在学生向け

【先輩からのメッセージ】 コロナに翻弄された工科大生活

2024年12月11日 (水) 投稿者: メディア社会コース

皆さんこんにちは、メディア学部社会コースの森川です。
今回の私のブログも、皆さんの先輩の声をお届けしています。
今日から2回に渡って、今年3月に卒業した森川研Iさんの工科大生活についてご紹介します。
まず1、2年生の頃のお話です。
Iさんの代が入学したのは、まさにコロナ騒動が始まった2020年。
随分大変な思いをしたようです。
 
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私が東京工科大学に入学した時は、感染対策を十分に行っていたコロナ禍でした。
その影響で入学式はなく、授業開始も遅れ、一般的な大学生活のスタートを切ることはできませんでした。
その上私はTwitterなどのSNS等で大学の人との繋がりを持っていなかったため、授業開始までにしなくてはいけない様々な設定も自力で行いました。
 
初めは授業全てがオンラインだったので地元に住み続け、アルバイトとオンライン授業の毎日を過ごしました。
この頃は大学に入学した気が全くせず、正直フリーターの生活を送っている感覚でした。
しかし、卒業までに必要分の単位を取得しなくてはならないため、オンライン授業でも授業参加と課題提出は毎度必ず行いました。
授業開始から何カ月か経つと、同じフレッシャーズゼミの友人と相談しながら課題を行うなど、人との交流も少しずつ増えていきました。
1年前期が終わった時は、初めてのことだらけで不安だった緊張感から解放され、同時に達成感を味わいました。
 
1年後期には、少しでも多く単位を取って3、4年になった時少しでも就活のために時間が取れるようにしようと、28単位分授業をびっしりと詰め込み(後期は4単位分追加することが可能でした)、忙しい毎日を送りました。
また、後期からは対面授業も少しずつ再開されていたため、地元から東京に転居し、徐々に工科大での生活に慣れていきました。
 
1、2年生の頃はかなり授業を詰め込んだため、勉強を主とした生活を送りました。
2年後期からはメディア学部の特徴でもあるプロジェクト演習の中から、自分の興味のあるWebサイト制作の演習に参加しました。
興味はあるけれど難しく、不得意であることは分かっていたので沢山躓きましたが、少人数クラスで先生も丁寧に教えてくれたので、自分でも納得のいくオリジナルサイトを完成することができました。
 
びっしり詰め込んだ授業の中でも自己成長するために苦手なことにも挑戦した結果、物事を計画的に取り組むことができる姿勢が身についたと思います。
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今となってはコロナ期間が遠い昔のように感じられますが、思い返してみると我々教員も当時は本当に大変な思いをしました。
しかし、新入生たちはそれとは比べ物にならないくらい複雑な思いを抱えた大学生活のスタートになってしまったと思います。
でもIさんはそんな中でも、真面目に勉学に取り組みました。
想定外の環境の中でも、自分にできることをしっかりと積み重ねることがいかに大切かわかりますね。
さあ、そんなIさんの3、4年生時代はどのようなものだったのでしょうか?
金曜日に続きます。

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(メディア学部 森川 美幸)

2024年12月11日 (水)

【先輩からのメッセージ】 ハマればハマるほど歴史を勉強したくなるゲームとは!?

2024年12月 9日 (月) 投稿者: メディア社会コース

皆さんこんにちは、メディア学部社会コースの森川です。
今回の私のブログも、皆さんの先輩の声をお届けしたいと思います。
月曜日の今日は、今年3月に卒業した森川研Tさんが大好きなゲームを紹介してくれましたのでご紹介します。
 
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私のおすすめのゲームである「刀剣乱舞」を紹介します。
「刀剣乱舞」とは、プレイヤーである審神者が日本刀の付喪神たちである刀剣男子を鍛刀・育成し、日本の歴史を改変しようとする敵を討伐して歴史を守る育成シミュレーションゲームです。
 
このゲームでは多くの刀(キャラクター)が登場し、その刀(キャラクター)ごとに生みの親である刀工、歴史上の持ち主、活躍した歴史等の史実が反映されているため、好きな刀(キャラクター)について詳しく知ろうとすると必然的に日本の歴史について詳しくなることができます。
「刀剣乱舞」は基本的にPCやスマートフォン向けのゲームであり、体格のよいかっこいいキャラクターから美人のキャラクター、そして女の子と見間違えるほどの可愛い男の子のキャラクター等多様な系統のキャラクターが登場します。
 
また、「刀剣乱舞」には「刀剣乱舞無双」というNintendo Switchで遊べるゲームも存在します。
「刀剣乱舞無双」では実際に歴史改変されてしまった歴史を史実と見比べながら敵を討伐して史実に戻していくストーリーを楽しめるため、歴史を楽しく覚えることができます。
 
他にも、「刀剣乱舞」はアニメ、マンガ、舞台、ミュージカル、映画など様々なコンテンツにまで広がっているため、気になる方はまずは好きなコンテンツから見てみるのはいかがでしょうか。
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私は全くゲームをしないのですが、話題になっていたため、「刀剣乱舞」の映画を見に行ったことがあります。
映画館は女性客でびっしり。
人気があるゲームが原作だということは知っていましたが、これほどとは!と驚愕したものでした。
彼女たちはゲームのファンと言うよりも、映画に出て来る若手俳優のファンなのかも知れませんが、「刀剣乱舞」がメディアをまたいで人気のコンテンツであることに変わりはありません。
興味があったら是非皆さんも「刀剣乱舞」を体験してみてください。

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(メディア学部 森川 美幸)

2024年12月 9日 (月)

実在するバンドのバーチャルライブ(ABBA 「Voyage」)

2024年10月18日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

9月の授業開始直前に,企業から展示会のお招きがあり急遽ロンドンに弾丸ツアーに行きました.その際にエンタテインメント界隈で話題になっていた,アバターによるバーチャルコンサート「ABBA Voyage」を視察してきました.

ABBAは私たち(より上)の世代に絶大な人気を誇るアーティストなのですが,すでに高齢で,激しいライブを重ねるのはさすがに困難なのですが,その往年のライブをVFX制作会社として著名なIndustrial Light &Magicが制作を手掛けて実現しました.なんとしてでも見に行きたかったのですが,さすがにロンドンまでこのためだけに行くのは・・・と思っていたところでした.

さっそく,チケットを探したのですが幸い一人での視察になったので,意外といい席も取れました.(お値段はそれなりにしますが・・・)会場はロンドン郊外のオリンピック会場のそばに作られた特設のシアター.地下鉄の路線図を調べて乗り継いでいってきました.

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シアターの外観

会場はステージ前のダンスフロア(椅子はなく上映中ずっと踊っている人の席)とアリーナ席という椅子に座って全体を眺める席がありました.私は全体の雰囲気をじっくり見たかったのでアリーナ席から参加しました.

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シアター内部の様子

実際の映像は,高齢のメンバー超えたメンバーをモーションキャプチャーで収録,CGで制作する映像に利用しそれらをホログラムを利用して展示するという物です.
この体験は,言葉ではどうしても伝えにくいのですが,とにかく製作期間,費用,機材のスケールの大きさに驚くと同時に,今後このフォーマットで多くのイベントが開催される未来が容易に想像できました.

コンテンツにかかわる詳しいレポートはこちらを見てください

2024年10月18日 (金)

前期の三上・栗原研の学会発表

2024年10月16日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

三上・栗原研究室の学部学生は,2月から3月にかけての学会で発表することが多いですが,4月から9月にかけての前期も大学院生を中心に学会発表に行くケースが多くあります.今回はそのいくつかを紹介したいと思います.

(1)NICOGRAPH International 2024

芸術科学会が主催する国際会議で,海外での開催のほか国内の大学でも開催しています.国際会議ですので原稿も英語で執筆し,発表も英語で行うことになります.しっかりとした査読があり,不十分な内容では発表ができません.

今回は,「おとなり」といってもいい,東京都立大学の南大沢キャンパスで開催されました.大学院博士課程の谷村さんがポスター発表を行っていました.(わたしもVRのセッションのChairとして論文発表のオーガナイズをしました)
国内での開催ということもあり,国際会議初挑戦の学生も多く初々しい発表も多くありました.

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NICOGRAPH International2024

(2)情報処理学会Entertainment Computing 2024(EC2024)

情報処理学会が主催するエンタテインメントに関連する研究会のシンポジウムで,2023年は東京工科大学で開催しました.今年は北の大地「北海道」の北海道情報大学での開催となりました.この学会では,口頭発表のほかエンタテインメントにかかわるシステムなどを実際に体験できるデモ発表が多く実施されます.

三上研究室からは,川島先生とともに指導している横山さんがバンダイナムコスタジオとの共同研究において研究開発した内容を発表しました.また,デモ発表では学部学生の松浦さん,大学院の釣部さんに加え,助手の栗原先生もご自身の研究を発表しました.

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松浦さんの発表

ECでは,多様なエンタテインメント研究に際し,審査員のそれぞれの視点から推しの研究を推薦する「レコメンデモ」という制度があります.本年度は大学院生の釣部さんが「レコメンデモ」を受賞しました.

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レコメンデモを受賞した釣部さん

(3)日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会

日本デジタルゲーム学会が主催する夏の研究発表大会です.今年度から三上が学会の会長を務めております.東京工芸大学の中のキャンパスで開催され,三上研からは川島先生と共同で指導している大学院生小杉さんが,参画しているバンダイナムコスタジオとの共同研究の成果を口頭発表にて発表しました.また,インタラクティブなデモを行うインタラクティブ発表に大学院生の荒木さん,西村さんが発表を行いました.

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小杉さんの口頭発表

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西村さんのインタラクティブ発表

前期の学会発表は,大学院生の発表が多く,学部の学生の発表はこれから本格化します.ぜひ皆さん良い研究を進めてもらい,春にもまた多くの研究発表を報告できればと思います.

なお,その他の研究発表も含め下記にまとめます.

[1] Akifumi Tanimura, Suguru Matsuyoshi, Yoshihisa Kanematsu and Koji Mikami,Distribution of Setting Information Elements for Characters Introduction in Japanese Animation,NICOGRAPH International2024,2024.6
[2] 山地 阿世流,伊藤 彰教,三上 浩司, 音源包囲型マルチマイクレコーディングを用いた立体音響表現の印象評価, 研究報告音楽情報科学(MUS), 2024-MUS-140(68), pp.1-4. 2024.6.
[3] 横山 雅来, 鈴木 雅幸, 菅野 昌人, 山口 翔平, 川島 基展, 三上 浩司:「ビデオゲームコンテンツに向けた現実の光を正確に再現したHDRIを用いるLookDev環境の構築法」, エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2024論文集, pp. 79-85 (2024).
[4] 栗原 渉 , 三上 浩司: 水滴噴霧による松かさ鱗片の乾湿運動を用いた松かさ転倒駆動手法の基礎検討,エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2024論文集, pp. 424-426 (2024).
[5] 釣部 彩花 , 栗原 渉 , 兼松 祥央 , 松吉 俊 , 安原 広和 , 三上 浩司: トリガーの抵抗制御による投げ銭時のユーザ体験向上手法の提案,エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2024論文集,pp. 453-457(2024).
[6] 松浦 優 , 栗原 渉 , 兼松 祥央 , 三上 浩司: ビデオゲームにおいて炎の燃焼を表現する触覚デザインについての基礎検討,エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2024論文集,pp. 488-491(2024).
[7]荒木海斗,栗原渉,松吉俊,兼松祥央,安原広和,三上浩司:高難易度アクションゲームにおける プレイヤーに気づかれにくい 動的難易度調整手法,日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会,インタラクティブ発表,2024.9
[8]西村響,栗原渉,兼松祥央,松吉俊,安原広和,三上浩司:ポーカーゲームAIにおける表情による駆け引きの実装,日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会,インタラクティブ発表,2024.9
[9]小杉勇翔,鈴木雅幸,菅野昌人,山口翔平,川島基展,三上浩司:HDRIを用いた物理ベースレンダリングによる質感表現が設定しやすい環境の検討,日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会,口頭発表,2024.9

2024年10月16日 (水)

先鋭の映像制作企業とのプロモーション映像撮影

2024年10月14日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

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LED MEGA MESHを応用した例(サッカーの選手入場に利用するイメージ)

メディア学部の三上です.

今回は少し前に,新進気鋭の映像制作会社MPLUSPLUSさんのでも映像制作に学生とともに参加したお話を紹介します.

MPLUSPLUS株式会社さんはアーティストのライブステージや,イベントの演出など,エンタテインメント分野で「テクノロジーの力で、常識を更新する」ことをモットーにしている企業です.

これまでにも「ピカチュウ大量発生チュウ!2019」第67回NHK紅白歌合戦に出場した三代目 J Soul Brothersの楽曲「Welcome to TOKYO」の演出,さらにはF1ラスベガス・グランプリ(Formula 1 Heineken Silver Las Vegas Grand Prix 2023)のオープニングセレモニーなどで,ダンサーの動きや楽曲に合わせてLED照明を点滅させたり,特別なLEDシステムを利用することで,未踏の表現を次々と実現してきました.

そんなMPLUSPLUSさんの代表である藤本実さんは,以前東京工科大学メディア学部の助手として,三上研究室に所属になり,私の研究室のほか,渡辺先生や羽田先生,太田先生たちとも多くのプロジェクトを実施してくれました.

そんな藤本さんから,新しい映像演出の可能性をアピールするためにプロモーション動画を撮影したいと相談があり,大学のキャンパスを使い学生にも参加してもらう形で実現しました.

プロモーション映像のために,ドローン撮影チームを編成し望みました.本格的な撮影機材に参加した学生たちもシステム構成や操縦方法などに興味津々でした.

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ドローン撮影のための機材

今回のプロモーション映像の目玉は「LED MEGA MESH」という巨大で軽量で形状が自在に変化できるLEDウォール.これに,LEDスーツを装着したダンサーとコラボレーションすることで見たこともない映像演出が実現するという仕組みです.

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LED MEGA MESH

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LEDスーツを装着したダンサー

この,LED MEGA MESHの特徴は何といっても軽量であること.LEDの点灯を制御プログラムを開発し,映像からLEDの色や点滅を遠隔制御し映像表現しています.軽量なのでドローンを使ってつかって上空を縦横無尽に映像スクリーンが飛び交う演出も実現しています.

そしてこのLED MEGA MESHの軽量である最大の特徴を生かし,今回は人が運ぶという演出にも挑戦しました.

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LED MEGA MESHをもって移動する様子

LEDメッシュは透過するため,ディスプレイの奥にディスプレイが見えるという変わった表現も可能です.この研究棟Aから研究所棟に降りてくる坂を使った演出では,LEDディスプレイの奥に別の映像が透過して見える様子が良く伝わります.

 

このように未踏の技術を実現し,その魅力をでも映像を通じて多くの人に届けるための映像制作は,いつも新鮮は発見や驚きの連続です.撮影に参加した学生たちも,自分の研究や作品制作にあたり,新しい発想をどのように具現化していくのか,多くのことを学ぶことができたのではと思います.

完成した作品はMPLUSPLUSさんのWebページYoutubeなどで公開されております.

 

 

 

 

 

2024年10月14日 (月)

秋卒業式

2024年10月 4日 (金) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

東京工科大学では秋にも卒業式があります。半期休学した学部生・大学院生や早期卒業の学部生などが対象となります。今年は9月20日に挙行されました。

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本学には「学士・修士一貫早期修了プログラム」という制度があります。特に優秀な学生を対象に、学部を3年半、大学院修士課程を1年半の合計5年で終え、学士号と修士号を取得するプログラムです。通常4年+2年の6年かかるところを1年早く終えることができるため、学費が1年分少なくて済むうえ、修士号を取って社会に出るタイミングも早くすることができます。また、優秀な学生である証ですからそれを武器に就職活動を進めることもできます。

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学士・修士一貫早期修了プログラムで卒業した学生は、秋卒業式終了後に学生証返却などの手続きをしてすぐに大学院の「秋入学式」に臨みました。卒業式と大学院入学式が同日に行われるため、朝は学部生だったのに昼には大学院生になりました。

先程は5年間で終えられるメリットを書きましたが、このプログラムの学生は学部生のうちにいくつかの大学院科目を履修しますし、大学院に入ると半年間で修士1年生が終わるため、かなりハードです。それでもメディア学部では毎年一定数の学生がこのプログラムを利用して進学しています。

(メディア学部 寺澤卓也)

2024年10月 4日 (金)

AIと数学(Mathematics)

2024年9月20日 (金) 投稿者: メディア社会コース

前回の記事において、AIを下支えする統計学の重要性について述べました。しかし、実はさらにその統計学を下支えする学問として数学の存在があります。とりわけ、確率論・線形代数・微積分学は大きく関係します。

確率論は、17世紀初頭のヨーロッパにおける賭け事の分析に端を発する応用数学です。ちょっとした遊び心から始まったのです。ある程度万人が納得する“数学的確からしさ”(例えば1回のコイン投げであれば表と裏の出やすさはそれぞれ1/2)を設定することで、様々な事象を[0,1]区間(0以上1以下の実数値の集合)で評価します。そして、統計学はこの確率的な考え方を、過去に蓄積されたデータに基づく“経験的確からしさ”をもとに、将来予測や推論に用いる学問と言えます。前回の記事で、AIの技術基盤がビッグデータとディープラーニングにあるとお話ししましたが、どことなく納得できますよね。

続く線形代数と微積分学は、大学の教養数学の二頭です。まず線形代数ですが、表現レベルではベクトルや行列などを扱うので、ビッグデータとの相性がよいのは想像に難くないと思います。統計分野では、多様な指標間の共分散の算出や分散分析、データ縮減の主成分分析、固有値計算などに応用されています。そう考えると、線形代数のAI支援に期待が高まるのは理解できますね。

最後に微積分学ですが、連続性や微分可能性(滑らかさ)をある程度前提として展開する数学の学問です。それゆえ、離散世界(0-1世界)を舞台とするAIとは相性がよくないように感じられるかもしれません。ただ、現代情報社会の高性能のコンピュータは、私たち人間に違和感がないようにデータを丸めて(連続的に見せて)様々な処理をしています。AIはリクエストに対して最適解を提案することを行います。一例ですが、偏微分に基づく最小2乗法は、線形代数と相まって機能するAIを支援する有用な考え方です。

文責: メディア学部 松永

2024.09.20

2024年9月20日 (金)

AIと統計学(Statistics)

2024年9月18日 (水) 投稿者: メディア社会コース

前回の記事でも触れましたが、ChatGPTに代表される生成AIがいま大きな話題になっています。リクエストに基づいて、文章や映像などの作成を支援してくれます。しかし、本来人間社会を豊かにする技術が時として悪用されることは、歴史が教訓として残してきました。この生成AIも、冗談では済まないフェイクニュースやフェイク動画を世の中に流布し、人々を混乱させるという事例が最近増えてきています。

政府のAI戦略2021では、AIの有効活用を推進しつつも、負の方向のAIの乱用に警鐘を鳴らしています。そして、その騙しの技法に対処するための真贋判断のリテラシーとして、統計学の重要性を謳っています。

そもそも、AIの主要な技術基盤はビッグデータとディープラーニング(深層学習)にあります。そして、それらを下支えする統計学やデータサイエンスという学問分野があります。高校数学において一昔前はやや軽視されていた基本的なデータ処理や推測統計は、昨今大きく見直され、その立ち位置は高くなりました。また、昨今の大学の基礎教育には、データサイエンスの科目が設置されています。“目には目を、歯には歯を”ではないですが、AIの悪用にはAIの賢い利用で対処・防衛するのが理にかなっています。

統計の素養の3本柱は、基本統計量の算出と味方(記述統計)・統計的推論や検定(推測統計)・総合的なデータ分析と判断(データサイエンス)と言えるでしょう。メディア学部では、多様な講義や演習の中で、これらのスキルをしっかりと磨くことができます。

文責: メディア学部 松永

2024.09.18

2024年9月18日 (水)

AIと科学(Science)

2024年9月16日 (月) 投稿者: メディア社会コース

この記事の読者の中には実際にすでに利用している方も多いと思いますが、昨今、第三世代のAI(人工知能)システムに注目が集まっています。世の中に大きなインパクトを与えたChatGPTが有名ですが、その他にもGeminiMeta-AIなどに代表されるような、文章や画像を用いて人間の知的活動を支援する対話型コミュニケーションツールです。

ちなみに、第一世代のAIは、初期のコンピュータが誕生した1950年代にその開発が始まりました。人類が図らずも長年蓄積してきたアナログ情報を、二進の世界(0-1世界)のデジタル情報に置き換えて,それをメディアデータとして利活用するという試みです。

続く第二世代のAIの開発は、1980年代頃に始まったと言われています。不発に終始した第一世代のAI開発の反省を踏まえ、知的CAI(Interigent Computer Aided (/Assisted) Instruction)を基盤としたエージェントシステムで、医療分野などでの支援に活用され、一定の効果を得ました。

さて、第三世代のAI(以下、これを単にAIと記す)は、飛躍的なコンピュータの性能の向上と豊富なビッグデータが後押しをして、ユーザの要求に対してBestではないかもしれませんが、Betterな解答を提案してくれる仕組みに進化しました。

日常生活を支える現在のAIサービスは些細なものではあるかもしれませんが、ある程度そのまま信頼して受け取ってよいレベルに至っています。一方、いまのAIは、エビデンスが重要な科学(Science)の分野にも浸透しています。最終判断はユーザ(学者・学生)側が適切に判断する必要がありますが、AIの提案解は大いに参考になります。

人命に関わる医療分野は一種の科学ですが、最後にそこでの進化したAI活用の例を紹介しましょう。いまや医療の世界では、広く浸透している「AIホスピタル」(AI支援の総合的な医療・看護)という概念があります。第二世代のAIから進化したエージェントシステムも素晴らしいのですが、私が昨今魅了されたのは、CTスキャンで構成される体内の各器官や血管などの3Dモデルを利活用するチームVR外科手術です。

一例ですが、大阪大学医学部附属病院AI医療センターはこの分野で先行していると感じています。私が関心をもった外科手術部門だけではなく、多岐の部門で興味深い内容が下記URLに記されています。

医療現場の「近未来」が実現する 「AIホスピタル」 - 大阪大学 (osaka-u.ac.jp)

メディア学部は、もちろん医療に直接関わることはありませんが、陰で支えるビジョンは見込めるものと考えます。コンテンツコースは可視化や動画の生成、技術コースはリアルタイム画像処理、社会コースは医療ビッグデータの蓄積・分析などです。

人はいずれ衰えて行きます。「転ばぬ先の杖」ではないですが、日々進化する医療支援にメディア学の思想やアイデアが浸透することを期待したいものです。

文責: メディア学部 松永

2024.9.16

2024年9月16日 (月)

学会発表報告(SSS2024)

2024年9月11日 (水) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

2024年8月10日(土)~12日(月祝)に宇都宮市で情報処理学会 情報教育シンポジウム(SSS2024)が開催されました。寺澤研究室4年の櫛田さんがポスター発表とデモを行いましたので簡単にレポートします。


櫛田さんの発表は「生成系AIを利用した小学生向けの個別学習支援システムの検討と実装」というテーマです。ChatGPTを使いこなすには、やってほしいことを指示する「プロンプト」をいかに作るかというのが重要です。様々な分野で利用が広がっているChatGPTですが、小学生が学習のために使いこなすにはこの点がまだ難しいところです。そこで櫛田さんは、大人から見れば言葉足らずな小学生の単純な質問でも、それをChatGPT自体を使って必要なプロンプトに仕上げる方法を検討しました。そして、それらを実行し最終的にChatGPTが元の質問の答えを返してくれる仲介のシステムを構築しました。


櫛田さんにとっては初めての学会発表でしたが、ほかにも大学生、大学院生の様々な発表もあり、大変刺激を受けていたようです。自分の研究についても、ポスター発表ならではの様々なコメントを直接いただき、それを反映させた研究を今進めています。

今回私は3日間の日程を毎日神奈川県内の自宅から宇都宮まで在来線だけで往復するというケチケチな参加方法をとりましたが、さすがに3日目になると往復がつらく感じられました。会場にいる時間が長く、かつ、往復にも時間がかかるので、あまり宇都宮市内を散策する余裕はなかったのですが、宇都宮市で新しく2023年から運行が始まったライトライン(LRT)にだけ、初乗り料金区間の往復で乗ってきました。ちなみに私は鉄っちゃんではありません。


各地に残る、昔からある路面電車には何度も乗ったことがあり、学生の頃は生活の足にしていた時期もありましたが、新しくできた路面電車というのはそのフォルムも含めなかなか未来感があり、面白い体験でした。

(メディア学部 寺澤卓也)

2024年9月11日 (水)

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