖状況大好きな?「海底47m」(2017)のヨハネス・ロバーツで、殺戮場面を見せること重視(あんまりありがたくない)の閉じ込めシチュエーションホラー方向。昔あった、スティーブン・キング原作の狂犬が襲ってくるB級作品「クジョー(1983)」(もしくは「クージョ」)の裏返しとも言えるかな?、と思いつつ鑑賞しました。全体としては登場人物の行動が微妙に納得いかず、みんなとりあえず電気つけて行動しろよ!…と見ててモヤモヤする印象だったのですが。

さて筆者は実は猿が出てくるホラー方向の映画はなんだかめんどくさいな~と思っています。

なぜかというのをつらつら書いてみると、

  1. 悪役がサルだと人間に近い「ものを考える」要素が絡むので、一概に「悪い奴だからやっつけちゃえ」という爽快な方向にならない
  2. 芸をやらせている感が付きまとうのであんまり怖くならない
  3. 場合によると悪しき人間の面を見せて、社会問題を語る方向に話が流れるのでめんどくさい

大体こんな感じがするのです。いや、あくまで私見であって確たる根拠がある話ではないのですが。

最後の3.の社会問題を語る方向というのは、顕著には新旧の「猿の惑星」シリーズな感じで、人間社会のいやな面を見せられたり(裏切ったり仲間割れしたり)が、これまた見てて面倒な気分になるのです(メッセージ性を持たせることで作品の質を上げているのも分かるのですが…)。

ところで、猿が襲ってくる映画のパターンを考えてみると、

  1. 飼われている(もしくは逃げ出した)猿が襲ってくる (動物ホラー系)
  2. 巨大化した猿が襲ってくる (キングコング系)
  3. 知性を持った猿が集団で支配 (猿の惑星系)

という3パターンを思いつきます。

今回観た「おさるのベン」は1.の動物ホラー系。この〝動物が単純に襲ってくる〟系譜では、かなり古くはサイレント期のトッド・ブラウニング監督の「三人」("The Unholy Three" 1925)あたりを思いつきます。あるいはアラン・ポーの「モルグ街の殺人」の映画化など。初期の頃はジャングル秘境映画の延長線で、未知の怪力動物が恐怖の対象となる感じでしょうか(もしくは怪しげな科学者が怪しい実験をした結果の産物)。これが時代が近年になるにつれて実験動物やペットなど、より現実にありそうな、管理できている動物が暴れる方向に傾く印象で、動物パニック映画ブーム影響下の1980年代だと、「リンク(1986)」(監督はスリラー演出に長けたリチャード・フランクリン)「モンキー・シャイン(1988)」(監督は〝ゾンビ”のジョージ・A・ロメロ)などの佳作を思いつきます。(あとごく最近だと「NOPE/ノープ(2022)」の冒頭でもチンパンジー暴れてました。)

…などと、今回なにかブログのネタは無いかとおもむろに猿映画を手繰っていたら、1961年のイギリス映画「巨大猿怪獣(KONGA)」というのがあるのを見つけてしまいました。早速観てみると、なにやら生命の根源的な研究をしている博士が、くちパックンしている巨大食虫植物から巨大化薬を抽出し、それをチンパンジーに注射すると、みるみる大きくなって怪力(着ぐるみ)ゴリラに…という進行(実写チンパンジーがあっという間に着ぐるみゴリラに代わる脱力感…)。その後なんだか無軌道になった博士はいろいろなコンプライアンス違反やセクハラパワハラを繰り返し、怪力ゴリラに催眠術をかけて(細かい指示がわからなさそう)殺人をさせる…という、1.の猿が襲う映画のカテゴリーになるのですが。最後は邦題の通り猿がさらに巨大化して(街はあんまり壊さずにそっと歩いて)、2.のキングコング趣向まで入れてくるという欲張った展開(キングコングの版権料を正規にRKOに支払っているらしい)。で、舞台はイギリスなのでビッグベンに…登らずに(ミニチュア壊すのめんどくさかった?)、それを背後に見せながらやっつけられて終幕になっております。…出来は…微妙…。

蛇足:まあ、サルが暴れるパターンというのはいくらでも探せば出てきそうなジャンルで、何せゴリラの着ぐるみがあればなんとかなるので。荒業としてはゴリラの着ぐるみに潜水服の頭をかぶせて”宇宙人”と言い張る「ロボットモンスター(1953)」や、水戸黄門とゴリラが戦う「水戸黄門漫遊記 怪力類人猿(1956)」などもありますが、、、話が横に流れてきりがないので、まとまり無いですがこの辺りで。

(以上文責:永田明徳)

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