在学生向け

応用例の暗記は危険

2021年7月18日 (日) 投稿者: メディア技術コース

 メディア学部の教員の中で私自身は技術寄りです。CG技術をずっと研究し応用ソフトを開発してきたプログラマー出身です。そのため技術の原理を紹介して説明するような講義をすることが多いです。「CG数理の基礎」や「3次元コンピュータグラフィックス論」といった講義を担当しています。
 
 手法を説明した際に、応用例が何かを学生から質問されることがあります。技術者の立場でわかる範囲で回答しますが、これが拡大解釈されて「○○法は□□の場面で使われる」というパターンで暗記する人がいることにときどき気づきます。それでよい場合もありますが、そのようなパターン暗記に頼ることは一般には危険です。
 
 暗記してしまうと、いつしか「□□の場面では必ず○○法を使う」という憶え方になってしまいます。これら2つの文言は似ていても意味が違うことは明らかです。そして後者では実践の際に間違う可能性があります。やってみたけどうまく行かずやり直しで時間が無駄にかかったりします。
 
 料理の例で考えてみましょう。
 
 「フライパンで炒め物をするときは油をひく」を暗記してしまうと、脂肪たっぷりの豚バラ肉を炒めるときにも油を使ってしまい、ベタベタのしつこい料理になってしまいます。
 
 油をひく主な理由は、食材が熱い金属にくっついて焦げ付くのを防ぐことです。その原理を知っていれば豚バラ炒めでは油は不要かごく少量という正しい対応ができます。金属を覆いよく滑る素材で表面加工したフライパンなら、多くの食材で油不要という判断もできます。
 
 講義の話に戻ります。
 
 私の講義は多くの技術的手法を紹介しますので、なるべく理解を定着しやすいように条件反射的な憶え方で説明することもたまにあります。でも上記のような間違いを起こしにくい場合に限定しています。「『垂直』と来たら『内積ゼロ』」はよくやる説明です。これは暗記してよいパターンです。
 
 あと、数少ない条件反射パターン例は「フォトンマッピング法」と来たら「集光模様(コースティック)」というやつです。正確にはフォトンマッピングの上位概念である「大域照明(間接光による相互反射も計算する手法。グローバルイルミネーション)」なら集光模様は可能でそういう説明もしますが、メディア学部の学生にとってはこの条件反射パターンで大きく間違うことはないです。図はフォトンマッピング法で描画した集光模様の例(右下の透明球の下の床に集まった光)です。3年次の学生のプログラムです。
 
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 例外の方ばかり示しましたが、逆にいうと、これ以外の場合での条件反射パターンは危険だと思っています。ですので私の講義の範囲では、「内積ゼロ」と「集光模様」以外ではこの手はほとんど使いません。
 
 技術の手法やアルゴリズムは、そもそもの目的や原理をしっかり押さえておくことが大事です。使い分けや応用例を暗記しておかなくても、原理がわかっていれば実践の場面で適切な手法を使うことができます。もちろんある程度実践を通じた活用経験があるのは望ましいですが。
 
 実践の場面で「あれが使えるのでは」というのを引き出すノウハウは難しいのですが、少し感覚的な説明をします。原理の理解が深ければ、そして「なるほど」という納得の喜びがあれば、脳内にその手法の抽象イメージが定着します。ある実践場面に直面したときその場面の目標の抽象イメージが似ていれば、適切な手法が引き出せます。
 
 具体例を暗記するよりも、抽象イメージを脳内に定着させましょう。特に問題解決のできる技術者を指向する人は。
 
メディア学部 柿本正憲

2021年7月18日 (日)

プロジェクト演習「IoTプロトタイピング演習」の紹介

2021年7月12日 (月) 投稿者: メディア技術コース

皆さんこんにちは。メディア学部の寺澤です。

今日は私と演習講師の瀬高昌弘先生が担当しているプロジェクト演習「IoTプロトタイピング演習」の紹介をしたいと思います。このテーマでは今学期はプロジェクト演習I/III/Vの履修者が一緒に受講しています。初めて受講する1年生もすでに以前の学期で受講している上級生もいますが、少人数なので、それぞれのレベルに応じた課題設定を行い演習を行っています。

今学期は4月に対面で授業をスタートしましたが、5月の連休前の最後の授業で機材や部品等を持ち帰ってもらい、連休後からオンラインに切り替えました。6月末の対面授業再開後も受講者の希望も確認してオンランを継続しています。今回は履修者の3年生の野際君が取り組んでいる課題について紹介します。これは各自が定める最終課題に向けた練習的な位置づけのもので、6月23日に発表会を行いました。

野際君が取り組んだのはAWS(Amazon Web Services)に用意されているいくつかのサービスを利用して、カメラ画像の中から人物を認識するというものです。AWSの教育機関向けのプログラムAWS Educateを利用しています。

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野際君はほかの演習授業でAWSの仮想マシンを使った経験はありますが、AWSのサービスを使ったプログラミングを行うのはほぼ初めてのようです。JavaScriptでCodePenという環境で書いています。

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この演習ではGoogle Meetを使って、各自の作業画面を共有しながらオンラインで進めています。少人数であればプログラミングとこのような形態のオンライン授業は相性が良いようです。

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最後の画像が実行した結果です。ちょっとわかりにくいですが、右の画像には画像より一回り小さい赤い線の枠があり、人物を認識しています。

野際君はこれまでmicro:bitobnizRaspberry Piを用いた制作を行ってきているので、今回はソフトウェアのサービスに挑戦しました。他の受講生は今学期はmicro:bitやobnizでセンサーを用いたサービスの実現を演習しています。最終発表会で面白いものができたら、また紹介したいと思います。

(メディア学部 寺澤卓也)

2021年7月12日 (月)

ProToolsがやってきた!

2021年7月 8日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは!
伊藤彰教 @ exSDプロジェクトです

わたしたちのプロジェクトはまだ立ち上がったばかり。サウンドデザイン研究室にも関わらず、音響業界標準の先進的なツールが全て揃ったと言える状況ではありません…。

「これはまずい。」

ということで数年がかりで計画し、ようやく業界の音楽・音響スタジオで利用されているAvid社のProToolsを導入するに至りました!

ソフトウエアだけなら無料でも試せるProToolsですが、本格的な制作技術を学ぶため、そして研究レヴェルで使えるようにするには、高性能な音響処理ボードが必要になります。PCでゲームを楽しんでいるみなさんなら「グラフィック・カードというのを追加しないと3DCGグリグリのゲームがカクカクになってしまう」ということはよく知っていると思いますが、サウンドの世界でもそのようなことがあります。ということでまずはサウンドボードを組み込みました。

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実はこれで終わりではありません。PCには標準で小さなマイクやスピーカ、イヤフォンジャックが付いていますが、それでは音の仕事はできません。そこで高価なマイクやスピーカを接続できるオーディオ・インタフェース(ビデオリンク)とも繋ぎます。

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近年「イマーシブ・オーディオ」などと呼ばれる立体・空間音響を処理しつつ、映像やゲームに音付けするには、PC本体もパワフルである必要があります。技術適格として代表的なものがDolby Atomosです。これらにも対応できるようにします。このためチーズカッターで有名(?)な以下に接続して動作を確認します。

Cheesecutter

設営テストを繰り返して聴取環境や機材セッティングを進めます。

Setting_immersive

これらの作業には頼もしい大学院生や学部生が積極的に動いてくれており、先端的なサウンド制作だけでなく、ハードウエア・ソフトウエアの保守・運用なども実践的に学び、研究することが出来ます。まだ導入したばかりですので、私を含めて研究室メンバーが、これから本格的に制作手法や技術開発に取り組むことになりますが、本当に楽しみです😃

在校生のみなさん、高校生のみなさんにも、「exSDプロジェクトに参加してもらえたら、こうした環境で学び、研究することができます」とようやく言える環境が近づいてきました。共にこの環境を育てていけるみなさんを、exSDではお待ちしています♪

2021年7月 8日 (木)

マイナビニュースに渡邉賢悟先生の活躍が掲載

2021年7月 7日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは!
伊藤彰教です。
本日はプロジェクト演習「クリエイティブ・アプリケーション」についての情報です。

先日、メディア学部1期生であり、クリエイティブ・アプリケーションで産学連携教育を実施しておられる渡邊賢悟先生が大手ITサイト「engadget」に掲載された件を書きましたが、続報です。

その後、さらに多数のメディアに取り上げていただけたこともあり、メディア学部の公式トピックス内にも紹介エリアが誕生しました!

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マイナビニュースのほか、Yahooニュースなどにも取り上げられており、メディア学部卒業生が社会で活躍するインパクトの大きさがうかがえます。渡邊賢悟先生が開発されているアプリやツール群は、社会で非常に高く評価されているだけでなく、それらの知見を惜しみなくつぎ込んだ教育用ツールまで開発され、メディア学部のプロジェクト演習で公式教材として正式に利用させて頂いております。

渡邊先生によると「今回のWWDCの発表の中に、最新のアプリ開発の新しい潮流がみられるが、この教材はその流れにうまく乗れたもの」とのことで、産業界に深く根差した知見と深い洞察力に学生は接することができています。

メディア学部で学んだことで未来を切り拓いている先輩がいます。在校生のみなさんや高校生のみなさんが、こうした先輩に直接学び、社会に羽ばたいてくれることが好循環を生むことでしょう。ぜひ多くの方に学んでいただきたいと思います♪

2021年7月 7日 (水)

実学主義をプロボノ的な実践で学修しています。

2021年6月26日 (土) 投稿者: メディア技術コース

「健康メディアデザイン」という新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回はプロボノによる実学主義の実践についての千種の取り組みについて事例紹介したいと思います。

皆さんはプロボノという言葉聞いたことがありますか?Wikipediaによると『プロボノとはラテン語で「公共善のために」を意味する pro bono publico の略で、最初は弁護士など法律に携わる職業の人々が無報酬で行う、ボランティアの公益事業あるいは公益の法律家活動を指した。弁護士による無料法律相談、無料弁護活動などが含まれる。現在も弁護士の業界において、もっとも浸透している。』とあります。メディア学部の専門性から貢献はメディアの活用になります。

また、メディア学部ではディプロマポリシー(学位授与の方針)として『生活や社会を豊かにする情報・コンテンツの創出及びそれらを人から人に正しく円滑に伝達するディジタル技術の創造・活用に貢献できる人材』を設定しています。メディア学部生は在学中にさまざまなコンテンツ制作・処理および先端的なメディアを活用したり創造したりする能力を高めることを期待されています。

東京工科大学でも教育理念の中核に定めている「実学主義教育」はビジネス社会で活躍できる知識や技術、スキルの学修と社会や技術・スキルがどのように 変化してもこれに適応できる柔軟な考えを持つ人材の育成を目標としています。先端的な科学技術に対応する教育・研究のために最先端の施設を整えるだ けでなく、適応力と実践力で「一歩踏み出せる力」を養成することを目指しています。

千種は以上の東京工科大学およびメディア学部の方針の教育的な活用の場として、八王子市の地域創生や市内にあるボランティア団体におけるメディアの活用を支援するプロボノ的なプロジェクト演習やメディア専門演習を開講しています。

  1. 地域創生アプリデザイン
  2. 企業・団体のプロモーション技法
  3. スマホ動画制作による地域メディアデザイン
  4. 地方創生におけるSDGsとデータサイエンス
  5. 健康メディアと地域メディアの企画デザイン

1.~4.は1年生前期から履修できるプロジェクト演習、5.は2年生後期か3年生前期に履修できるメディア専門演習になっています。今後、メディア学部ブログで1~5のプロボノ的な演習内容を紹介していきたいと思います。これまでこれらの演習の断片的な紹介をしてきましたが、"プロボノ的活用"という視点から紹介していきます。

2021年6月26日 (土)

研究室紹介:ビジュアル&コンテンツインフォマティクス

2021年6月23日 (水) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

昨日の研究室選択についてのお話では、プロジェクト名だけ出して説明をするスペースがありませんでしたので、この機会にビジュアル&コンテンツインフォマティクスプロジェクトについて紹介しようと思います。

ビジュアル&コンテンツインフォマティクスは、柿本先生と私の合同で行っているプロジェクトです。
今年度までは、イメージメディア/ビジュアルコンピューティングという名前で行っています。これは、柿本先生のご専門である画像処理に大きく寄った名称です。(私が合流する以前からの名称なので当然ですが。)
私が着任して以降、実際には学生のテーマとして私の研究分野についても研究を行いながら、プロジェクト名に私の対象領域が入っていないということもあり、来年度から変更することになりました。

そこで、私の研究内容について総括し、この分野に名前をつけるとしたらどうするか、という非常に難しい課題に直面しました。
さらに、当然ながら私の分野だけでなく画像処理の研究室でもあるので、その意味を包含する必要があります。
結論としては、ご覧の通りビジュアル&コンテンツインフォマティクスという形になりましたが、ここに至るまで丸々一か月以上かかりました・・・。
インフォマティクスとは情報学という意味で、接頭語が付くことで「〇〇についての情報学」という意味になります。
ビジュアルインフォマティクスは画像情報処理、コンテンツインフォマティクスはコンテンツについての情報学という意図です。

ちなみに、昨日の記事で三上・兼松先生のコンテンツプロデューシング/ゲームイノベーションと非常に似ていると書きました。
それは、私が本学の卒業研究で当時の金子先生・近藤先生・三上先生の研究プロジェクトである、コンテンツプロデューシング/コンテンツプロダクションテクノロジーの出身だからです。
学部の研究から修士・博士に至るまで、シナリオ制作支援の研究を行っており、自身の研究分野形成に大きな影響を受けています。

・・・また前段が長くなりました。なんで?
ここから研究室紹介です。

研究室の研究テーマですが、柿本先生の分野は2D・3Dを問わず画像処理/表現技術の研究です。
CGを作るのではなく、CGを作るための技術を考えプログラムの実装をするのが主な内容になります。
詳しくは過去の研究紹介などを見るのがわかりやすいため、学内者向けの研究室紹介ページをご覧ください。

私の分野は、映画やアニメなどの映像コンテンツを主体とはしますが、漫画や小説、あるいは歌詞や俳句(!?)などの作品制作において、よい作品がどのようにできているかを分析・可視化することを主なテーマにしています。
流石に歌詞や俳句はまだやったことがありませんが、興味のある方がいれば是非一緒に取り組んでみたいなと感じています。
その分野あるいは表現手法について分析し、そのコンテンツがどう成り立っているかを解明します。解明結果をうまく説明・表示できるように工夫し実現するところまでがセットです。
分析結果はそれ自体がコンテンツとして面白かったり、対象とした作品をより深く理解する補助になることが期待できます。先日紹介した絡みグラフなどはまさに分析結果自体が興味深い例です。

また、どうやって作られたかがわかれば、それを応用して次の作品作りに活かすこともできるかもしれません。
コンテンツ制作における優れた作品をつくるコツ、技芸というものを見つけ出すことが一番の目的です。
なので、本当は私の分野名は『アーツインフォマティクス』が一番正確に言い表す語になります。せっかく考えたのでここで披露しておきます。
アートではなくアーツ(Arts)というのが重要なポイントなのですが、アーツの意味があまりメジャーではないため誤解される恐れがあり、コンテンツインフォマティクスとしました。
長くなりましたが、「この作品はなぜ面白いのだろう」を解き明かすのが主な活動となります。作品を好きな気持ちと好奇心が原動力です。

ビジュアル&コンテンツインフォマティクスプロジェクトでは教員二名の専門分野の範囲で学生自身が好きなようにテーマを決め研究を行います。
ただし、昨日の記事で書いた通り、情熱次第では多少分野を外れていても歓迎です。過去には昆虫の研究がしたい!という方もいました。(素晴らしい情熱でした。)
まだ研究室選択で迷っている方の参考になれば幸いです。一・二年生の皆さんも是非覚えておいてください。いつかご縁があれば一緒に研究できることを楽しみにしています。

2021年6月23日 (水)

研究室選択で重視すべきことは?

2021年6月22日 (火) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

三年生の皆さんは、今まさに卒業研究の研究室選びをしている時期ですね。
私は柿本先生と合同でビジュアル&コンテンツインフォマティクスというプロジェクトをしており、昨日で3回目の説明会を行いました。
その中で説明したことと、質問にあったことを絡めて少しお話します。

ビジュアル&コンテンツインフォマティクスは技術コースですが、コンテンツコースの内容に近い部分も扱います。
特に、三上・兼松先生のコンテンツプロデューシング/ゲームイノベーションプロジェクトとはかなり似ています。
もちろんコースが違い、別研究室である以上厳密には方向性の差はあります。しかし、(だいぶ大ざっぱに言うと)コンテンツ制作手法にかかわる研究であればどちらの研究室でもテーマにできます。

昨日の研究室説明会で、あるモノに関する音の再現についてこの研究室でテーマにできるか?という質問がありました。
私の回答としては、「可能か?はYes、適しているか?はNo」です。

音の再現、という点に関しては、間違いなく大淵学部長をはじめサウンド関係の先生方の方が適しています。
専門の教員に見てもらえるということは当然大きなメリットで、初歩的な部分のサポートからより専門的で複雑な部分の議論など、専門外の我々では対応できないことは多々あります。

一方、専門の異なるところから、別の視点で対象に取り組むというのもメリットがあります。
今回の質問を例にすると、ゲーム中で登場するなどの架空の物品に「それらしい音をあてる」というあたりで、実際の音響の分析とは別のアプローチが考えられます。(もちろんサウンド系研究室でもそういう研究は可能です)
ただし、その場合には初歩的な部分のサポート含め、対応できない部分も多くあります。

また、近隣分野だったり応用の範囲で少しなら対応できる場合もあれば、全く範囲外で何のサポートもできないということもあります。
後者の場合は流石に「できない」と言わざるを得ないですね。私の場合はソーシャルやビジネスのテーマだとお手上げです。
専門外の事を扱う負荷の量と、その考え方は教員によって様々なので、負荷が高すぎれば当然ながらNoとなります。

そのため、今回の質問(テーマ)であれば可能ではあるが適していない、というような回答になるわけです。テーマにできるかもしれないけど教員の負荷が高いということですね。
そういう場合には、自分自身で情熱を持ってわからない事は調べ、それでもわからない事は専門の教員に自ら聞きに行くという主体的な行動が求められます。
指導教員にだけ負荷を求めるのでなく、その分自分自身がしっかり動くということですね。そのような姿勢であれば、多少専門外の事でもテーマにできるかもしれません。

話を戻し、似た分野の研究室の場合ですが、そのテーマを研究するという点においてはどちらでもいいといえるでしょう。
すると研究室選択で何を重視すべきか、というタイトルの話にようやくつながります。(私の話は前段が長くなりがちですね・・・。)

まず第一には「やりたいテーマに適しているか」があります。これは当然ですね。
そして第二に、あるいは同等程度に重視してほ
しいのが「教員との相性」です。
人間同士ですので、どうしても人格の良し悪しとは別に相性があります。私見ですが、この相性が研究生活及び学生生活に及ぼす影響はかなり大きいです。
相性をこれからはかるのは難しいですが、これまでの二年間で接してきた中で感じたものがあるならばそれは重要な指標になります。
それに、情熱をアピールして専門外のテーマをお願いするなら、事前にある程度の良好な関係性があるのが望ましいですね。

前段で書いてきた、テーマの適性から大きく逸脱せずに複数の研究室が該当するならば、是非主宰の先生との相性を検討してみてください。
皆さんがよりよい研究生活ができ、よい成果が出ることを祈っています。

2021年6月22日 (火)

「無理」と言われると実現したくなる

2021年6月21日 (月) 投稿者: メディア技術コース

 3年生向け講義「3次元コンピュータグラフィックス論」の先週の授業では「レイトレーシング」を取り上げました。今日の主題はその技術ではなく、履修生からの質問を受けて考えた大事なことです。誰にとって大事かというと、非定型的な仕事(何らかの「問題解決」)をするすべての人にとってです。
 
 まず、質問のあったスライドページを示します。
 
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 レイトレーシング法はCG画像を生成する一手法で、検索すれば多くの説明が出てきます。手法のポイントは、画像の一画素一画素について、視線に相当する直線(レイ)と物体モデルとの交点を見つけてその画素で見える物体表面色を計算(シェーディング)する、という点です。
 
 このスライド内容に対して次のような質問がありました。
 
 質問
 『
 逆に直線との交差計算ができない形状とは例えばどんなものがあるのでしょうか?
 』
 
 もっともな質問です。ついそうツッコミたくなるスライドですからね。これに対する私の回答は以下の通りです。
 
 回答
 『
 面積のない形状、つまり点や線です。交差計算自体は実行可能ですが、交点が求まらない場合がほとんどだからレイトレーシングは事実上できない、ということになります。
 
 例えば、ベジエ曲線をレイトレーシングで描画することはできません。点群データもできません。
 
 そもそも、点や線は、仮にレイとの交点があった場合でも、その交点をどういう明るさでシェーディングすればよいか、レイの反射方向はどうなるか、などに関する計算方法はありません。その意味でも点や線は無理、ということになります。
 』
 
 ここから先は私の研究者としての独り言です。
 
 「無理」と言われると研究者としては、完璧じゃなくてもそこそこ妥当な方法で何とか実現できないか、と考えたくなります。実現できれば新たな研究成果になるかもしれません。
 
 例えば、レイと点・線との交点は通常は求まりません。ただ少し現実的に考えると、近い所をレイが通るならその点・線が見える、とみなすこともできます。近い、というのは、距離を測り、事前に定めた距離と照らし合わせれば判定できます。これだと交差判定が実現できます。
 
 シェーディングに相当する計算も、距離が近いほど明るくするなど、妥当なやり方はあります。
 
 実際、点とレイとの距離を使って妥当な交差判定ができる、というのは「メタボール」のレイトレーシングの基本的な考え方になります。
 
 研究者に限らず、価値のある仕事をする場合に上記例のような発想は重要です。
 
 「不可能」と言われたら、「ゴール設定を多少変え、完璧じゃなくても有用な解決法があるはず」と考える癖をつけておくと、「問題解決力」の基礎体力になります。
 
 ちなみに、問題解決力のための別の基礎体力は「豊富かつ雑多な知識」です。大小さまざまの困難な問題を解決するのに必要なのは創造性です。創造性は、知識概念の量と組み合わせる力との掛け算です(ジェームス・W・ヤング「アイデアのつくり方」)。
 
 さらに蛇足ですが、私自身もいま大学教員として困難な新しい問題に直面していますが、ゴール設定を多少変えてでもなるべく最適な解決策を仲間と一緒に模索するのを楽しんでいるところです。

メディア学部 柿本 正憲

2021年6月21日 (月)

「クリエイティブ・アプリケーション」の演習講師である渡邉賢悟さんの活躍がengadgetに掲載

2021年6月18日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさんこんにちは。伊藤彰教です。

プロジェクト演習「クリエイティブ・アプリケーション」で演習講師をつとめておられる、メディアサイエンス専攻博士号取得者である渡辺賢悟先生のご活躍の様子が、engadgetに掲載されました。

『iOSアプリ開発者に訊く:10年現役のペイントツール『彩えんぴつ』作者 渡邉賢悟さん』

長年のiOS, MacOSのアプリケーション開発が認められ、Apple開発者会議WWDCの開催のタイミングに合わせて「日本の代表的な開発者のおひとり」ということで取材を受けました。

これをきっかけに「クリエイティブ・アプリケーション」に興味をもってもらい、多くの学生さんに受講してもらえると、わたしも渡邉先生もとてもうれしいです。「どんな人なの?」「どんな演習なの?」はぜひリンク先の記事をご覧ください。わたしがここで書くよりも、プロの記事はさすがの分かりやすさです。ぜひ♪

(画像はコロナ禍の前の演習の様子です:またみんなでこんな風な演習ができるようになるといいですね)

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2021年6月18日 (金)

和風なゲームやアニメに頻繁に登場する「神社」をより効率的に作成するツール

2021年6月17日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

卒業生の卒業研究成果の中で研究発表したものについてのシリーズです.さらにいくつか「映像表現・芸術科学フォーラム(2021年3月8日)」から紹介します.次は,“建築様式を考慮した神社の鳥居と社殿の制作支援システム”の紹介です.

昨年は「Ghost of Tsushima」や「天穂のサクナヒメ」など,日本や和を題材としたゲームが多くありました.そしてそのような作品になくてはならないのが,神社や寺,お城などの日本固有の建築物です.菊池先生の研究室では「日本城郭」のプロシージャル生成の研究が実施されており,大変好評ですが,こちらは「神社」を題材とした制作支援です.

このような歴史的な建築物,独特な様式のある建築物を制作する際には,建築当時の様子やそれぞれの建物の持つ役割などを入念に調査するひつようがあります.この研究では,日本の神社の様式などを調査し,それの様式に沿った神社を容易に生成できるように支援するシステムを開発しました.

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今回の研究では制作者が意図した神社を作るということを目的に,基本的には,制作者が手続きにそって作業していく手法をとっています.将来的に摩完全に自動で敷地に合わせて神社を自動で生成していくことなども考えていきたいです.

文責:三上浩司

2021年6月17日 (木)

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