雑感:音楽とテクノロジー・人間とAI
2026年5月 6日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース
こんにちは。伊藤彰教です。
今日は大学や学部の話題ではなく、世の中のニュースから「おっ!」と思ったものをご紹介。
つい先日の5/3に、世界的なミュージシャンとして知られる屋敷豪太さんのYouTubeに投稿された1本の動画が、音楽・テクノロジーに関わるクリエイティブ業界の人たちの間で話題になっています。概略としては、ミュージシャンである屋敷さんが「AIの力を借りて、開発が難しいとされる音楽用のプラグインソフトを作ってみたらできちゃった」という内容です。具体的にどのようにAIを使ったか…についてはこれからのようですが、たいへん楽しみです。
屋敷さんはプロとしてドラム、ギターなどを演奏されるほか、リズムマシンのオペレーション、トラックメイカーとしても活躍されていまして、参加しているSoul II SoulやSimply Redの音楽はわたしも若い頃に夢中になっていました。
1980年代は、リズムマシンがプロ・ミュージシャンの間で爆発的に普及を始めた頃で、「職業が奪われる!」と当時のドラマーたちは猛反発をしていました。一方で、演奏能力が高く評価されているドラマーの一部が、率先して「職業を奪う相手」としてのリズムマシンの仕事に取り組み、新しいツールを使いこなせず反発を繰り返すドラマーを尻目に、マシンの仕事も、人間としてのドラマーとしての仕事も両方を得るようになった…というのは、音楽業界では有名な逸話です。日本人としてそのど真ん中で活躍されていたおひとりが屋敷さんです。
その屋敷さんが2026年のいま、再び、最新テクノロジーであるAIを「敵」とみなさず、むしろ華麗に使いこなしながらソフトウエア開発にまで着手した…というのは、リズムマシン普及当時のエピソードを知る世代には、いわゆる「ムネアツ展開」というわけです。
身体能力と感覚を研ぎ澄ませているプロの演奏家は、人間の可能性と限界を知り尽くしています。そして、毎日のように演奏・制作するからこそ、道具の良し悪しや得手不得手にも並々ならぬこだわりをもっています。自らが生み出したい新しい響きのために「新しい道具」から作っていく行為は、いわば「サウンドデザイン」の一領域です。
「完成品としてのコンテンツを生み出す」という側面だけをみていれば、AIはクリエイターにとって脅威かもしれません。ひるがえって「かゆいところに手が届く便利なコダワリの道具を作る」という側面からみれば、AIはディジタル・クリエイターにとって心強いパートナーにみえてきます。
新しい表現は新しい道具から
そんな想いを再確認したトピックでした。
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