授業紹介

専門演習「CGアニメーション」2024年度前期作品の紹介

2025年2月21日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さんこんにちは。メディア学部 特任講師の川島です。
今回は、私の担当する専門演習「CGアニメーション」の取り組みについて紹介します。

この授業では、アニメーションのキー技術であるモーションキャプチャ技術を学び、それをフル活用した作品制作を行います。東京工科大学はプロレベルの大規模なモーションキャプチャスタジオを運用している数少ない大学の1つで、この授業ではその施設を活用し、実際にここで制作してきた劇場映画やゲームコンテンツの制作ノウハウを学ぶことができます。

この授業ではCGモデルの美術的な完成度の追求には時間をかけず、プロのセオリーを学んだうえでアニメーションにひたすらこだわります。そのため、ぱっと見のビジュアルは少し荒削りに見えるかもしれませんが、キャラクタの動きや、ストーリーを伝える工夫が凝らされています。そういった点に注目してみてください。
今週紹介してきた他の授業と同様に、こちらの授業でも後期の履修生たちはまだブラッシュアップを続けていますので、今回は前期授業の作品をとりあげます。
では、作品をどうぞ!

 

■ 魔法少女☆まほ / Mr.ぽるちーに
まほは魔法を使うのがちょっぴり苦手なドジっ子魔法少女!
公園で暴れている巨大なモンスター タイヤマン から子供たちを助けようと魔法で攻撃しようとするも失敗してしまい、タイヤマンに笑われてしまいます。怒ったまほは魔法で反撃...!ではなく拳で立ち向かいます。何度失敗しても諦めないまほの、ちょっぴり笑える可愛いバトルに、元気づけられてくれたら嬉しいです。

 

■魅惑の秘宝 / アーティファクト
呪いにより周りから差別を受けていた主人公は、その恨みから世界を破壊しようと伝説のアーティファクトの眠る遺跡へと足を踏み入れる。そこから繰り広げられる魔法剣を使用した主人公と、ランスと盾と触媒の力で戦う聖騎士とのバトルが展開されていくダークファンタジーバトルアクションという内容となっている。

 

■ 夏休みの補習 / お茶漬けおにぎり
夏休みに補習を受けているいたずら好きな生徒がいたずらに怒った先生と繰り広げるドタバタコメディーです。学生時代のいたずらを大胆に演出し、「笑いと懐かしい思い出を楽しんでもらいたい。」「因果応報やったことは必ず返ってくる。」というメッセージを伝えたいと思い作品を制作しました。アニメーションならではの動きやコミカルな演出を強調し、効果音にも力を入れました。ぜひご覧ください!

 

■ unMarionett / ばなななばななふらぺちぃの
小さな舞台で踊る二体のマリオネット、リベルテとフォントッシュはある日大きな舞台で踊るバレリーナのポスターを発見します。それに憧れたマリオネットの片割れリベルテは糸を引きちぎり舞台の外へと飛び出し、自由に踊り始めます。タイトルには自由になりたいというリベルテの強い意志が込められています。表現の楽しさ、現状から抜け出す勇気を伝えたいです。

2025年2月21日 (金)

プロジェクト演習「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース Unreal Engineチーム」2024年度前期 学生作品の紹介

2025年2月19日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さんこんにちは。メディア学部 特任講師の川島です。
この記事では、私の担当する演習授業のうち、「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース Unreal Engineチーム」の学生作品を紹介します。こちらの授業でも後期の履修生たちは4月の発表会に向けてブラッシュアップを続けていますので、今回は前期授業の作品をとりあげます。

 この授業は、先日ご紹介した「オリジナルCG演習アニメーション制作」「アドバンストCGアニメーション制作」のようなアニメーションを制作するのではなく、PlayStation™やNintendo Switch™の大型ゲームタイトル開発でも活用されているプロフェッショナル向けツールであるUnreal Engineを使った高度なゲームビジュアル表現技術について学ぶものです。後期は、ゲームビジュアル表現について学び始めて2期目の2年生と、4期目で最後のチーム制作を行う3年生がそれぞれのクラスで学んだことを活かしてグループワークに取り組みました。今回はブログ記事ということで動画を掲載していますが、すべての作品はゲームとして実際にプレイすることができます!

 

それでは、作品をどうぞ!

 

■ Tenacity / Project:Comet
Project:Cometです!
作品のタイトル「Tenacity」は日本語で「不撓不屈」「粘り強い」などの意味を持ちます。
この作品では、主人公の乗っている宇宙船がスペースデブリに当たってしまい、火災が発生したり、消火したと思ったらデブリに付着していた植物が大繁殖していたりする宇宙船から脱出するのがこのゲームの目標です。

皆さんは様々な困難に直面した時、どうしますか?
ぜひ、この作品の主人公のように、諦めず、不撓不屈の精神で挑むことの大切さを実感してほしいです!

 

■ うらのみち / NieR_Graphics2
 主人公である少女が神社の鳥居をくぐると、そこは自分の知らない不思議な世界。和風な建物が立ち並ぶ、どこか近代日本を思わせる街並み、そこに蔓延る、人ではない面妖な姿をした何か。どうやら、主人公は異世界で迷子になってしまった。
 自分の行く道を阻む物の怪、闇に引きずり込む怪異を潜り抜け、現実世界への脱出を目指す、3Dアドベンチャーゲーム。

 

■ グレドラムの花 / ~かけがえのないあなたに~ / グレドラム製作委員会
 おばあちゃんでもあり、師匠でもある人を助けるために、一人の少女は禁忌の地である山に生息するグレドラムの花を求めて駆け出しました。
少女にとって「かけがえのないあなた」のために。

そんな物語を、Unrealにて作り出す美しい世界で体感していただけたらなと思います。

 

■オトと奏の杜 / ぽんぽこもふもふ
 祭りの夜、和太鼓の音に導かれて迷子になった少年オト。霧に包まれた幻想的な世界で出会う我リスや巫女、様々な動物たちと共に、演奏の奉納を通じて帰り道を探す物語。オトは我リスの望みを叶え、巫女の提案に従いながら、楽器と演奏者を集めていく。やがて神社は賑やかな音で満たされ、祭りの雰囲気が広がる中、オトは再び母親と再会します。心温まる冒険をぜひ体験してください。

 

■ VerdantCelestialQuest / 鸛
 ウサギの獣人の少年のフェイが神鳥ソルに騎乗し、空を飛び、浮島や森林、そして大空を飛び回ることで自然を感じることができる作品です。フェイは、浮島の塔「アンブリアルの塔」が纏う邪気を払う為、ソルから受け取った剣「エーテリアル」に力を集め、邪気からなる結界を破壊し、邪気を晴らすために奔走します。

 

■ Pulmoa / おさかなぽてち
 海をただよっていた くらげさま は、遺跡となり果てたプルモア神殿をみつけました。神殿を美しい姿に甦らせるために、くらげさま は海中に散らばる月のかけら を集めにでかけます。

水面が生み出す光の美しさ、かわいい海の生きものたち、神秘的な世界観に浸りながら、隠されたストーリーを推測するロマンを味わってほしいです。

 

■ スイーツコレクト / しゅがーぽっと
 舞台はお菓子でつくられた世界。
主人公の女の子は、ホームパーティの準備中です。クッキーのお家を飾り付けるために、お菓子を集めているのです。
しかしそこには女の子のお菓子をねらう動物たちがいました。
そのため、動物たちを避けながらお菓子を集め、お家に持ち帰らなければいけません。
女の子は無事にお菓子を持ち帰ることができるのでしょうか。

2025年2月19日 (水)

プロジェクト演習「オリジナルCG演習アニメーション制作」「アドバンストCGアニメーション制作」2024年度前期 学生作品の紹介

2025年2月17日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さんこんにちは。メディア学部 特任講師の川島です。
今回は、私の担当する演習授業のうち、「オリジナルCG演習アニメーション制作」「アドバンストCGアニメーション制作」の学生作品を紹介します。後期授業が終わった時期ではあるものの、後期の履修生たちは4月の発表会に向けてブラッシュアップを続けていますので、今回は前期授業の作品をとりあげます。

プロジェクト演習は、メディア学部の特徴的な授業の1つです。さまざまな分野の専門スキルを1年次から3年次まで、実践的に学ぶことができます。CGクリエイター、ゲームクリエイターは競争率の高い人気の職業ですから、プロを目指す学生は、講義等から得る知識はもちろんのこと、在学中にプロに近い制作スキルを身に着けておく必要があります。

初心者向けの「オリジナルCGアニメーション制作」は、まずプロのCG制作の手順とソフトウェアオペレーションの基礎を学習し、15秒未満のショートアニメーション制作を通じて自身の適正を確認するための授業です。企画書や絵コンテの書き方など、独学では学べない知識についても学習します。さらに高いスキルを身につけたい学生は、2期目以降も「オリジナルCGアニメーション制作」を継続履修することもできますが、基本的には中級クラスである「アドバンストCGアニメーション制作」に進み、就職活動に対応できるレベルの技術習得と作品制作を継続していくイメージです。これらの授業をどのように履修していくかは履修生しだいですが、プロを目指すならば最低でも2カ年の実学ベースでのトレーニングが必要です。

 

それでは、作品をどうぞ!

 

■ LOOP / CONNECT:World
 登場人物は不思議な力を持つ時計の所有者、柳田洋一とその時計を狙う名もなき亡者です。舞台は洋一の部屋の中、洋一はソファの背もたれを掴み起き上がると、どこからともなく飛んできたナイフを冷静に避ける。扉から亡者が乗り込んでくるのを見た洋一は拳を構えた。亡者との激しい攻防の中、とうとう主人公は髪を掴まれ絶体絶命。しかし、その時不思議なことが起こった。この作品では息が止まるような至近距離の攻防戦ご注目ください。

 

■ Showdown / ロボット
 この作品はお互いのロボット(メシア)が対峙し、それぞれの領土と乗り手としてのプライドをかけた戦いが始まるがどうなるのか,という緊迫とした場面。美術設定はかなり手の込んだものになっているので、その美術設定が無駄にならないようにモデリングには時間をかけたので、そういった部分にも注目してみてほしい。また、編集し慣れたメンバーがつけてくれた効果音にも注目してほしい。

 

■ DoppelGunger / ThanK YoU
 自分と似姿をした敵と戦う、という独特な要素を原点に展開されるガンアクションショートムービーです。ただ銃撃戦を繰り広げているだけでなく、敵の特性をうまく活かした主人公の戦い方や、主人公の表情の変化や一つ一つの心理を表した動作、展開や演出の緩急、さらにSFチックなレーザー銃や手持ちプロジェクターなどから発せられる光の輝き方などを楽しんでいただければなと思います。

 

■ Candy can be friendship / チーム「WOW」
 この物語は、とある洞窟にやってきた探検家のリョウスケが、一人孤独であったお化けのマルと出会い、最後には二人がキャンディと宝石を交換することで仲良くなるという、心がほっこりする物語です。最も注目してもらいたいところは、キャラクターたちの表情の変化です。彼らが出会うことでどのように二人の表情が変化していくのかにご注目ください。

 

■ フリージアでの不思議な出会い / じゃじゃ味噌
 迷宮の森「フリージア」にて迷子になってしまった少年「ルーベン」。そんなルーベンの前に現れたのはフリージアに現れるとされる精霊の一人「リフラーシャ」だった。リフラーシャはルーベンの顔色を伺い、あることを思いつき持っている杖から魔法の粉を一振り。ルーベンがふと顔を上げると目の前にはフリージアの花の道が奥まで広がっていた。リフラーシャ付いてくるように腕を引っ張る。ルーベンは元居た場所に帰れるかもしれない期待を込めて付いていった。

 

■ magier / ビウイッチ
 敵であるピエロに挑む主人公ヘルドの戦闘シーンを作りました。ヘルドがピエロの魔法によって杖が折れてしまいますが、煙でピエロから自分を見えないようにすることで倒すというあらすじです。ピエロの魔法がヘルドに当たってからは一瞬の間に様々なことが起こることを場面を変えることや1カットの時間を多くとらないことで切迫感のある演出にしました。

 

■ 妖退治譚 / フューチャー・アニメーション
 この作品は、10代から20代を中心にして作った作品で、妖怪退治を生業とする男が、退治依頼のあった鬼を退治する物語です。物語の舞台は暗い森の中。そこで繰り広げられる鬼と男のスピーディーで緊張感のあふれる戦闘がこの作品の特徴です。最初は男が鬼に対して油断してしまいますが、男が力を開放し、鬼を瞬殺するシーンが一番の見所です。短い作品ではありますが、非常に見応えのあるかっこいい作品になったと思います。

 

■ Veggie Rampage / パティスリー&ファイブ
 料理人である主人公。ロディはポタージュの開発に行き詰まり野菜に八つ当たりをしてしまう。そして、転んで気を失ったロディはとんでもない夢を見ることになる。果たしてロディは美味しいポタージュを作ることができるのか。
料理人と野菜たちのどたばたとしたアニメーションや、野菜や肌の質感、液体表現にもこだわって制作しました!楽しんでいただけたら幸いです!

 

■ こるると信楽焼の調薬のすゝめ / ひみつのはるまき
 人が立ち入らない森の中にある忍者の里。人間に憧れる者が多くいるこの里では人間社会に忍び込み、人間の生活を学ぶことを目標にしている。たぬきのこるるときつねのゆきは忍者見習いとして日々修行をつみ、人間社会に忍び込むことを目標に完璧に人に化けられる薬の研究を行っている。しかしある日、少し抜けているところがあり、調薬が苦手なこるるは大きな失敗をしてしまう。そんなこるるが信楽焼との不思議な交流によって成長していくお話し。

 

■ 怪盗シャルムと奇跡の青薔薇 / ブルーローズ
 世界に名を馳せる(予定の)怪盗シャルムは、今日も「不可能を可能に」という信条の下、華麗に(?)お宝を盗みだす。
本日のお目当ては、中世の凄腕の宝石職人が作り出したといわれる、伝説の宝石「ブルーローズ」。
シャルムの逃走劇がここに幕を開ける―。
かっこいいけどやっぱり締まらない、まだまだ半人前な怪盗シャルムとポンコツ警備ロボットの
華麗で、たまにドタバタなアクションをお楽しみください。

 

■ Ice Adventure / あにまるず
 この作品は冒険が好きな主人公エマが北極に冒険に行くお話です。ドキドキ感や、笑顔になるような演出で視聴者の心をつかむような物語になるようにストーリー構成を行いました。
アニメーションやライティング、モデルもかわいくでき、世界観も大事にできたアニメーションです。

2025年2月17日 (月)

先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」(その3)

2024年11月 8日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

本シリーズの最後となる3回目は、受講生の研究をご紹介します。

これまで本ブログで紹介した先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」 での取り組みは、その2のような機材体験でした。下記の過去記事もご興味がありましたら、ぜひご覧ください。

 ■先端メディア学/ゼミナール(ミュージック・アナリシス&クリエイション)で「打ち込み」に打ち込みました[2019.12.21]
 ■授業紹介:1980年代のハードシーケンサーへのデータ入力[準備編][2021.11.30]
 ■授業紹介:1980年代のハードシーケンサーへのデータ入力[実践編][2021.12.04]


その1に書きましたが、先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」の受講生は2017年度前期の開講から2024年度前期までで32名を数えます。授業名の通り「楽曲分析」「音楽制作」を行う学生が多く、今年度前期の受講生は以下のようなテーマでした。
(★のテーマの学生は現在、私の研究室に所属して新たな研究テーマに取り組んでいます)

 ★ボーカロイド楽曲「まにまに」は何故ヒットしたのか(3年生)
 ★ドラマ内における音楽とセリフの関係の分析:
  ①ドラマ『アンサング・シンデレラ』 ②ドラマ『silent』(3年生)
 ★木管五重奏への編曲:
  Valkyrie「Le temps des fleurs」【「あんさんぶるスターズ!!」より】(3年生)
 ■ヨルシカの楽曲分析とそれに基づく楽曲制作:
  ①「思想犯」【アルバム『盗作』より】 ②「嘘月」【EP『創作』より】(3年生)
 ■「オープンコードを用いたギター演奏において、コードトーンの高音域に
  一貫した押弦箇所が存在するコード進行」の歴史的変遷の調査(2年生)


そして、この後期に受講している3名の学生はいずれも、これまでとは一味違ったユニークなテーマを掲げています。現在取り組んでいる研究について学生たちにコメントしてもらいましたのでご紹介しましょう。


【Aさん】(2年生)

私は「病みカルチャーと音楽の関連性」について研究を行っています。

現在、Z世代の若者を中心に「病みカルチャー」が流行しています。これは、メンタルの不調や自己肯定感の低さをあえて表出させたサブカルチャーであり、ファンションやSNS上でのコミュニティなど様々な場面で波及しています。有名な例では「地雷系ファッション」「トー横界隈」が挙げられるでしょう。

病みカルチャーは音楽とも大きな関わりがあります。そして、これらの音楽には、カルチャー独自の特徴があるのではないかと私は考えました。

そこで、病みカルチャー内で流行している楽曲を調査し、これらの共通点の考察に取り組んでいます。このカルチャーは現在進行形で発展しているため、文献調査はもちろん、SNSを活用した情報収集も欠かせません。

今後の最終発表では、病みカルチャーに関連する音楽の特徴について結論づけ、音楽という視点から、若者のサブカルチャーが今後どのように発展していくのか考察したいと考えています。

日本の新しいサブカルチャーを深掘りする、意義のある研究にできるよう努めたいと思います。

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【Tさん】(1年生)

私は、自分自身がバレエを習っていた経験から「バレエ音楽と振付の関係性」についての研究に取り組んでいます。

バレエを完成させるには音楽と踊りの調和をとることが非常に重要です。そこで、音楽を体で表現するにはどのようなことが大切なのか、バレエ音楽の楽譜の解析や使用されている楽器の調査、また、振付に組み込まれている「パ」(ステップ)の種類や意味を考え、それらを照らし合わせて分析を行います。

今回は「『コッペリア』第1幕よりスワニルダのバリエーション」を研究対象としています。

この研究を通して、踊りと音楽の調和のとり方を考え、振り付けに込められた意味を理解することで表現力の向上につなげると共に、自分自身も楽しく、より美しく踊ることができると考えています。

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【Mさん】(1年生)

私は今回、SQUARE ENIXが手掛けたゲーム『NieR:Automata』のフィールドBGMである『遊園施設』の楽曲分析を行っています。このタイトルは大学でゲームサウンドを学びたいと思ったきっかけでもあり、毎日四苦八苦しつつ楽しく分析しています。

調査としては、インタビュー記事や感想記事などを読んで、制作面での楽曲意図を考察しました。現在はAIによるアプリケーションを使用して音源分離し、自身でスコアに起こして曲構成を分析するなど、様々な側面からの調査を行っています。

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当講義を共に受講する仲間たちや先生からの質問やアドバイスも研究の良き刺激となっています。これから、この楽曲がゲーム作品にどのような影響をもたらしているのか紐解いていくのが楽しみです。

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今後、それぞれの研究がどのように展開していくか楽しみです。


(メディア学部:伊藤謙一郎)

2024年11月 8日 (金)

先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」(その2)

2024年11月 6日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」の紹介の第2回は「シンセサイザー体験」です。

皆さんは、シンセサイザー(synthesizer)を知っていますか? 実際に触れたことがなくても、名前を聞いたり実物を見たりしたことがある方は多いと思います。音楽制作や楽器演奏を趣味にしている方は、ソフトシンセサイザーやハードの機材を持っているかもしれませんね。

では、シンセサイザーの語源はご存知でしょうか?

これは英語のsynthesize(合成する)が元になっています。ですから、シンセサイザーは「音(音色)を電子的に合成して作る楽器」と言えるでしょう。

シンセサイザーの中には、ピアノや弦楽器、管楽器、もちろんシンセサイザーならではの電子的な音も含めて、あらかじめ用意(プリセット)されているものもあります。

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 楽器のカテゴリを選ぶダイヤル部分    カテゴリ内の多様な音色が選べます    プリセット型は外観が比較的シンプル

ですから、プリセットボタンやダイヤルを回せばすぐに「いろいろな音が出る楽器」と思われがちですが、本来は「ユーザーが自ら音を作る楽器」なのです。
(もちろん、プリセット機能のあるシンセサイザーも、プリセット音のエディットやゼロの状態から音の作成が可能です)

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 ツマミやスイッチを動かして音作り   VCFの設定で音色が大きく変化します    作った音を記憶して呼び出せます

こうしたシンセサイザーの原点に立ち返り、先週の授業では学生たちがアナログシンセサイザーでの音作りを体験しました。

どの学生もアナログシンセサイザーに触れるのは初めてということで、まず最初に音作りの基本原理(VCO, VCF, VCA)を説明しました。しかし、イメージした音を初心者が作るのは、やはり難しいので、製品マニュアルに掲載されているセッティングチャート(その音色を作るためのツマミの位置や配線方法を指示したイラスト)を見ながら音作りを行いました。

このセッティングチャートには、「トランペット」「ヴァイオリン」「オルガン」「ベース」「ハイハット」などの楽器音のほか、「サイレン」「嵐」「光線銃」「流れ星」といった音の作り方が書かれています。実際の「流れ星」に音はありませんが、セッティングチャート通りに作って聴いたところ、全員揃って「なるほど〜」と納得の声を上げました。
(昔のアニメのシーンで耳にするような効果音です。イメージできますか?)

今回使用したシンセサイザーは、コルグ「MS-20 mini」シーケンシャルサーキット「Prophet-5(ver.3.3)」ローランド「JUPITER-4」の3台です。いずれもたくさんのツマミやスイッチがあり、それらを動かすときの感触も新鮮だったようです。
(これら3台は、そっくりに作られたソフトウェアシンセサイザーもあります)

以下の写真はその時の様子です。(音をお聞かせできないのが残念です…)


【MS-20 mini】
(1978年に発売された「MS-20」の復刻版です。モノフォニックなので和音は出ません。本体右側に配置された端子どうしをパッチケーブルで接続すると、より複雑な音色を作成できます)

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セッティングチャートを見ながら音作り   パッチケーブルを繋いでいるところ     ちょっとした加減で音色が大きく変化


【Prophet-5(ver.3.3)】
(1978年から1984年にかけて製造され、ver.3.3はその最終型です。2020年からはver.4が販売されています。5音ポリフォニックで、ver.3.3は作成した音色の記憶数が40から120に拡張されています)

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黒のパネルと天然木を組み合わせた本体  機材の状態が悪く、この日はここで断念…


【Jupiter-4】
(1978年に発売された4音ポリフォニックで8つの音色を記憶できるシンセサイザーです。自動アルペジオ機能が搭載されています)

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 横一列に配置された扱い易いツマミ類    音色が大きく変わるVCFの数値を調整中   VCAで音の立ち上がりと持続を設定



最後に、学生たちの感想をご紹介します。


【Aさん】(2年生)
それぞれの機種によって音の特徴が大きく異なっていたことが興味深かったです。
例えば、管楽器を模した音作りをした際、どの機種も同じ音が出るわけではないのです。無限大の音が作り出せる一方で、機種によって音の「クセ」があるからこそ、シンセサイザーの音作りはより奥深いものになり、より音作りの可能性が広がるのではないかと思いました。


【Tさん】(1年生)
つまみの役割などを考えながらシンセサイザーをしっかり触ることは初めてでしたが、音源となるものによって音階がつかないものもあり、実際に考えながら触ってみることで新たな発見ができて非常に面白かったです。一つの音を作るにも多くの工夫がされていて音作りの奥深さを感じました。
さらに、この機械一つで無限の音色が出るということに魅力を感じました。Prophet-5、Jupiter-4はMS-20 miniとはまた違い、ケーブルがなく、つまみやスイッチだけで非常に多くの変化があって驚きました。今はパソコンを少しいじればどんな音色も作れますが、当時はつまみの微妙な違いで音色に変化をつけていたと考えると感慨深いです。


【Mさん】(1年生)
実際につまみを回したり、スライドさせることで音が変化するので、音を作っているという実感が得られました。つまみの特性を知ることで、音の可能性が無限に広がるのがとても興味深かったです。



この授業では、今後もさまざまな体験の場を設けていきます。


(メディア学部:伊藤謙一郎)

2024年11月 6日 (水)

先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」(その1)

2024年11月 4日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部の伊藤謙一郎です。

本日から3回にわたって、先端メディア学・ゼミナール「ミュージック・アナリシス&クリエイション」についてご紹介します。

先端メディア学(1年次後期・2年次前期)は2016年に、先端メディアゼミナール(2年次後期・3年次前期)は2017年にスタートした少人数のゼミ形式の科目です。2024年度は、17名の教員がそれぞれ専門とする分野での研究指導や制作指導を行なっています。先端メディア学・ゼミナールの概要はこちらをご覧ください。

私は2017年度前期に先端メディア学を開講し、今年で8年目となりました。これまで32名が受講し、うち18名が私の卒業研究「ミュージック・アナリシス&クリエイション」に進んでいます。さらに大学院に進学して専門的な研究に取り組む学生も6名おり(現在1名在籍)、その中には1年次後期から3年次前期まで全て受講した学生もいます。音楽に特に強い興味をもつ学生が集まり、自身の研究テーマだけでなく音楽に関する話題について学生たちが自由にディスカッションする雰囲気が私自身とても好きですし、そうした中で学生から学ぶこともあってとても刺激的な時間です。

毎回の「学生の研究進捗報告」「音楽関連の映像資料視聴(または音楽鑑賞)」のほか、たまに「体験コーナー」なるものを設けることもあります。科目名の「先端」にとらわれず、最新の物事だけでなく、それらが歴史的にどのようなプロセスを経て現在に至ったかを実体験を通して考えることで、今日の音楽表現やテクノロジーを新たな視点で捉えることができるでしょう。

例えば「カセットテープ」。CDの出現によって姿を消しつつあったレコードが数年前に再び流行し、アーティストが新譜をサブスクやCDだけでなくレコードでもリリースしたことで話題となりましたが、最近はカセットテープでもリリースされるものもあります。10代、20代の若い皆さんは、「カセットテープ」という名前を聞いたことはあっても実際にその音を耳にしたことがある方は少ないのではないでしょうか。好きなアーティストのカセットテープを買ったとしても、それを聴くための機材や環境がないと難しいですよね。

ちなみに私の自宅ではカセットデッキが今でも現役で、中学から大学にかけてエアチェック(ラジオ番組などを生テープに録音することで、タイヤの空気圧のチェックではありません)したカセットテープが700本ほどあります。写真はその機材とカセットテープの一部です。
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私の研究室にもカセットデッキがあり、この機材はカセットテープブームが起こるより前に購入したものです。
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先日の第4回(10月17日)の授業では、この「カセットテープ」を取り上げ、カセットテープに録音された音を実際に学生たちに聴いてもらいました。聴いたのは、小林克也さんがDJを務める『渡辺貞夫 マイ・ディア・ライフ』というラジオ番組で、1985年1月5日(土)に放送された『最新ピットイン・ライヴ1』から「ランデヴー」という曲です。(※ライヴハウス「六本木ピットイン」は今から20年前の2004年7月に閉店しています)

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学生たちは一様に「すごく音が良い!」と驚いていました。演奏だけでなくライヴ会場全体の音も収録されていて、まるで会場の中にいるような臨場感を味わったようです(その音をブログでお伝えできないのが残念です)。生まれて初めてカセットテープを手にした学生もいて、このようなアナログなものから厚みのある豊かな響きがすることにびっくりしていました。渡辺貞夫さん(今年で御年91歳!)の温かなサックスの音色にも感動したようです。

上の写真を見ての通り、カセットのインデックスは「週間FM」というFM雑誌のもの、そしてエアチェック情報は全て手書きです(高校1年生のときの字)。こうしたカセットテープが今も700本近くあり、どれも思い出があって捨てられずにいます。
(最近、カセットテープが再び増えてきたので保管用の木製ラックを新たに入手しました)

次回は「シンセサイザー体験」をご紹介します。


(メディア学部:伊藤謙一郎)

2024年11月 4日 (月)

エスカレーターの片側空けという社会課題とプロジェクト演習「企業・団体のプロモーション技法」による解決案

2024年10月25日 (金) 投稿者: メディア技術コース

全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。健康メディアデザイン研究室では、人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、研究者本人を健康にして、その成果を多くの人たちに役立てて、健康改善するための提案や健康アプリを制作するといった研究を行っています。

今回は、千種が企画実施しているプロジェクト演習に「企業・団体のプロモーション技法」という演習科目の1コマで実施した、『
エスカレーターの片側空けという習慣から2列並びを習慣化へ転換する』という100分の演習授業を紹介したいと思います。

まずポスターデザインのテーマとして取り上げたエスカレーターの片側空け問題は、安全面や効率性といった観点から、長年議論されてきた社会課題です。東日本では左側に立って、右側を空ける習慣があり、西日本では右側に立って、左側を空ける習慣があるなど、その地域性も問題になることがあります。最近、ニュースでも見聞きすることが増えた、多くの駅や施設で「2列に並んで立ちましょう」という呼びかけが強化されていますが、依然として習慣を変えることまでは到達していません。

片側空けは、エスカレーターの構造上、転倒のリスクを高める可能性があります。特に、急な停止時や、小さなお子様や高齢者にとっては大きな危険因子となります。また、急いでいる人にとっては、片側を歩いて移動することで時短ができるので、2列に並ぶことは時間の無駄に感じられることがあります。

2列に並ぶことで、転倒のリスクを軽減し、横に並んで手をつなぐなどにより、より安全な利用が可能となります。さらに、ポスターや動画を活用して、駅や施設に分かりやすいポスターや動画を掲示し、2列に並ぶことの重要性を周知徹底します。

片側を空けることで、エスカレーターの収容人数が減り、混雑を招く原因となります。さらに、片側空けによってエスカレーターにかかる荷重が片側に偏り、長期的に機械に負担をかけます。

2列に並ぶことで、エスカレーターの収容人数が増え、混雑緩和に繋がります。そして両側に均等に荷重がかかることで、エスカレーターの耐久性が保たれ、メンテナンスコストや修理の頻度が減少します。

片側空けがマナーとなっていると、それを守らないと周囲への配慮が欠如しているという印象を与え、社会全体のモラル低下につながる可能性があります。

2列に並ぶことがマナー化すると、上に記載したように周囲への配慮を促したエスカレーター利用が実現され、社会全体のモラル向上に貢献します。

上記の観点からエスカレーターの2列並びが推奨されているわけですが、それを転換するためにポスターデザインを使用することにしました。

ポスターデザインに使用するキャッチコピーを決める必要がありますが、ここでは最近多方面で活用されているChatGPTを使用します。『大学生向けのエスカレーターを2列で乗るためのキャッチコピーを10件』とプロンプトに入力すると以下の10件のキャッチコピーが出力されます。

  • 「急がず2列で、安全な未来を歩こう。」
  • 「みんなで並んで、安心と効率アップ!」
  • 「2列でゆっくり、エスカレーターも長持ち。」
  • 「急ぐより大切なこと、安全第一で2列並び!」
  • 「安全に進もう、2列でできるスマートな選択。」
  • 「2列並びで、みんながスムーズに移動できる。」
  • 「2列並びは新常識、仲間と一緒に安全を守ろう!」
  • 「エスカレーターもチームプレイ、2列でスムーズに。」
  • 「急ぐ前に考えよう、安全と協力の2列ルール。」
  • 「未来のための一歩、2列並びでエスカレーターを守ろう。」

「さらに10件」と入力すると、

  • 「2列でゆっくり進もう、みんなの安全が最優先。」
  • 「スピードよりも安全、2列並びで安心移動!」
  • 「エスカレーターは2列が基本、みんなでスムーズに進もう。」
  • 「安全な未来は2列から、今日から始める新ルール。」
  • 「片側空けはもう古い!新しい常識、2列でゆっくり。」
  • 「一緒に並んで、エスカレーターもみんなも快適に。」
  • 「2列で乗る、それが賢い選択。」
  • 「急ぐ気持ちを抑えて、2列で安全にゴールしよう!」
  • 「2列のマナー、未来の自分にもやさしい選択。」
  • 「みんなで作ろう、安全と安心の2列文化。」

と簡単に20件のキャッチコピーが出来上がります。受講している学生たちは各自自分のイメージしているキャッチコピーもしくはその修正版などを用いて、60分間でデザインツールのcanvaを用いてポスターデザインを作成します。

レビューの際に提示され秀逸な完成度であったのが、この演習で使用するcanvaによるデザインを初めて1か月の1年生の菅原歩音さんです。最初に提出されたデザインは以下のようなものでした。高校時代にSDGsの総合学習で同様の課題に取り組んだことがあり、その時のアイデアをポスターデザインにしたものが作成したデザイン案でした。

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この演習の特徴として、デザイン企業の社長である早川氏が演習講師を勤め、全員のデザイン案に対して、一人ひとりにデザインレビューを行ない、修正のアドバイスをすることです。他の学生からも毎回、感想コメントをもらって参考にします。

菅原さんのデザインレビューの際、キャッチコピーをもっと読んでもらうため、横書きのキャッチコピーを縦書きにして、さらに右上から左下への視線を意識した修正案にしました。余白のスペースも適度に埋まって全体としてバランスの良い仕上がりになりました。

以上、きわめて学修効果の高い「企業・団体のプロモーション技法」というプロジェクト演習の紹介でした。

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2024年10月25日 (金)

グローバルメディアの誕生 3.AIと偽情報

2024年10月11日 (金) 投稿者: メディア社会コース

グローバルメディアの誕生の歴史について紹介してきました。200年近い歴史を持つ世界最大の通信社の数社のもつ影響力は絶大でありました。

現在でも世界各国の新聞社がその信頼性のためにこれらの通信社と提携し対価を支払い情報収集を行っています。

しかし、歴史的信用に基づく信頼もAIの出現により大きく揺らぎつつあります。世界ではAIを使った偽情報をインターネット上に

流すことが容易な時代になりました。現在、2024年11月に行われる、米大統領選に向け中・ロ・イランはAIをつかった偽情報の拡散を画策しているという記事が10月3日付け ロイター記事に掲載されています。このように、戦争の形態もいよいよ、メディアとAIを活用した戦略的な情報戦争が行われるようになったのです。ロイター社も誤報検証システム部門を立ち上げています。しかし、これはいみじくも、ロイター社自身の情報配信の信用も、問われる時代に突入したことの現れに他ありません。ロイター社自体が個人所有企業である限り、バイアスは否めないという視点からそのように言えるでしょう。

文責:飯沼瑞穂

 

 

2024年10月11日 (金)

グローバルメディア誕生の歴史 2.

2024年10月 9日 (水) 投稿者: メディア社会コース

日々我々がマスメディアを通じて目にする、グローバルニュース映像や、新聞に掲載される写真の数々は多くの場合世界最大の通信社を通じて

配信されています。

通信社は、在籍する記者が様々な情報を取材し、それを記事の形にして各媒体や企業、組織などに配信する役割を担います。各媒体に含まれるのは、新聞社、放送局(テレビ・ラジオ)です。通信社は、記事を提供する対価として得るお金が主な収入源となっています。

通信社も新聞社も、様々な分野を取材する記者を擁しているという点は共通しています。通信社と新聞社の決定的な違いは、自社の媒体の有無です。

歴史と権威があるとされる世界最大の通信社、ロイター社、AP通信やAFP通信などが配信するニュースを元に、提携先の世界各国の新聞社などが記事を独自媒体を通じて掲載することにより、情報は消費されています。国内で目にする世界のニュースの多くは、世界大手の通信社を通じて提供されており、提携している各国の新聞社や放送局が、提供された情報を独自の媒体、新聞によって流していることが、グローバルニュースの単一化の原因の一つです。国内の大手新聞の多くに掲載されている、写真の提供元をみると、世界大手通信社の名前が記載されていることを

見たことがあると思います。このように、我々が国内で読む世界ニュースの記事や、そこに掲載されている写真の数々は前回、ブログでお話をした

19世紀後半に設立したヨーロッパの端を発する通信社のものを起用することが慣例となっている例は少なくないのです。

文責:飯沼瑞穂

 

2024年10月 9日 (水)

グローバルメディア誕生の歴史 1.

2024年10月 7日 (月) 投稿者: メディア社会コース

メディアのグローバル化によって現在では、ありとあらゆる情報が様々な形で発信、共有されるようになりました。グローバルメディアとは、地球規模のコミュニケーションとそれを支えるテクノロジーを指します。世界規模の通信産業はグローバルメディアの基盤として存在しており、SNSやインターネットなどは地球規模のコミュニケーションを支える媒体ともいえるでしょう。

メディア学部で開講されているグローバルメディア論は、このようなグローバルメディアを客観的に分析する力を身に着けることを目的とした授業です。

現在のグローバルメディアの基盤が形作られた経緯と、歴史を知ることは、我々が目にするニュースの背景をより正確に理解する上で役立ちます。

グローバルメディアの基盤である世界の通信産業は19世紀後半から20世紀初頭に、形成されました。具体的には、ロイター通信、AP通信、AFP通信などの世界最大の通信社です。その中でもロイター社は1851年にユダヤ系 ドイツ人のロイターが設立しました。ロイター社は1851年に英仏海峡の海底ケーブルを活用し迅速なニュースの集配で信頼を築き、ロンドンを中心に金融情報を各地に配信しました。

現在でも、この時代に築かれた世界各国の通信拠点はグローバルなニュース配信拠点として活用されています。インターネットの海底ケーブルの基盤もこの頃、築かれたインフラストラクチャーを基礎として構築、開発されてきたものです。よって、過去200年の歴史を語ることなしに、グローバルメディアの性質や特性、更にはそのバイアスについて意識することは難しいでしょう。

文責:飯沼瑞穂

 

2024年10月 7日 (月)

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