雑感

有効数字

2024年10月 2日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

レポートや卒業論文の添削をしていると、こんな表が出てくることがあります。

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最近は、エクセルでデータ管理して、それをそのまま表としてレポートに貼り付ける人が多いです。改善率のところは、=C2/B2*100 みたいに式を書いておけば、自動で計算してくれて便利です。

でも、これを見て「改善率は37.14286パーセントです」と言うことに、どんな意味があるでしょうか。それを聞いて「なるほど、37.14285パーセントではなく37.14286パーセントなのか」と思う人はいないはずです。普通の人の感覚は「ふーん37パーセントぐらいか」というものではないでしょうか。実際、このような実験を何度もやったとして、毎回37.14286パーセントという値が得られることはまずありません(そもそも、対象者数が35人ではなく36人になったら、絶対に37.14286という数字は出てきません)。

こういうときは、37とか63と書くのが正解です。これは「有効数字」と呼ばれる考え方で、中学校の数学で出てくる内容なので、文系・理系を問わず全員が習っているはずなのですが、ちゃんと実行できている人は(大人も含めて)あまりいません。特に最近は、前述のようにエクセルなどが計算してくれてしまうので、やたらと長い桁数の数字を書く人が多いような気がします。

数学の授業で習う有効数字の概念には難しいところもありますが、とりあえず一番大事なのは、「こんな桁数まで言うことに意味あるの?」という疑問を感じるようになることです。上の表でいうと、37.1とか63.3とか書いても大きな問題はありません。でも、37.14286と書くのはさすがに気持ち悪いと感じるようになること、これもデータサイエンス社会を生きていくための素養の一つではないかと思います。

2024年10月 2日 (水)

秋と言えば...食欲の秋?スポーツの秋?

2024年9月 4日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆さん,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

突然ですが,皆さんにとって「秋」と言えばなんでしょう?

食欲の秋?
スポーツの秋?

暑さもひと段落して,過ごしやすく,活動しやすくなる季節ですが,大学関係者(研究者)にとって「秋」と言えば「学会」のシーズンです.

日頃の研究成果を対外的に発表する大事なイベントである「学会」ですが,大学の学部生のころから学会発表を行うという学生さんも,いまではめずらしくありません.

かくいう私も,大学院生のころから学会発表を行っているわけですが,過去にはこのような出来事がありました...

私もこのように過去に大失敗を経験しております(笑)
ですが,この失敗からたくさんのことを学びましたし,それがいまでは自信にもつながっています.

これから対外的な発表を控えている学生の皆さんは,失敗を恐れずに堂々と発表を行ってください!


文責:菊池 司

2024年9月 4日 (水)

夏休みの過ごし方

2024年8月12日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

助手の栗原です。

8月1週目の試験期間も終わり、在学生は待ちに待った夏休みかと思います。

高校生の皆さんもすでに夏休みを満喫しているのではないでしょうか(もしかすると入試の勉強やオープンキャンパス巡りで休みどころではないかもしれません。ちなみに8/18にも工科大のオープンキャンパスがあります)。

高校生の夏休みというと1ヶ月くらいが多いのではないかと思いますが、大学生になると2ヶ月くらい(本学では9月23日が初日になります)の長期休暇となります。

帰省したり友人と遊んだり、ゲームに没頭するなど人それぞれの過ごし方でリフレッシュすることが多いと思いますし、自分も在学時はそんな感じだったと思います。

ただ、主に卒研生向けにはなりますが、2ヶ月というまとまった時間はなかなか貴重で、ここで作業を進められるかどうかで今後の成果が大きく変わってきます。

もし夏休みを全て遊んだ場合、9月下旬から卒研を再開し、1月の中旬には審査用の卒業論文を提出することになります。

ということで、3ヶ月くらいで全て仕上げる必要があります。

1月の中旬に卒業論文の提出ということは、年末前には8割ほどは完成していて、そのためには実験や改良などもそれより前に出来ていて、と考えていくといかに残りの時間が少ないかということがわかるのではないかと思います。

もちろん休むことや遊ぶことも大事なので、するなということではないですが(繰り返しますが、するなということではないです)、少しでも実装を進めておけるとあとが楽になりますし、完成度も高くなりやすいと思います。

卒研生向けの話になってはしまいましたが、3年生以下の在学生や高校生の皆さん(入試勉強が一番だと思いますが...)においても、難しいとは思いますが何かを制作してみる、本を読んでみる、展示に行ってみる、などしてみると後々何か役立つことがあるかもしれません。

高校生の皆さんとは18日のオープンキャンパスでお会いできればと思います。

 

ということで、各々リフレッシュも含めて良い時間を安全にお過ごしいただければと思います(ちなみに私は発表用の制作に追われています...)。

2024年8月12日 (月)

トイレサインあるいはトイレのピクトグラムの色々

2024年7月31日 (水) 投稿者: メディア技術コース

全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。健康メディアデザイン研究室では、人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、研究者本人を健康にして、その成果を多くの人たちに役立てて、健康改善するための提案や健康アプリを制作するといった研究を行っています。

長期休みにはひとり旅することが多いので、その際にトイレサインあるいはトイレのピクトグラムにはたくさんのバリエーションがあって面白いことに気づきましたので雑感としてまとめたいと思います。

1枚目は1964年の東京オリンピックの際にピクトグラムが注目されたようで、女性を赤色、男性を黒色とするのもこの時がスタートのようです。

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2枚目は2013年の高知県のものです。カツオが地域の特産品なのでこういったユーモアのあるセンスのトイレサインです。
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3枚目は2022年の写真です。スマホ・タブレットのレイアウトがタイル型になってきた影響でのっぺりとしてますが、すっきりとしたデザインになっています。
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以上のように、トイレサインについて画像を調べるだけでも、4枚目の写真のように見慣れたものからデザインセンスの高いものまで、多種多様なデザインがあって楽しいです。そしてメディア学部ならではの路線では、トイレが地図上のどこにあるのかを探すアプリも存在していますし、IoTを使って高層ビルとかのトイレの空き状況を「見える化」する仕組みも実現されています。


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https://www.google.co.jp/search?sca_esv=a63c16f2bb691621&sca_upv=1&sxsrf=ADLYWIID7KKxd1zcDxn__p7PXyBxFs-N4A:1720680535374&q=%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3&udm=2&fbs=AEQNm0BqbPbAzSj6PhNr7nv9Ltx-oFh8tVsgXi1MyFbswNtTUOS5b68chsyOj2QEdx4EPnOrt5ZHu3S6DMvYgOC1wFxAdIFa_dxe3IxofEKCDlLaeR1KtYz4T5WA62ryVfxSBXPB-xzvPrAAzZdzdUdbv3y85Eh5OLeQTCn3Fe6NzdReGs-dXizUwj1p8EqrTQoi2ws8DFKGfMaXLJpV6_PLCS3wFExo6Md-p6yTBcdpTij0EDt7KIc&sa=X&ved=2ahUKEwi10dTAsp6HAxWEZfUHHYP7B5cQtKgLegQIDhAB&biw=1078&bih=612&dpr=1.5





2024年7月31日 (水)

芝生の上の馬の銅像

2024年7月12日 (金) 投稿者: メディア技術コース

この前、大学の一年生と話をしていると、「馬の銅像に乗ったら退学になるのか?」というちょっとネタっぽい質問があった。

そう、うちの大学の芝生には走っている馬の銅像が多数あるのだ。この間見たらいつの間にかその像の周りに囲いができていた。もともと芝生の上はあまり横切ってはいけない雰囲気なので馬に近づく学生も居ないのだが、近づきがたいがゆえに興味津々なのかもしれない。

この伝説は結構昔からあって、うちの「大学の馬に乗ると退学」というのはもう20年以上前から聞く話である。同時に「大学の地下には秘密の施設がある」だとかの噂は学生間で根強くおもしろく語られているらしい。

さて、今一年生にAI関連の簡単な演習をやらせようと準備している中、ふとこの「銅像に乗ったら退学」というのをAIで絵にしたらどうなるだろうかと考えた。近年のAIでの画像生成技術の進歩はめざましく、こんな絵を作って!と指示を与えると十数秒で候補の画像を作ってくる。

早速WindowsのCopilotに「芝生の上にある馬の銅像に乗ると退学になる、そんな写真を作って下さい」と指示を与えてみた。まあ、ぱっと見で理解しにくい文章指示ではあるが、AIだからなんとかなるだろう。(使用したのはWindows標準のCopilot)。で、出て来た写真が下の三枚。

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これは思っていたのとは違う。そもそも馬に乗ってる人の銅像にしかなっておらず、退学要素が含まれていない、とがっかりしたのだが、気を取り直して指示を加えてみた。

「銅像の上に乗るのは大学生です。退学にされてとても後悔しており、周りの観客は同情して泣いています」

すると出て来たのが次の3枚。





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まだ何だかおかしい気もするが…やはり周りに同情する人物を置くのが表現として正しかったか…とか考えつつ、、いや、退学ってそもそも物騒だなとも思いつつ、、授業の準備をしないと、と我に返る今日この頃でした。

危険なので皆さんは馬の銅像には乗らないようにしましょう。周りで見た人がきっと嘆きます。

(以上文責 「情報リテラシー演習」担当 永田)

 

2024年7月12日 (金)

情報システムにおけるストックホルム症候群

2024年7月 8日 (月) 投稿者: メディア技術コース

 企業や学校などあらゆる組織で情報システム(近年のバズワードで言うとDX)が活用されるようになりました。東京工科大学でも遅ればせながら2023年度からペーパーレスが実現され、教職員の物品購入や出張外出経費精算をPCだけで行えるようになりました。以前は紙に書いて(またはPCで印刷して)捺印して提出だったのを変えたのはたいへん素晴らしいことです。
 
 とは言え、今回の学内のシステムはお世辞にも素晴らしいとは言えない代物でした。いろいろ細かい文句を言うとたぶん100個ぐらいこのブログ記事が書けます。ただ、そのようなシステムは珍しいことではないです(だからそれで良いとは思いませんが)。私はこれまで大企業、ベンチャー企業、外資系企業、大学で勤務してきましたが、これぞ素晴らしい出来栄えの社内ITシステムだ、というものは皆無ではないもののほとんどありません。
 
 話を新しい学内システムに戻すと、ほかの多くの教員と同様、私も使い方がわからなくなると事務局の担当部門に内線電話で質問します。操作方法を逐一指示してもらい、それで解決します。担当の事務の方々はいやな態度を微塵にも出さずていねいに対応して下さり、頭の下がる思いです。
 
 一度操作方法がうまく行けば、その途中状態を保存しておき(保存できます)あとで再利用すればいい、という誘惑にかられます。事務の担当者と話すと、それはやらない方がいい、とおっしゃいます。なぜか。それは、面倒でも操作を何回も繰り返す方が結局ちゃんと身に付くからです。
 
 確かに、このような社内申請は同じ種類で中身が異なるものを何度も繰り返し行います。そうすれば、まるでジャングルのような込み入ったところでもいつも同じ場所を通るうちにやがて進み方を憶えて速く進めるのと同様、事務作業は効率よくできるようになります。初めて行う操作でわからないときは電話で尋ね、二度目からは忘れた場合でもマニュアルのどこを読めばいいかわかるので何とかなります。
 
 習うより慣れろ、という何ともアナログな昭和な感じのやり方ですが、使うシステムに文句をいうよりもさっさと身に付けるのが得策です(ついでにこのようなブログネタを一個増やしてくれたのだからそれもお得でした)。
 
 もしかしたらこのシステムを提供した会社はそこまでちゃんと見越してジャングルのようなソフトを開発したのかもしれません。皮肉ではなく本当にそう思います。事実そのシステムは長年多くの企業で採用されているようです。
 
 事務の方も言われていましたが、慣れて行けばだんだん負荷も少なくなっていくのでそれはそれでいいですよとのことです。私はまるで「ストックホルム症候群」のようですね、と申し上げました。ストックホルム症候群をその方はご存じなかったので、ぜひ今すぐ検索してみてくださいね、と言って長い電話を切りました。
 
 ちなみに最初のほうで言及した「これぞ素晴らしい出来栄えの社内システム」の一例はまたの機会でご紹介します。
 
メディア学部 柿本正憲

2024年7月 8日 (月)

「フレッシャーズゼミ」という偶然の奇跡?

2024年7月 3日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

「フレッシャーズゼミ」は、1クラス約13人の1年生が履修しています。他の講義と違うのは、どの先生に当たるのか?本人の意思がまったく通らない点にあります。もちろんクラスメートも選ぶことはできません。ある意味、高校までのクラス編成と同じですが、自分の志向と関係なく「新しい友達」と出会えるチャンスとも言えるでしょう。

 この講義の目的は、大学生活を円滑に進めるための履修情報、常識、マナー、リスクなどを共有することにあります。先日「40年前、自分が大学生だった頃にはこういう講義はなかったなあ」と考えていたら、『フランス語』のクラスが、同じ役目を果たしていたのかなと思い当たりました。20人ほどのクラスで、講義も先生の顔も思い出せませんが、今でも連絡を取っている友人が1人だけいます。

 たまたま初回の講義で隣に座った彼は、旅行とワインが大好きで、社会人になりたての頃に2人でフランス・ブルゴーニュ地方のワイン生産者(ドメーヌ)を巡りました(余談ですが、ワインの試飲でフランス人に言われた「ドウモ、アリゴテ!」というギャグは、今でも私の鉄板です)。私たちは別々の飛行機でパリ集合、パリ解散だったのですが、今でも信じられないエピソードがあります。

 当時はインターネットも携帯電話もありませんでしたから、旅行者が海外で連絡を取り合うことはほぼ不可能でした。そこで私たちはパリのノートルダム寺院の前で待ち合わせることにしました。ところが、私の飛行機が機材トラブルで3時間以上も遅れてしまったのです。ズボラな私は、その日の宿泊ホテルも彼任せでわかりません。仕方なく約束に4時間近く遅れて、大きなバックパックを抱えノートルダム寺院に着きました。「さあ、これからどうしよう?」と途方に暮れていたとき、「遅くなったな」と彼がひょっこり現れたのです。結局15分も待ちませんでした。彼も何かのトラブルで遅れたということでした。

 今では夫婦で数年に1度会いますが、たまたま『フランス語』のクラスで隣になって、偶然パリで合流できたことが、彼との大事な接点になっています。何が言いたいって?皆さんもフレッシャーズゼミで「偶然の奇跡」が起こるかも知れませんよ(笑)。

(メディア学部、山脇)

2024年7月 3日 (水)

人工知能学会全国大会(第38回)での発表その後

2024年6月21日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の榎本です。

 

人工知能学会全国大会(第38回)での発表後、せっかく浜松に来たというのでうなぎを食べてきました。

 

うなぎ「麟」さんです。


お客さんがオーダーしてから、鰻をさばいてくれます。上の写真は血抜き中。すごくふっくらしてますね。


まずは白焼き。
冬の浜名湖のうなぎ(5月でも冬のうなぎなんですね)は脂がすごく乗っていて、皮が固めとのこと。なので、焼き加減を調整することでかなり脂をおとしているそうです。でも、皮はどうしようもないので、お好みなら良いですが、とのこと。いや、めちゃくちゃ旨い。身が、ふっわふっわです。皮も滋味深い。


うざくです。鰻ときゅうりの酢の物をうざくというらしいですが、この日は浜松のもずくとみょうがの酢漬けが下に引いてあり、どうぞいっしょにお召し上がりください、とのことでした。酢の物と一緒にいただくと、かなりさっぱりいただけます。この鰻は、漁師さんが潜水して手で捕まえているそうです。

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いよいよ出て参りました。

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うな重。冬場は脂が乗っていて皮が分厚いので、関東風の蒸しやき。夏場は脂が少なく皮が薄いので関西風の炭火焼。というふうに、うなぎの状態に応じて、作り方を変えているそうです。めっちゃふわふわで美味でございましたよ。

 

以上。

2024年6月21日 (金)

用語発明の重要性(続き)

2024年5月27日 (月) 投稿者: メディア技術コース

 2024年の正月は元旦に能登半島地震が起き、正月2日には羽田空港で航空機同士の衝突事故が起きました。
 
 直接の原因は海上保安庁の航空機が管制の許可が出ないうちに滑走路に進入したことです。そのため着陸してきた日航機と衝突しました。海保機が滑走路に進入した理由はその後のボイスレコーダー解析などで究明が進められ、対策も関係各方面で行われています。
 
 本稿は、この事故について報道を読むうちに、運航規則で使われる用語について私が持った違和感を述べるものです。当初はこの違和感が1月2日の事故の原因の一つではとも考えましたが、よく調べると関連は薄いと思い至りました。そもそも機長と管制官の交信は英語だし、訓練されたパイロットであれば用語の意味を誤解することは考えにくいです。しかしながら、重要な用語に違和感があることには変わりありません。ここでは、概念に名前を付けるという一般的な知的作業にまつわる一事例として考察してみます。
 
 私が違和感を持った用語は「滑走路停止位置」です。これは"滑走路の中にある停止位置"だという誤解を招く可能性があるのでは、という疑問です。
 
 国土交通省による航空保安業務処理規程によれば「滑走路停止位置(Runway-holding point)」は以下のように定義されています。
 
 『航空機又は車両が滑走路手前で停止及び待機する場所であって、当該滑走路に接続する誘導路上における位置。』
 
 滑走路「手前で」停止する場所であるにもかかわらず、「手前」が省略された用語になっています。初めて聞けば滑走路の中にある場所と誤解してもおかしくはないです。頻繁に声に出し安全にとって決定的に重要な用語が、第一印象として反対の意味を与える可能性を持つのは筋が悪いと言わざるを得ません。
 
 もちろん徹底的な訓練を受けた人たちは「滑走路停止位置」と聞けば反射的に滑走路手前であると認識することは疑いないことです。しかし、何らかの状況で集中が途切れているときに「滑走路停止位置」に対して、初めて聞く一般人と同じ誤解をして運航してしまう可能性はゼロとは言えません。交信は英語でも、runway-holding pointと聞いて日本語の用語を想起して誤解することも、集中が途切れた状態であれば考えられます。
 
 そのようなことを考慮すれば「滑走路停止位置」ではなく「滑走路進入停止位置」あるいは「滑走路手前停止位置」の方がよいかもしれません。用語が長くなるデメリットはあります。頻繁に使う用語であることを考えるとこのデメリットは大きいでしょう。それにも増して誤解を招く余地を皆無にすることを優先するのであれば、「進入」や「手前」という単語を挿入することは検討に値すると思います。
 
 前回のブログでは概念に付ける良い名前の条件として
 
(1) 短い
(2) 対象物の特徴を具体的に表す
(3) そもそも何の一種なのかの前提を示している
(4) 対象物の利点ができればわかる
(5) 検索しても出てこない
(6) 誤解を生じさせない
 
を挙げました。今回注目した「滑走路停止位置」は、上記(2)については「滑走路」「停止」という明確な単語が盛り込まれています。そして(3)については「位置」という単語で終えておりこれも明確です。(1)の短いというのは7文字なのでやや当てはまらないかもしれません。ただ(2)(3)の利点が大きいなかでは短く収めています。(4)(5)に関しては航空保安業務のマニュアルで使う用語であれば考慮の必要性が小さい条件です。
 
 問題は(6)の誤解を生じさせないという条件です。用語利用者は訓練を受けた専門家なので定義を明確にして繰り返し教育すれば誤解は生じない、という趣旨でしょう。しかし、言葉は常に理詰めで解釈されるという前提は危険な場合があることも事実です。もし上記で私が提案したように「進入」あるいは「手前」を挿入すれば(6)の条件もクリアします。ただし(1)の条件を棄損するため、検討時には(1)と(6)のトレードオフをよく考える必要があります。
 
メディア学部 柿本正憲

参考記事:
用語発明術(2024年2月24日)
用語発明術の重要性(2024年2月25日)

2024年5月27日 (月)

IEVC2024 会場 Electrical Engineering Bldg.

2024年5月 8日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の榎本です。

 

さて、いよいよIEVC2024 会場 Electrical Engineering Bldg.へ到達します。

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宿泊ホテルから会場までも200mぐらいです。

国立成功大学電機工程学系という建物です。(成功大学というのは「成功するための大学」という意味かと漫然と思っていましたが、鄭成功の成功だったんですね)

とても広々としていて、気持ちの良い校舎でした。

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ここが発表する部屋です。

 

事前にプロジェクターのテストをしようとしたら、すべてメニューが中国語で無理でした。

受付にいたアルバイトらしき大学生の人にお願いして、操作を手伝ってもらって、無事投射できることを確認できました。

手元の画面に、プレゼンテーションモードの画面(スライドと読み上げ原稿がパソコンモニターに表示され、会場モニターにはスライドだけが表示される)にできることを確認したので、後は読み上げ原稿を書くだけです。

それでは、また明日。

 

2024年5月 8日 (水)

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