新年あけましておめでとうございます。
昨年は非常事態とも言ってよい状況で、学部の前期の講義・演習はすべて遠隔による実施となりました。授業開始がひと月以上遅れ、本来14週のところ12週の授業を余儀なくされました。
3月下旬から5月中旬にかけ、キャンパスへの入構が大きく制限された状態で特別な準備を行いました。新入生へのノートPC送付と設定は特に入念な段取りが必要でした。
各教員は遠隔授業のための準備に追われました(今も追われています)。遠隔授業によって一人の学生も置き去りにされることのないよう細心の注意を払いました。学修効果が損ねられることがないように、ほとんどの科目で普段よりも入念な授業準備を行いました。
結果的に前期については、全般的に普段の学期よりも学修効果は高まりました。出席率も明らかに上がりました。通学距離の長い学生からは時間の節約によってしっかりと学ぶことができたという声が多く聞かれました。
一方で、学生は普段よりも多くの時間を課題学修に充てる必要があり負担が大きくなりました。定期試験の中止により前期は各科目でいつもより多くの課題が出されたためです。
1年生は入学後夏休みまで一度もキャンパスに来ないという結果になりました。遠隔でしか話していなかった友人と直接会うために後期開始直前に対面の全体ガイダンスと個別フレッシャーズゼミ(FS)を開催しました。後期FSの授業は原則対面でという形態にしています。
後期は全学方針として対面授業をある程度確保するとしています。メディア学部でも一部の演習や講義は対面授業になりましたが、遠隔からの出席もできるようハイブリッド授業が原則です。
教員も学生も大変な思いはしましたが、困難を乗り越えることで成長したり新しい可能性を発見をしたりできました。遠隔授業を余儀なくされ本気で取り組んだことで教授法の新しい手段を確実に得ることができたのです。
今年の4月、年度が改まってからは遠隔授業を交えながら対面授業中心にシフトする予定です(大人数講義は遠隔です。中人数以下のうち対面授業は、広い教室で3密を回避し全員マスク着用で、2020年度後期と同じく感染対策は万全にします)。
知識を伝達するだけであれば遠隔授業でこと足りるし、工夫の仕方次第で理論的には大部分の学修成果は達成できるでしょう。大学で学んで能力を身につけること、その能力を正しく生かす人格を形成することももちろん最重要です。しかし、大学の持つもう一つの最も大きな意義は、学生が集う『場』の提供です。対面中心という方針の根底にはその意義の重要性の認識があると思います。
卒業して何年も何十年も経って大学時代を思い出すとき、まず一番目に自分の過ごしたキャンパスの風景が目に浮かびます。二番目にその物理的な場を共にした人々の懐かしい姿が浮かびます。そしてよくよく考えてみると三番目にいろいろ学んだなということがようやくわかってきます。これは私個人の感覚ですが、多くの社会人は同じ感覚を持っているように思います。
理屈上、大学はその三番目に思い浮かぶものを提供するのが使命です。ただ、一番先に浮かぶものは理屈はともあれ本能的に軽視してはいけないと感じます。
今年は昨年以上に、各教員と一緒にいろいろと悩みながら、より良い大学、学部を模索していくことになりそうです。
本年もメディア学部をよろしくお願い申し上げます。
メディア学部 柿本 正憲