研究紹介

学会発表報告(SSS2024)

2024年9月11日 (水) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

2024年8月10日(土)~12日(月祝)に宇都宮市で情報処理学会 情報教育シンポジウム(SSS2024)が開催されました。寺澤研究室4年の櫛田さんがポスター発表とデモを行いましたので簡単にレポートします。


櫛田さんの発表は「生成系AIを利用した小学生向けの個別学習支援システムの検討と実装」というテーマです。ChatGPTを使いこなすには、やってほしいことを指示する「プロンプト」をいかに作るかというのが重要です。様々な分野で利用が広がっているChatGPTですが、小学生が学習のために使いこなすにはこの点がまだ難しいところです。そこで櫛田さんは、大人から見れば言葉足らずな小学生の単純な質問でも、それをChatGPT自体を使って必要なプロンプトに仕上げる方法を検討しました。そして、それらを実行し最終的にChatGPTが元の質問の答えを返してくれる仲介のシステムを構築しました。


櫛田さんにとっては初めての学会発表でしたが、ほかにも大学生、大学院生の様々な発表もあり、大変刺激を受けていたようです。自分の研究についても、ポスター発表ならではの様々なコメントを直接いただき、それを反映させた研究を今進めています。

今回私は3日間の日程を毎日神奈川県内の自宅から宇都宮まで在来線だけで往復するというケチケチな参加方法をとりましたが、さすがに3日目になると往復がつらく感じられました。会場にいる時間が長く、かつ、往復にも時間がかかるので、あまり宇都宮市内を散策する余裕はなかったのですが、宇都宮市で新しく2023年から運行が始まったライトライン(LRT)にだけ、初乗り料金区間の往復で乗ってきました。ちなみに私は鉄っちゃんではありません。


各地に残る、昔からある路面電車には何度も乗ったことがあり、学生の頃は生活の足にしていた時期もありましたが、新しくできた路面電車というのはそのフォルムも含めなかなか未来感があり、面白い体験でした。

(メディア学部 寺澤卓也)

2024年9月11日 (水)

卒業研究中間発表会(寺澤研)

2024年9月 9日 (月) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

少し前のことになってしまいますが、7月31日に寺澤研究室の卒業研究中間発表会を口頭発表形式で行いました。当日は12名の中間発表と早期卒業2名の最終発表が行われました。今年の研究テーマはChatGPTなど生成AIをうまく活用しようという研究や、物体認識をリアルタイム処理して対応する研究などが目立ちます。研究テーマは各自の問題意識に基づいて決めているので他にも多様なテーマがあります。

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2025年度の卒研生として配属になった3年生も参加してもらいました。Zoomを併用したのでそちらで参加した人もいました。

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後期の授業開始まで2週間を切りましたが、夏休みの間、キャンパスの一斉休暇や研究室のエアコン工事などもあり、研究室に集まりにくい状況でした。各自が自宅でも研究を進めてくれていることを期待し今週から研究室のミーティングなども再開させています。約一か月後の紅華祭(大学祭)のころまでにどこまで研究を進められるかで研究成果に差がつきます。休むところは休んだはず。これから底力を見せてもらいたいです。

(メディア学部 寺澤卓也)

2024年9月 9日 (月)

ACM CHI2024参加

2024年7月10日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部・技術コースの加藤です。

先月、5月10〜18日の間、国際学会ACM CHI2024に参加するためにハワイ出張に行きました。

ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)の研究分野において最も規模が大きく、権威のある国際学会です。

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今回、LINEヤフー研究所、お茶の水女子大学、東京大学との共同研究 FoodSkinという研究の口頭発表をしてきました。

ACM CHIという学会ですが、なんと来年は日本(横浜)にて開催されます!https://chi2025.acm.org/

せっかくなので来年は学生を連れて行きたいなぁ。

 

Kunihiro Kato*, Kaori Ikematsu*, Hiromi Nakamura, Hinako Suzaki, and Yuki Igarashi. FoodSkin: Fabricating Edible Gold Leaf Circuits on Food Surfaces. In Proceedings of the 2024 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI'24), Article No.358, pp.1–17, (2024). (*joint first authors) [DOI] [Video] [Presentation Video]

2024年7月10日 (水)

新任教員の山脇です。どうぞ宜しくお願いします。

2024年7月 1日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

初めまして。4月からメディア学部教員となりました山脇と申します。どうぞ宜しくお願いします。現在は1年生の「フレッシャーズゼミ」と、プロジェクト演習の「インテブロ(intebro)」を担当しています。この3か月、毎日が新しいことの連続です。

3月までは東京の民間放送局で33年勤めておりました。振り返ってみれば、この16年ほどは自宅と東京のオフィスとの往復が主な生活パターンでしたので、自然豊かで(私の研究室からの写真です)広大な八王子キャンパスに来るだけで別世界のような気持ちがしています。

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私は長きにわたって報道、情報、ドキュメンタリー、バラエティなどのテレビ番組の制作に携わってきました。8年間担当していた昼の生情報帯番組では、170人近くの番組スタッフと毎日「ああでもない、こうでもない」と切磋琢磨しておりました。 

2020年くらいから民放各局は「ファミリーコア個人視聴率」という、放送局によって多少異なりますが、大体13歳〜49歳の視聴者を主なターゲットにするようになっています。番組をどうつくればその年齢層の視聴者に届くのか?20代〜60代の多士済々の番組スタッフたちと熱い議論を交わしながら番組をつくる毎日はスリリングでとても楽しかったのですが、一方で「若者離れ」が激しいテレビ番組が、50歳以上の「テレビファン(?)」を手放していいのか?ジレンマに悩む日々でもありました。

最後の1年半は、番組考査という番組をチェックする仕事も担当しました。「最近のテレビ番組は面白くない」という記事や本を見ると、必ずと言っていいほど出てくる「番組コンプライアンス」の仕事です。「不適切」という言葉が有名になったドラマの台本や、バラエティ番組の企画に問題がないか?事前事後に考える仕事です。

SNSが普及した2010年代以降、「番組を直接見ていない」人たちからのクレーム(ここでは「苦情」ではなく、「主張」という本来の意味で使っています)が急増し、放送局の対応も大きく変化しています。かつては「視聴者対応」といわれた仕事も、現在では、番組を直接見ていない人たちも含めた「カスタマー対応」という言葉に変わっています。

日本では、来年2025年にラジオ放送が始まって100年を迎えます。その中で今の学生の皆さんが生まれた2010年代に起きた「ブロードバンドの拡充」「SNSの普及」「スマートフォンの普及」によって、放送局の置かれている状況も、仕事も、考え方も大きく変化しています。もとい、変化の真っ只中にあります。そのようなマスメディアの現状を研究し、若い学生の皆さんにお伝えできたらいいなと考えています。

どうぞ宜しくお願いします。(メディア学部、山脇伸介)

2024年7月 1日 (月)

研究紹介:登場人物間の絡み可視化における変身や変装を伴う事例の分析

2024年5月24日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。
昨日に引き続き、芸術科学フォーラムでの発表について報告です。

もう一件の発表は同じく絡みの可視化における、情報抽出時に迷う場面についての分析です。
タイトルにある通りですが、作品によっては登場人物が変身したり変装したりすることがあります。
変身する登場人物の変身前と変身後の姿は、あらかじめ変身について聞いていたり変身する瞬間を目撃したりしない限り、他の登場人物にとっては違う登場人物という認識になります。

つまり、変身前の本体とだけ絡みのある人物、変身後の姿とだけ絡みのある人物、両方の姿と絡みのある人物がありえます。
更に細かく考えると、両方と絡みがあってもその二つの姿が変身前後の同一人物だと知らない、という場合も考えられます。
(絡みの可視化においては会ってさえいれば絡んでいると考え、同一人物という認識の有無は問題にしませんが・・・)

この場合、可視化結果で〇で描かれる登場人物をどうするかが問題になります。
例として、仮面ライダーアギトの第一話・第二話を分析した結果を使い説明します。
主人公の津上翔一は仮面ライダーアギトに、警察官の氷川誠は仮面ライダーG3にそれぞれ変身します。
G3の方は警察組織としての動きで、基本的に変身前後で絡みはあまり変化しません。
しかしアギトの方は、翔一としての絡みとアギトとしての絡みは全く別になっています。

この場合に、翔一とアギトを同じ一つの〇で表すのは絡みの可視化上問題になります。
しかし、別の登場人物として扱い、二つの〇を出すと今度は別の問題が発生します。
次の図は翔一とアギト、氷川とG3を別の登場人物として可視化した場合の結果です。

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当人による変身という都合上、津上翔一と仮面ライダーアギト、氷川誠と仮面ライダーG3には絡みが全くないのです。
先ほど書いた通りG3の方はあまり絡みに変化がないので比較的近くに配置されていますが、翔一とアギトはかなり離れた配置になってしまいました。
これでは主人公の翔一が作品の本筋の一部である戦いに全く関わっていないような結果になってしまいます。

そこで、変身等複数の姿が登場する作品においては、それぞれを別の〇としながら、距離としては常に密着させるという方法をとってみました。
次の図は翔一とアギト、氷川とG3を繋げている場合の可視化結果です。

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翔一としての絡みとアギトとしての絡みを両立しつつ、それが同一人物であることもわかるような配置になりました。
現在は2人(4人)分しか密着させる処理を書いていないので(&変身後の姿で誰とも絡んでいないため)仮面ライダーギルスが浮いてしまっていますが、これも変身前の本体である葦原涼と密着させるとより正確な結果になると思います。

今後は任意の人数について変身前後の姿を密着させられる処理にする予定です。
近年の仮面ライダーシリーズやマーベル系の作品等、変身する人物が多くなっても対応できる必要があります。

現状困っているのは、三つ以上の姿がある場合です。コナンの登場人物で多重スパイをしている方々とか・・・
二つの姿は単純に距離を〇の直径まで縮めるだけですが、三つ(またはそれ以上)となるとどうやってつなげればよいか・・・
まだまだ研究することはいっぱいです。進展があり次第報告します。

2024年5月24日 (金)

研究紹介:登場人物間の絡み可視化における分類困難な事例の分析

2024年5月22日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。
遅ればせながら、3月に行われた学会の芸術科学フォーラムでの発表について報告です。

今回は2件の発表をしてきました。どちらも登場人物の絡みの可視化に関する内容です。
絡みの可視化は、以前に発表してから期間が開いてしまいましたが、少しずつ改良を重ねてきた内容です。

アニメや映画などの作品において、登場人物同士が一緒に居た場面の抽出をします。
俗語的ですが、登場人物同士が一緒に居たり何かをしていることを「絡む」と表現することがあります。
冒頭のシーンから順番に、登場人物のうち誰が描写されているかを記録していくことで、「よく一緒に居る人物」を抜き出す試みです。

そして抽出した絡みの情報を、力学グラフという方法を使って可視化していきます。
よく一緒にいる登場人物同士、つまり絡みの多い登場人物同士が近くになるような可視化結果が得られます。
次の図は『美女と野獣』の絡み可視化結果です。

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ベルと野獣を中心に、ルミエール・コグスワースをはじめとする家臣達が近くに集まっています。
家臣たちの中でも特に絡みの多い上記二人が近くに来て、ポット婦人とチップは少し離れた位置になっています。
町の人たちは、終盤では城に集まり交戦しますが、それまでは町の人たち同士の絡みが中心のため城のメンバーとは離れた位置に来ています。

このように、絡みの情報を入力として力学モデルでの可視化を行うと、登場人物間の距離感のようなものを出力できます。
ただし、絡みの情報を抽出するという分析過程において迷う場面が生じることがあります。
前置きが長くなってしまいましたが、それが今回発表した研究のテーマです。

私の担当している先端メディアの科目で、色んな作品で絡みの可視化をしてみようと学生さんと共に分析をしてみました。
その際に、「このシーンはどうしよう・・・」という場面がいくつかあったので、そのような作品・場面についてまとめてみました。
例として、次のような場面では絡み情報の抽出で困りました。

・登場人物同士が入れ替わってしまった作品の場合
・登場人物がアバター等別の姿を持ち、アバター同士の絡みがある場合
・スター・ウォーズのストームトルーパー等、同じ姿で複数回登場するが実際には同一人物でない場合
・同行はしているけど一言も会話をしない場合

それぞれ色んな難しさがあります。
最後の例であれば寡黙な登場人物など、集団内にはいるけど孤立しているような描写があると「絡んでる」と言えるのか迷うところです。
そういった状況も含め、可視化のための情報抽出をどううまく行っていくかが課題となっています。
引き続き研究を進め、また進展があれば報告します。

2024年5月22日 (水)

AES “Audio for Games” 参加記

2024年5月20日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは。伊藤彰教です。

去る4月27日からの3日間、ゲームと音響に関する国際会議 “Audio for Games”が開催されました。数年前にLondonにて開催されて以降「次は日本で!」という企画はあったものの、世界的な感染症の影響で延期に延期が繰り返され、2024年の今年、ようやく東京藝術大学千住キャンパスにて開催されました。

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欧米・アジアなど世界各国から、ゲーム制作者、音響研究者など多様な背景を持つ方々が150名ほど集まり、国際色豊かな環境の中で活発な意見交換が行われました。

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「世界に発信する絶好の機会!」ということで、わたしたち東京工科大学メディア学部のゲーム研究・教育に関する取り組みを、音楽・音響面を中心に発表しました。英語ではありますが発表内容は論文としてオープンとなっていますので、ご覧いただければと思います。

さらにありがたいことに、東京藝術大学の先生方にお誘いをいただきまして、わたくしを含めて3名の先生方にて「大学におけるゲームサウンドの教育」というラウンドテーブルにも参加しディスカッションを行いました。 
 
わたし自身、本当に久しぶりの国際会議ということで緊張もありましたが、国際会議らしく会場からの質疑も盛り上がり、充実した発表となりました。特に、メディア学部の特色のひとつでもある「プロジェクト演習による実践教育」と「実技経験をもとにした高度研究への発展」という仕組みは、海外の教育機関からも注目を集めることができました。さらに「音楽・音響がゲーム教育・研究の中にしっかり組み込まれている」という事例は国際的にも珍しいとのこと。
 
三上先生・安原先生をはじめとする先生方と「国内にとどまらず国際的にも特色あるカリキュラムと教育環境の実現を!」ということを目指して日々努力しておりますが、その成果を海外の専門家の方々にも認めていただけることとなり、たいへん充実した発表機会となりました。
 
東京藝術大学では、数年前からゲームに関する教育・研究を徐々に深化させていることは知っておりましたが「数年後にさらに本格化させる大きな動きがある」との興味深い発表もなされました。そのような中で「東京工科大学が20年来継続している教育プログラムも大変参考になる」というありがたいコメントをいただくこともできました。
 
次回の “Audio for Games”が、いつ、どこの国で開催されるかはまだ未定ですが、次回は学生の研究発表の実現も目指して、ゲームサウンドの研究・教育をより一層深めていきたいと、決意を新たにする国際会議となりました。

2024年5月20日 (月)

IVEC2024 榎本の発表

2024年5月10日 (金) 投稿者: メディア技術コース

さて、いよいよ発表のお時間となりました。

 

タイトルは、

Chronological Changes in the Form of Festival Preparation Works and their Influence on the Local Community Bonds

(祭りの準備作業の変遷が地域コミュニティの絆に及ぼす影響)

共著者は千葉大学の伝康晴先生です。

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お祭りの作業の簡略化が、コミュニティの結束も揺るがすのではないか?というお話です。

 

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11年間撮りためた膨大なデータを使って分析しますよ。

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  • 時間と労力のかかる作業
  • 辛くてしんどい作業

→ 「率先して自分が動く・手を抜かない・文句を言わない・おっさ(後輩)を慮る」ことをおっさ(後輩)が教わる

→ その後の生活でも、この気質が残る

 「祭りを終えて一人前の男」互いを思いやる心

→ 辛い裏方作業をこなした後に、祭りの爆発的な楽しさがある

ところが、

⇨ 作業の簡略化

⇨コミュニティ成員たちの絆や一人一人の心持ちを変えていくかもしれない

 

というお話でした。

 

質問1(司会者の方)「virtual miseumを作ると原稿には書いてあるが、それは具体的にはどういうものか?」

答え:11年間のビデオをたとえば自動で3DCG化して展示する、祭りの準備作業の等身大のCGの中に見をおけば、当時の激しさや辛さや人々の気持ちを追体験できる。特に野沢はスキー観光が盛んで、オーストラリア人や中国人や韓国人など海外からの来訪者も多い。そういった人々が祭りの雰囲気を追体験できるようになる。また、いつか祭りが廃れてしまっても、この時代の人々はこうやって生きていたのだという歴史的資料になる。

質問2(大淵先生) 「コミュニティの絆が変化したことをどうやって証拠立てるのか?」

大淵先生の学生さんが同じ部屋で発表していたので、大淵先生にも聞いていただけました。

答え:単に準備作業を撮影しているだけでは精神的な変化を追うのは難しいが、インタビューも併用することで随時内面の状態をモニターする。また、祭りの最後に感動して泣いている人が何人いたかなど数えることでも具体的な証拠になるのではないか。

 

お二方ともとても的を得た質問をしてくださったので、学会全体から見ればアウェイ感のあったこの発表ですが、なんとか収まりがつきました。ご質問いただいたお二人に感謝です。

2024年5月10日 (金)

先端ゼミ

2024年4月26日 (金) 投稿者: メディア社会コース

本学部には先端ゼミという科目があります。すでに他のブログでも紹介されているかもしれません。相当の成績が履修要件となりますが、学部初級の学生諸君にも専門的な研究の場を提供しようという趣旨の科目です。筆者も同カリキュラムが開設されて以来設定していましたが、過去に一人の受講者がいただけで、ほぼ毎年休講状態でした。

そこに、昨年秋冬学期にTさんとSさん、二人の2年生が応募してきました。学会報告を視野に、まずは基礎的な文献の購読から開始しました。過去の当研究室卒業生の特に優れた論文の中から、二人に2〜3編ずつ選んでもらいました。いずれも読んで理解するだけで大変な労力を要する論文ですが、それぞれの研究を引き継いで追加調査も行うことが課題です。研究で独り立ちするにあたって、いわば絵画の模写のように、調査/研究の方法、分析手法も合わせて習得してもらうことが狙いです。並行して、自らの研究計画も逐次報告してもらいました。

二人とも、他の授業との掛け持ちで大変だったと思いますが、期待を上回るスピードで課題を習得し、年末には自律的に研究を開始できる水準に達しました。そこで、年度内の学会報告を目指して、秋冬学期の終了した2月も、ゼミを続けました。2023年度内に参加可能な、社会情報学会中国・四国支部第2回研究発表会(香川短期大学、2024年2月24日開催)、ビジネス科学学会産業調査研究会(福岡中村学園大学、2024年2月27日開催)のうち、後者に応募しました。報告テーマは以下のとおりです。

Tさん「声優業界の現状と展望」

Sさん「アナログレコード産業の復活について」

当日の研究会では、中村学園大学の片山先生のゼミからも2名の学部学生が報告し、学生同士で実に活発な議論が展開されました。出席した諸先生も4人の学部学生に触発されて、時間を超過しながらも意見交換が続きました。

筆者が学部学生の頃は、他大学とインターゼミを行っていたものですが、学生同士の議論には通常の教員対学生という図式では得られない効果が生まれると改めて思いました。学会には、若手育成という重要な使命があります。今後、学生セッションをポスター形式、ワークショップなどで実施していくと、学生間のみならず互いに大いに啓発されるのではないかと確信しています。

今年は、二人とも3年次生として本格的な卒業研究を開始します。今回の研究蓄積を踏まえ、大いに飛躍を期待しています。片山ゼミの二人も、4年生ですでに社会に巣立っていかれましたが、大いなる活躍を祈念しています。

(メディア学部 榊俊吾)

2024年4月26日 (金)

2023年度後期学会報告

2024年4月24日 (水) 投稿者: メディア社会コース

今年度、当研究室からは7名の学生諸君が学会で報告しました。夏学期中には、日本地域政策学会のM君、三重県津市で開催された情報コミュニケーション学会社会コミュニケーション部会のU君とS君、本学八王子キャンパスで開催された情報文化学会関東支部会のI君が報告しました。

彼らに引き続き、社会情報学会中国・四国支部第1回研究発表会(島根大学、12月23日開催)にM君は遠隔で、そしてI君は2度目の報告を現地で行い、社会情報学会中国・四国支部第2回研究発表会(香川短期大学、2024年2月24日開催)にはA君、K君が現地で報告しました。当日のプログラムは、https://www.ssi.or.jp/から辿ることができますので、ぜひご覧ください。

学生が参加する学会には、通常筆者も同行します。今年も、夏学期の津と、12月の島根大学には同行したのですが、香川には体調不良のため急遽欠席しました。もちろん、本学演習講師をご担当いただいている関東学院大の本田先生はじめ、当日参加された諸先生方と十分な質疑ができたとのことで、安堵しています。

余談ですが、今年は、航空便と宿泊事情の関係から岡山経由で香川入りを予定していました。JR四国の2700系南風で瀬戸大橋を渡る計画でしたが、お預けとなりました。来年は、捲土重来、当ブログに2700系気動車の勇姿を掲載したいと思っています。

(メディア学部 榊俊吾)

2024年4月24日 (水)

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