在学生向け

初のハイブリット開催となったSIGGRAPH ASIA2021で卒業生が登壇した特別企画

2022年1月13日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です

12月14日(火)から12月17日(金)にかけて,世界最大のコンピュータグラフィックス関連の学会であるSIGGRAPHのアジア版,SIGGRAPH ASIA2021が開催されました.2020年以降,2020年,2021年のSIGGRAPH,2020年のSIGGRAPH ASIAはオンラインで開催されてきましたが,SIGGRAPH ASIA2021は初めてハイブリッドでの開催となり,東京国際フォーラムとオンラインで同時開催しました.

私は,Games Committeeの一員として,日本のゲーム業界ならではのトピックをSIGGRAPH ASIA参加者に伝えるために,ゲーム業界の方たちとともに取り組んできました.

同じく運営委員を務めている国内のゲーム技術カンファレンス「CEDEC」から,世界中の人にも知ってもらいたいトピックをセレクトして特別講演として提供したり,過去の日本のゲームの技術資料を展示したりなど企画しました.

企画したイベントの一つに,卒業生の鈴木卓矢氏に協力をお願いして実現した「Live Drawing」というイベントがあります.このイベントは1時間という限られた時間の中で,ビジュアルアートを完成させていく過程を見せるというもので,紙にイラストを描いていったりするアーティストもいる中で,鈴木氏には,ゲームエンジンであるUnreal Engineを用いて,ゲームやCGのバックグラウンドアートを構築していくプロセスを見せていただきました.

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鈴木氏の絵作りのこだわりに会場にいたプロや学生たちなど大変多くの来場者が感銘を受けていました.なお,鈴木卓矢氏はメディア学部のプロジェクト演習(プロフェッショナル背景CG)にて演習講師も務めてくれています.3年の前期から履修可能ですが,ポートフォリオによる選抜もあるので,誰でも履修できるわけではありませんが,背景美術アーティストとして業界や世界を目指すなら,ぜひ扉をたたいてもらいたいと思います.

2022年1月13日 (木)

ゲーム大好きなメディア学部生がリアルカードゲームとしての SDGs de 地域創生カードゲームを体験し、絶賛!

2022年1月 2日 (日) 投稿者: メディア技術コース

新年あけましておめでとうございます。

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は、千種が開催している複数のプロジェクト演習の参加学生に呼び掛けて実施した学生・講師含めて18名で実施した"SDGs de 地方創生カードゲーム"について紹介したいと思います。

"SDGs de 地方創生カードゲーム"そのものについては、以下URLに詳しく説明されていますが、その主旨は以下になります。

https://sdgslocal.jp/local-sdgs/

「潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会」を目指すために、誰一人として取り残さないを誓うSDGsのアプローチが役立ってきます。住民、事業者、農家、行政、 NPO、自治会、商工会、農協、学校などの個別の立場や組織を越えて、産業・環境・ 教育・医療・福祉・防災・まちづくりなどの領域を超えて、持続可能な地域の未来を実現するための活動。いままさにSDGsにもとづく地方創生の活動が求められています。
それを体験学習として学ぶ「SDGs de 地方創生カードゲーム」とは、SDGs de 地方創生とは、特定非営利活動法人イシュープラスデザイン(i+d)と、株式会社プロジェクトデザイン(PD)が協働で開発したカードゲームです。

振り返ってみると、開発の着想を得、コラボレーションが始まったきっかけは2つあります。ひとつ目は、私たちが、地方創生という言葉が生まれる前から、地域の課題に取り組んでいたことです。イシュープラスデザインは「人口減少×デザイン」といった書籍の発行や各自治体に入り込んでの支援を通じて、プロジェクトデザインは、人口3万人の北陸のまちに本社を置く地方企業の代表として、活動を続けていました。しかし、もっと効果的に日本の地方全体が活性化するような方法はないか、模索していました。

ふたつ目は、2016年にプロジェクトデザインが「2030SDGs」という、本ゲームの前身となるものを、一般社団法人イマココラボと協働で制作したこと。「2030SDG」はSDGsというはじめて聞く人にはわかりにくい概念を効果的に伝えるためのビジネスゲームとして評価を受け、いまでは国内のみならず世界各国にファシリテーターがおり、実施されるようになっています。「2030SDGs」というゲームが広まるにつれ、「私達の地域に合わせたゲームが欲しい!」という声を書く自治体から頂くようになりました。

ということで、今回の"SDGs de 地域創生カードゲーム"のイベントは専門の外部講師・井上寛美氏をお招きいたしました。
https://www.facebook.com/hirata.h

SDGs de 地域創生カードゲームおよびファシリテーターのプロフェッショナルである井上寛美講師の最大の特徴は、ゲームそのものを通じて、物事を考えるきっかけを与えることです。今回はSDG de 地域創生カードゲームを通じて、SDGsとはどのような取り組みなのかの概念、そしえそれを解決するためには、連携や協働が必須であることを実感してもらうことです。

これは我々メディア学部の教員にとっても、授業を通じて学生に最も学修してもらいたいことは、スキルを身に着けてもらうことでなく、学生自らが社会の課題として物事を捉え、それについて深く考え、できればその課題を解決するために必要な学修に自ら取り組んでもらことです。

ちなみにファシリテーションとは現在の様々なシーンで重要視されている能力で、これを学修していく世界もあります。ファシリテーションの簡単な解説として、ファシリテーションの4つのスキルという講座概要があります。短縮URL https://bit.ly/3FMNpsC

Keywords ビジネススキル、チーム・マネジメント、円滑化

講座内容
企業の合意形成を導く、合理的に良い意思決定を導く4つのファシリテーションスキルを身につける、組織内での意思決定において、いかに集団の合意形成を推進するか。そのカギとなる4つのスキルを学ぶことができる講座です。

今、ビジネスの世界では、このファシリテーションを重視する企業が増えております。ファシリテーションは、特に若手ビジネスマンに対しての研修で多く取り扱われているテーマです。ファシリテーションとは、会議やプロジェクトなどの集団活動がスムーズに進むように、また成果が上がるように支援することをいいます。特にビジネスに必要なファシリテーションスキルは、組織における意思決定の引っ張り役としてのファシリテーションであります。

しかしながら、多くの方は、会議の司会役、程度の認識でおりますが、ファシリテーションを行う役、つまりファシリテーターの役割は、企業の合意形成を導く、合理的に良い意思決定を導く役となります。この講座では、企業に必要とされるファシリテーションスキルを身に付けることができる講座です。特にファシリテーションに必要な4つのスキルを身に着けることが可能です。

4つのスキルとは
・場のデザインスキル
・対人関係スキル
・構造化スキル
・合意形成のスキル
となります。

中小企業診断士でコンサルティング会社経営の金高誠司先生による、ビジネススキル研修シリーズ ファシリテーション4つのスキル。ロジカルシンキング、プレゼンテーションに続く第3弾です。近年、企業で重用視されているスキルのひとつ、ファシリテーション。組織内での意思決定において、いかに集団の合意形成を推進するか。そのカギとなる4つのスキルを学ぶことができる講座です。

今回のSDGs de 地域創生カードゲームを実施して、まず、参加した皆さんの感想をテキストマイニングした結果を以下に示します。千種にとっては中々意味深い分析結果で有益な情報となっています。

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以下、当日の写真何枚かを掲載いたします。

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以下に質問に回答する形で感想を書いてもらいました。質問1「この授業を通して得たこと、得たもの」

I.F.
 最初の方はルールをあまり理解できていませんでしたが、だんだん理解してきて、楽しむことができました。なかなか求めている役職カードが手に入れられなかったり、値段交渉が難しかったり、簡単に行かなかったのも面白かったです。また、各パラメータの伸びがラウンドで全く違くて、最終でいきなり伸びたものもあったので、その動きも面白かった。どのような政策をすると、どのようなパラメータ変化、どのくらいの報酬が得られるかなど、実際のSDGsに関しても学べる良いイベントでした!

H.K.
 SDGsカードゲームをこの授業で初めてプレイしたが、街づくりのために人々の協力、また住民と行政の連携が大切だと感じた。最初はみんな己の利益のために動いていた印象があったが、終盤になってくると己の利益よりも町の発展を優先してみんなで協力していたように思う。最初に書いた通りSDGsカードゲームを通して実際の街づくりも住民同士の協力、行政との連携が地域の発展に欠かせないと感じた。

Y.Y.
 私がこの授業で得たことは対話が重要だと学びました。最初は、ルールに戸惑ってしまい、思うように行動が出来ませんでした。しかし、話しかけるととてもスムーズに行きました。また、自分たちの条件が2ターン目に終わったのですが、自分たちが終わっても他の人を助け、協力し合うことで人口、経済、環境、暮らしを5から減らすことなく出来ました。対話の中で聴く、尊重する、声を出す、保留するこの4つをゲーム通して実感することが出来ました。地域活性化と自分とのかかわりを見つけ、今後自分はどのようにSDGsに貢献できるのかを考え、自分にできることを考えるとても良い機会でした。

S.K.
 カード―ゲームを通して地域創生の難しさを感じました。自分のカードに書かれているゴールを実現するためにそれぞれプロジェクトを進めるが、自分のやりたいことを優先すると地域活動は停滞し人口減少が加速し街を衰退していく。その結果一人一人のゴールを達成するのがますます難しくなってしまう。一方、チーム同士対話をし、協力をすると街の状態を示す人口、経済、環境、暮らしの4つの指標が上向き始める。その結果みんなが」自分のゴールを達成することに繋がる好循環が生まれ人と経済の豊かな生態系が息づく街になっていく。

H.I.
 私が11月に体験した時に比べ、ふりかえりのプロセスが非常に丁寧に構成されていることが非常に印象的でした。グループワークで意見を述べ合う時、「どのように意見を述べるか、表現するか」に意識が向きがちなところを、聴いた相手の意見について自分の言葉で述べる過程において「聴き合う」「認め合う」という要素を含めていたことは大変印象深く、「ふりかえり」をどのようにデザインするかという点において大きな学びとなりました。
 一方、講師の方が「自らの問題に引き付けた時に、SDGsのそれぞれのゴールはどのように関わっていると思いますか」という問いかけ には、受講生の皆さんからのコメントはなかなか出ませんでしたが、東洋大学においても自身の問題と感じている社会課題について学生同士口に出しにくい雰囲気があるようです。しかし、「SDGsの関心あるゴールを選んだ理由を自らの体験に結びつけて話す」という問いかけには、それぞれ自身の体験について受講生の皆さんがさまざまに話をされていて、「問い」次第で場の交流の深度が変わっていくファシリテーションの奥深さを垣間見ることができました。

U.A.
 パートナーシップを生み出していくためにも、「対話」が必要であること。
ファシリテーション(本日の目的、スライドの活用)

Y.N.
 SDGsの各項目が繋がっている、連動していること。例えばエコカーを増やす→クリーンなエネルギーが増える→環境が良くなるなど、プロジェクトカードに書いてあり、繋がりに気づくことができた。
 後半はカードゲームの振り返りを行い、SDGsについて各個人の考えを共有しSDGsのゴールを達成するために各個人がどういった行動ができるか考える良い機会になった。

 

また、もう一つの質問は、「質問2 またこの回の授業を友達にどのような授業だったと説明しますか。」

SDGsカードゲームをプレイしたら街づくりのために大切なこと、地方創成とSDGsの関係を楽しみながら学ぶことができる。ぜひとも一回やってみてほしい。

私は小地域の活性化と自分との関係性を発見でき、対話が重要であると学ぶことが出来る授業だった説明します。理由としてゲームを通して対話はとても重要で一人だけでは問題解決することはできないことがありました。また、援助してもらうだけでなく、自分たちが手助けをするなどして街の活性化に繋がりました。また、これから地元であったり、今住んでいる町をより良くするために自分にできることはないのかであったり、他人ごとではないという認識を見つめ直す授業だったのではないかと思いました。

この授業は地域創生に取り組む日本の自治体や、ソーシャルセクターの具体的なアクションを題材にし、様々なプロジェクトの実行を通じて行政と市民による協働を体感できるカードゲームです。

人口減少など課題を抱える地方の活性化や自分がまち、地球のために何ができるのか、そしてそれを実行に移すためには何が必要なのかの気づきを与えてくれる授業です。

前半はカードゲームで、各グループに職業が割り当てられ、配布されたプロジェクトカードと人材カードで職業ごとにあるクリア条件を目指す。グループごとに協力しなければ人口や環境、暮らしなどの全体に影響の出るパラメータが下がってしまうので、各グループが協力し合い楽しむことができた。

2022年1月 2日 (日)

2022年: 新しい時代のメディア学部に向けて

2022年1月 1日 (土) 投稿者: メディア技術コース

あけましておめでとうございます。

2020年に続き、2021年も新型コロナウイルスへの対応に追われる1年でした。それでも10月からは大半の授業が対面実施となり、教室にも活気が戻ってきました。まだまだ心配なこともありますが、2022年はもっと良い年になると期待しながら新年を迎えています。

この2年間を振り返ったとき、二つのことが頭をよぎります。一つは、この苦しい状況の中でも、メディア学部の強みを十分に発揮して、何とか乗り切ってくることができたという思いです。情報を伝えることのプロであるメディア学部教員と、情報技術を学ぶことに貪欲なメディア学部生とが力をあわせ、様々なオンラインツールを駆使して学びを続けてきました。巷ではオンライン授業の品質について疑問を呈するような報道もありましたが、メディア学部の教育は一歩たりとも後退することは無かったと自信を持って言うことができます。

もう一つ、それと同時に思うことは、そうしたメディア技術も決して完璧では無かったということです。確かに学びは止まらなかったし、むしろ学習内容の理解度が高まったように見える科目もありました。それでも、10月からの対面授業で、それまでには無かった手応えを感じることがあるのも事実です。それを「ふれあい」とか「親密感」といった言葉で片づけてしまうのは簡単です。しかし、冷静になって科学的な視点に立ち、人と人が同じ空間を共有することの意義を追求していくことも、メディア学の重要な研究テーマではないでしょうか。教室で、みなさんと向かい合ったときに伝えるべき最も大切なことは何なのか、それを考え続けることが、2022年の大事なテーマになるのではないかという気がしています。そしてその先には、単に視覚や聴覚を再現するだけではない、本当の意味のバーチャルリアリティがあるのかもしれません。

2022年のメディア学部が、これまで以上に魅力的な学部になれるよう、みなさんと一緒に新しい挑戦を続けていきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い致します。

メディア学部長 大淵康成

2022年1月 1日 (土)

先端メディアゼミナールの学生さんの研究発表その3: 研究内容

2021年12月30日 (木) 投稿者: メディア技術コース

文責:榎本

 

橋本さんの発表が時間通りに始まります。あんなに来なかったのが嘘のように、冷静に発表しています。

私の居室に来てもらったので、発表の様子を後ろで聞いているという状態です。発表はとても素晴らしく、落ち着いた口調なのに着々と話すべきことを話しています。さて、少しだけその発表の内容をご紹介しましょう。

 

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みなさんも大勢で話しているとき(例えば飲み会とか)、会話のグループがいくつかに分かれることがありますよね。これを専門用語で「分裂」と言います。

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橋本さんが着目したのは、何きっかけで分裂が起こるのか?そして何きっかけでもとに戻るのかです。後者については全く研究がないので、完全なオリジナルです。「統合」と名付けます。

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分裂の事例を分析していくと、その共通点として、分裂を引き起こす人(S)がある聞き手(H)を違うグループに巻き込むために、Hに質問して答える義務を生じさせる、今の質問はあなた(H)に向けたものですよというのを視線や身体の向きで明示する、という2点がありました。つまり、確実に分裂につきあってくれるようSが発話をデザインしているということです。

 

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統合の事例の共通点としては、何か分裂中に話していたことが終わって新たな会話の流れができるときに生じるという点がありました。

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つまりは、分裂も統合もそれを開始する話し手が、分裂したり統合したりするように発話をデザインしているのだ、ということが言えます。

まだ2年生とは思えない、オリジナリティ溢れる、そして研究分野に新たな知見を打ち立てる内容でした。

オーディエンスの先生方からもたくさんお褒めの言葉をいただきました。

 

発表風景は以下です。

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先端メディアという授業は1年生や2年生のうちに、その先生の専門の研究を始めるという制度です。卒研(4年生)から始めると残り1年しかないわけですが、先端で1年後期から始めると残り3年半とかあるわけです。是非、みなさんも先端の授業が受けれるように頑張ってくださいね。

2021年12月30日 (木)

学生にお勧めする本展(工科大図書館)

2021年12月28日 (火) 投稿者: メディア技術コース

文責:榎本

 

2021年12月20日より、工科大図書館で「学生にお勧めする本展」を開催中します。(2022年1月31日まで)

https://www.teu.ac.jp/lib/4259/osusumehon_2021.html

ダウンロード - e69cace5b1952.pdf

 

その中で、私がお勧めしているのは以下の5点です。

 

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No. 書名 著者名 出版社 ISBN 定価
1 会話分析基本論文集 西坂仰 訳 世界思想社
978-4-7907-1501-6
 
書評 会話分析の創設者Sacksらの難解な英語論文の翻訳集
2 講座日本語コーパス 3 話し言葉コーパス 設計と構築 小磯花絵 編 朝倉書店
978-4-254-51603-6
 
書評 日本語話し言葉コーパス(CSJ)の集大成
3 基礎からわかる会話コミュニケーションの分析法 高梨克也 ナカニシヤ書店
978-4-7795-1073-1
 
書評 会話研究を始めるための初歩を網羅的に紹介
4 発話の権限 定延利之 編 ひつじ書房 978-4-89476-983-0  
書評 言語学者の大御所である定延氏が編著している最新刊
5 新敬語「マジヤバイっす」社会言語学の視点から 中村桃子 白澤社
978-4-7684-7979-7
 
書評 言語学者の観点から、若者言葉「マジヤバイっす」に含まれる親密さと丁寧さの共存を解説した書籍。自分たちの利用する言葉の意味を改めて考える機会になる

 

私が選書して、図書館が購入してくれるというシステムです。ですので、皆さんは図書館に行けば借りられます。

 

今回、特に強調したいのは1版の「会話分析基本論文集」です。社会学の一派である会話分析という分野があるのですが、その創始者であるSacks, Jefferson, Schegloff という3人が共著で書いた、伝説的な論文2本の日本語訳が収録されています。翻訳したのは、日本の会話分析の大家である西阪仰先生(千葉大)です。発刊は2010年で、これが売り出された当初、大学院生であった私は狂喜して本屋に走りました。なぜかというと、Sacksたちの英語が高尚すぎて難解すぎて、読むのに膨大な時間を要していたからです。さらに、日本語の論文に引用するのに、訳そうとするとさらなる甚大な時間がかかっていました。それが、西坂先生の訳で読めて引用できるわけです。

ちなみに、収録されているのは以下の2本です。

Harvey H. Sacks, Emanuel A. Schegloff and Gail Jefferson(1974). `A simplest systematics for the organization of turn-taking for conversation(会話のための順番交替ー最も単純な体系的記述).' Language, 50(4), 696-735.

 

Emanuel A. Schegloff, Gail Jefferson and HarveySacks(1977). `The preference for self-correction in the organization of repair in conversation(会話における修復の装置ー自己訂正の優先性).' Language, 53(2), 361-382. 

この書籍の定価は2,530円です。

https://sekaishisosha.jp/book/b353891.html

 

で、図書館で購入してもらおうとしたところ、情報サービス課(図書館)の千手さんという方から連絡がありまして、「絶版」(売り切れ)で購入できませんと。Amazonで調べたところ、

https://www.amazon.co.jp/%E4%BC%9A%E8%A9%B1%E5%88%86%E6%9E%90%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E8%AB%96%E9%9B%86%E2%80%95%E9%A0%86%E7%95%AA%E4%BA%A4%E6%9B%BF%E3%81%A8%E4%BF%AE%E5%BE%A9%E3%81%AE%E7%B5%84%E7%B9%94-%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%80%9D%E6%83%B3%E3%82%BC%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%AB-H-%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9/dp/4790715019/ref=sr_1_13?qid=1639713853&s=books&sr=1-13

Amazon

中古で、最安値で24,650円、高値だと81,331円のプレ値がついてます。

これは買えないとのこと、では諦めましょうという話になりました。

 

ところが数日後また千手さんから連絡が来て、「実は所蔵しておりました」と。

なぬ〜!

「展示いたします」と。

うちの研究室ではよく卒研生に引用してもらっていて、絶版前に図書館で買ってもらっていたんですね。

 

ということでね、工科大の皆さん、

「学生にお勧めする本展」是非見に行ってください。

 

 

 

2021年12月28日 (火)

RGB範囲外の色を人工的に再現することは可能でしょうか?

2021年12月27日 (月) 投稿者: メディア技術コース

 RGBの三つの数値(光の三原色の強さ)は、コンピュータのディスプレイで表示する画像の各画素の色を指定するのに使います。数値の範囲は[0,255]の整数ですが、計算時には[0,1]の範囲の実数と想定する場合もあります。
 
 標題の質問は、メディア学部2年生向け講義「CG数理の基礎」での「色の表現」の授業回で履修生から出されたものです。結論から言うとその答えはYesです。
 
 RGBの値は特定のディスプレイが再現できる色です。ということは、ディスプレイ以外の光源であればその範囲外の色が出せる場合があります。もっとも典型的な例はレーザー光です。ほぼ単波長の光と言ってよい、純度の高い特定の1色が出せます。
 
 レーザー光と違い、液晶ディスプレイの光源である蛍光灯やLEDは多くの波長が含まれた光です。そのような光源からRGBを取り出すカラーフィルタは、絞り込んではいるもののやはり多くの波長を通す特性があります。結果的に、ディスプレイが再現できるRGBの範囲はレーザー光を含むことができません。
 
 図に示すxy色度図は、RGB範囲外の色も含め物理的に存在する可視光のすべての色の種類を含む模式図です。もちろん、ディスプレイに描いたxy色度図が本当にすべての色を表示しているわけではないです。だから模式図と呼びました。
 
 Xy
 
 RGBが再現できる色の種類は色度図の中の三角形で示される範囲(sRGBという標準)に限られます。レーザー光のような純粋な単波長の色は色度図の曲線輪郭部分(逆v字型)のスペクトル軌跡と呼ばれる線上に対応する色となります(波長の数値が小さく付してあります。単位nm)。各色がもっとも鮮やかになる部分です。内部に入るほど多くの波長が混じり合い、中央部は多くの色が混じった白となっています。
 
 ということはレーザー光をディスプレイのRGB光源として使えばかなり広い範囲の色を再現できそうですね。検索してみると確かに研究開発事例がありました。
 
[新倉栄二, 2016, RGBレーザーバックライト液晶ディスプレイ, ITUジャーナル, 46(2), 32-35.]
 
 タイトルで検索すればPDFが入手できます。この論文では色度図としてxy色度図ではなく、CIE1976 UCS色度図というのを使って説明しています(下図)。色度図上のどの場所でも距離の違いが人間の感じる色の違いに近い色度図です。
 
 Niikura2016rgblaserbacklight
  上記文献[新倉2016]より引用

 BT.709で示した三角形が前のxy色度図のsRGBの範囲に相当します。この研究で実現したレーザー光を使ったRGB(RGB LD Backlit)がより豊かな色を再現できていることがわかります。BT.2020というのがこのような高色域のRGBの世界標準として定められていて、これに準拠したディスプレイはこの研究以外でも開発されています。
 
 とはいえ、RGBの3原色でディスプレイの色を表現する限りは色度図の全部をカバーすることはできません。純粋なレーザー光(スペクトル軌跡)はほぼすべてRGBの範囲外にあるということになります。
 
メディア学部 柿本正憲

2021年12月27日 (月)

卒業生の活躍とメディア学部のカリキュラム(表現と技術を駆使して『劇場版 呪術廻戦 0』のCGを統括するCGディレクター)

2021年12月26日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

今日は公開から早くも興行収入100億越えの評価を受ける『劇場版 呪術廻戦 0』でCGディレクターという要職で活躍する私の研究室の卒業生「木村謙太郎」氏の話をしたいと思います.

このCGディレクターという仕事は作品におけるCGの統括をする仕事です.作品によって,3DCG監督,CG監督,CGチーフなど様々な呼び名で呼ばれます.監督が作品全体の統括をする立場とすると,CGに関連する領域を監督をサポートしながら統括するという大変重要な仕事です.最近のアニメ作品はCGなしでは成立することは困難です.そのCG表現を一手に引き受け監督と2人3脚で表現していく仕事は,メディア学部の教育の集大成でもあり,実にメディア学部らしい仕事といえます.

大学で学部を作るときに大事とされる3つのポリシー「アドミッションポリシー」(入学者選抜,求める入学者像),「カリキュラムポリシー」(教育の指針),「ディプロマポリシー」(卒業要件,卒業時に求める力)があります.それらを作るときに,ディジタル技術を用いた映像制作におけるプロデューサーやディレクターなど,統括する役職を生み出すことを念頭に議論が進みましたので,まさにそれが具現化された形です.

プロデューサーやディレクターは経験職であり,コンテンツ業界に就職したうえで,さらに経験を積み,周囲の信頼を得てようやくたどり着く役職です.メディア学部のOBでは,劇場公開作品『劇場版 誰が為のアルケミスト』のプロデューサーの木村将人氏や『ガールズ&パンツァー』の劇場版やTVシリーズの3監督の柳野啓一郎氏,劇場版『スタードライバー THE MOVIE』のCGI監督の太田光希氏,『君の名は。』『天気の子』,といった新海誠監督作品の3Dチーフを務める竹内良貴氏などが活躍しています.(ほかにもたくさん活躍している人がいます)

CGディレクターという仕事は,CGに関する表現はもちろん,新しい技術の探求やそれを作品に利用する際の検証などの技術的側面,そしてチームを統括しながら監督や他の部門との調整を図るコミュニケーション力と,まさにメディア学部の各コースの能力が終結したようなスキルが要求される仕事です.メディア学部の学びをある意味具現化してくれる卒業生が数多く生まれていることは大変喜ばしいことですし,元祖メディア学部が今でも最前線のメディア学部であることの証でもあります.

さて,木村君ですが,学部時代からチームでの映像制作やゲーム制作などを通じ作品制作のスキルを高めてきました.作品制作のスキルもさることながら,卒業研究の成果も映像表現・芸術科学フォーラムという学会で「トラックアップに対応した散点透視図法の3DCG表現の提案 」として発表しています.CGは空間を正確に描写しますが,絵画などでは消失点が複数ある複雑なパースを作成して制作することがあります.このような映像をCGで作り出しただけでなく,カメラの動きに対しても破綻なく表現する手法を開発しています.表現と技術の融合によってなせる研究です.

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このようにメディア学部では,コンテンツを作るだけでなく,その表現を高度化するための技術,そしてその技術を多くのスタッフが結集する実際の作品において円滑に実現するためのマネージメント力を手に入れることができます.専門学校や美術大学,理工系大学では学べないこの広がりが重要です.

これこそが東京工科大学メディア学部が数あるメディア学部の中で元祖でもありつつ20年以上も先進し続け,多くの人材を生み出している理由だと思います.

2021年12月26日 (日)

よりリアルなロードバイク(競技用自転車)体験を目指したVR研究【WISS2021 学会発表】

2021年12月25日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部三上です.

今日は大学院在籍中の学生渡邊拓人君がWISS2021(第29回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ)においてデモ発表した,「競技自転車ゲームにおける操作・知覚提示に関する研究について紹介します.

コロナ禍で多くの学会がオンラインで開催される中,インタラクティブなテクノロジーの発表のために,万全の感染症対策を施し,人数を限定し対面とオンラインのハイブリッド開催にて実施されました.

この研究は,ロードバイクのVRコンテンツの試作版を体験した渡邊が感じた課題(違和感)を解決するために,よりリアリティにこだわった体験システムを開発したいという欲求からスタートしました.(ちなみに渡邊君は自転車屋でバイトする自転車好きで,私も3年ほど前から自転車が趣味に加わりました)

ハイスピードで疾走するロードバイクは,コーナリングの際にハンドルを切るのではなく,ロードバイクや体を傾けながらバランスをとって曲がります.そして,その傾け方ですが,ロードバイクと体を一体的に傾けることもできますし,体だけは起こしてロードバイクを倒すなど様々な倒し方ができます.このような体やバイクの傾きなどをコンテンツに反映させたり,プレイヤーにきちんと知覚させたりすることに課題があるため,新しいデバイスの開発をしようということになりました.

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そもそも,実際の走行中と同じようにロードバイクを傾けたり戻したりすればいいのですが,そのためには大変大きな力が必要になり,テーマパークや大規模なアミューズメント施設でしか利用できません.また,安全性の配慮も課題になります.そこで,渡邊君はハンドルを車体と独立させてハンドルだけを傾けることで,プレイヤーは傾きを感じるのではないかと考えて装置と連動するシステム(とそのコンテンツ)を開発しました.

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開発したシステムは安全性も考慮し鉄パイプで周りを固めました(それでもまだ強度が足りなかったので改良中).
参加者は普段ロードバイクを乗らない方から,競技用自転車の経験者まで様々な方がおり,興味を持って体験してくれました.

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いろいろなフィードバックを得ることができたので,これからどんどん改良していきます.

 

2021年12月25日 (土)

二年目のオンライン開催となった「東京ゲームショウ2021」

2021年12月24日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

少し間が空いてしまいましたが,9月30日から10月3日にかけて,「東京ゲームショウ2021」が開催されていました.コロナ禍で昨年に引き続きオンラインでの開催となった今年のTGSですが,学生たちは先輩の経験をうまく生かし早くからオンラインでの情報発信を見据えて準備をしてきました.

まずは東京工科大学全体とそれぞれのチームが各作品のTwitter アカウントを作り情報発信を始めました.

20211226tgs00 

各作品のTwitterはこちらです

Four Legs Chiken

Mischief Mystic

Gravarior

餅っ兎!らびべんちゃぁ!

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コトバシーン!!!

そして,開発の期間中や追い込みの段階では,Discordというグループウェアを使って,メンバーがチャットしたり画面共有したりしながら開発を行いました.普段ならキャンパスにみんな集まって,直前のテストプレイやレビューを行うのですが,遠隔でのテストプレイとフィードバックを行いました.ギリギリにはなりましたが何とかTGS2021開催日までには各チームの作品が出そろいました.

これらの作品を発表する場として,昨年に引き続きバーチャルSNSのClusterというサービスを利用しました.

100203

 

東京ゲームショウ開発期間中にはこのCluster 内で実施したイベントを企画し,その様子を特別番組としてYouTube Live!を通じて配信していました.こちらの番組はアーカイブされていますので今でも市長が可能です.

TGS2021はバーチャル開催になってしまいましたが,その後「デジゲー博」というイベントに,Four Legs Chikenのチームが出展しました.

また,ちょうど直後に応募可能であったコンテスト「ゲームクリエイター甲子園2021」に作品を投稿しました.結果は各作品の紹介と合わせて別の機会に紹介したいと思います.

 

2021年12月24日 (金)

海外提携校と取り組んだ「GAMELABプロジェクト」

2021年12月23日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です

コンテンツ分野は東京工科大学の中でも特に海外の大学との提携の多い分野です.その中でもゲームやアニメといった日本の特徴が大きく出ている分野は海外の大学から注目されることも多く,様々な大学との提携が進んでいます.中には,日本から短期で開発プロジェクトのために来訪したり,先方から交換留学生として来訪したり,教員同士の交換などもあります.昨今のコロナ禍で物理的な移動が難しい状況になっていますが,逆にオンラインでの環境が整ったおかげで,遠隔での授業実施や研究相談,講演,そして共同制作など実に様々な取り組みが本格化されています.

その中でも,今回2021年1月より本格的にスタートしたプロジェクト「GAMELABプロジェクト」の集大成として,AFGS2021という学会にてその取り組みを紹介しましたので報告します.

このプロジェクトは,ポーランドのUniversity of Silesiaが中心となり,ドイツ,チェコ,ベルギー,日本,メキシコ,アメリカの7か国の大学が共同で実施しました.参加大学は以下の通りです.

Poland — Design of Games and Virtual Space at the University of Silesia in Cieszyn — project leader
Germany — Harz University of Applied Sciences
Czech Republic — University of Ostrava
Belgium — LUCA School of Arts
Japan — Tokyo University of Technology, School of Media Science
Mexico — Benemérita Universidad Autónoma de Puebla
United States — School of Art at Northern Illinois University

各大学はその大学の特性に合わせたプロジェクトを立ち上げ,そこに各大学の学生が応募して参加するというスタイルを取りました.東京工科大学には,ポーランド,チェコ,アメリカの学生が参加し,「Sci-Fi Wabi-Sabi(『わび』『さび』を意識したゲームアセット制作)」,「キャラクターメイキング」,「ゲームデザインとサウンドデザイン」の3つのチームに分かれて研究を進めました.

20211226gamelab01SciーFi Wabi-Sabi

20211226gamelab02キャラクターメイキング

20211226gamelab03

Game &Sound Design

 

教員としては,安原先生,伊藤彰教先生,川島先生,さらには2020年に退職された近藤先生にもメンターとして学生の指導をいただき実施しました.そのほか,定例の発表会には渡辺先生や太田先生にも参加いただき多くのアドバイスをいただきました.

日本から参加した学生も各国のプロジェクトにそれぞれ散らばり,主に英語でのレクチャーやワークショップを行い,作品制作や研究を進めました.また,東京工科大学でのプロジェクトに特別に参加してくれた学生もいました.

現地に行って交流が再開できるようになるのは少し先かもしれませんが,メディア学部にはこのような海外の大学と共同で実施するプロジェクトが数多くあります.手を伸ばせばそこに世界が当たり前のようにある.それが最先端を行くメディア学部のコンテンツの学びの自然な姿です.

 

2021年12月23日 (木)

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