研究紹介

【Vocagraphy!の使い方②】「でんわ」と聞いて、何を思い浮かべる? 複数の写真を一つのカードに入れる方法。

2022年6月25日 (土) 投稿者: メディア社会コース

皆さんは、「でんわ」という言葉を聞いて、どんな絵を思い浮かべますか?上の写真のような昔の電話がパッと頭に浮かぶ人はあまりいないですよね。今だとスマホを「でんわ」と呼びますね。少し前ならガラケーでしたね。さらにその昔は、公衆電話に長蛇の列が出来ていたものです。

では、子どもはどうやって「でんわ」という言葉を最初に覚えているのでしょうか。電話が何なのか意味を理解しているとは思えません。スマホが電話となった今の時代、大人でも説明するのが難しいですよね。

▶︎なぜ複数の写真を使うの?

聞こえる子どもであれば、親がわざわざ教えなくても「でんわ」という言葉を自然に覚えます。小さいお子さんでも、手を耳のあたりにあてて「でんわ」と発語します。「おじいちゃんとおばあちゃんから電話だよ」と四角い物体を渡されて声が聞こえてきたり、パパやママが電話をしていて「ちょっと待って、いま電話してるから」と構ってもらえなかったり、そんな体験と「でんわ」という音が結びついて、言葉を覚えているのでしょう。

音声で言葉を覚えるのが難しい子どもの場合、視覚的に覚えやすい工夫をしてあげると言葉を覚えやすくなることがあります。Vocagraphy!では、一つのカードで一つの言葉を覚えますが、複数の写真を読み込むことが可能です。お子さんが喜びそうな工夫をすることで、楽しく言葉を覚えることができます。

▶︎カードに複数の写真を入れる方法

カードの作り方は前回のブログでご紹介しましたので、そちらをご確認ください。

さて、カードを作ったら、次の2ステップで写真を追加してみましょう。

  1. 写真の上を左にスワイプする

  2. 「+」をタップして画像を追加する

簡単ですね。画像は10枚まで追加することが可能です。「でんわ」というカードに写真を4枚入れる動画をご覧ください。

動画はこちら>
https://vimeo.com/698897335

▶︎どんな使い方が出来るでしょうか。

では、どんな場面でこの機能を使えば良いのでしょうか。私の経験談をご紹介します。

(1) かわいいイラストと実際の写真で結構違う罪な動物たち

さて問題です。キツネはどれでしょうか?
全て答えてください。

画像

答えは①と③ですね。皆さんは、どんな順番で答えを導き出したでしょうか。

①はキツネっぽいな。
②はどうだろう。キツネっぽいけど、犬かな。
③は・・・・犬っぽいけど、キツネだな。
④は明らかにネコじゃん。でも、①に似てるな・・・・・。

絵を見て、これまで見た絵本や実物と照合し、記憶された動物の名前を引っ張り出してくる作業をしたのだと思います。体に染み付いた言葉は、そんな手順を意識することなく、パッと言葉が出てくるでしょう。

市販の言葉カードだと、①のように可愛らしいイラストのものもあれば、③のように本物そのものの写真やイラストもあります。どちらもキツネだと覚えてもらうには、アプリに両方の写真を入れると良いでしょう。

(2) オリジナル言葉カードの原点は「ラーメン」

娘がなかなか覚えられなかった言葉の一つに「ラーメン」がありました。市販の言葉カードに書かれているイラストには、大人が食べる本格的なラーメンが書かれており、チャーシュー、なると巻、ネギなどがトッピングされています。3歳くらいの子どもがそのようなラーメンを食べる機会はなかなかありません。

そこで、週末に私が作ったラーメン(コーン、キャベツ、タコさんウインナーなどをトッピングしたもの)を写真に撮って印刷し、言葉カードの上から貼りました。すると、ラーメンが好きな娘は、すぐに覚えることが出来ました。

この時にアプリがあったら、家で作ったラーメンの写真と、言葉カードのラーメンのイラストと、カップラーメンの写真などを入れたでしょう。今考えると、アプリで1つの言葉に複数の写真を取り込めるようにした原点は「ラーメン」だったのかもしれません。

(3) 抽象的な「上位概念」を覚える

色の名前を覚えるとします。「赤」「青」「黄」などの折り紙を写真に撮って、カードを作ると良いでしょう。でも、言葉をこれから子どもにとっては、それだけでは不十分です。これでは、折り紙の場合に使う言葉だと思ってしまうからです。

画像

「赤」であれば、「トマト」「いちご」「赤信号」「ポスト」などの写真も入れれば、なんとなく「色」という上位概念があることを認識します。「赤」「青」「黄」に対して、「色」という上位概念があることも覚えます。

「色」以外にも、例えば「かたち」というフォルダに、「まる」「さんかく」「しかく」というカードを作ります。「まる」であれば、トマト、ボール、お皿などの写真を入れます。

トマトは「赤い色」で、「形は丸」なんだな。

アプリで写真と言葉を繰り返し見ていると、このような事に気がつくでしょう。

他にも「味」「季節」「におい」など、さまざまな上位概念を知る事で、覚えた言葉同士が有機的に結びつきあい、単語を組み合わせて短い文章を作ることができるようになります。

▶︎まとめ

フォルダや複数の写真を使えば、抽象的な「上位概念」と具体的な「下位概念」を直感的に理解できます。言葉を暗記するだけではなかなか定着しないので、多面的に言葉をとらえ、日常生活で意識して使うことをオススメします。そして、なるべく子どもが喜ぶ写真を使い、楽しく言葉を覚えましょう!

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。


 

2022年6月25日 (土)

【Vocagraphy!の使い方①】とっても簡単な、最初にやるべき5つのステップ

2022年6月24日 (金) 投稿者: メディア社会コース

Vocagraphy!はいろいろな使い方ができます。もともとは、難聴児の言葉の療育を想定して開発しましたが、聞こえる子どもたちが勉強に使っても良いですし、大人が外国語を覚える時に活用することもできます。

あなたの覚えたい言葉を写真と一緒にカードにして、毎日ながめて、クイズをして覚えたか確認します。電車やバスに乗っている時やちょっとした空き時間にVocagraphy!を使ってみましょう。

⑴覚えたいモノの写真をとる

まずは覚えたい(子どもに覚えて欲しい)モノの写真をとります。ここでは、難聴児の療育を想定して、子どもに覚えさせたいモノを例にあげます。

Vocagraphy!で写真の撮影はできませんので、スマホに予めインストールされているカメラアプリ等で撮影してください。覚えるモノを1つずつ写真にとります。撮影の際は以下の3つのポイントに気を付けてください。

  1. 覚えたいモノを1つずつ撮影する

  2. 背景はなるべく無地にする

    • 写真と言葉を直感的に結びつけるために、余計なモノが入らないように気をつけましょう。

  3. 画面の中央に覚えたいモノが写るようにする

撮った写真をそのまま使えるのが一番効率が良いのですが、必要に応じて明るさを調整したり、トリミングして大きさを変更したりしてください。

⑵フォルダを作成する

では、いよいよVocagraphy!を立ち上げましょう。

  1. 左下のカードの形をしたボタンが青くなっていることを確認します。

    • 青くなっていない場合はタップしてください。

  2. 左から2番目の「+」ボタンをタップします。

  3. 「新規フォルダ」を選択します。

  4. フォルダ名を入力し、「完了」をタップします。

これで、フォルダが出来ました。作ったフォルダを1回タップして、フォルダの中に入ります。動画でも手順をチェックしてみましょう。

動画はこちら>
https://vimeo.com/697221333

⑶カードを作成する

では、覚えたい言葉のカードを作っていきましょう。

  1. 左から2番目の「+」ボタンをタップします。

  2. 「新規カード」を選択します。

  3. カード名(覚えたい言葉)を入力し、「完了」をタップします。

    • 空欄のまま「完了」をタップすると、「カード」という名前のカードが作成されます。名前は後で変更することが可能です。

  4. 上部のカメラマークをタップします。

  5. 使いたい写真を選択します。

これでカードが出来上がりました。

この作業を繰り返して、覚えたいカードを全て作りましょう。

動画はこちら
https://vimeo.com/697221312

⑷カードを見て言葉を覚える

Vocagraphy!は、いつでも、どこでも、楽しく言葉を覚えるために開発されました。必ずしも机に向かって、えんぴつを持って、紙に書いて覚える必要はありません。特に小さいお子さんは長い時間集中力を保つことは難しいでしょう。しかし、アプリなら子どもは喜んで操作します。クイズをやるとなれば、さらにモチベーションはアップします。

電車やバスの中で、カードを次から次への見るだけでも構いません。子どもが言葉を覚えるのに必要なのは「言葉のシャワーを浴びさせること」だと言われています。聞こえなかったり、聞こえにくかったりするのであれば、目から「言葉のシャワー」を浴びさせれば良いのです。写真と言葉の組み合わせで、目から言葉のシャワーを浴びせましょう。

動画はこちら>
https://vimeo.com/697225810

メモに書いた言葉は、日常的に使いましょう。今回の例で言えば「かみ」という名詞や、「きる」という動詞、そして「を」という助詞はまだ理解していないかもしれません。しかし、聞こえる子どもたちは、意味が分からなくても繰り返し聞いたり、発話したりすることにより、自然にそれらを覚えていき、そして意味もなんとなく理解します。

難聴の場合は、「紙を切る」ような場面になったら、文字を見せたり、指文字を使って、これらの言葉と体験を結びつけると良いでしょう。そして、隙間時間にアプリでまた「見る」ことにより、言葉を定着させることにつながります。あなただけのオリジナル教材カードを作りましょう。

⑸クイズをする

カードを作って言葉を覚えたら、クイズをして確認をしましょう。

  1. 一番右の「Q」ボタンをタップします。

  2. クイズをしたいカードを選択します。

  3. 答えを声に出したり、紙に書いたりして、回答します。

  4. 「?」をタップして答えを確認します。

  5. 下部中央の「評価ボタン」で「正解!」「おしい!」「また頑張ろう!」のマークを選択します。

  6. 「>」ボタンをタプして、次のクイズに答えます。

以上の作業を繰り返して、楽しく言葉を覚えましょう。

動画はこちら>
https://vimeo.com/697263822

▶︎まとめ

これらの5つのステップを覚えて頂ければ、Vocagraphy!を使って楽しく言葉を覚える毎日が始まります。工夫次第であなただけのオリジナル言葉カードを、いつでも、どこへでも、持ち運ぶことができます。

いろいろな体験と言葉をつなげるためにも、買い物に行った時、公園に遊びに行った時、旅行に行った時など、さまざまな場所で写真を撮っておきましょう。

 


メディア学部 吉岡 英樹

001_20220613213101
略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。


 

2022年6月24日 (金)

モデリング研究に携わったきっかけ

2022年6月15日 (水) 投稿者: メディア技術コース

前回 (5月28日の投稿),自己紹介と今までやっていた研究の1つを紹介しましたが,今回は私の履歴をもう少し説明しつつ,現在の研究に至った経緯を説明したいと思います.

私は高校まで出身国である韓国で過ごしていて,学部過程から日本に渡ってきました.学部や修士までやってきたものは現在やっている研究とは関連性が薄いので,ここでは割愛させて頂きます.

修士過程を終えた2012年に,兵役のために韓国に帰国しました.韓国は兵役制度が実施されていて,一定年齢以上の男性は基本的に2年弱,兵士として義務を果たす必要があります.私はその代わり,大学や企業の研究所にて研究員として3年間勤める,代替服務で兵役を果たせました.勤務地はKAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology, 韓国科学技術研究院)という研究重心大学に付属されているAR(拡張現実間)の研究所でした.

そこで私が携わった研究は以下のようなものでした.
"An HMD-based Mixed Reality System for Avatar-Mediated Remote Collaboration with Bare-hand Interaction" 
Seung-Tak Noh, Hui-Shyong Yeo, and Woontack Woo,
In ICAT-EGVE 2015, Kyoto, Japan: The Eurographics Association, 2015, pp. 61-68, The Eurographics Association, 2015.
コンセプトを要約すれば,遠隔地にいる2人が,お互い相手をアバターの形で自身の空間に召喚させ,何かしら共同作業を行うとのコンセプト (動画 0:06~0:18) と,それを実現するためのシステム構築 (動画 2:50~) をまとめたものです.今となってはこのような概念は「メタバース」などの名前で括られ,一般にもよく知られている概念になってきたと思います.映画やコンセプト動画程度で現れていた概念だけのものであったので,それを先立て実現させてみたのに意義があったと言えます.

今度紹介した論文は一応,研究プロジェクトの一貫として作ったものです.なので,やはりあっちこっち満足の行かない部分が多かったです.その中でも,私として最も満足の行かなかったところは3次元モデルのアバター部分でした.基本的に,このプロジェクトで使うアバターは遠隔のユーザを表すものですが,そうするには顔,服装などのパーツを現実のユーザに似るようなものとして作り上げることが望ましいです.ですが,このような作業を3次元キャラクターモデルとして一貫性を保ちつつできるようにするのは案外簡単ではありませんでした.なので,当時のプロジェクトでは,3次元モデラーに依頼して作ってもらった3次元キャラクターものをそのまま利用した訳です.この辺りの問題を解決するには,その度にモデラーに依頼するような仕組みではなく,もっと技術的な解決策が必要と思い,CGのモデリングを研究することと決めた訳です.
また次の機会でKAISTにて行った他の研究や,博士課程以後行った研究も紹介できればなと思います.
よろしくお願いいたします.

続きを読む "モデリング研究に携わったきっかけ"

2022年6月15日 (水)

2022年度オープンキャンパス(八王子キャンパス)のご案内

2022年6月 7日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは!

すでにご存じの方も多いと思いますが、2022年度の八王子キャンパスでのオープンキャンパスが下記の日程で開催されます。

 ・6月12日() ・7月17日() ・8月7日() ・8月21日(

現時点ではいずれの回も、来場型[定員制・事前予約制]とオンライン型[申込制]での開催を予定しています。

メディア学部は、6月12日(日)の来場型は申込みが定員に達しましたので受付を終了しましたが、オンライン型は6月1日(水)〜6月17日(金)の開催期間にお申込み・ご視聴いただけます。

6月12日(日)の来場型については、こちらのページに各研究室の展示内容をご紹介しています。7月以降も毎回組み合わせを変えながら15前後の研究室を公開しますので、どの研究室がピックアップされるかお楽しみに!

(メディア学部 伊藤謙一郎)

2022年6月 7日 (火)

新任助教の盧です

2022年5月28日 (土) 投稿者: メディア技術コース

はじめまして,今年4月から助教として着任した盧承鐸(ノ スンタク)です.
現在,柿本先生と一緒にビジュアル・インフォマティックス研究室を運営しております.
コロナ過で皆さま前でお話する機会があまりないので,このブログ上で簡単に自己紹介及び研究内容の紹介をしようと思います.
私はコンピュータ・グラフィックス,その中でも特にモデリング分野を主に研究しています.
本来,コンピュータ・グラフィックスにおいて3次元モデルを作る作業には多大な時間と労力が必要です.
創作など存在しないものを作る意味では3次元モデルをゼロから作り上げる必要も生じてきますが,
3次元モデルが必要な多くの文脈では,既に何かしらの実物があり,それに相当する3次元モデルを作るのが殆どです.
今度はその意味で行ってきた過去の研究の内,代表的なものを1つ紹介します.
"SkelSeg: Segmentation and Rigging of Raw-Scanned 3D Volume with User-Specified Skeleton" 
Seung-Tak Noh, Kenichi Takahashi, Masahiko Adachi, Takeo Igarashi
Proceedings of Graphics Interface 2019: Kingston, Ontario, 28 - 31 May 2019
こちらの内容は,ぬいぐるみを3次元スキャンしてキャラクターアニメーションに用いる時に起こり得る問題を解決したものです.
伝統的な3次元スキャン手法では,対象を背景と区別する機能や,隣接パーツ同士を区別する機能が備えられていないため(動画 ~0:15),単純にぬいぐるみをスキャンしたら背景と隣接パーツが癒着された状態になり,アニメーションにすぐ活用できない状態のものしか得れません.普段,こういう問題を解決するには,3次元編集ソフトウェアを利用して背景を削除したり,癒着されているパーツを切り離したり不都合のおきている部分を綺麗に直してから,骨格を付与してアニメーションさせる流れになります.しかし,3次元編集ソフトウェアの操作は単純でない上,労力もかなりかかる作業が必要になります.
この研究では,スキャンする際の床情報を利用することで床部分を削除し,スキャン時に見えていなかった部分に発生し得る穴を自動的に塞ぎます(1:30~1:45).また,何れアニメーション用に付与される骨格情報を利用してパーツに起きている癒着問題も半自動的に解決します(動画1:45~2:05).これは,3次元編集ソフトウェアに慣れていないユーザでも,限られた視点における2次元的な操作(動画 0:55~1:25)はそこまで難しく感じないとの知見に基づいたものです.以上の機能を持ちまして,3次元編集ソフトウェアに慣れていない人でも簡単に作業できるように利便性を改善したものと言えます.
私が何故このようなモデリング分野に携わってきたかの経緯に関しての話や,技術的な面においても色々話がありますが,今回は自己紹介として初めての自己紹介の意味を込めてその内容は大分割愛しております.その内容については,また今度のブログ記事で紹介できればなと思っております.
これからどうぞよろしくお願いいたします.

2022年5月28日 (土)

昨年度の卒研生が学会発表で企業賞を受賞しました

2022年5月18日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部助教の兼松です。

以前こちらの記事で、昨年中の卒研生である渋谷くんが、映像表現・芸術科学フォーラム2022で発表したことをお伝えしました。当日は優秀発表賞(ポスター発表)を頂いたのですが、この度、CG-ARTS 人材育成パートナー企業賞の一つである「アールフォースエンターテイメント賞」も頂けることになりました!

渋谷くんの研究「女性アニメキャラクターの性格に基づく学校制服の着崩し方分析」の内容については以前の記事で書きましたのでそちらをご覧ください。

講評では着眼点が良いと評価していただきました。この研究は、研究途中はだいぶ難航しましたが、渋谷くんのテーマ決め自体は比較的早期・スムーズに決まりました。これは、恐らく渋谷君自身が、アニメや映画などをただ見るだけでなく、さまざまな視点で疑問を持ちながらからだと思います。映像コンテンツの授業では様々な制作スキルを学べますが、一方で、映像の勉強といえば、やはり「多くの作品を見ること」も大事です。ここから、ノウハウはもちろん、自分自身の制作意図や個性を出すためのきっかけを得るわけですが、闇雲に見れば良いというわけでもありません。

メディア学部には,学生からすると,一見「これはコンテンツを作るのに役に立つのかな?」と思うような授業も含めて様々な授業があります.ですが,私は総合芸術である映像コンテンツこそ,ただスキルを学ぶだけではなく,様々な知識・知見を持たないと良いコンテンツを作るのは難しいと思っています.ですから,早く実践的なスキルを身につけて,早くプロのクリエイターになりたいと思う人ほど,メディア学部で実践的なスキルプラスアルファを身につけてほしいなぁと思います.

渋谷くんの活躍に,我々の教育やメディア学部での体験が少しでも役に立っていたのなら嬉しいと思います.

また,渋谷くんの研究のような,既存作品の制作ノウハウを調べて制作支援の仕組みをつくる研究は,とりあえず研究を始めるだけなら専門的な知識やスキルは比較的必要とせず,ハードルが低いという利点があります.アニメや映画に関連した研究に興味がある入学したての皆さん,これから大学選びをするみなさん.私のプロジェクト演習に来ていただければ,卒業研究を待たずとも,こういった研究の一端を体験できますよ!

(文責:兼松祥央)

2022年5月18日 (水)

ACM CHI2022

2022年5月 4日 (水) 投稿者: メディア技術コース

こんにちは,メディア学部の加藤です.

今年も ACM CHI2022が始まります.

CHI (「カイ」と読む)は The ACM CHI Conference on Human Factors in Computing Systemsの略称であり,

ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)の研究分野において最も規模が大きく,権威のある国際学会です.

今年は現地(アメリカ・ニューオリンズ)で開催されていますが,僕は残念ながらオンラインでの参加となります.

ぼくは 慶應大学・杉浦研究室と,Yahoo! JAPAN 研究所との共同研究で ReflecTouchという研究を Full paperで発表します.

日本語の記事も公開されているので興味がある人は見てみてください.


Xiang Zhang, Kaori Ikematsu, Kunihiro Kato, and Yuta Sugiura. ReflecTouch: Detecting Grasp Posture of Smartphone Using Corneal Reflection Images. In Proceedings of the 2022 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI'22), Article No. 289, pp1--8, (2022). [DOI]

2022年5月 4日 (水)

フランスからの留学生達 〜 ようこそ日本へ!

2022年4月15日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。こんにちは。

メディア学部は、多くの海外の大学と提携しています。そんな提携校の一つにフランスの「ISART Digital」(以下「ISART」)があります。ISART はフランスのゲームの開発や制作に関する学校で、スタイルは日本だと専門学校が近いのですが、学位として「学士」が取得できるので、日本だと大学に相当する学校になります。日本だと「デジタルハリウッド大学」が近い存在かもしれません。大変優れた人材を多く輩出している名門校です。

大変光栄なことに、ISART からは東京工科大学(以下「TUT」)との提携をとても重要なものと位置づけていただいています。実際、ISART の Web ページの中でも大々的に扱って頂いております(https://www.isart.com/japan/)。数年前から、ISART からの留学生が多く来日しており、こちらで平均1年くらいの研究活動を行っています。私の研究室でも3年前より2名の留学生を受け入れ、指導の結果国際学会で研究成果を発表することができました。

しかし、そんな ISART と TUT の盛んな交流に、思わぬ障害が立ちはだかることになります。言うまでもなく「コロナ感染」のことです。2020年2月頃に感染が拡大し始めた頃から、日本は当面外国人を受け入れることに極めて慎重な姿勢を取ることになりました。個人的には、感染の拡大をおさえるための措置として適切なものであったとは考えていますが、日本への留学を希望する学生達にとっては、とても残念な状況でありました。

この2年間、TUT で私が指導を担当することになった学生達と、たびたびメールで連絡をとりあっていました。日本での感染がおさまってくる度に大きな期待をよせて連絡をくれたものの、またすぐに感染者が増大して来日の見込みがなくなるという日々を、何度も繰り返していました。そのたびに、彼らが失望するのをなんとも申し訳なく感じざるを得ませんでした。個人的に驚いたのは、いつ来日できるのかについて何の見込みも持てない状況であるにも関わらず、留学希望学生達は誰も辞退しなかったということです。彼らにとって、日本で研究することはそれほど重要なことなんだなと実感させられました。

そんな「留学待ち」の学生がいる一方で、フランスではさらに新たな留学希望者が追加されていくわけで、今年3月の時点で私が指導を担当する希望学生は4名にまで増えてしまいました。そんなおり、2月になって日本政府がようやく重い腰を上げ、留学生達を段階的に受け入れる方針を打ち出しました。ISART の担当の先生は大変熱心にこの提携に取り組んで頂いており、TUT の事務局の担当者をせっついて迅速に全員を日本に送り出す手続きを進めて頂きました。(ISART の U 先生と TUT 事務局の H さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。)

というわけで、4名が無事に私の研究室にやってきました。再び色々な国の人達と活動ができるようになってきたこと、本当に喜ばしく思っています。これから彼らと研究の議論をしたり、一緒に食事に行ったりするのがとても楽しみです。Welcome to Japan!!

Isart

左からモビアン・ヴァランタン君、ルフェ・マキシム君、私(渡辺)、
ソイスヴァン・ジュリアン君、ギヨーム・ジュスト君

メディア学部教授 渡辺大地

2022年4月15日 (金)

久しぶりの対面学会(後編)

2022年4月14日 (木) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。今回は、「前編」に引き続き芸術科学会東北支部に参加したときのことを書いていきたいと思います。

[前回のあらすじ]
3/24に八戸で開催される学会に学生3名、教員2名で参加したいと思ったが、3/16の地震で新幹線が不通となった。急いで航空チケットを取得したが、レンタカーなしでは移動できないこととなった。

Airport

青森空港

青森空港に到着した我々はレンタカーに乗り込み八戸を目指します。カーナビがなぜか遅めの道を選択してしまうこともあり、2時間くらいかかりましたが無事に到着しました。八戸の中心街には屋台村がありまして、独特の雰囲気を持つ酒場となっているのですが、まだまん延防止等重点措置、いわゆる「まん防」が全面解除となる前の時期であり、八戸は対象外ではあったもののちょっと人出は寂しいものでした。一緒に来た阿部助手や院生達にはこの屋台村のことを期待を込めて話していたので、少し残念なことになってしまいました。次に来るときには賑やかさを取り戻しているといいのですが。

Yatai

八戸の屋台村を散策する我々

学会発表はつつがなく終わりました。岩手大学や八戸工大の先生方と久しぶりに対面することができました。オンラインでは頻繁にやりとりをしているため、あまり「久しぶり」という感じではなかったのですが、ようやく直接会えるようになったというのはやはり感慨深いものがありました。

Presen

学会発表の様子。発表者は院生の我彦君

翌日は帰路につくことになるわけですが、実は帰りの飛行機が夜遅くのものしか取れなかったため、この日は夜まで青森で時間を潰す必要がありました。せっかくレンタカーも借りていることもあり、ここまで来たので下北半島に足を延ばしてみました。青森県の右側の半島で、恐山などが有名ですね。しかし今回は日帰りということもあり、恐山には寄らず、北端である大間を目指すことにしました。

まず大間に行く往路はできるだけ半島の東側(地図でなら右側)を通ることにしました。この往路で印象的だったのは「六ヶ所村」です。原子力発電所で有名な地なのですが、小規模な村や港が続く中で突如先端的な研究所や(多分そこの研究所に勤める人達が住む)最新鋭の戸建て住居が現れたりと、とても異世界感が溢れる地域でした。

大間に到着し、少し本州最北端の海岸を散歩した後、名物であるマグロに舌鼓を打ちました。海岸の写真の海の向こう側の陸地は北海道になります。

Ooma

本州最北端の大間岬から北海道を眺める我々とカモメ

帰りは半島の西側沿いに行くことにしたのですが、こちらはなかなかの悪路で運転には苦労しました。ちょっと時間的にタイトになってきたことや、一部メンバーが酔い気味になってしまったこともあり、往路に比べると少々緊迫してしまっていたのですが、途中で猿の群とはちあわせたのには驚きました。写真だと5匹くらいしか写ってませんが、30匹くらいはいたんじゃないかと思います。この下北半島の猿は「北限のサル」と言われており、ヒト以外では世界で最も北に生息している野生の霊長類なんだそうです。

Monkey

「北限のサル」達が我々の車を見てゆっくり逃げる(逃げてない)

カーナビでは結構ギリギリの到着時間を示していたので不安になっていましたが、田舎の方は信号が全然ないのでかなり早めに進むことができ、結果的には青森空港で夕食を取ることができるくらいの余裕がありました。空港は大変な賑わいでした。東北地方の人達にとっては、新幹線という交通手段が使えなくなったわけで、通常ではほとんど見られないほどの人出だったようです。青森を出発したのが21時すぎ、羽田に到着したときには22時を過ぎていました。全員ヘトヘトになりながら帰宅です。

この2年間、従来は会合によってなされてきた学術的な活動が、オンラインでも問題なく実施できるということが、多くの学会の尽力によって示されてきました。これ自体は大変素晴らしいことであり、今後コロナ感染が収まってからもオンラインの学会は是非存続していてもらいたいと思います。しかしながら、それはそれとして実際に会って話す、人前で喋る、ダイレクトの声を聴くというのは、オンラインとは別次元の体験であり、実際の対面学会はやはり親交を深めることができる度合いが違うなと実感できました。もっと多くの、全国や全世界の研究者と会うことができる世界が再びやってくる日を、強く待ち望みます。

メディア学部教授 渡辺大地

2022年4月14日 (木)

久しぶりの対面学会(前編)

2022年4月13日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。こんにちは。

先日の記事で、オンライン学会への参加の報告とともに、現地にいけなかった悔しさを吐露しましたが、3月24日に開催された学会では久しぶりに対面形式で参加できました。

今回参加した学会は、青森県八戸市で開催された「芸術科学会東北支部研究会」というものです。「芸術科学会」は幅広い学問領域をカバーしていることや、仲の良い他大の先生方が多く参加していることから、私がもっとも積極的に参加している学会です。各地域の学会員が気軽に発表できるようにと、芸術科学会には「東北支部」「中部支部」「関西支部」といった地方支部があります。今回は、このうち東北支部が主催した研究会に参加しました。

東北支部という名目にはなっていますが、実際はどこに住んでても参加することができます。また、高専生や学部生、あるいは大学院に入学したばかりの学生が発表することも多く、割とゆるめのレベルでも暖かく受け入れてくれる雰囲気があり、まだ研究が萌芽段階である学生でもリラックスして発表できる、個人的にはとてもありがたい場です。

ご存じのように、長らくの間コロナ感染は収まっておらず、この2年間ほどはほとんどの学会がオンライン開催となっていました。もちろん、オンライン開催であっても学会で対外的に研究を発表することは重要であり、積極的に参加してきました。しかし、オンラインでの発表と実際に聴衆が目の前にいる中での口頭発表はやはり雰囲気が異なるものであり、学生が対面形態での発表を経験できないことも残念に感じているところでした。そんな中、3月の東北支部研究会はハイブリッド形態で実施するという連絡があり、是非学生達にも聴衆がいる中での発表の雰囲気を体感してもらいたいと思い、修士1年の学生達に参加を促しました。結果として、3名の学生が現地で発表、2名の学生がオンラインで発表することとなりました。今回の研究はどれもまだまだ萌芽段階のものであり、現在はまだ大々的に講評できる段階ではないので、研究内容については割愛させてもらいます。

久しぶりの学会出張にワクワクしながら準備を進めていたのですが、3月16日に事件がおきます。地震による東北新幹線の脱線事故です。犠牲者が出なかったのは何よりではありますが、当面の間東北新幹線は開通しないということになりました。17日くらいまでは様子を見てたのですが、「絶望的」という報道を聞き、急いで新幹線の切符をキャンセルし、航空の空席情報を調べました。会場である八戸市に一番近い空港は三沢空港になります。23日の往路については人数分のチケットが確保できそうだったのですが、25日の復路がまったく空席がなく、一時は現地参加を諦めかけました。

1時間くらい経ってからもう一度検討してみようと思い、改めて調べてみたところ、青森空港であれば往復分のチケットをギリギリ確保できそうなことがわかり、間髪入れずに予約しました。八戸まで100kmくらい離れていたのですが、まあ大きめのレンタカー借りればなんとか全員で移動できそうです。

というわけで、23日に羽田空港より青森空港に向かいました。飛行機に乗るのも随分久しぶりです。院生の一人は飛行機は初めてだったみたいですね。

Img_0548

羽田空港で搭乗を待つ私と院生達(撮影は阿部助手)

(続く)

メディア学部教授 渡辺大地

2022年4月13日 (水)

より以前の記事一覧