ソーシャル

読書の勧め

2024年8月 9日 (金) 投稿者: メディア社会コース

今週は、普段なかなか読書をできない私がお勧めする本のお話をしています。

医学探偵の歴史事件簿』という岩波新書で書いた本は、お医者様であった小長谷正明先生が様々な歴史的人物とその行動を医学的に見ていきます。なぜこんなことをしたのだろうか、なぜこのように行動できたのだろうかと歴史の出来事を見ていくと思いますが、この本を読むとそれが解明するようです。

最初にこの本を読んだときには、ペストなどの疫病が心底怖かったです。最近読み返すとそれは今のコロナへの恐れも重なっています。

またこの本を読むと学際的な思考の重要性を思います。歴史学者は医学者を兼ねている場合は少ないでしょう。しかし、他の科学で事実をみると、事実の異なる側面が見えてきます。

先に申し上げたように、メディア学部の構成(ソーシャル・コンテンツ・技術)は、このような複眼的な思考をするのに適しているのではないでしょうか?という自画自賛を繰り返して今週のブログの締めとさせていただきます。

山崎晶子

2024年8月 9日 (金)

読書の勧め

2024年8月 7日 (水) 投稿者: メディア社会コース

さて、今週のブログでは1昨日も異なる本をおすすめしました。

こちらもふと手に取ったのですが、しみじみとしてしまいました。

『水車小屋のネネ』は、長い時代に様々な登場人物が、そのときそのときを周りと助け合いながら生きていきます(登場人物にはなくなる方もいます)。私のなくなった母親は私にマンションの人と仲良くしなさい、助け合いなさいと言っておりました。しかし私は朝は7時頃に家を出て、夜は9時以降にもどるためにほとんど住人とあったことがなく、助け合うということを大げさに言えば人生のテーマとして考えておりました。

著者は「無理のない親切」をみんなでする話を書きたかったとおっしゃっていました。私が一番印象に残ったのはこの本の主人公格である律がかつて親切にしてもらった先生の家に食べ物をもっていって二人で食べる場面でした。親切にしてくれた方にすぐに返すのではなく、長い期間で見れば親切にしてくれた方にも無理のない親切をうれしく受け取ってもらえる時が来るのだなと先に申し上げたようにしめじみしました。

この本は、しみじみするだけのものでく、読んで面白い本です。もし気になったら是非読んでみてください。

 

山崎晶子

2024年8月 7日 (水)

ミュージアムの観賞支援研究

2024年3月15日 (金) 投稿者: メディア社会コース

今年一年間、電気通信普及財団助成をいただいて、様々なミュージアムでのフィールドワークを行い、観賞している場面の撮影も行い、そして大原美術館から研究者をお招きしてパブリックアートと地域を支援すれば良いとのコメントをいただきました。

もともと愛知県には産業と関係するミュージアムがトヨタを始め沢山あり、トヨタのミュージアムは本当に素晴らしいのですが、今年一番印象に残ったのは、常滑焼で有名ですが今は中部国際空港で有名な常滑市のINAXのLIVE museumでした。産業や土地やコミュニティまでを考えられることに加えて、展示には美しいものもあり、特に帝国ホテルの建築が今のINAXと関係するのかということが興味深かったです。

2000年からミュージアムでの研究を続けて行っていますが、今年が一番研究ができました。どのように敷居が高いと言われているミュージアムに関する研究を通じて面白さをいろいろな方と共有できるのか、またそれらをどのように学術的に一流の研究とするかを基本から考察することができた一年でした。

この成果はまたこのブログでお伝えしたいと思います。

                                      山崎晶子

2024年3月15日 (金)

卒業論文の発表

2024年3月11日 (月) 投稿者: メディア社会コース

2月の出来事なので、少し前になりますが、今年も卒業論文の発表回がありました。

今年は、他の大学を歩く街歩き、ペーパークラフトを共同で作ること、会話の分裂やゲーム中での指示の問題、ミュージアムでの鑑賞や笑いなど様々なテーマの研究が出そろいました。

笑いの研究では、自分から様々な文献を読んで、このゼミで誰も取り組んだことのない研究を開拓してくれました。

また、美術館での観賞研究は、私が10年近く分からなかったことを学生さんが回答のヒントをくれました。

就職活動などいろいろな悩みがある中、研究室では和やかに過ごせたこと、教員である私も良かったと思っております。これでひとまず今年の卒業研究が終わり、来年からまた開始します。来年も和やかにそして在学中の成果となるようなゼミを目指していきたいですい。

2024年3月11日 (月)

サステナ経営検定・CSR検定 (Cooperate Social Responsibility)検定について

2023年3月26日 (日) 投稿者: メディア社会コース

CSR検定とは企業の社会的責任のことを指します。CSR検定はビジネスや組織運営における社会的責任の国際基準「ISO26000」や国連が採択した「SDGs」(持続可能な開発目標)、サステナ経営/CSRの意義を広めることを目的とした検定です。

本学ではソーシャルデザインに関する、科目を開講していますが、特に3年後期の専門選択科目のソーシャルデザイン論を受けるとサステナ経営検定・CSR検定3級に対応する内容が自然に身に付きます。今年は4月23日に検定がオンラインで行われます。私が担当するソーシャルデザインプロジェクトを受講している4年生は受講する予定です。

サステナ経営検定 CSR検定3級

https://csr-kentei.alterna.co.jp/about-grade3/

文責:飯沼瑞穂

2023年3月26日 (日)

ソーシャルデザイン論 ポスター発表会

2023年3月22日 (水) 投稿者: メディア社会コース

ソーシャルデザイン論では、最終回にポスター発表会を行っています。ソーシャルデザイン論では社会を良くするデザインについて学びますが、最終回では、学生グループ毎に、テーマを決めて課題解決に向けたアイデアをポスターにして発表しています。発表会の後に、ベストポスターをアンケートにて投票してもらっています。テーマは幅広く、今年は、男女格差問題、森林飽和、食品ロス、海のプラスチック問題、フェアトレードなど多岐にわたるテーマがありました。発表会はメディアホールで行っています。以下はその時に様子です。

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参加者全員に自由に会場を歩いてポスターを見て回ってもらいます。

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その後に、ベストポスター投票を行いました。

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今年は、ベストポスターは、”企業のハラスメント防止ツール” について発表をした鈴木里奈さん、林佳奈さん、進藤梨留さん、近森留羽さん、藤井陸さんのグループ、そして”日本の海洋プラスチック”の解決デザインについて発表をした、金子丈さん、榊原実莉さん、川上晴香さん、水口京南さん、木崎柊平さんのグループがベストポスターに選ばれました。


分責:飯沼瑞穂

 

 

2023年3月22日 (水)

ソーシャルデザイン論 PV発表会

2023年3月20日 (月) 投稿者: メディア社会コース

ソーシャルデザイン論では、社会を良くするデザインについて包括的なアプローチについて学びます。デザインと言っても商品のデザインだけでなく人と人とのつながり方をデザインしたり、コミュニティーをデザインしたりすることができます。さらには社会の課題を解決するためのエンタープライズを立ち上げたり、NPOを作って賛同者を募るなど、解決に向けた様々な方法がありますが、すべては、課題解決に向けて意味ある秩序を作るために尽力すること、そこに、調和や美の概念を取り入れていくことが根本にあります。

社会の在り方に意味ある秩序を取り入れることがデザインです。この授業ではグループで課題を見つけてもらい、その解決策を模索します。以下は

その時に発表の様子です。

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PV発表会では、15グループが登壇に上がって発表をしました。発表後、学生アンケート投票でベストPVに輝いたのは、”森林飽和について”のPVを制作した、萱沼透吾さん、菊池陽介さん、三輪大悟さん、三田崎玲さんのグループでした。おめでとうございます。

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分責:飯沼瑞穂



2023年3月20日 (月)

メディア学部とサクラ:サクラがインターネットにデビュー

2023年1月31日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

大寒波が猛威を振るっていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

前回に説明させていただいたように、寒波の後には春がやってきます。春と言ったら桜、桜と言ったら入学式ですが、メディア学部にとって桜(サクラ)とはどのような位置付けにあるでしょうか?画像メディアのひとつとしての桜、映像メディアのひとつとしての桜の散る映像、といったものでしょうか?あとひとつは江戸時代から続く、芝居小屋のサクラというお客を誘導する面白い仕組みでした。

通りすがりの人が賑わっている芝居小屋をみると「何か面白い芝居をやっているのかな?」と思わせるため、知り合いや常連客を誘って、お金を払わず芝居小屋に来てもらい、賑やかしな何人かの人と彼らによる掛け声と芝居小屋を出て「この芝居はとっても面白かったねー」とか話題あるいは口コミを投げかけてもらうことなどをお願いし、芝居小屋が実際の有料入場者以上に賑わって、その賑わいが気になる通行人が「どんな面白い芝居なのだろうか」と興味を持ち芝居小屋にお金を支払って入店するということにつなげてきました。

前述のように長い時間ではないですが、似たような心理的に訴求する仕組みとして「サブリミナル効果」という見ている人が感知できない映像メディアの表現法による心理効果があります。つまりサクラが映像メディアに進出してきました。Wikipediaによると

サブリミナル効果(サブリミナルこうか)とは、意識と潜在意識の境界領域より下に刺激を与えることで表れるとされている効果のことを言い、視覚、聴覚、触覚の3つのサブリミナルがあるとされる。閾下知覚とも呼ばれる。サブリミナルとは「潜在意識の」という意味の言葉である。境界領域下の刺激はサブリミナル刺激(Subliminal stimuli)もしくはサブリミナル・メッセージ(subliminal messages)と呼ばれている。

https://www.nikkei-science.com/201402_056.html

とあり、本人の意図あるいは心理を外部からコントロールする仕組みの悪影響を考え、現在では、映画でもテレビ放送でも「視聴者が感知できない映像表現はアンフェアである」としてほとんどの場合サブリミナル効果を使用した映像表現が禁止されています。

そして、今度は芝居小屋のサクラが映像メディアだけでなく、ついにインターネットにも進出きています。インターネットには「賑わい」も「口コミ」も存在するので、とても親和性が高そうです。ステルスマーケティングと呼ばれるこの手法はWikipediaでは以下のように説明されています。

ステルスマーケティング(英: Stealth Marketing)とは、消費者に広告と明記せずに隠して、非営利の好評価の口コミと装うなどすることで、消費者を欺いてバンドワゴン効果・ウィンザー効果を狙う犯罪行為。「ステマ」の略語で知られる。やらせやサクラなどもこの一例に分類される。映画などの映像の中に目視では認識できない短時間の画像などを挿入して脳内に刷り込む宣伝方法で、ステルス機のように相手に気づかれずに宣伝する手法が語源とされる。

英語圏ではアンダーカバー・マーケティング(英: Undercover Marketing)と呼ばれるゲリラ・マーケティングの1つ。日本では明確には違法になっていないグレーゾーンな行為のため、芸能人やインフルエンサーによるペニーオークション詐欺事件以降にステマの存在が認知された後も、まとめサイトなどウェブサイトやSNSにおけるステルスマーケティングが、後を絶たない。欧州連合やアメリカ合衆国では、広告表記のない宣伝行為は『消費者に対する不公正な欺瞞に当たる行為』として、明確に法律で禁止されている。

という風に、グルメサイトでもショッピングサイトでも豊富な「口コミ」により「賑わい」が創出されているため、そこにマーケティングの要素を取り入れて、宣伝効果を高める手法としてステルスマーケティングが使用されています。事実と異なる現状を演出されていることの是非はかなり議論されているので、すでに法律で禁止されている国もあります。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221227/k10013935901000.html

続く


 

 

2023年1月31日 (火)

メディア学部とサクラ:サクラ編

2023年1月30日 (月) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

大寒波が猛威を振るっていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

寒波の後には春がやってきます。春と言ったら桜、桜と言ったら入学式ですが、メディア学部にとって桜(サクラ)とはどのような位置付けにあるでしょうか?画像メディアのひとつとしての桜、映像メディアのひとつとしての桜の散る映像、といったものでしょうか?あとひとつあります。それは江戸時代から続く、面白い仕組みです。

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江戸時代の元禄文化という大衆文化において花開いたものとして芝居小屋を中心とする観劇があります。今でも全国各地に演芸場といった芝居小屋の建物が残っているように日本の誇る文化のひとつとなっています。そして文化として維持するためには経営が必須です。当時だと劇場の入場料が収入、一方、役者・裏方・浮世絵のチラシなどへの出演料・手数料、劇場の使用料などの支出です。一定期間において収入が支出を上回っている必要がありますし、人気ある役者を雇用し続けるには高額な支払いも必要になるでしょう。最初人気がなくても段々と人気が出てくるケースも多々あったことでしょう。

江戸元禄時代1700年代から300年以上持続するための経営とは並大抵の努力では実現できなかったと思われます。そのためには演劇や劇場を宣伝するための多種多様な技術も発達していきました。現代の看板を劇場前に掲げるだけでなく、現代のチラシの相当する「引き札」、そして入場者に安心感を与える心理的な販売法として「現銀掛け値なし」という定価販売、などがあります。看板やチラシの効果はすぐにわかりますが、定価販売が心理的に安心感を与え、結果として売り上げ増につながるのは興味深いとも思えますし、他に競合のない商品やサービス場合には定価販売の安心感は重要ですが、インターネット時代になった現在では、類似の商品やサービスを簡単に検索して見つけることができるので、これだけでは足りない気もします。

そして、そこで、発展したのがこれも人間の心理に訴求する「賑わい」を演出するプロモーション法です。ひとは行列を見たり、店舗がにぎわっていたりするととても気になります。中には行列を見るととりあえず並んでしまう人もいるくらいです。そこにターゲットを絞り「賑わいを」を演出するプロモーション法が「サクラ」です。

Wikipediaによると

サクラ(おとり)
サクラとは、イベント主催者や販売店に雇われて客や行列の中に紛れ込み、特定の場面やイベント全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を偽装したりする者を指す隠語。当て字で偽客とも書く。

語義の由来
本来は、江戸時代に芝居小屋で歌舞伎を無料で見させてもらうかわりに、芝居の見せ場で役者に掛声を掛けたりしてその場を盛り上げること、またはそれを行う者のことを『サクラ』といった。桜の花見はそもそもタダ見であること、そしてその場限りの盛り上がりを『桜がパッと咲いてサッと散ること』にかけたものだという。サクラの同義語に「トハ」があるが、これは鳩(はと)を逆に言ったもので、同様にぱっと散り去るからだという。

これが明治時代に入ると、露天商や的屋などの売り子とつるんで客の中に入り込み、冷やかしたり、率先して商品を買ったり、わざと高値で買ったりするような仕込み客のことも隠語でサクラと呼ぶようになった。サクラを「偽客」と書くようになったのはこの露天商などが用いた当て字が一般に広まったものである。

今日では、マーケットリサーチや世論調査などにおいても、良好な調査結果をもたらすために主催者側によって動員されたりあらかじめモニターや調査対象者の中に送り込まれた回し者のことを、サクラと呼ぶ。賭博場やオークション会場などで指し値を吊り上げる目的で主催者側の人間が紛れ込むこともそう呼ばれる。

という、江戸時代に堺の堂島※市場で発明された金融業界における先物取引と同様に、今でも世界中で活用されている凄い仕組みですね。

つづく

2023年1月30日 (月)

貞淑な美女?

2023年1月17日 (火) 投稿者: メディア社会コース

『不実な美女か貞淑な醜女か』は、1994年に今はなき米原万里というロシア語通訳者だった方が書いた本のタイトルです

 国際的な事件があったりニュースがあったりすると同時通訳が翻訳することがあります。素晴らしい通訳をされることがほとんどですが、私たちが聞いていてもどうしてこんなに日本語としてギクシャクした表現になるのだろうかと思うことがあります。

一流の通訳者だった米原さんはその問題を「日本語としてわかりやすいけれども原文とずれてしまった不実な美女」と「ちょっとぎこちないけれど原文に沿っている貞淑な醜女」として書いたわけです。

これは大学入試でも同じことがあると思います。もっと日本語らしく書きたい、でもこの英語などの外国語はきちんと読むとそうは訳せない、このことは外国語の日本語訳に関わる人たちがずっと長く悩み事となっていることなのです。

悩んでいるのは私も同じです。最高に素晴らしい英語の表現も訳してしまうと普通の日本語になってしまうのです。努力を重ねてできれば「貞淑な美女」となる翻訳や通訳をしたいものです。

                                          山崎晶子

                                                 

 

2023年1月17日 (火)

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