7月6日(土)横浜のみなとみらいホールで行われた、プロジェクト演習「インテブロ(intebro)」の公演収録に立ち会いました。これはNHK交響楽団の第129回オーチャード定期公演の模様を「インテブロ(intebro)」の学生さんたちが収録・編集する演習です。
NHK交響楽団は1942年に活動を始めてから82年の歴史をもつ日本を代表するオーケストラ。この日の指揮は秋山和慶さん(日本指揮者協会会長。83歳、若い!)、そしてピアノはアレクサンダー・ガジェヴさん(イタリア出身の29歳。2021年ショパン国際音楽コンクール第2位)。このすごい公演の収録を「インテブロ(intebro)」の学生さんたちがどのようにこなすのか。立ち会うだけでもドキドキしてしまいます。
当日、学生さんたちは朝早くから、大量の収録機材の搬入、カメラやケーブルなどの会場設置、そして収録コントロール卓の設営などに追われていました。公演開始が午後3時30分、その1時間前までにはスタンバイと収録チェックを終えなければならない。まさに「時間との競争」の作業です。以前の公演収録では、ギリギリまで追い込んだこともあったと聞きましたが、この日は大学院生や4年生の「収録経験者」もしっかりサポートして、午後2時には遅いお昼ご飯(弁当)を摂る余裕がありました。
この写真は公演直前の最終ミーティングの様子です。学生リーダーを中心に収録作業の確認が細かく行われています。私もテレビ局で何度も収録を経験してきましたが、真剣さと緊張感ではプロを上回っていた気がしました。
そして午後3時30分収録開始。収録コントロール卓では、カメラの映像を選ぶ「スイッチャー」の学生さんの両隣に、「公演進行」と「台本進行」担当の学生さんが陣取ります。「台本進行」の学生さんは、あらかじめ作っておいた曲進行に合わせた「カメラ割り台本」を曲の進行に合わせて読み上げ、スイッチャーとカメラマンに指示します。そして「公演進行」の学生さんは、実際の楽譜とオーケストラの進行を確認し、スイッチャーに指示を与えます。この学生さんは楽譜が読めることはもちろん、今日の公演の曲を完全に暗記していました。
私が後ろで「ひええええ」と感心していると、4年生が「みんな、毎日の厳しい収録の練習で曲は覚えちゃってますよ」と涼しい顔。確かに、撮影している3人の「カメラマン」だって、曲を暗記していなかったら、映像の画角(サイズや動き)を変えることはできません。クラシック音楽の公演収録をしたことがない私は、淡々と収録作業を進めていく学生さんたちのシステマティックな動きに圧倒されていました。休憩で、近くを通られたN響の楽団員の皆さんも、興味深そうにご覧になっていました。
収録後は「お疲れ様」を言う間もなく、すぐに撤収作業に入ります。重たい機材の運搬はもちろん、カメラ・ケーブルの撤収もテキパキと学生さんたちが中心になって進めます。テレビ局では分業が当たり前で、制作スタッフだった私は撤収作業を手伝おうとして技術スタッフから「事故ったら、誰が弁償するの!?」と怒鳴られた経験がありますが、お見事。「技術スタッフの華」といわれるケーブルの「八の字巻き」も上手にこなしていました(私はうまくできません)。
収録に携わった学生の皆さん、そしてご協力いただいたスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。編集も頑張ってね。(メディア学部、山脇伸介)