2026年2月に、交通エコロジー・モビリティ財団を訪問し、私が取り組んでいる「Voices for All」プロジェクトについてご紹介するとともに、次世代の音声伝送技術であるAuracast™の体験会を行いました。

講演・体験会の様子
交通エコロジー・モビリティ財団は、高齢者や障害のある方を含め、誰もが安心して移動できる交通・まちづくりを推進している公益財団法人です。公共交通機関や施設のバリアフリー化に関する調査・研究、普及啓発などを行っています。
「Voices for All」は、公共空間における音声情報アクセシビリティの向上を目指す取り組みです。昨年12月には、Auracast™を活用した実証実験を実施しました。プロジェクトの詳細については、以前のブログ記事をご覧ください。
今回の意見交換では、これまで社会全体でバリアフリー化が進められてきた結果、スロープや点字ブロックなどは広く普及してきた一方で、「音声情報のアクセシビリティ」については十分に議論されてこなかったのではないか、という点で認識が一致しました。
駅や空港、病院、イベント会場などでは、多くの重要な情報が音声で提供されています。しかし、聴覚障害のある方や聞き取りに困難を抱える方にとって、それらの情報を十分に受け取ることが難しい場面が少なくありません。
今後は、音声情報アクセシビリティの課題や可能性について、交通分野の専門家の皆様とも連携しながら、一緒に考えていきたいと思います。
今回の訪問を通じて、改めて感じたのは、音声による情報提供が社会のさまざまな場面で当たり前に行われている一方で、その情報にアクセスできない人がいるという現実です。
音声情報アクセシビリティは、聴覚障害のある方だけでなく、高齢者や外国人、騒がしい環境で情報を受け取るすべての人に関わるテーマです。今後も研究や社会実装を通じて、「音声情報をすべての人へ」を目指した活動を続けていきます。

図:3年次向け講義「音声情報アクセシビリティ」より
次回のブログでは、今期から新たに開講した3年次向け講義「音声情報アクセシビリティ」についてご紹介します。
メディア学部 吉岡 英樹
略歴:米国バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業。日本の音楽業界でレコーディングスタッフやプロデューサーのマネージャーを務めた後、CM音楽作曲やモバイルコンテンツのサウンド制作に従事し、現職に着任。娘の難聴をきっかけに聴覚障害支援メディア研究室を設立し、アプリ「Vocagraphy」を開発(15万DL)。同アプリは科学技術振興機構主催「STI for SDGs」アワード優秀賞(2022年度)を受賞。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「サイレント・コミュニケーション」、3年次科目「音声情報アクセシビリティ」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。