インタラクション

Global Game Jam 2011 東京工科大学会場(「ゲーム開発の民主化」が加速した日)その2

2020年6月27日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

先日の記事で,10年前にUnity教育をスタートさせた記事「Global Game Jam 2011」の東京工科大学会場について言及しました.
今回はその続きをお話しします.

確かに,本来ならゲーム開発会社の企業秘密でもあったゲームエンジンが,Unityによって汎用化,高度化したことで,誰もが共通の開発環境を得ることができるようになりました.しかし,その意義は単に開発ツールが基本無料で使用できるというところにとどまりませんでした.

そのメリットが大きく出たのがGlobal Game Jamでした.Global Game Jamでは,開発会場に集まったプロフェッショナルから,アマチュア,学生までありとあらゆる開発者が混成チームを結成します.その際に,同じツールが使えるということは実に大きなメリットになります.

ただでさえ,初めて顔を合わせたメンバーが,利用するツールもバラバラではなかなか開発は進みません.ツールが同一になるということは開発がスムーズになると同時にプロからアマチュア,学生への技術の継承の場になる可能性も示唆されました.

実際にGlobal Game Jam 2011東京工科大学会場には,名だたるプロが参加しており,彼らがアマチュアや学生たちと同じツールを使いながら,様々な技術を共有して開発を進める姿がありました.(のちにユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの日本担当ディレクターとなる大前広樹氏も参加していました)

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プロと同じツールを,アマチュアも学生も利用ができる.そしてその技術の蓄積がWebなどを通じてオープンになるという環境が構築され,ゲーム開発に興味を持つ人や,開発環境を整備しようとするものにとって,魅力的な状態ができました.

これにより,作りたいと思った人が,すぐに作り始められるという環境になり「ゲーム開発の民主化」というような言葉が広まるようになっていきました.

文責:三上浩司

 

2020年6月27日 (土)

Global Game Jam 2011 東京工科大学会場(「ゲーム開発の民主化」が加速した日)その1

2020年6月23日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

先日の記事で,10年前にUnity教育をスタートさせた記事を書いたのですが,そのゲームエンジンUnityも絡んでゲーム業界が変革を起こす大きなきっかけとなるイベントがありました.それが,「Global Game Jam 2011」の東京工科大学会場でした.

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Global Game Jam 2011参加者の集合写真



Global Game Jamは2009年(準備は2008年から)に始まった,ゲーム開発イベントで,48時間という限られた時間の中でテーマに沿ったゲームを開発するという,とってもクレイジーな企画でした.当時はコンソールゲーム開発が主流で,一つのゲームに数年かかるのが当たり前の中,環境構築も含めて48時間でゲームを完成させるという挑戦が,ギークな人たちの心に刺さりました.大規模ゲームの開発ばかりだとゲームの「部品」ばかりを作るので,もっと「ゲーム」を作りたいと思う気持ちが高まり,北欧からスタートしたイベントでした.

現在でも一部のハイエンドのゲームは,ゲーム開発会社が独自で構築した開発環境(ゲームエンジン)を利用してゲームを開発します.代表例ではスクウェア・エニックスのLuminous Studio,カプコンのREエンジン,ワールドエンジン,コナミのFox Engine,セガのドラゴンエンジンなどがあります.2010年ごろは,国内の開発会社はほとんど内製のゲームエンジンを利用して開発していました.しかしこうした開発環境は各社の企業努力のたまもので,そのプロジェクトに参加していない人が簡単に利用できる代物ではありません.守秘義務の塊で,共同で開発する会社も細心の注意を支払って社内で利用します.ですので個人が容易にゲーム開発をするということは困難でした.

その現場で活躍したのが高機能な汎用ゲームエンジンとして海外で注目を集め始めたUnityでした.当時から個人での利用は無料でだれでも試せる環境であった上に,品質や自由度も高く,先日の記事で取り上げた通り,率先して本学でも取り上げたツールですが,Global Game Jamの会場には,のちにユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの日本担当ディレクターとなる大前広樹さんも参加しており,リーダーとしてチームを率いました.Unityを使って48時間で開発したとは思えない品質の作品を生み出し,脚光を浴びたのです.

 

P1040043会場の様子

しかしこれだけでは,「ゲーム開発の民主化」にはつながりませんよね.そこには様々な伏線が絡んでくるわけです.続きはまた次回.

文責:三上浩司

 

 

2020年6月23日 (火)

10年前のゲーム教育を振り返る【Unity道場スペシャル 虎の巻】

2020年6月22日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です

2020年6月20日に開催された「Unity道場スペシャル 虎の巻」というイベントにオンラインで登壇してきました.Unityは世界で最も普及しているゲームエンジン(ゲーム開発統合ツール)で本学でもプロジェクト演習や専門演習,講義科目などで広く利用されております.

東京工科大学メディア学部は,2010年にまだ日本語版もなく,日本の法人も立ち上がっていないころから,Unityを授業(メディア専門演習)に導入し,先進してゲーム開発教育に利用してきました.

今回の講演に当たり,当時Unityで開発した作品や授業資料などを探していて,作品の動画が見つかりました.

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作品の紹介動画はYoutubeにアップしてありますので是非見てください.https://youtu.be/QWPkMR5AXpY

 

当然ですが,巷に教科書などがあるわけもなければ日本語で解説しているWebページも乏しい時代でした.現在も演習講師を務める,中村陽介先生とともに,教科書を自作してでも採用しようということで,スタートしました.

ちょうど,東京工科大学では2010年度に文部科学省「産学連携による実践型人材育成事業  -専門人材の基盤的教育推進プログラム-」において 「ゲーム産業における実践的OJT/OFF-JT体感型教育プログラム」が採択されたタイミングで,専門学校と共同で学部の起業と一緒になりゲーム開発をするプロジェクトが動き始めました.そのため,普段は異なる開発環境でゲームを開発している大学や専門学校,さらにはプロとの交流の必要があり,汎用性の高いゲーム開発環境に対する需要もありました.

このように始まったUnityを使った授業なのですが,私の授業のポリシーでもある「自分に必要な技術を自ら習得できる学生」を生み出すことにのっとり,基本的な教材を用意して,後は自らが開発したいゲームに関する必要な情報が何かを明らかにして,探っていくスタイルをとりました.その結果,学生たちはしっかりと基本的な利用方法を理解し,そのうえで自分たちの企画を実現するために自ら学び,最終的になかなか魅力的な作品を生み出してくれました.

 

2010年,2011年はゲーム開発環境に大きな変革が起き始めたときであり,その一端に東京工科大学のこのプロジェクトとGlobal Game Jamがあります.Global Game Jam 2011のお話はまた,別の機会にしたいと思います.

分析:三上浩司

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2020年6月22日 (月)

遠隔でのゲーム開発グループワーク(プロジェクト演習)

2020年6月 6日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

授業が遠隔で再開されてから早くも2週間.皆さんもう慣れてきましたかね.

遠隔での授業再開と思って,卒業生の皆さんは「そういえばプロ演どうなったの?」って心配になる人いますよね.そのあたりをちょっとお知らせしておこうと思います.

まず,3年生のTGS向けのゲーム制作ですが,授業が再開する5月20日よりもだいぶ前の3月から,定期的に開発の進捗MTG(早い話が授業)は再開していて,本来なら大学に集まって作業する皆さんが遠隔で作業していた成果を確認していたのですが,「あれ,例年より進捗良くない?」みたいなことになりました.外に出かけることができない分,自宅で開発を進めたことが要因なのでしょうが,さすがメディア学部の学生だけあって,遠隔での意思の疎通のはかり方や,プロジェクトの進め方などいち早く適応できているなと感心しました.

その後も遠隔MTGや授業でのアドバイスを受けて,きちんと修正したり理論武装している姿を見て,自分で指導しておきながら「やるな!」と思わせていただきました.

ご存じの通り東京ゲームショウは幕張メッセでの開催を断念しております.遠隔での開催ということですがまだ詳細は明らかになっておりません.そんな情報を受けた最初の授業でもあまりモチベーションは下がらず,「オンラインが初めてならそこに向かって挑戦しよう!」という気概が生まれました.

現在は「Cluster」を使ったバーチャル展示や,Youtube Liveでの配信など様々なイベントを仕込んで展示しようと,開発だけでなく展示のsかけづくりも盛んになってきました.

今期はオープンキャンパスもバーチャル開催なので,例年通りバーチャルTGSの出展内容をオープンキャンパスでも順次テストして,頑張っている学生の様子を見ていただきつつ,直接いろんな話を聞いてもらえたらと思います.

また,1年生の演習の様子などもお知らせします.(1年生のほうがアナログ要素が多いので実はかなりアクロバティック・・・)

文責:三上浩司

 

2020年6月 6日 (土)

教授会を遠隔でやってみた

2020年4月 9日 (木) 投稿者: メディア技術コース

 大学の学部では毎月教授会という定例会議があります。4月の年度初めは専任教員全員が集まる教授総会を開催することになっています。
 
 COVID-19の影響で在宅勤務が推奨・要請されています。世の中の多くの会社員がやっている遠隔会議をメディア学部教員ができないのではシャレになりません。最近評判の「Zoomミーティング」で教授総会を実施してみました。
 
 遠隔で実施と決まったのが3日前にも関わらず、教員全員が事前にZoomのインストールや登録をしました(そんぐらい当然という声が聞こえてきそうですが)。Zoomホスト初心者のくせにセキュリティのため直前にURLを送ろうと欲張った私が周知に手間取り、出席者が揃ったのが定刻5分遅れと波乱の展開です。連係プレーの協力に助けられ何とか始めることができました。いつもの会議室だと定刻10分前に入る人はほとんどいません。オンラインだと結構早目の時間から何人も集まることは意外でした。
 
 結果として、いつもの教授総会とほとんど変わらない進行ができました。一番大きな理由は、音声の遅れがないことです。私は専門分野の関係で臨場感とかリアリティには詳しい方です。大画面とか画質とかよく言われます。しかし、双方向のやり取りということであれば、臨場感で決定的に重要なのは遅延のない音声だ、ということを痛感しました。
 
 Zoom Video Communicationsは、シスコでWeb会議システムを開発したメンバーが立ち上げた会社です(キーマンズネットの記事)。シスコはインターネットの中継器であるルーターの老舗最大手です。遅延を極力少なくする仕組みはさすがです(ここ数日はセキュリティ上の問題が世界的に取り上げられましたが、対応は早かったです)。
 
 さて、教授総会は何の違和感もなく閉会しました。広い会議室よりもメンバーが近くにいる印象がありました。発言ややり取りの感じもいつも通りかそれ以上に活発です。
 
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 リアルな会議だと終了後に雑談がつきものです。遠隔会議だと終了したら接続が切れるのでそれがないのは難点です。と思いきや、たまたま20分後に入ってみたら若手の先生方が接続したままでした。新任の助手の先生を囲んで雑談をしていました。
 
 今週は学部内の各種委員会やワーキンググループも全部遠隔で実施されているようです。私も学生との研究室ゼミや、他の先生との個別ミーティングをZoomで行いました。
 
 今月中にもう一度ある教授総会はまた遠隔での実施が確定です。その日には、新任教員の歓迎会も「Zoom飲み」で実施する予定です。
 
メディア学部 柿本正憲
 

2020年4月 9日 (木)

神様が博士になった日(遠藤雅伸さん博士号取得)

2020年4月 2日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

東京工科大学はコロナウィルスの影響もあり,卒業式の式典は中止で学位記を研究室ごとに授与するだけとなってしまいましたが,そこで歴史的な出来事がありましたので報告します.

そう,「神様が博士になったのです」.

神様とは,「ゲームの神様」と称される,遠藤雅伸さん.代表作「ゼビウス」や「ドルアーガ―の塔」など,我々の世代では誰もが一度は名前を聞いたことがある作品かと思います.中でも「ゼビウス」は現在ゲーム業界でも話題になる「メタAI」と呼ばれる技術をいち早く取り入れた作品で,最新の論文でも数多く引用されています.

そんな遠藤さんと知り合ったのは,2011年のCEDEC運営委員会に参加してからです.一緒に「ペラコン」を立ち上げていく中で,産業界の中で大変な実績を残された方でありながら,探求心や向学心も併せ持っていました.私のような若者にも気さくにいろいろなお話をしてくれました.欧米のゲーム研究者が自分の作品を間違った解釈していることに立腹されている姿が特に印象的でした.それなら自分のきちんと研究者になって,当時の開発者として,きちんとした理論などを科学的に明らかにしていきたいということで,学位取得を目指されました.

すでに東京工芸大学の教授に就任されており,実務家教員としては大変高いレベルにあった遠藤さんですが,2014年から本学大学院に進学したいと申し出がありました.実はこの裏に「Dの食卓」の飯野賢治さん(故人)が少し絡むのですが,それはまた別の機会に・・・.

当初は,産業界での実績もあるので博士課程からの入学の可能性もありましたが,研究手法をきちんと学びたいということで,修士課程に入学し,その後博士課程に進学しました.

私も社会人大学院生として,修士課程,博士課程に在籍したため,そのメリットと苦労を両方身をもって体験しております.そんな大変な状況の中,着々と研究実績を生まれていきました.中でも芸術科学会で出版されたジャーナル論文は,年度の優秀論文賞を受賞しました.また,ご自身が研究するだけでなく,東京工芸大学の遠藤研究室の学生たちの研究成果も興味深いものが多く,たくさんの若い研究者,開発者に私が刺激を受けることが多くなりました.

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2020年3月,論文誌論文2本(うち1本は出版待ち),著書1件,国際会議査読付き2件と,十分な実績とともに東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科,メディアサイエンス専攻にて「博士(工学)」を授与されました.

 

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人はいくつになっても研究できることと,産業界や現場で積み上げてきた実績を後世に再現可能な形で残すという,大変素晴らしい実例を示してくれました.

私は,海外の学生や社会人大学院生を広く受け入れるようにしています.それには,私の師匠であった金子滿先生(故人)が本学の大学院立ち上げの時に,モンキーパンチさん(故人),おおすみ正秋さんらのアニメ業界の巨匠たちを受け入れ,彼らの知見を最大限に生かしながら一緒に研究してきた姿が大きく影響しています.また,3月31日で定年退職された近藤邦雄先生の世界中に友達を作る精神も大きく影響していると思います.

私の関連するテーマで現在現場で活躍の皆様,もし,大学院進学などに興味があったらぜひお声掛けください.

 

2020年4月 2日 (木)

Global Game Jamから得るものは?

2020年2月23日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

2020年1月31日から2月2日にかけて開催されたGlobal Game Jam(GGJ).怒涛の週末が過ぎて参加者の皆さんは日常に帰っていきました.わずか48時間,足掛け3日の出来事なのですが,プロ・アマ・学生問わず,様々な人がいろいろなことに気付く貴重な時間になっています.

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もともとGGJがスタートした2008年ごろはコンソールゲーム(家庭用ゲーム)やPCゲームが主流で,大規模なゲームだと開発に3,4年かかることもあります.企画から完成まで同じプロジェクトにいられないこともあったり,仕事が細分化されてゲーム開発の全体像が見えにくいなどいろいろ課題がある時期でした.そこで,「もっとゲームを作る根本を楽しもう,週末だけでもはじけて,あの大好きなゲームを作ってみよう!」みたいな風潮のもと,不可能ともいえる48時間のなかでゲームを生み出すこのイベントがスタートしています.

東京工科大学は2010年1月からGGJの会場運営をスタートさせました.そして翌年の2011年にはUnityがGame Jameのシーンに君臨します.それまでは開発することそのものがチャレンジで,完成したら称賛されるというような状況でしたが,ゲームエンジンがその環境を変えます.

プロの現場でも利用できるレベルのツールを自由に会場に持ち込み,他の参加者と共通で使える.今では「ゲーム開発の民主化」などと言われるように,専用の開発会社だけが,独自の開発環境を駆使して開発できた時代から,誰でもが挑戦できる時代に変わったと言えます.

そして,それはスマートフォン向けゲームの隆盛と相まって,ゲーム開発が新たなフェイズを迎えることにつながっていったと言えると思います.

さて,GGJに参加した学生は,プロと同じ課題に取り組み自分の現時点の実力やプロとの違いに気付いたと思います.通用するところ通用しないところ,自分のいいところダメなところ.GGJの期間だけで成長するものではなく,そこで得た気付きをもとにこれからどのように学んでいくのか,自分を高めていくのかが大事だと思います.

何しろ,プロだって遊びに来ているわけではなく,GGJを通じていろいろなことを試したり,気付いたりしてまた成長していくのですから.

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文責:三上浩司

2020年2月23日 (日)

今年のテーマは「Repair」 Global Game Jam 2020

2020年2月 2日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

今年で12回目を迎える,全世界同時48時間ゲーム開発ハッカソンGlobal Game Jam.東京工科大学は2010年から会場を運営して今年で11回目を迎えます.

今年は65名の参加者が全9チームに分かれて開発をスタートさせました.今年のテーマは「Repair」です.

65名のうち20%の13名が海外出身の方でインターナショナルな会場になっております.また,40%の26名が社会人ということで例年にない国際化率と社会人率の会場になりました.

テーマの「Repair」は修繕する,修理する,訂正する,償う,賠償する,回復する などの意味をもつ英単語です.多くのチームは修繕,修復のような意味でとらえていましたが2チームほど「賠償」という意味を使っていました.

 

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開会式の様子

 

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会場の様子

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企画会議の様子

 

 Global Game Jam開催にあたっては様々な企業からの支援を受けております.48時間ゲームを開発し続けるために必要な開発のお供を用意するための資金として活用させていただいております.


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2020年2月 2日 (日)

情報処理学会DCC研究会にて大学院生2名が発表

2019年11月10日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

今回は三上・兼松研究室の大学院生の学会発表について紹介します.

11月7日(木)~8日(金)に九州工業大学にて開催された情報処理学会デジタルコンテンツクリエーション研究会において,大学院生の沼崎優介君と菅沼辰也君がそれぞれ発表を行いました.

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研究の詳しい内容はこれからの発展もあるのでここでは詳しくは書けませんが,沼崎君は「ライド型VRコンテンツにおける呈示映像の傾きの増幅と減衰による体験者の認知に関する研究 」と題して,VRコンテンツ体験時のプレイヤの実際の態勢を画面上では誇張したり省略したりして表示し,その変化に気付くかどうかについて研究をしました.

菅沼君は「VR型FPSゲームにおける視線と視野角に応じた敵AIの動的調整に関する研究 」と題して,FPSゲームのプレイ中のプレイヤーの視線を頼りに視野角に応じて敵のAIを調整して,難易度を変化させる研究を発表しました.

会場からは大変多くの貴重な意見や指摘があり,今後の発展に大変有意義でした.

写真は発表中の菅沼君と発表を終えたリラックスモードの沼崎君です.

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文責:三上浩司

2019年11月10日 (日)

大学院博士課程の遠藤雅伸さんが芸術科学会論文賞を受賞

2019年11月 9日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

本学大学院博士課程の遠藤雅伸さんが執筆し,厳正な査読の結果,芸術科学会論文誌第17巻3号に採録された論文「フローゾーンを超えた動的難易度調整~イリンクスを楽しむDynamic Pressure Cycle Control手法~」が,数ある論文の中から選出される「学会誌論文賞」を受賞しました.


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ゲーム業界の特にゲームデザイン分野のレジェンドとして知られる遠藤さん.「ゼビウス」,「ドルアーガの塔」などを産み出した遠藤さんが教員,研究者として大学で活動するにあたり,アカデミックな考えをきっちり身に付けたいと,東京工科大学の大学院に進学し,私の研究室で様々な研究に取り組みました.修士課程,博士課程で大変興味深い研究成果を発表し,また勤務先である東京工芸大学の学生たちも大変魅力的な研究発表を,情報処理学会,芸術科学会,日本デジタルゲーム学会などで発表しています.

今回の研究では難易度調整に着目しました.

デジタルゲームにおいて,難易度は面白さの重要な要素です.難易度がプレイヤーのスキルとつりあった状態(いわゆる「フローゾーンの範囲」)に設定されていれば,プレイヤーはゲームを楽しみ上達していくことができます.
そのために,近年ゲームでも取り入れられている,プレイ中のプレイヤーの状況により,難易度を調整する「動的難易度調整(DDA:Dynamic Difficulty Adjustment)」があります.
しかしプレイヤーは,ゲームの最中に難易度が調整されていることに気付くと不快に感じることが示唆されています.

この研究で遠藤さんは,難易度が適正な範囲を超えてもプレイヤーが楽しいと感じる,動的緊張感周期制御(DPCC: Dynamic Pressure Cycle Control)という新しいゲームデザインコンセプトを考案しました.これは周期的に難易度を極端に変更し,フローゾーンを超えて難易度を乱高下させる方法です.

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この手法を DDA と組み合わせて「テトリス」に実装し,プレイテストによって検証実験を行ったところ,結果は提案手法が新たな面白さの要素をゲームに加えたことを示していました.
また,ゲーム中の意図的な難易度変化に気付いたとしても,不快とは感じないユーザーが存在することからゲームデザインが存在することを示唆した.
ぜひ興味がある人は論文をチェックしてみてください.

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文責:三上浩司

2019年11月 9日 (土)

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