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メディア学部とサクラ:サクラがインターネットにデビュー

2023年1月31日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

大寒波が猛威を振るっていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

前回に説明させていただいたように、寒波の後には春がやってきます。春と言ったら桜、桜と言ったら入学式ですが、メディア学部にとって桜(サクラ)とはどのような位置付けにあるでしょうか?画像メディアのひとつとしての桜、映像メディアのひとつとしての桜の散る映像、といったものでしょうか?あとひとつは江戸時代から続く、芝居小屋のサクラというお客を誘導する面白い仕組みでした。

通りすがりの人が賑わっている芝居小屋をみると「何か面白い芝居をやっているのかな?」と思わせるため、知り合いや常連客を誘って、お金を払わず芝居小屋に来てもらい、賑やかしな何人かの人と彼らによる掛け声と芝居小屋を出て「この芝居はとっても面白かったねー」とか話題あるいは口コミを投げかけてもらうことなどをお願いし、芝居小屋が実際の有料入場者以上に賑わって、その賑わいが気になる通行人が「どんな面白い芝居なのだろうか」と興味を持ち芝居小屋にお金を支払って入店するということにつなげてきました。

前述のように長い時間ではないですが、似たような心理的に訴求する仕組みとして「サブリミナル効果」という見ている人が感知できない映像メディアの表現法による心理効果があります。つまりサクラが映像メディアに進出してきました。Wikipediaによると

サブリミナル効果(サブリミナルこうか)とは、意識と潜在意識の境界領域より下に刺激を与えることで表れるとされている効果のことを言い、視覚、聴覚、触覚の3つのサブリミナルがあるとされる。閾下知覚とも呼ばれる。サブリミナルとは「潜在意識の」という意味の言葉である。境界領域下の刺激はサブリミナル刺激(Subliminal stimuli)もしくはサブリミナル・メッセージ(subliminal messages)と呼ばれている。

https://www.nikkei-science.com/201402_056.html

とあり、本人の意図あるいは心理を外部からコントロールする仕組みの悪影響を考え、現在では、映画でもテレビ放送でも「視聴者が感知できない映像表現はアンフェアである」としてほとんどの場合サブリミナル効果を使用した映像表現が禁止されています。

そして、今度は芝居小屋のサクラが映像メディアだけでなく、ついにインターネットにも進出きています。インターネットには「賑わい」も「口コミ」も存在するので、とても親和性が高そうです。ステルスマーケティングと呼ばれるこの手法はWikipediaでは以下のように説明されています。

ステルスマーケティング(英: Stealth Marketing)とは、消費者に広告と明記せずに隠して、非営利の好評価の口コミと装うなどすることで、消費者を欺いてバンドワゴン効果・ウィンザー効果を狙う犯罪行為。「ステマ」の略語で知られる。やらせやサクラなどもこの一例に分類される。映画などの映像の中に目視では認識できない短時間の画像などを挿入して脳内に刷り込む宣伝方法で、ステルス機のように相手に気づかれずに宣伝する手法が語源とされる。

英語圏ではアンダーカバー・マーケティング(英: Undercover Marketing)と呼ばれるゲリラ・マーケティングの1つ。日本では明確には違法になっていないグレーゾーンな行為のため、芸能人やインフルエンサーによるペニーオークション詐欺事件以降にステマの存在が認知された後も、まとめサイトなどウェブサイトやSNSにおけるステルスマーケティングが、後を絶たない。欧州連合やアメリカ合衆国では、広告表記のない宣伝行為は『消費者に対する不公正な欺瞞に当たる行為』として、明確に法律で禁止されている。

という風に、グルメサイトでもショッピングサイトでも豊富な「口コミ」により「賑わい」が創出されているため、そこにマーケティングの要素を取り入れて、宣伝効果を高める手法としてステルスマーケティングが使用されています。事実と異なる現状を演出されていることの是非はかなり議論されているので、すでに法律で禁止されている国もあります。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221227/k10013935901000.html

続く


 

 

2023年1月31日 (火)

デジタルトランスフォーメーション-7

2022年10月30日 (日) 投稿者: メディア社会コース

メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。では,企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するためには,どのような事柄を実行していけばよいのでしょうか?日本経済新聞(2019),デジタル変革に不可欠な6要素として,変革への意欲,変化に強い現代的な基幹系システム,組織と人,経営層の覚悟,ITパートナー,国の支援をあげています。IDC Japan(2017),内部エコシステム (組織,文化,従業員)の変革を牽引しながら,3のプラットフォーム(クラウド,モビリティ,ビッグデータ/アナリティクス,ソーシャル技術)を利用することが重要だと述べています。

これらをまとめると,企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するためには,()理念(デジタルパーパスとデジタルビジョン)()人材()組織()戦略()ITシステム を変革していく必要があることがわかります。これにより,デジタル時代にふさわしい価値創造の仕組みを作ることができ,価値を可視化することで新しいサービスや製品を市場に提供可能となるでしょう。

<参考・引用文献>

日本経済新聞(2019)「デジタル変革に不可欠な6要素」2019319

IDC Japan (2017)「Japan IT Market 2018 Top 10 Predictions: デジタルネイティブ企業への変革 - DX エコノミーに

おいてイノベーションを飛躍的に拡大せよ」IDC Japan報道発表資料,2017 12 14

2022年10月30日 (日)

デジタルトランスフォーメーション-6

2022年10月29日 (土) 投稿者: メディア社会コース

 メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。現実の企業においては,どのようなジタルトランスフォーメーションを実行しようとしても,様々な障害が生まれ,実行は困難だと,あきらめたりひるんだりする場合もあります。とはいえ,デジタルトランスフォーメーションは起こるかどうかではなく,いつ,どのようにして起こるかという問題です。つまり,企業にとっては,行うべきかどうかという問題ではなく,いつ,どのように行うかという問題になっています(ウェイル他,2018)。デジタルトランスフォーメーションの実行については,選択の余地はなく,実行しなくては今後,企業は生き残ることはできないでしょう。そのくらいの重要なミッションということができます。

<参考・引用文献>

ピーター・ウェイル,ステファニー・L・ウォーナー,野村総合研究所システムコンサルティング事業本部訳(2018)『デジ

タル・ビジネスモデル 次世代企業になるための6つの問い』日本経済新聞出版社,p.14

2022年10月29日 (土)

デジタルトランスフォーメーション-5

2022年10月28日 (金) 投稿者: メディア社会コース

 メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。デジタルトランスフォーメーションを企業で進める場合、すべてを同時に実行することはむずかしいので,企業が着目するポイントによって,いくつかの類型がデジタルトランスフォーメーションにはあります。市川(2021),デジタルトランスフォーメーション(DX)を以下の3つに分類しています。

  • 新サービス・市場創出型DX(ビジネスモデル改革型):デジタル技術を利用して,新たな製品・サービスを提供して顧客への付加価値・市場を創出すべく新たなビジネスモデルを構築するDX
  • 事業プロセス改革型DX(ビジネストランスフォーメーション型):新たなデジタル技術を利用して,既存の社内外の事業プロセス全体の改革・効率化を行うパターンのDX
  • 組織・業務改革型DX(フューチャーオブワーク型):デジタル技術を利用して,組織の働き方や業務のプロセスの改革を行うパターンのDX

<参考・引用文献>

市川類 (2021)「イノベーション論からみたデジタルトランスフォーメーション (DX)

No. 21-02. Institute of Innovation Research, Hitotsubashi University

2022年10月28日 (金)

デジタルトランスフォーメーション-4

2022年10月27日 (木) 投稿者: メディア社会コース

 メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。日本でよく利用されているデジタルトランスフォーメーションの定義には,IDC Japan(2017)によるものがあります。IDC Japan(2017),デジタルトランスフォーメーションを,「企業が外部エコシステム(顧客,市場)の破壊的な変化に対応しつつ,内部エコシステム (組織,文化,従業員)の変革を牽引しながら,3のプラットフォーム(クラウド,モビリティ,ビッグデータ/アナリティクス,ソーシャル技術)を利用して,新しい製品やサービス,新しいビジネス・モデルを通して,ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し,競争上の優位性を確立すること」と定義しています。この定義は,経済産業省(2018a,b)によるDXレポートでも引用され,ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションの定義として広く用いられることになりました。

 一方,ウェイド他(2019),デジタルトランスフォーメーションを,「デジタル技術とデジタル・ビジネスモデルを用いて組織を変化させ,業績を改善すること」と定義しています。

 このIDC Japan(2017)やウェイド他(2019)の定義から,デジタルトランスフォーメーションとは,単に企業内の局所的なデジタル化ではなく,全社のビジネスモデルを変革する,非常に大きな取り組みであることがわかります。

<参考・引用文献>

IDC Japan (2017)「Japan IT Market 2018 Top 10 Predictions: デジタルネイティブ企業への変革 - DX エコノミーに

おいてイノベーションを飛躍的に拡大せよ」IDC Japan報道発表資料,2017 12 14

経済産業省(2018a)DXレポート~ITシステム2025年の崖の克服とDXの本格的な展開~」201897

URL:http://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010.html

経済産業省(2018b)DX推進ガイドライン」201812

URL:https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004.html

マイケル・ウェイド,ジェフ・ルークス,ジェイムズ・マコーレー,アンディ・ノロニャ,ジョエル・バービア,根来龍之監訳,

武藤陽生・デジタルビジネス・イノベーションセンター訳(2019)DX実行戦略 デジタルで稼ぐ組織を作る』

日本経済新聞出版,p.17,p.103,p.35,p.159

2022年10月27日 (木)

デジタルトランスフォーメーション-3

2022年10月26日 (水) 投稿者: メディア社会コース

メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。昨日ご紹介したストルターマンは2022年になりDXの新しい定義を発表しています(Stolterman,2022)。新しい定義において企業などのプライベートセクターのDXの定義としては,「デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業がビジネスの目標やビジョンの達成にむけて、その価値、製品、サービスの提供の仕組を変革することである。DXは顧客により高い価値を提供することを通じて、企業全体の価値を向上させることも可能にする。DXは戦略、組織行動、組織構造、組織文化、教育、ガバナンス、手順など、組織のあらゆる要素を変革し、デジタル技術の活用に基づく最適なエコシステムを構築することが必要である。DXは、トップマネジメントが主導し、リードしながら、全従業員が変革に参加することが必要である。」としています(株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所,2022)。

<参考・引用文献>

Stolterman,Erik.(2022)“A new definition of Digital Transformation together with the Digital Transformation Lab, Ltd. ”

URL:https://www.stoltermanbergqvist.com/post/a-new-definition-of-digital-transformation-together-with-the-digital-transformation-lab-ltd

株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所(2022)DX定義の改訂」

URL: https://www.dxlab.jp/new-dx?fbclid=IwAR2vTG2IUGZFxQfQXFhzUVNZ76IdYLl6uCIUrWGANslQXXdwlrpQihnfigg

2022年10月26日 (水)

デジタルトランスフォーメーション-2

2022年10月25日 (火) 投稿者: メディア社会コース

メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。企業がデジタル化することについて「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という用語がよく使われます。では,このデジタルトランスフォーメーションとはどんな意味でしょうか。定義は非常にたくさんあるので,それらを紹介することからはじめます。

デジタルトランスフォーメーションという言葉を最初に使ったのは,ストルターマンであるといわれています。ストルターマンらは,デジタルトランスフォーメーションを,「人間の生活のさまざまな面において,デジタル技術が引き起こし,影響する変化」と定義しています(Stolterman and Croon Fors,2004)。この定義は,デジタルトランスフォーメーションを企業のデジタル戦略の一形態としてではなく,社会のデジタル化の視点で定義したものだということができます(市川,2021)

<参考・引用文献>

Stolterman,Erik., Croon Fors., Anna.(2004)“Information Technology and The Good Life”, Umea University,

Information Systems Research Relevant Theory and Informed Practice, IFIP TC8/WG2 2004

市川類 (2021)「イノベーション論からみたデジタルトランスフォーメーション (DX)

No. 21-02. Institute of Innovation Research, Hitotsubashi University

2022年10月25日 (火)

デジタルトランスフォーメーション-1

2022年10月24日 (月) 投稿者: メディア社会コース

メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。デジタル技術の進化と社会のデジタル化は,企業に変革を迫っています。デジタル技術を基盤とした企業(デジタル企業)の時価総額が増加していることもデジタル化への関心を高めています(今井,2020)。また,2020年からの世界的にコロナ禍は予想外のかたちで,デジタル化の推進力になりました。この時期に,マイクロソフトCEOのナデラは,2年分に相当するデジタル変革が2カ月で起こるのを見た」と述べています(マイナビニュース,2020)

では,そもそも企業がデジタル化するとは,いったい,どんなことでしょう?そして,それを起こしたいと思った場合,まず,何から考えればよいのでしょう?今週は,そうしたことについて,考えていきます。

<参考・引用文献>

今井紀夫(2020)「デジタルトランスフォーメーションとその背景の理解」マーケティングジャーナル, 40(2), pp.65-73.

マイナビニュース(2020)「米Microsoft,2桁の増収増益,2年分のデジタル変革が2カ月で起きた」2020430

  URL:https://news.mynavi.jp/article/20200430-1026535/

2022年10月24日 (月)

最先端のARやVRの制作の前に②エイゼンシュテインのモンタージュ理論

2022年10月18日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

最近、プロジェクションマッピングやAR・VRの活用において多数のCG映像作品を見ることが増えてきました。そこで今回はその際に役に立つ映像テクニックあるいは心理学的効果として、前回のクレショフ効果につづき、最も有名なモンタージュについて紹介します。

モンタージュとは、日本の警察が犯人捜しで、目撃者がモンタージュ写真を選んでいくシーンがあまりに有名ですが、映画の世界ではちょっと意味合いが違います。今回はその中でもエンゼンシュテインのモンタージュ理論についての話題です。

Wikipediaによると
モンタージュ(montage)は、映画用語で、視点の異なる複数のカットを組み合わせて用いる技法のこと。元々はフランス語で「(機械の)組み立て」という意味。映像編集の基礎であるため、編集と同義で使われることも多い。

フィルムのつなぎ合わせが独自の意味をもたらすことは、映画の創成期から知られていた。たとえば米国エジソン社の『メアリー女王の処刑 (The Execution of Mary Stuart) 』(1895)では、撮影途中でわざとカメラを停止する「中止め」を用いて、首がギロチンで落ちるショッキングな演出を行った。また、映画の魔術師と呼ばれるメリエスは、編集によってさまざまな映像的トリックを試みただけでなく、『月世界旅行(Le voyage dans la Lune)』(1902)の最後のシーンでは「コマ撮り」のアニメーションを実現している。

この後のモンタージュ技法は、純丘曜彰によれば、大きく2つの方向へ分岐するとされる。一方はソ連の映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインに代表されるエイゼンシュテイン・モンタージュであり、他方は米国の映画監督D・W・グリフィスに代表されるグリフィス・モンタージュである。

エイゼンシュテイン・モンタージュは、当時流行し始めたソシュールの構造主義の影響を受け、台本の言語的要素を映像に置き換えて編集していく手法であり、エイゼンシュテインの映画『戦艦ポチョムキン(1925年)』の「オデッサの階段」がその典型とされる。

Potemkinstairs

この現在ウクライナにあるオデッサ(オデーサ)の階段は、当時ソビエト連邦にはポチョムキンの階段と呼ばれ、今でも戦争中な場所で今現在このままであるかどうかはわかりません。

この映画史上最も有名なポチョムキンの階段シーン(オデッサの階段、1925Movie, Russia)についてのさらに詳しくした解説が以下になります。
https://kokai.jp/escalera-de-odesa/
ウクライナのオデーサ(オデッサ)にある長さ142mの「ポチョムキンの階段」を舞台とした、世界の映画史上最も有名な6分間シーンです。ソビエト連邦の映画監督セルゲイ・エイゼンシュテイン(ロシア語:Серге́й Миха́йлович Эйзенште́йн Sergéj Michájlovič Ėjzenštéjn, Sergei Mikhailovich Eisenstein)により、1925年に製作・公開された名作映画「戦艦ポチョムキン」のオデーサ市民に対する虐殺シーンです。エイゼンシュテイン監督は映画「戦艦ポチョムキン」で、有名な映像編集の基礎「モンタージュ理論」を確立させています。

モンタージュ理論を確立できたのは、セルゲイ・エイゼンシュテイン氏が一時期、日本人教師に漢字を習っていたからだという説があります。漢字という象形文字の持つ抽象的な概念をデザイン描写的に表現しているという基本コンセプトから、「身」と「美」で「躾」とか「口」と「鳥」で「鳴」になる等、全く別の意味になるという事に興味を持ち、このコンセプトを基にモンタージュ理論を確立したということです。

エイゼンシュテイン、プドフキン、グリゴーリ・アレクサンドロフの共同署名による「トーキー映画の未来(計画書)」(「トーキー宣言」)に、「モンタージュ」についてこう書かれています。

現代の映画は視覚的映像を操作することで、人間に強力に働きかける。当然ながら、その力はさまざまな芸術のなかでも首位の座を占めるものの一つである。映画にこのような強力な働きかけの力をあたえている基本的で唯一の手段は、明らかにモンタージュである。

モンタージュこそ働きかけの主要な手段であるという主張は、疑問の余地のない公理となっており、世界映画文化の磁石となっている。ソヴィエト映画が世界のスクリーンで収めた成功のほとんどは、ソヴィエト映画がはじめて発見し、確立した数多くのモンタージュ手法によるものである。だから、映画をより一層発展させる重要な要素は、観客に働きかけるモンタージュ手法を強化し、拡大することだけである。
山田和夫「エイゼンシュテイン」より


ここでの気づきで象形文字である「身」と「美」からそれぞれの意味を融合したり統合したり超越した意味である「躾」(しつけ)が出来上がることろが興味深いです。「口」と「鳥」で「鳴」となるのも興味深いですね。そして日本にはこのかな混じり漢字を使った俳句や短歌があります。これについても次回以降に紹介したいと思います。

さらにこのように映像のカットを巧妙に組み合わせることで極めて強い印象を視聴者に与えることができる、ということも興味深いです。そしてこのエンゼンシュテインのモンタージュ理論は時代の別の違った利用法をされていきます。これについても次回以降に!


2022年10月18日 (火)

最先端のARやVRの制作の前に①クレショフ効果

2022年10月17日 (月) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

最近、プロジェクションマッピングやAR・VRの活用において多数のCG映像作品を見ることが増えてきました。そこで今回はその際に役に立つ映像テクニックあるいは心理学的効果として有名なクレショフ効果について紹介します。

Wikipediaによると、
「クレショフ効果」とは、映像群がモンタージュされ、映像の前後が変化することによって生じる意味や解釈の変化のことをいう。一般に映像の意味や解釈は、ほかの映像とのつながりのなかで相対的に決定されていく。本効果は、映画的な説話論の基礎である。

実験として、本効果のもつ意味論的伝染を強調するために、レフ・クレショフは、科学的経験(認知心理学)を開発した。クレショフは、ロシアの俳優イワン・モジューヒンのクローズアップのカットを選び、とくに無表情のものを選んだ。モジューヒンのカットを3つ用意し、3つの異なる映像を前に置いた。

第1のモンタージュでは、モジューヒンのカットの前に、スープ皿のクローズアップを置いた。 第2のモンタージュでは、スープ皿のかわりに、棺の中の遺体を置いた。 第3のモンタージュでは、棺の中の遺体のかわりに、ソファに横たわる女性を置いた。それぞれのシーケンスを見た後で、俳優(モジューヒン)があらわす感情を観客は述べなければならなかった。その結果、観客は、第1では空腹を感じ、第2では悲しみを感じ、第3では欲望を感じたと答えたのである。

とあります。実写映像出身者はこのクレショフ効果をきちんと学修していて、このをクレショフ効果をしっかりと活かしたカット割りを制作に取り入れています。端的に伝えたい意図を明確に鑑賞者に与えることができ、ナレーション不要です。これは言語不要とも言い換えることができます。つまり世界に通じる映像制作手法であると言えます。

このクレショフ効果を活かした作品制作は万能なので、知っているとより効果的な映像作品を制作できますね。

2022年10月17日 (月)

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