授業紹介

2020年度 卒業研究発表会

2021年2月19日 (金) 投稿者: メディア技術コース

2月始めに卒業研究発表会を行いました。例年、羽田先生の研究室で合同でポスター発表形式で行っていますが、今年度は学部の方針でオンラインで行うことになりました。前期末にも中間発表会をオンラインで行いました。両方ともポスター発表で行う予定だったものを、オンラインで形式をなんとか真似て開催いたしました。前後期で違う方法で開催したのですが、それぞれポスター発表としてのプロセスを模擬することができたのではないかと思いました。

 

前期は、ClusterというVR環境を利用したSNSのツールを利用して、3次元空間のポスター発表会場を用意しました。メイン会場から個々のポスターの部屋へワープするような仕掛けを用意して、参加者は好きな発表の部屋に自由に赴き、自由に退出するということができるようにしました。今回は戀津先生が作成されたGoogle Meetを利用したシステムを利用させてもらいました(戀津先生、ありがとうございました)。ウェブのページにポスターの一覧が提示されており、個別のポスターをクリックするとダイアログがポップアップし、発表者と議論するためのMeetのセッションに入るためのリンクと、卒業論文のPDFを閲覧するリンクが示されるようになっています。個々の発表を聞く環境はリモートミーティングそのものですが、自由に各ポスターの発表に入ったり出たりできるプロセスはやはり通常のポスター発表と同じことが実現されています。また、それぞれの発表にその時何名参加しているかが表示されていることも、実際のポスター発表で人が多いところが面白そうと思って行ってみたり、少ないところはすぐに話が聞けそうと思って行ってみたりすることが同じようにできました。

 

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      各ポスター発表への入り口に相当するページ

 

2つの研究室合同で行っているなかで、他の研究室学生の発表についてレビューアーとして対応する必要があったので、全体で参加者がどのように過ごしているかを観察している余裕があまりありませんでしたが、下級生も含めて60名程度の学生が参加してくれていたようです。例年であれば、ポスターだけでなく研究内容のデモをその場にシステムを配置して見せることを行っているのですが、さすがに今回はそれができなかったため、動画を用意するようなことで対応せざるを得ませんでした。この点は少し残念なところですね。発表会のはじめには参加者全体で一つのZoomのセッションに集まり、それぞれの研究を30秒で宣伝?するファストフォワードというものを行い、その後、それぞれのポスター発表に散っていきました。

 

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       ポスターを拡大して見たところ

 

今年度は、今回の卒研発表会を含めて色々なものが例年と異なる方法を取ることになりました。来年度に完全に元に戻るということも難しいかもしれません。ということで、今回のような試みをうまく混ぜていきながら、さらに新しい方法を模索していくことが必要になっていくのでしょう。

 

 

太田高志

2021年2月19日 (金)

2020年度シナリオアナリシスを終えて

2021年2月13日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

新しいことだらけだった2020年度の授業もおわり,ここ最近は教員的には成績付けなどをやる時期でした.
一口に成績付けといっても,授業によってやること,みるものは様々です.そんな中,私が担当しているプロジェクト演習「シナリオアナリシス 」と「デジタルキャラクターメイキング」では最終課題が学生のみなさんが様々な苦しみを乗り越えて作り上げた作品ですので,それらを読むのは毎年の楽しみでもあります.

さて,今年のシナリオアナリシスは以前にも書きましたが,履修・聴講を含めて受講者が例年にくらべて多い1年になりました.
これは授業内でとったアンケートを見る限り,やはり「遠隔から参加可能だった」という理由が大きいように思います.
この演習は,私や演習講師の先生の都合上,どうしても夜の開催になってしまいます.受講するために前提となる条件や選抜がなく聴講もOKで,シナリオという様々なコンテンツに幅広く関わる要素を扱うため,比較的間口の広い演習である一方,通学に時間がかかる方が参加しづらい状態になっていることはいなめません.
したがって,完全遠隔で受講可能な今年度は,今まで参加を見送っていた層の方々が受講してくれたのかなと思います.

そして受講生に1年生をはじめ,新規で受講する方が非常に多く,前年度から継続して受講している方の割合が低かったのも,例年にはなかった今年度の特徴です.
例年のシナリオアナリシスは,前期にいわゆる「お勉強回」の時間を多めにとり,特に初心者の方に向けて基礎練習を多めに行っています.そして後期は前期の内容を踏まえて,オリジナルシナリオ執筆に多くの時間を使えるように構成しています.
ただ今年度は,後期から初めて受講する方もかなり多かったため,結果的にシナリオを書き上げた方は居らず,全員がその前段階であるプロット制作に時間をかけて取り組むことになりました.
前述した「個人的な楽しみ」という点では正直ちょっと残念ではあるのですが,物語の根幹を作るプロット執筆の練習に時間をかけることは決して悪いことではありません.

来年度も基本的には例年通り前期は基礎をしっかりおさえて,後期は比較的自由に作品制作を行うという方針は変えないつもりではあります.しかし,例年以上に様々な条件・習熟の程度が異なる方が参加するようになってきていますので,演習ももう少しレベル別にやれることを変える工夫などを盛り込もうという話を教員間でしています.
今年度,プロットまでしか仕上げられなかった受講生の皆さんには,是非来年度も受講していただいて,シナリオまで仕上げてほしいなと思っています.

(文責:兼松祥央)

2021年2月13日 (土)

「音楽創作論」での作曲(その2):曲が完成しました!

2021年2月10日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤謙一郎です。

前回の記事で「作曲予定」とお伝えしていた曲が完成し、授業の最終回でお披露目しました。その際、履修生たちが視聴したMuseScoreの楽譜を動画にしましたので、ぜひご覧ください。
(※下の画面内、あるいは時間表示の左側の▶︎をクリックすると再生が始まります)


メインのメロディ冒頭の動機(モティーフ)は履修生のE君とT君によるもので、この動機が作られるまでの過程も前回の記事に詳しく書いていますので、お読みいただければと思います。

曲を作るにあたって、お二人からの要望は次のようなものでした。

 【E君】
 ・テンポはBPM=120
 ・曲調はフュージョンっぽく

 【T君】
 ・最初の動機(第1動機)に続く第3〜4小節の動機(第2動機)の形態はA´


上記3点を念頭に、まずは曲のスケッチに入りました。以下はそのスケッチの全貌です。(※あくまで自身のための作曲メモなので、お見苦しい点はご容赦ください)
Sketch01


このスケッチをもとに、イメージを膨らませながらMuseScoreに音を埋めていきました。最終的に次のような楽曲構成になりました。

Next-step

ご覧の通り、E君とT君が考案したフレーズが含まれる「Aメロ」と、私が独自に作った「Bメロ」「Cメロ」の3つのメロディ、そしてイントロと2つの間奏(※どちらもイントロを転用したもの)から構成されます。また「´」の記号は、元のメロディが部分的に変化していることを示します。

これらの各セクションを踏まえて俯瞰すると、「Aメロ」と「Bメロ」の組み合わせで構成される部分(AおよびA')と、「Cメロ」と間奏で構成される部分(B)に区分され、A−B−A' という大きく3つの部分から構成されていることがお分かりいただけると思います。また、ちょうど中間の「Cメロ」はゆったりとした静かな曲調で、前後の部分と大きなコントラストがつけられています。テンポはBPM=120のままですが、リズムの基本音価(音の長さ)を2倍にとることで、あたかも半分のテンポ(BPM=60)になっているような効果を生み出しています。

次に、各メロディの冒頭の動機について説明しましょう。


まず「Aメロ」です。

Motif_1

すでに説明した通り、第1〜2小節はE君とT君それぞれが作った部分動機から構成されています。跳躍進行で上行するE君のフレーズに対して、T君は逆の要素、つまり順次進行で下行するフレーズを考えました。一方、共通点としてはどちらの部分動機も強拍(第1拍)が休符になっている点が挙げられます。この動機を「第1動機」としましょう。

この「第1動機」を踏まえて、次のような「第2動機」(第3〜4小節)を作りました。

Motif_2

T君が希望した形態は「A´」でしたので、第3小節はE君のフレーズにしつつ、第4小節に変化を入れてみました。順次進行で下行する流れは第2小節に似ているものの、表拍に16分休符、裏拍に16分音符が置かれたシンコペーションのリズムによって、躍動感や切迫感はさらに増しています。


次は「Bメロ」です。

Motif_3

複数のメロディを作る際の常套手段ですが、ここでは前のAメロと対比的な要素や、無かった要素を盛り込みました。Bメロの「第1動機」の始まりには、順次進行で下行するフレーズが置かれています。跳躍進行で上行するAメロとは真逆ですね。しかも出だしは強拍から始まっており、この点は特に大きなコントラストになっています。

また、「第1動機」と「第2動機」の音の方向性(上行・下行)に注目すると、互いに相反していることがお分かりいただけると思います。この「第1動機」を「原形」とすると、「第2動機」は「反行形」になります。桃色の点線で示したようにリズムは完全に一致しており、こうした点も「Aメロ」には無かった構成と言えるでしょう。

ところで、先ほどの動画をご覧になって、「Bメロ」が鳴っているセクションで「Aメロ」の断片が部分的に組み合わせられていることに気づかれた方も多いのではないでしょうか? つまり「Bメロ」は、メロディの形態としては「Aメロ」とコントラストを持ちつつ、「Aメロ」と垂直的に違和感なく結合する親和性も持っているのです。このように、独立的なメロディを複数組み合わせつつ音楽的に調和させる技法を「対位法」と言います。

なお、楽曲構成の説明の便宜上「Bメロ」としましたが、セクションとしては「サビ」のような雰囲気を醸しています。実際、曲の終盤では繰り返しがあったり演奏パートが増えたりして大きな盛り上がりを作ります。


次は「Cメロ」です。

Motif_4

「Aメロ」「Bメロ」のように上行・下行といった音の進行の方向性を持たず、水平的な動きが中心です。また、全音符から始まるメロディは、これまでの躍動感あふれる音楽からの移行を強く印象づけるものでしょう。前述の通り、セクション全体でリズムの基本音価(音の長さ)を2倍にして、半分のテンポ(BPM=60)になっているような効果と相まって、ゆったりとした浮遊感に満ちた部分です。このセクションでも「Aメロ」の断片が顔を覗かせます

ちなみに、「Cメロ」のフレーズは当初から計画していたものではなく、コード進行を当てはめていく中で徐々に形になっていきました。しかもそのコード進行は、この曲を作る数ヶ月前にふと思いついて以下のように五線紙に書き留めていたもので、今回の作曲とは一切関係ありません。

Sketch02

曲の中間部分に大きな展開を入れたいと考えながら、なかなか良いアイデアが浮かばず悶々としていたところに、ふとこのメモが目に留まりました。そこで何気なく間奏のあとに入れてみたらセクションの繋がりや曲調の変化が意外と良かったので、コードを足していきながらメロディを並行して考えていったというのが「Cメロ」成立の秘密(でもありませんが)です。まれにこういうこともあるので、メモやスケッチは捨てずに保存しておくと良いですね。


以上の楽曲構成やメロディ構成のほか、楽器編成や音色の選択、各パートのコンビネーション、音楽表現上の工夫…などなど、書きたいことはたくさんありますが、今回はこのくらいにしましょう。

MuseScoreは楽譜作成ソフトなので一般的なDAWソフトのように細かいエディットができず、その点、出音としては必ずしも満足しているわけではありませんが、それでもMuseScoreの機能のみである程度、作品に仕上げられることを自ら体験でしたのは収穫でした。

なお、最終回の授業ではこのほか、メロディパートを除いたMuseScoreファイルを再生し、メロディ部分を私がピアノで演奏してMuseScoreとコラボレーションするパフォーマンスも行いました。その後、履修生たちに曲を聴いての感想とともに曲名を考えてもらい、寄せられた102の曲名案から私が選んだのが「Next Step」です。

ちなみに、感想で多く見受けられた単語は「ゲーム(特にマリオ系)」「街」「夜」「ドライブ」「ダンス」「パーティー」というものでした。このブログで曲を聴いた皆さんはどのようなイメージを持ちましたか?


(文責:伊藤謙一郎)

2021年2月10日 (水)

フレッシャーズゼミ後期(3)

2021年2月 9日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは。コンテンツコースの椿です。

今期はフレッシャーズゼミについて既に2回紹介してきました。今日は,最終回に行ったビブリオバトルについて書いていきます。

フレッシャーズゼミでビブリオバトルを行うのは今年度が初めてです。例年はフィールドワークを中心とした活動を行っていましたが,今年は外に出ないでできる活動を考え,ビブリオバトルに決めました。まず各クラスでビブリオバトルを実施し,クラスの代表を選抜しました。そして,代表者だけの決勝大会を学年全体で行いました。決勝大会はzoomで実施し,発表者も聴講者も遠隔参加です。

300人ほどが聴講している中で,委縮しないで発表できるかと心配していたのですが,皆さん生き生きと堂々と話していました。

以下は,決勝で発表された本のタイトルの一覧です。様々なジャンルの本が混ざっていて,そのギャップも面白かったです。

  • 君は君の道をゆけ
  • ハーモニー
  • 容疑者Xの献身
  • 天久鷹央の推理カルテ
  • ボッコちゃん
  • かがみの孤城
  • FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
  • 嫌われる勇気~自己啓発の源流「アドラー」の教え~
  • スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい
  • 小さき生物たちの大いなる新技術
  • 20代でしておきたい17のこと
  • 空想科学読本
  • 生きているのはなぜだろう
  • 世界から猫が消えたなら
  • 日本の名随筆
  • だから、うまくいく日本人の決まりごと
  • あの夏が飽和する。
  • 旅をする木
  • 1日が27時間になる!速読ドリル
  • 三日間の幸福
  • 神曲
  • 東京DOLL

2021年2月 9日 (火)

VR演習 最終発表会

2021年1月27日 (水) 投稿者: メディア技術コース

VRコンテンツを作成するプロジェクト演習ですが、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を利用する必要から後期になってキャンパスでの演習実施を行っておりました。後半になって感染者数の増加もあり、自宅での作業を行う週も設けながらでしたが、なんとか最終発表会にこぎつけました。演習実施では座る場所を互いに離して十分な間隔を空けることをしておりました。最終発表会では作成した作品をHMDにアップロードし互いに体験するためにHMDを交代で使用するので、こういう時期ですから万全(?)の備えとしてマスクだけでなくアイマスクをして実施しました。

 

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怪しい人たち…

 

 

演習では、コンテンツのアイデアを設定した後は、中間報告回が一回あった以外は、ひたすら制作を続けてきました。技術的には、作品のHMDへのアップロードの方法やコンテンツ内における移動、オブジェクトを持ったり放したりすること、という基礎的なことだけを習得した後は、Unityで世界を作ります。その他に実現したい内容がある場合は、各自ネットで調べたり、講義用に用意したSNS上に書き込んで共有しました。

 

作品は、それぞれの面白さの観点がありました。これから対外発表をするかもしれないものもあるので内容の詳細は控えますが、アイデアだけを聞いていたときよりも体験したほうが面白く感じます。HMDで体験するというだけで面白くなるということもあるでしょうし、3DCGの作り込みがあると感動もあります。ただ、やはり最終的にはアイデアが重要で、アイデアが面白ければ技術的に難易度の高いことをしていなくても凄くいいなと思えるものができるようです。アイデアとしては、平面のディスプレイでもできるものをそのままVR作品にするのでは、作品自体の面白さというよりHMDで見る楽しさだけになってしまうように思いました。また、ゲームとしてしまうと、今度はゲーム自体の完成度が重要になってしまいます。VRコンテンツの制作としては、体験としての面白さを考えられるといいですね。

 

コロナウィルスという通常とは異なる環境下において、前期はclusterという環境をディスプレイ上で見る形でおこないましたが後期はなんとかHMDを利用したコンテンツに取り組むことができました。VRとしては視覚以外の感覚の利用や、センサーを利用した入力などのさらなる発展が考えられます。今後、そうしたことにも取り組めるようにしたいなあと思っています。

 

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体験している様子

 

 

太田高志

 

2021年1月27日 (水)

コンパイラとCG技術

2021年1月25日 (月) 投稿者: メディア技術コース

 メディア学部にはCG制作に興味のある学生が多いです。一方でプログラミングが前提となるCG技術(各種アルゴリズムなどの原理)に興味のある人は相対的に少数です。CG制作では、ツール(MayaやMaxやBlender)の使い方を知っていれば、技術の原理を知らなくても仕事はこなせてしまいます。
 
 結論を先に言うと、今日の話は、原理まで知っている方が制作でより良い仕事ができるという内容です。
 
 先日「メディア特別講義Ⅰ」でシリコンスタジオ社の開発部長の辻俊晶さんが講義をされました。受講生からは「大学時代に学んでおいてよかったと思うことは何ですか?」という質問がありました。辻さんはゲーム黎明期の頃からゲームプログラミングを長年究められた生粋のプログラマーです。
 
 辻さんの回答は「コンパイラ」でした。コンパイラは、プログラミング言語を使って書かれた「ソースプログラム」の文字データを、コンピュータが直接実行できる形式(Windowsでいうと.exeファイル)に変換するプログラムです。
 
 本格的な情報工学の学科であれば、一通り理論学習と簡単な言語を想定したコンパイラのプログラム試作を行います。コンパイラは「プログラムを処理するプログラム」という興味深いソフトであり、重要かつ基本的な計算機科学の一分野です。
 
 辻さんによれば、就職してゲームプログラマーになってから直接コンパイラを作ることはなかったし、仮にコンパイラの原理を知らなくてもプログラムは書けることは確かです。しかし、自分が書いたプログラムをコンパイラがどう解釈し処理するのかを知っておくことで、普通のプログラマーに比べて明らかに良いプログラムを書くことができる、ということでした。
 
 この事実を抽象化すると、自分の仕事の成果がどう処理されるか理解し実際にその処理も経験することでより良い成果が出せる、となります。さらにそれを別分野に具体化すると、CG制作者はCGアルゴリズムがどのような処理をするか理解し、プログラムを書く経験もすることで、より優れたCG作品を制作することができる、ということになります。
 
 CG制作に限らず、先端技術を利用するほかのメディア制作分野も同様と思います。学生のうちに技術の原理を知りプログラム等の体験もすることは、制作の道に進んでもきっと将来プラスになるはずです。
 
メディア学部 柿本 正憲

 

2021年1月25日 (月)

NICOGRAPH2020での研究発表:映像作品の時系列可視化

2021年1月 4日 (月) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
渡辺先生や大淵先生に続き私もNICOGRAPH2020での研究発表の紹介です。

時間転移を伴う映像作品における時系列構成の可視化手法の提案 」というタイトルで、小崎悠平さんにショートの口頭発表形式で発表していただきました。
この研究は、今年度前期に開講した先端メディア学「コンテンツビジュアライゼーション」の一環で行った分析作業をまとめたものです。
先端メディア学の成果なので、先日の千種先生の記事と同様、学部二年生による学会発表です。もちろん本人にとっては初の経験ですが、大変立派に行ってくれました。

映像作品は、作品中の世界での出来事を必ずしも発生した順に描写するとは限りません。
よくある例で言えば、回想の形で過去の情報を描写することがあります。
ミステリーなどでは冒頭に事件の一部を描写し、最後に犯人が分かった後で検証のように犯人の行動込みで事件を描写したりします。
これは、作品の再生時間終盤で作中世界での初めの方に起きた出来事を描写している例と言えます。

また、作品の内容的にタイムトラベル等を扱っている場合、そもそも主人公の居る時間が前後に移動することがあります。
この場合、作品の再生時間と作中世界での時間の順序が入れ替わり、作品によっては複雑な変化をし物語の理解を難しくします。

このような、時間の移動を伴う作品について、再生時間と作中世界での時間の入れ替わり具合や関係、いわゆる時系列を可視化できないかという事で分析を始めました。
ここでは、タイムトラベルものとして著名な映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズについて、パートⅠ~Ⅲまでを通しにして可視化した結果を紹介します。
左から右に向かって進み、上段が再生時間順、下段が作品中での起きた順になるようにして並べ替えをしています。

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時間移動が起きた時にブロックを区切り、各ブロックは上段下段で同じものについて線で結んでいます。
再生時間開始から終了までを赤から青でグラデーションをつけて色分けすることで、再生順と起こった順の差が大きいほど区切りが見えやすいようにしています。

これに加え、以前の記事で紹介したように、主人公が時間移動をする場合には「主人公の体験した順」が存在します。
主人公が時間移動する限りは再生順と変わらないですが、可視化の際に考慮が必要になりますね。
また、時間移動をした場合歴史の改変が発生し、世界線(これもまた定義が難しい言葉です)の変更が起きたりします。
世界線の移動を、さらに下段方向に展開することで図示してみました。

20200805-221705

一応、作中での起きた順を示しつつ、世界線の変更を示すことはできました。
しかし、試行錯誤の一環でとりあえず可視化しましたが、これについてはもう少し改善したいところです。
また進展があり次第報告します。

2021年1月 4日 (月)

「音楽創作論」での作曲

2020年12月31日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは! メディア学部の伊藤(謙)です。

私の担当科目「音楽創作論」(今年度は、対面と遠隔のハイブリッド開講です)では、学生から楽曲のアイデアを募集し、それをもとに私が作曲するイベント(?)を毎年行っています。昨年度の授業での作曲については、こちらのブログ記事をご覧ください。

メロディの構成に焦点を当てて、古今東西さまざまな曲を紹介しながら楽曲構成を解説する講義ですが、私が実際に創作して示すことで、講義内容の理解がさらに深まると好評(らしい)です。このイベントの重要なポイントは、私が勝手に作るのではなく、それぞれの学生が短いフレーズを作り、その後の展開も学生の意見を取り入れていることにあります。

曲の作り方はいろいろありますが、ここでは「ミクロ」(ちょっとした音の並び)から「マクロ」(音楽作品)への流れで作曲していきます。そのために、学生たちと次のようなやりとりをしてきました。

 【1】「ソ」の音から始まるフレーズを募集:学生による「部分動機」(1小節)の作成(楽譜作成ソフトMuseScoreを使用)[第8回授業]
 【2】90名から寄せられた「部分動機」の掲示と投票[第9回授業]
 【3】選ばれた「部分動機」の発表と、その「部分動機」をもとに学生による「モティーフ(動機)」(2小節)の作成[第10回授業]
 【4】93名から寄せられた「モティーフ」の掲示と投票[第11回授業]
 【5】選ばれた「モティーフ」の発表[第12回授業]


【5】のモティーフを以下に示しましょう。(※このモティーフをもとに私が作曲します)

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赤く示されている部分動機は【2】の投票で最多の8票を獲得して選ばれたE君が作ったものです 。この部分動機を作るにあたってのE君の意図は次のようなものでした。

 (1)冒頭の強拍に休符を置くことで聴き手の興味を惹きつける。
 (2)第2拍の裏に8分休符を入れて間延びを避け、軽快さを醸し出す。
 (3)第3拍に最高音(1オクターブ上の「ソ」)を長く響かせ、部分動機内でのアクセントとなるようした。


ちなみに、E君の部分動機に投票した人の投票理由は以下の通りです。

 ・リズムが独創的であり、メロディの意図も読み取れたため。
 ・8分休符と4分休符がどのような雰囲気を出せるのかその可能性を知りたくなったから。
  また、休符が絶妙な位置にあるので、動機をつくる際に色々工夫ができると考えたから。
 ・シンプルながらも洗練されたモチーフであったから。
 ・休符を多く使うという独創性を感じた。また、動機の説明部分に作者の思いを感じた。
 ・冒頭の最初に休符を持ってくることで他のものとは違う良さがあると思いました。
  また、裏拍子というのも個人的にとても好きなので惹かれた。さらにアクセントなどもあり、
  小さな動機の中にたくさんのポイントがあってとてもいいと思った。
 ・始まりの弱起以外に2種類の休符を使っていたので面白そうだと思いました。
 ・軽やかな始まりで心地よく感じたから。
 ・理由がはっきりしていてよいと思った。出だしがこんな感じなら軽やかでいいと思った。

続く第2小節の展開としては、第1小節と同じフレーズ(a)、第1小節を若干変化させたフレーズ(a´)、第1小節とは異なるフレーズ(b)の3つが考えられます。授業内でE君にインタビューしたところ、自分が作った部分動機に対してコントラストが明確なフレーズにしたいという要望があり、動機は「a+b」の形態に決まりました。曲のテンポはBPM=120で、スタイル(ジャンル)はフュージョンっぽくしてほしいとのこと。

こうしたE君の要望も踏まえて、E君が作った部分動機に続く新たな部分動機を93名が作ってモティーフを完成させました。その中から10票を得て選ばれたのが、上に掲載のT君が作成したモティーフです。T君のモティーフ作成の意図は次のようなものでした。

 (1)a(第1小節)での最小音価が16分なので、bでも16分を基調としてaの勢いをキープする。
 (2)aでは16分音符の後に休符を使うなど、音に関して余韻を残さない印象を持ったので、
    bでも休符を随所に入れて様式の統一を図る。
 (3)bは主旋律以外にも、副旋律やベースラインに使うことができるリズムとすることで、
    編曲の幅が広がるようにした。


以下、T君のモティーフを選んだ方々からのコメントです。

 ・強拍の部分に休符を入れていて、リズム感がいいと思いました。
 ・軽快で良いと思いました。
 ・休符を入れるタイミングなどもよく考えられていて編曲のことまで考えて作られていて良いと思いました。
 ・私は1小節目の終わりが休符だったため、2小節目は休符から入らないようにしたが、
  この人は休符から入っていて勇気があるなと思ったから。また、そこまで不自然には聞こえなかった。
 ・前の部分動機aを生かすように考えての動機作成になっていて、纏まりよくできてたから。
 ・このメロディ聞いてみたいと思った。
 ・aの部分動機と同様にbの部分動機の1拍目を8分休符で統一していた。
  また、休符が多く使われているが、小節の後半では16分音符が連続していて緩急が感じられた。
 ・リズミカルな動きでとてもよかったと思った。
 ・前半の飛び跳ねているような雰囲気は残しつつ、上手く異なるふうになっていると思ったため。
 ・編曲の幅を広げることを意識している点が良いと思いました。また、リズムが素敵だと思いました。


このように、作曲の出発点となるフレーズやアイデアはどれも学生が作り、学生たちが選んだものです。前掲のモティーフが作成されるまでは、私は一切関与していません。

さあ、このあとどのようなメロディが紡がれ、曲になっていくのでしょうか? このブログ記事を書いている現時点ではまだ作曲に取りかかっていませんが、冬休み中に徐々に形にしていきたいと思います。なおT君からは、自身が作った動機をAとした場合、続く第3〜4小節のモティーフの形態はA´にしてほしいという要望を受けています。つまり、小楽節(4小節)の形態は「A+A´」となるわけですね。

完成した曲は最終回の授業でお披露目(演奏)します。これについては、またブログでご報告しましょう。お楽しみに。


(文責:伊藤謙一郎)

2020年12月31日 (木)

CGプログラミングの定番「レイトレーシング」を実装してみた

2020年12月29日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

 先端メディアゼミナールは少人数の演習形式の科目です。成績による履修制限があり、研究に近いようなプロジェクトを学生が行う科目です。
 
 私の担当テーマは「CGプログラミング」です。今期の履修生は何と一名だけです。今回はCGに興味あるプログラマーなら一度は経験してみるレイトレーシングというアルゴリズムに挑戦しました。私自身も40年近くCG関連のプログラミングを行ってきています。レイトレーシングは5回以上はプログラムを書いた経験があります。
 
 詳細のアルゴリズムは検索すればいくらでも出てきますので、興味のある人は調べてみてください。
 
 今回の履修生の目標は、1980年に初めてレイトレーシングがCG分野で研究発表された論文の結果画像をマネしてみる、というものに設定しました。
 
Whitted1980 Nogiwa2020

 左の画像は1980年のTurner Whittedの論文で紹介された画像です。右は履修生のメディア学部2年生が自分で一から書いたプログラムの出力画像です。
 
 細かいところは違っていますが、概ね似た画像を出力することができました。三次元物体の形状描画、完全鏡面反射、屈折、テクスチャ、光源処理、影計算など、これだけのCG画像に各種アルゴリズムがプログラムされています。
 
参考文献
Whitted, Turner, “An Improved Illumination Model for Shaded Display,” Communications of the ACM, Vol. 23, No. 6, pp. 96-102, 1980.

メディア学部 柿本 正憲

2020年12月29日 (火)

コロナ禍のハイブリッド授業って何?<7. システム図>

2020年12月 6日 (日) 投稿者: メディア社会コース

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ずばり、これが私のハイブリッド授業配信システムの図面です。

左半分が配信スタジオです。1台のパソコンでやろうと思えば出来なくもないのですが、負荷がかかりますし、同時に見ることが出来る画面が一つだと不便なことが多くあります。例えば、スライドを表示しながらチャットの確認をしたり、動画を再生しながら次の準備をしたりと、同時に複数の作業をすることがあります。私の後ろにあるディスプレイには、スライドやゲストの方を映したりします。配信用の映像配線系統と分ける必要があるため、少し複雑になっています。私は小さなテレビ局を運営していると考えるようにしています。

また、配信スタジオのある研究室に学生がいる時は、音声にも気を遣う必要があります。Zoomの視聴者にちょうど良い音量でも、研究室内では聞こえなかったり、逆にうるさかったりするかもしれません。そのため、ミキサーを2つ用意して、配信に影響が出ないように研究室内の音量が調整できるようにしています。これも、少し複雑ですね。

大教室には映像と音響を操作していただく職員の方がいらっしゃいますので、大変助かっています。また、SA(スチューデント・アシスタント)の学生も1名いるので、メッセージでやりとりをしながら、教室の様子を確認して授業を進行します。

自宅から受講している学生は、何か問題があったらZoomのチャットを使って知らせてもらうことにしています。こちらからも声をかけて、確認しながら進めます。そのため、Zoomのチャットは大きく表示させて、いつでも見ることができるようにしています。

下の写真が配信用PCのデスクトップです。

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スイッチャをコントロールするソフト、タイムテーブル、時計、チャット、音声入力レベルのインジケータなどが表示されています。ワンオペで配信をするのは大変ですが、慣れてくるととても楽しいですよ。

さて、ハイブリッド授業について、分かりましたでしょうか。もちろん実施方法は様々で、「ここまでやらなくてもいいのに!」と感じる方も多くいらっしゃると思います。しかし、大学教員になる前に映像や音響の仕事に関わってきた私としては、限界に挑戦したかったという思いがありました。また、これからもさらに追求していくつもりです。コロナ前の授業に比べて、大人数の授業においても学生とのやりとりが圧倒的に増え、学生の理解度や関心のある事を理解できるようになり、授業を進めやすくなりました。

対面授業は、目の前に学生がいることで伝わりやすい部分もあると思いますが、そこに"いる"ことだけで満足してしまい、理解しているように錯覚するというデメリットがあると思います。コロナが落ち着いて全てを対面授業で行うようになったとしても、今回得られた知見を生かして、さらに充実した授業を実施していきたいと思います。

最後に、カメラを通じてコミュニケーションをするには、目線が重要だと考えています。何もないと、どこを見て良いか分からなくなってしまうので、このような工夫をしました。

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メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

2020年12月 6日 (日)

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