授業紹介

授業紹介:メディア専門演習「映像と音楽・音響デザイン」(その3)

2026年10月 2日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤です。

前回は「練習映像」での成果物をご覧いただきましたが、シリーズ最終回の今回は、最終発表のお題の「課題映像」に音付けした成果物をご紹介します。

「練習映像」は10〜20秒程度の短いものでしたが、「課題映像」は1分前後の長さがあり、シーンの転換や様相の変化もあるので、時間の経過に沿ってどのように音を付与するか(あるいは付与しないか)デザイン的な思考が求められます。また、映像を見てサウンドのイメージを広げることも大事です。そのため、「課題映像」では実際に音付けする前に「課題映像の分析シート」を受講生に配布し、映像にどのようにアプローチするか検討する時間をとっています。

このシートは次の項目があります。

 (1) 映像を観て感じたこと
 (2) 映像を観て抱いたイメージ
 (3) 映像から想起されるストーリー
 (4) 付与する音楽・音響の意図・狙い

シートの下半分には、映像をいくつかの部分に分割して、それぞれの内容やサウンドの付与についてのアイデアを記入する表が用意されています。


Photo_20260921152901


「課題映像」への音付けの作業では、「グループディスカッション」が2回実施されます。「映像に合う・合わない」といった表面的な判断ではなく、受講生が互いに音付けの意図を説明し、表現の可能性について意見交換します。

ディスカッション後のアンケートでは、「自分のイメージとは異なる視点をもらえて勉強になった」「一人で作業して行き詰まっていたので相談できて良かった」「自分では違和感があると思っていたところが、それほど不自然でないと言ってもらえて安心した」「DAW経験者に自分が知らない機能を教えてもらって助かった」などの好意的な感想が多く、非常に有意義だったようです。

さて、上記の制作プロセスを経てどのような音付けがなされたのでしょうか? どの受講生もユニークなアプローチで音付けを行なっていますが、今回はその中から4名の成果物を掲載します。また、映像からどのようなことを感じ、イメージしたのか、学生が書いた内容の抜粋も記載しましたので併せてご覧ください。


「渋谷 上から見たスクランブル交差点」

【E.Y君】
(1) 映像を観て感じたこと:特別な様子はない。厚い雲がかかっている。交通量は少なく、平日っぽい。
(2) 映像を観て抱いたイメージ:大気、雲、湿った、日常、交通、信号機、雨、穏やか
(3) 映像から想起されるストーリー:いつもと変わらない大きな出来事もないような日。空がどんよりしている。
(4) 付与する音楽・音響の意図・狙い:ドラマチックな展開ではなく、テンポも遅めのゆったりとしたものを付与したい
*シーンの分割:4つ


【K.K君】
(1) 映像を観て感じたこと:人の数、白線に乗る車、隙間ないビル、曇り空。窮屈そうで息が詰まりそうな感覚を覚えた。
(2) 映像を観て抱いたイメージ:良いイメージはあまりない
(3) 映像から想起されるストーリー:自分がここにいるなら、端的な音が聴きたかった。粛々と世間が進んでいる。
(4) 付与する音楽・音響の意図・狙い:ピアノソロのための環境音。映像の解像度を上げる。少しの明るさを最後に。
*シーンの分割:6つ


【S.Hさん】
(1) 映像を観て感じたこと:規則的な動きが息苦しそう。バイクだけ自由さを感じた。日に照らされて建物や人が前向きに見えた。
(2) 映像を観て抱いたイメージ:無機質で秩序的。予測ができない群衆のエネルギー(自由さ)。バイクは唯一無二な異質感がある。
(3) 映像から想起されるストーリー:毎日の規則的な繰り返しは息苦しい→徐々に不規則になり、バイクの動きを起点に開放→自由な群衆→群衆がそれぞれの建物へと前向きな気持ちで進んでいく
(4) 付与する音楽・音響の意図・狙い:社会の規律性や重苦しさを伝える。群衆の開放とポジティブ感。
*シーンの分割:6つ


【N.M君】
(1)映像を観て感じたこと:思ったよりゆったりとした動きをしている。画の変化が大きい。
(2)映像を観て抱いたイメージ:どちらかというと無機質。散乱、乱雑なイメージ→「何もなさそうだけど何かありそう」
(3)映像から想起されるストーリー:何気ない日常が、ふとしたことで「実は何かを見落としているんじゃないか」と思わせるような感じ
(4)付与する音楽・音響の意図・狙い:シーン2での留めと、人・車の対比を作る。電子とアコースティックの中間。サウンドによる物語の付与。
*シーンの分割:5つ


4名の成果物をご覧になっていかがでしたでしょうか? 映像の時間が長いこともあって、「練習課題」と比べてサウンドの表現の違いが大きく、それぞれの独自性が明確に感じ取れると思います。一見すると無機的な印象の渋谷の風景が多様な表情を帯びて、映像の前後のストーリーも垣間見えてくるようです。

映像作品の特定のシーンに対して「合う音楽(音)」「合わない音楽(音)」と言われることがありますが、音楽・音響の制作者としてその映像に何を見出すか(あるいは意味を付与するか)によって、どのような音楽(音)も映像に組み合わさる可能性をもち、実際はもっと複雑で多義的だと思います。

例えば、ホラー映画で恐ろしいシーンに明るい音楽が流れたとしたら、むしろ恐怖感が増すと思いませんか? ハッピーエンドで終わるシーンに憂いを帯びたメロディが聞こえてきたら、その後の展開に望ましくない出来事が起こるのではと気になりませんか? もちろん、何でも良いというわけではなく、シーンの内容とその前後の流れを的確に捉えた上で、明確な意図に基づいた表現上の効果を目指す姿勢が求められてきます。映画だけでなく、あらゆる映像作品を対象として、その中で用いられているサウンドに注目するとさまざまな発見が得られることでしょう。

ちなみにこの映像、私は全く違和感なく普通の風景として見ていましたが、受講生の一人から「古い映像ですね」と言われて驚きました。映像のクレジットを確認したところ2006年12月に撮影されたものらしく、考えてみれば今から20年前、つまり受講生が生まれた頃の渋谷の風景なんですね。図らずも演習の課題を通して、自身の年齢や学生との年代の差を強く感じた次第です。(※何度見ても私には古い映像には見えないのですが…。この記事をご覧になっている皆さんはどうでしょうか?)

3回シリーズでお届けしたメディア専門演習「映像と音楽・音響デザイン」の授業紹介は以上となります。これを機に本演習や映像の音楽・音響に興味をもっていただけましたら大変嬉しいです。

(メディア学部 伊藤謙一郎)

2026年10月 2日 (金)

授業紹介:メディア専門演習「映像と音楽・音響デザイン」(その2)

2026年9月30日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤です。

シリーズの第2回は、2026年前期の第2クォーターに受講した学生が、お題の映像に音付けした成果物について取り上げます。

以下は「練習映像」のラインナップです。


・第1回:「ホオジロ 枯れヨシにとまる」(渡良瀬遊水地)[10秒]
・第2回:「裏磐梯」(福島)[16秒]
・第3回:「夜の首都高速 移動ショット」(東京)[17秒]
・第4回:「釣り餌をかすめ取るカワハギ しかし勝負は釣り人の勝ち」(千葉・館山)[22秒]


第1回は「鳥」をアップで撮影した動きがほとんどないもの、第2回は「自然」の風景でカメラがパン(水平移動)するもの、第3回は「都市の風景で高速道路を走る車を撮影した動きがあるもの、第4回は「魚」が泳ぐ映像で最後は釣り上げられてしまうストーリー性のあるものとなっています。

今回はこのうち、第2回と第4回の「練習映像」での成果物をご紹介します。(※ちなみに第2回の映像は、授業の4日前に私が現地でスマホ撮影したものです。奥に見えるのは磐梯山(の裏側)、森の陰から見える手前の湖沼は中瀬沼です)


「裏磐梯」

【K.K君】


【N.Hさん】


【N.K君】


「釣り餌をかすめ取るカワハギ しかし勝負は釣り人の勝ち」

【U.Yさん】


【S.Rさん】


【N.M君】



同じ映像でも、付けられた音で印象がだいぶ変わりますね。学生によってお題の映像からイメージしたことの違いも音に表れていて面白いと思いました。

このように学生たちが音を付けて提出した動画ファイルは、毎回、私が全員分をまとめて1つの動画ファイルにし、次回の授業冒頭で上映してフィードバックを行なっていました。そうした場を通して、映像へのサウンドの付与にはさまざまな可能性や在り方があることを実感してもらえたようです。

次回は、最終発表のための「課題映像」での成果物をご紹介します。

(メディア学部 伊藤謙一郎)

2026年9月30日 (水)

授業紹介:メディア専門演習「映像と音楽・音響デザイン」(その1)

2026年9月28日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤謙一郎です。

私のこれまでのブログ記事では、「音楽入門」「音楽創作論」など講義科目を主に取り上げてきましたが、今回は3回にわたり、演習科目の「映像と音楽・音響デザイン」の授業内容と受講生の成果物をご紹介しましょう。

「映像と音楽・音響デザイン」は2025年9月から始まった新しい演習で、ちょうど1年が経ちます。それまでは2001年から続く「作曲演習」が音楽系の演習として開講されていましたが、新カリキュラムへの移行に伴い、7回の授業で完結する演習に改変することとなったため、短期間で制作が体験できるよう「作曲演習」とは異なるアプローチの演習を始めることとしました。

音楽系の演習であるものの、演習名が示す通り「映像」に基づいて音楽や音響を制作する点が「作曲演習」と大きく異なります。映像を専門的に学ぶ学生や音楽経験のない学生も無理なく取り組めるような内容となっており、実際にそのような学生が受講を機に音楽制作に関心をもってくれるのは担当教員として嬉しい限りです。

以下は本演習の各回の内容です。(※本演習の詳細はシラバスのページで検索すると閲覧できます)


第1回:授業概要説明/DAWの基本操作(1)/練習映像(1)へのサウンド付与
第2回:DAWの基本操作(2)/練習映像(2)へのサウンド付与/課題映像の分析
第3回:DAWの基本操作(3)/練習映像(3)へのサウンド付与/課題映像へのサウンド付与検討
第4回:DAWの基本操作(4)/練習映像(4)へのサウンド付与/課題映像へのサウンド付与(1)
第5回:DAWの基本操作(5)/課題映像へのサウンド付与(2)/グループディスカッション(1)
第6回:課題映像へのサウンド付与(3)/グループディスカッション(2)
第7回:課題映像にサウンドを付与した作品の発表と講評/まとめ



主な内容としては、「DAW(音楽制作ソフト)の操作」「映像へのサウンド付与(音付け)」「グループディスカッション」の3つに分けられます。

DAWはほとんどの学生が初めて触れるので、操作方法や機能についてまとめた独自資料を用意し、資料に基づいて教員が操作するPC画面を教室前方のスクリーンに投影しながら丁寧に説明します。DAWの知識がある学生に対しては、希望があれば発展的な使用方法もレクチャーします。

映像に音を付ける課題は、10〜30秒ほどの「練習映像」と、1分ほどの「課題映像」の2つがあります。「練習映像」は、多様な映像(自然、都市、人物、動物、植物、朝・昼・晩、色合い、被写体の動きの有無、シーン変化の有無、カメラワークなど)を題材に、各回で学んだDAWの機能を活用しながら音付けのノウハウを身につけていきます。最終回での発表のための「課題映像」は、いくつかのシーンから構成される映像を題材としています。単に音を付けるだけでなく、各自が映像の様相を分析した上で、どのシーンにどのような音を入れるべきか(あるいは入れないか)を意識しながら制作に取り組みます。

グループディスカッションの時間は、受講生を2〜3名ずつグループに分け、各グループ内の学生同士で互いの音付けの内容について感想を述べたりアドバイスをしたりします。同じ映像でも人によって捉え方が異なるので、そうした違いから制作上のさまざまなヒントを得られると学生からは好評です。

Photo_20260921011101 _02_20260921015701

次回のブログでは、第2回および第4回授業での「練習映像」による受講生の成果物をご覧いただきましょう。お楽しみに!

(メディア学部 伊藤謙一郎)

2026年9月28日 (月)

専門演習:デジタルファブリケーションの紹介

2026年7月19日 (日) 投稿者: メディア技術コース

技術コースの羽田です。今回は今年度よりはじまった、デジタルファブリケーションという専門演習の科目についてご紹介します。

一人一台の3Dプリンタで、アイデアを形にする

20260713-231846

「デジタルファブリケーション」は、3Dモデリングと3Dプリンタを使い、自分で考えたアイデアを実際の作品として形にする専門演習です。

この授業では、学生一人につき一台の3Dプリンタを使用します。一人一台の環境があるため、印刷の順番を待つ必要がなく、失敗した場合にも、自分のペースで設計を修正して何度でも挑戦できます。授業は、3Dモデルを制作するソフトウェアの基本操作から始まります。その後、作成したモデルを3Dプリンタで出力するための設定や、印刷後の仕上げ・調整まで、一連の制作工程を実践的に学びます。

特に重要なのが、3Dプリンタには「作りやすい形」と「作りにくい形」があることを理解することです。画面上では問題なく見える形でも、実際に印刷すると崩れたり、部品がうまく組み合わさらなかったりすることがあります。こうした失敗も大切な学習の一部です。失敗した作品を観察し、原因を考え、設計や印刷設定を見直すことで、3Dプリンタの特徴をより深く理解できます。

たとえば、これは「失敗するように設計した」ワイングラスの3D印刷です。

画面の中の形が、手に取れるものになる

3Dプリンタは、デジタルデータをもとに、材料となるプラスチックを薄い層として少しずつ積み重ねながら、立体物を作る装置です。画面の中で設計した形が、時間をかけて少しずつ現実の物体になっていく様子は、3Dプリンタならではの魅力です。完成した作品を実際に手に取ることで、寸法や形状だけでなく、持ちやすさや使いやすさ、強度なども確かめることができます。

授業では、決められた形をそのまま作るだけではありません。例えば、自分が使っているスマートフォンの大きさや厚さを測り、その端末に合ったスマートフォンスタンドを設計します。自分の用途はもちろん、スマートフォンを置く角度、充電ケーブルを通す位置、机の上に置いたときの安定性などを考えながら、自分の使い方に合った形へと調整していきます。同じスマートフォンスタンドという課題でも、完成する作品は一人ひとり異なります。

20260713-231829

1ミリの違いが使いやすさを変える

3Dプリントのための3Dモデリングの面白さは、頭の中にあるアイデアを、正確な寸法を持つ具体的な形として設計できることにあります。これは、映像やゲームなどで使用する3DCGのモデリングとは少し異なる点です。3Dプリントでは、画面上で形がきれいに見えるだけでなく、実際に物として成立し、目的どおりに使えることが求められます。

例えば、寸法が1ミリ違うだけでも、部品同士がうまく組み合わさらないことがあります。スマートフォンケースであれば、端末が入らなかったり、反対に緩すぎて外れてしまったりすることもあります。そのため、見た目だけでなく、正確な計測と設計が重要になります。

モデリングでは、最初に平面のスケッチを描き、それを押し出したり、削ったり、穴を開けたりして立体化します。このプロセスを繰り返しながら、少しずつ目的の形状に近づけていきます。設計したものを一度印刷し、実物を確認してから修正することも重要な学習です。試作と改善を繰り返すことで、見た目だけでなく、使いやすさや強度、印刷のしやすさまで考えられるようになります。

3Dプリンタだから作れる形

3Dプリンタには、従来の加工方法では作ることが難しい、複雑な形状を制作できるという特徴があります。例えば、複雑に入り組んだ内部構造や、材料を減らしながら強度を保つ格子状の構造なども、一つの部品として出力できます。また、複数の部品がつながった状態のまま印刷し、印刷後すぐに動かせる形を作ることもできます。このように、組み立てをしなくても可動部分を持つ作品は「プリント・イン・プレイス」と呼ばれています。チェーンや関節、動くおもちゃなど、3Dプリンタだからこそ実現できる形を考えることも、この授業の面白さの一つです。

Img_9539

アイデアを、試しながら形にする

デジタルファブリケーションは、コンピュータ上での設計と、実際に手で触れられるものづくりを結びつける分野です。学生は作品制作を通して、3Dモデリングや3D印刷の技術を身につけるだけでなく、自分のアイデアを形にし、実際に試し、問題点を見つけて改善するプロセスを学びます。ものづくりに興味がある人はもちろん、これまで3Dモデリングや3Dプリンタを使ったことがない人にも、ぜひ自分のアイデアを形にする面白さを体験してほしいと思います。

画面の中で考えた形が、実際に手に取れる作品として生まれる瞬間には、デジタルファブリケーションならではの驚きと達成感があります。

2026年7月19日 (日)

体験型のオープンキャンパスに行こう!7/19(日)は東京工科大学へ(メディア学部 藤崎実)

2026年7月 7日 (火) 投稿者: メディア社会コース

◎メディア学部の藤崎実です。

どんなことでも、実際に体験することが大切です。
2_20260621145901

オープンキャンパスは、実際のキャンパスの雰囲気を知るチャンスです!!
当日は、大学紹介、体験型の講義、個別相談など盛りだくさんです。
20260621-140509
フォートナイトとのコラボ!を体験しよう!

 20260621-140541_20260621150001
20260621-140550
次回の東京工科大学のオープンキャンパスは7/19(日)です。
みなさんのためのコンテンツをたくさん用意しています。

詳しくはこちらまで!

高校生のみなさんは、ぜひとも参加してくださいね!
ご両親やお友達と一緒にいろいろ体験してください。

教員・在学の学生一同、みなさんをお待ちしています!
(メディア学部の藤崎実)

2026年7月 7日 (火)

新しい授業「音声情報アクセシビリティ」がスタートしました

2026年7月 1日 (水) 投稿者: メディア社会コース

2026年度から、東京工科大学メディア学部で新しい専門科目「音声情報アクセシビリティ」を開講しました。

皆さんは、「音声情報アクセシビリティ」という言葉を聞いたことがありますか?

駅や空港のアナウンス、学校や職場での会話、オンライン会議、イベントの司会進行など、私たちの社会には音声による情報があふれています。しかし、聴覚障害のある方や聞き取りに困難を抱える方にとって、それらの情報にアクセスすることが難しい場面が少なくありません。

 

1001図1:第1回授業資料より

 

この授業では、「音声情報をすべての人へ」をテーマに、音声情報アクセシビリティの基礎から最新技術、そして社会実装までを学びます。

 

▶︎授業の目的

本授業の目的は、音声情報アクセシビリティに関する知識を身につけるだけでなく、テクノロジーやデザイン、制度の視点から課題解決を考えられる人材を育成することです。

音声情報アクセシビリティは、障害のある方だけのためのものではありません。高齢者、外国人、聞き取りに困難を抱える人、騒がしい環境にいる人など、多くの人に関わる社会課題です。

授業では、実際の事例や最新技術を取り上げながら、「誰もが情報にアクセスできる社会」について考えていきます。

 

▶︎授業内容

前半の授業では、次のようなテーマを扱います。

第1回 アクセシビリティとは何か
第2回 聴覚障害について学ぶ
第3回 補聴器と人工内耳
第4回 手話と情報保障
第5回 補聴支援システムの歴史と最新技術
第6回 リアルタイム文字起こし技術
第7回 音声情報アクセシビリティの未来
授業の一部をご紹介

例えば第5回では、学校や劇場などで使われてきた補聴支援システムについて学びます。赤外線補聴システムや磁気ループ、Roger、そして近年注目されているAuracast™など、それぞれの特徴や活用方法を紹介しています。

001_20260619074601
図2:第5
回授業資料より

 

また第6回では、音声認識AIを活用したリアルタイム字幕について学びます。近年はスマートフォンやタブレットでも手軽に利用できるようになり、聴覚障害のある方だけでなく、多くの人のコミュニケーションを支える技術として活用されています。

 

001_20260619074801
図3:第6回授業資料より

 

さらに第7回では、今後の社会で音声情報アクセシビリティがどのように発展していくのかを考えます。駅や空港、病院、イベント会場など、さまざまな場所で誰もが情報を受け取れる未来について議論します。

授業では講義だけでなく、実際の機器やアプリを実演しながら学ぶ機会も設けています。

 

▶︎高校生の皆さんへ

音声情報アクセシビリティは、まだ日本では専門的に学べる機会が多くありません。しかし、これからの社会ではますます重要になる分野です。

東京工科大学では、テクノロジーと社会課題を結びつけながら、実践的に学ぶことができます。

高校生の皆さんも、ぜひ東京工科大学で、日本ではまだ数少ない「音声情報アクセシビリティ」の授業を受講し、一緒に未来の社会について考えてみませんか。

 

 


メディア学部 吉岡 英樹

001_20220613213101
略歴:米国バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業。日本の音楽業界でレコーディングスタッフやプロデューサーのマネージャーを務めた後、CM音楽作曲やモバイルコンテンツのサウンド制作に従事し、現職に着任。娘の難聴をきっかけに聴覚障害支援メディア研究室を設立し、アプリ「Vocagraphy」を開発(15万DL)。同アプリは科学技術振興機構主催「STI for SDGs」アワード優秀賞(2022年度)を受賞。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「サイレント・コミュニケーション」、3年次科目「音声情報アクセシビリティ」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。

2026年7月 1日 (水)

プロジェクト演習「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース Unreal Engineチーム」2025年度後期 学生作品の紹介

2026年5月27日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さんこんにちは。メディア学部 特任講師の川島です。
この記事では、私の担当する演習授業のうち、「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース Unreal Engineチーム」の学生作品を紹介します。

 

 この授業は、先日ご紹介した「シネマティクスチーム」のようなアニメーションを制作するのではなく、PlayStation™やNintendo Switch™の大型ゲームタイトル開発でも活用されているプロフェッショナル向けツールであるUnreal Engineを使った高度なゲームビジュアル表現技術について学ぶものです。今回はブログ記事ということで動画を掲載していますが、すべての作品はゲームとして実際にプレイすることができます!
今回は残念ながら作品発表に至ることができたのは2チームだけになりましたが、見応えのあるセミオープンワールドのシューターゲームと異色アクションゲームの2作品が完成しました。

 

それでは、作品をどうぞ!

 

■ R-company / TIDE OF RUINS
 近未来、人類の立ち入りが禁じられた隔離区域。かつて最先端研究が行われていた巨大研究施設は、突如誕生した危険生物の暴走によって崩壊した。プレイヤーは脅威の討伐を任されたエージェントとして現地に派遣され、広大なオープンワールドを探索しながら拠点を攻略していく。敵を弱体化させ、装備やスキルを強化しつつ、崩壊の真相へと迫る近未来アクション作品。

 

■ 冥途カフェ / 喫茶幻灯館
 異界の者たちが集う不思議な喫茶店「幻灯館」。現世から迷い込んだ主人公は、店のマスターに頼まれ、心の闇に囚われた客たちを救うことになる。客の心に入り込み、わだかまりを解いていく中で、喫茶店が衰退した本当の原因が明らかになっていく。本作は、接客をモチーフにしたアクションと、空気感の変化を重視した3D演出で、“心に寄り添うこと”そのものを体験として描く感情共鳴型アクションゲームである。

 

 

2026年5月27日 (水)

プロジェクト演習「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース シネマティクスチーム」2025年度後期 学生作品の紹介

2026年5月25日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さんこんにちは。メディア学部 特任講師の川島です。
この記事では、私の担当する演習授業のうち、「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース シネマティクスチーム」の学生作品を紹介します。

 

 メディア学部のプロジェクト演習では、ゲームクリエイターを目指す学生が実践的に学ぶことができる「インタラクティブ・ゲーム制作プロジェクト」として複数のコースを開講しています。本科目では、「グラフィクスコース」という名称どおり、ゲーム業界におけるビジュアルアーティストやテクニカルアーティストになるための知識とスキルを学習することができます。クリエイター職は新卒でも即戦力を求められる場合が多いため、在学生は4年間かけて初歩から応用までをしっかり学びます。このプロジェクト演習では、ほとんどの学生は1年生の後期から約3年間をかけ、グループワークによる作品制作を通じてゲームのグラフィクスを実際に制作するテクニックを磨いています。今回紹介するのは、そのうちの「シネマティクスチーム」という初級者の皆さんが1学期間かけて作ったショートアニメーションです。まだ未熟な部分もありますが、これを繰り返していくことで見違えるようにレベルアップしていきますので、今後が楽しみです!
今回は、バトルアクション、学園系アクション、ホラーの4ジャンルのビデオゲームを想定した15秒のショートアニメーション作品が完成しました。

 

それでは、作品をどうぞ!

 

■ チーム奥山 / 光と闇の冒険譚
 本作は、RPGの醍醐味である「ボス戦前」のヒリつくような空気感をコンセプトにしています。重厚な城の背景、魔物の登場エフェクト、そして放たれた魔法を掻いくぐり、一気に懐へと飛び込む勇者の圧倒的なスピード感。これらを掛け合わせることで、物語のピークへ向かう高揚感を演出しました。

 

 

■ 刀鍛冶 / 刀奏
 この作品はそれぞれの個性を持った兄弟がそれぞれの目的をもって師匠のもとで一流の刀使いを目指すというゲームのラスボス戦の後、兄と弟の所属している隊が対立状態になってしまい兄弟で最後の対決をするシーンです。この作品を見て属性や魔法などがついていない刀でする戦闘の魅力をたんまり感じてもらいたいです!!また、モデリングの際、キャラクターの筋肉などにかなりこだわって作ったのでそこも見てもらえると嬉しいです。

 

 

■ 夏日学園放送部 / Humanness
 この作品は「人間らしさとは何か」をテーマとした学園×アクションゲームのオープニングを想定しています。私たちは人間らしさとして、感情を挙げました。そこで主人公と幼馴染の表情変化の対比を表現することにこだわりました。特に敵に囚われた幼馴染と、それに気づいた主人公の表情に注目して欲しいです。

 

 

■ おばけ工房 / 廃校探索
 取り壊される前に思い出の母校を一目見て廻りたかった主人公。校内に入ると、友人の姿をした幽霊が現れ、おそろいだったクマのキーホルダーを指さしてに消えてしまう。スマホのライトを頼りに暗い廃校内を探索して幽霊となった友人の影を追っていく雰囲気重視のホラーアドベンチャーゲームのオープニング。幽霊が突然現れたように見えるライティングと主人公の恐怖や緊張感を感じさせる息遣いに拘った作品。

 

2026年5月25日 (月)

専門演習のA-LIFE

2026年5月15日 (金) 投稿者: メディア技術コース

ゴールデンウィークも終わってしまい、今年の夏も暑くなりそうな勢いです。

さて、昨年の後期から”A-LIFE”というテーマで2~3年生の専門演習を立ち上げました。
昨今はAIが大流行りな時代ですが、ちょっと前の時代(2,30年前?)にさかのぼると、ニューラルネットやファジー理論などが大流行りした時期があり(そういえば、ファジー炊飯器とかあった気が…)、「単純な仕組み(アルゴリズム)で生体の動きを模倣することが出来ないか?」というのもいろいろと模索された時期があります。生物の動きや行動アルゴリズムを簡略化して、単純な積み重ねでそれっぽい動きができるか?というのを目的に、生物の淘汰や発生、行動や進化までのシミュレーションが取り扱われたわけです。
授業ではこのあたりのネタをジャンル別に扱っています。

例えば、代表的なものとして”LIFEゲーム”という、画面上に配置された「セル」上の生物の発生と消失を単純なルールで決めるものがあります。単純なルールながら独特なパターンを形成して結構面白いので、いろいろなバリエーションが今もネット上に存在します。皆さんも探してみるといろいろな実行例が見つかると思います。

また、”boid”という”鳥もどき”のアルゴリズムでは、群れとしての行動を単純なルールに落とし込んで、それらしい動きが作られたりしています(このあたりのアルゴリズムは、CG黎明期の映画技術にも取り入れられており、”boid”のアルゴリズムが初期に用いられた例としてはティム・バートン監督の映画「バットマン リターンズ」(1992年)で用いられたのが有名です。(でも、実際見てみると蝙蝠の群れの動きがワサワサしている感じはちょっと微妙で、遠目のCGペンギンの群れも雑な感じはします))。

さて、そんなA-LIFEのアルゴリズムから簡単なものをご紹介。下図左はGray-Scottモデルという反応と拡散の単純なモデルで、パラメータを縦横で変化させたもの。各地点の数値の”濃度差”が安定状態を求めて、時間とともに様々なパターンを形成するのが観察できます。下図右はこれをもう少し発展させて移動因子を加えたもの。ちょっと画面は暗いですが、個体?が自己複製をしながら移動するという、いわば原始的な「生物」風な動きを見せます。各画像をクリックすることでアニメーションが見られると思います。

Alife1_-20260103-062357Alife2-20260103-062011

こういうのを見ていると、なんだか、もわ~っとあぶくが熱で浮き上がるようなムーディなバブル時代(いや、まさに泡だから正しい表現かも)のインテリアを思い出すのですが…今でもあったらごめん。

(以上 文責:永田)

2026年5月15日 (金)

プロジェクト演習作品展示会「何つくっ展」

2026年4月22日 (水) 投稿者: メディア技術コース

すこし時間が経ってしまいましたが、3月10日から12日にわたって、パルテノン多摩の市民ギャラリーを借りてプロジェクト演習「インスタレーション制作」の展示会を開催したしました。この展示会は、演習を受講している学生たちが、計画や広報も含めて開催したものです。演習はデジタル機能を利用してインタラクティブに反応するアート的な作品を制作する内容ですが、それらを外部に発表することもこの演習の課題の一つです。

 

あまり人通りが多くない場所ではありましたが、100名近くのお客さんが来場してくれました。作品はどれもその場で実際に体験できるものとなっており、学生自身の解説を聞きながら楽しんでもらえたようです。

 

単に制作のための電子工作技術を学ぶのではなく、他の人に見てもらうことを目的にアイデアを形にし、実際に展示するという経験はモノ作りの意識を変えることになったと期待しています。今後もこの演習では発表を意識した作品制作の体験を目指し、今年度も展示会の実施を継続したいと考えています。

 

Img_0127_1000

   会場の入口

 

Screenshot-20260423-at-162937_1000 Screenshot-20260423-at-162903_1000 Img_0120_1000

   作品展示の様子

 

太田

2026年4月22日 (水)

より以前の記事一覧