おもしろメディア学

メディア学部とサクラ:サクラ編

2023年1月30日 (月) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

大寒波が猛威を振るっていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

寒波の後には春がやってきます。春と言ったら桜、桜と言ったら入学式ですが、メディア学部にとって桜(サクラ)とはどのような位置付けにあるでしょうか?画像メディアのひとつとしての桜、映像メディアのひとつとしての桜の散る映像、といったものでしょうか?あとひとつあります。それは江戸時代から続く、面白い仕組みです。

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江戸時代の元禄文化という大衆文化において花開いたものとして芝居小屋を中心とする観劇があります。今でも全国各地に演芸場といった芝居小屋の建物が残っているように日本の誇る文化のひとつとなっています。そして文化として維持するためには経営が必須です。当時だと劇場の入場料が収入、一方、役者・裏方・浮世絵のチラシなどへの出演料・手数料、劇場の使用料などの支出です。一定期間において収入が支出を上回っている必要がありますし、人気ある役者を雇用し続けるには高額な支払いも必要になるでしょう。最初人気がなくても段々と人気が出てくるケースも多々あったことでしょう。

江戸元禄時代1700年代から300年以上持続するための経営とは並大抵の努力では実現できなかったと思われます。そのためには演劇や劇場を宣伝するための多種多様な技術も発達していきました。現代の看板を劇場前に掲げるだけでなく、現代のチラシの相当する「引き札」、そして入場者に安心感を与える心理的な販売法として「現銀掛け値なし」という定価販売、などがあります。看板やチラシの効果はすぐにわかりますが、定価販売が心理的に安心感を与え、結果として売り上げ増につながるのは興味深いとも思えますし、他に競合のない商品やサービス場合には定価販売の安心感は重要ですが、インターネット時代になった現在では、類似の商品やサービスを簡単に検索して見つけることができるので、これだけでは足りない気もします。

そして、そこで、発展したのがこれも人間の心理に訴求する「賑わい」を演出するプロモーション法です。ひとは行列を見たり、店舗がにぎわっていたりするととても気になります。中には行列を見るととりあえず並んでしまう人もいるくらいです。そこにターゲットを絞り「賑わいを」を演出するプロモーション法が「サクラ」です。

Wikipediaによると

サクラ(おとり)
サクラとは、イベント主催者や販売店に雇われて客や行列の中に紛れ込み、特定の場面やイベント全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を偽装したりする者を指す隠語。当て字で偽客とも書く。

語義の由来
本来は、江戸時代に芝居小屋で歌舞伎を無料で見させてもらうかわりに、芝居の見せ場で役者に掛声を掛けたりしてその場を盛り上げること、またはそれを行う者のことを『サクラ』といった。桜の花見はそもそもタダ見であること、そしてその場限りの盛り上がりを『桜がパッと咲いてサッと散ること』にかけたものだという。サクラの同義語に「トハ」があるが、これは鳩(はと)を逆に言ったもので、同様にぱっと散り去るからだという。

これが明治時代に入ると、露天商や的屋などの売り子とつるんで客の中に入り込み、冷やかしたり、率先して商品を買ったり、わざと高値で買ったりするような仕込み客のことも隠語でサクラと呼ぶようになった。サクラを「偽客」と書くようになったのはこの露天商などが用いた当て字が一般に広まったものである。

今日では、マーケットリサーチや世論調査などにおいても、良好な調査結果をもたらすために主催者側によって動員されたりあらかじめモニターや調査対象者の中に送り込まれた回し者のことを、サクラと呼ぶ。賭博場やオークション会場などで指し値を吊り上げる目的で主催者側の人間が紛れ込むこともそう呼ばれる。

という、江戸時代に堺の堂島※市場で発明された金融業界における先物取引と同様に、今でも世界中で活用されている凄い仕組みですね。

つづく

2023年1月30日 (月)

W杯対ドイツ戦勝利のインパクトは大臣辞任の約145倍(PART2)

2022年11月29日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

中学校・高校とずっとサッカー部でひたすらストイックに練習してきた身としては、今カタールで実施しているワールドカップサッカーは4年に一回の眠れない夜・睡眠不足の日々が続きます。2022年11月23日に日本のA代表がドイツのA代表に勝利するという快挙を成し遂げました。シドニーオリンピックで日本代表がブラジルに勝ったのではと記憶されている方もいらっしゃると思いますが、こちらはA代表でなくU22代表なので、世界中の評価は相当に差があります。

試合内容をレビューする報道メディア的なアプローチもありますが、ここでは日本勝利のインパクトをSNSを活用して定量的に調べてみました。そのインパクトとの対比において、先日のブログにて、大臣辞任というバッドニュースは、Yahoo!リアルタイム検索による直近30日間のデータでは、ツイートのピークは11月2日の約2700ツイートで、感情グラフは流石にほぼネガティブで99%もの割合でした。

一方、11月23日深夜の対ドイツ戦の勝利の分析をしてみました。キーワードとして、まず、ドイツ+日本+サッカーとして30日間のツイートグラフを確認したのが以下になります。

ツイートのピークが約2万8千件となっていて、約10倍です。これではタイトルほどのインパクトありませんね。そこでキーワードをいくつか変更してみました。
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次にヒットしたキーワードが「勝った」です。先ほどの2万8千件よりは10倍以上増えて、約28万5千件です。これで105倍です。人間の心理を考えると、ずっと試合を見ていて、試合終了時に出る言葉は、日本を応援している日本人としては素直に「勝った」という言葉がでますよね。でもこれでも145倍までは到達していません。


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そして、最後に最もインパクトが大きかったキーワードを見つけました。それは「ドイツ」です。なんとツイートのピークは39万2千件です。大臣辞任に比べて145倍のインパクトでした。

これまでの3パターンを分析すると、日本がドイツに勝って喜んだ人は、どのような言葉をツイートするでしょうか?「ドイツ」に「勝った」とか、「ドイツ」に「勝利」とか、でしょうか。念のために「勝利」というキーワードも同じツイートのピークのタイミングに18万5千件ものツイートがありました。

こういった試行錯誤することは、データサイエンスという学問分野で今世界中でAIとともにあるいはAI以上に注目されています。

 

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2022年11月29日 (火)

W杯対ドイツ戦勝利のインパクトは大臣辞任の約145倍(PART1)

2022年11月28日 (月) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

中学校・高校とずっとサッカー部でひたすらストイックに練習してきた身としては、今カタールで実施しているワールドカップサッカーは4年に一回の眠れない夜・睡眠不足の日々が続きます。2022年11月23日に日本のA代表がドイツのA代表に勝利するという快挙を成し遂げました。シドニーオリンピックで日本代表がブラジルに勝ったのではと記憶されている方もいらっしゃると思いますが、こちらはA代表でなくU22代表なので、世界中の評価は相当に差があります。

試合内容をレビューする報道メディア的なアプローチもありますが、ここでは日本勝利のインパクトをSNSを活用して定量的に調べてみました。そのインパクトとの対比において、先日、大臣辞任というバッドニュースがありましたがまずそのインパクトを調べてみました。ツールはtwitterの投稿内容を分析しているYahoo!リアルタイム検索です。直近30日間のデータでは、ツイートのピークは11月2日の約2700ツイートです。それに加えて感情グラフという、ポジティブな内容なのかネガティブな内容なのかもわかります。大臣辞任は流石にほぼネガティブで99%もの割合です。

続いて、本題のワールドカップサッカーの日本対ドイツ戦の結果のツイートを分析してみます。
つづく

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2022年11月28日 (月)

研究紹介:恋愛リアリティショーにおける心理的距離の可視化

2022年11月 6日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。

昨日に引き続き、NICOGRAPH2022でのポスター発表の紹介です。
今日は中山和さんの研究の紹介です。
中山さんは初めての学会発表ですが、早いうちにポスター発表のやり方を掴みうまく説明をしてくれていました。

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隣同士だったので昨日と同じ写真ですが、それぞれ学外の方にしっかり説明してくれています。

中山さんの研究は、恋愛リアリティショーにおける心理的距離の可視化というテーマです。
心理的距離、という名称を使っていますが、学術用語ではなく比喩的な表現の意図が近いです。
俗っぽい表現になってしまうので研究タイトルにはしませんでしたが、好感度とか親密度という方が近い表現です。

バチェラージャパンという、Amazonプライムビデオで配信していた恋愛リアリティショー形式の番組についての分析・可視化です。
バチェラージャパンは、一名の男性と多数の女性による恋愛リアリティショーで、基本的に女性が代わる代わるアプローチをしていきます。
それらのアプローチをエクセルにまとめつつ、時折ある男性側からのアプローチなども記録していきます。

この分析で得られたアプローチの種類や回数を使い、力学モデルでのグラフ描画を行ってみました。
女性男性問わず、弾き合う性質を持つ円の形で表現し、アプローチの数だけ間にばねを繋いでいきます。(男性側の行ったアプローチであれば6倍繋いでみています)
登場人物同士は弾き合う力で離れようとしつつ、アプローチ回数分繋がったばねによって引っ張られることで、力同士の釣り合う形で静止するような動きをします。

配信の話数ごとにアプローチの情報を適用し、釣り合った時の登場人物間の距離(男性と女性陣との距離)や配置が実際に配信を観て感じる距離感になるかを検証します。
主観を排した検証方法はまだ実現できていないですが、少なくとも番組を観て、分析をしている中山さん自身の印象としてかなり近いものにできているようです。

今後は分析方法の修正や繋ぐばねの数の再検討、他のシリーズの情報を入力しての比較などすることがいっぱいです。
今後の発展が楽しみです。

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2022年11月 6日 (日)

研究紹介:長編の物語における登場人物の行動と場面の可視化

2022年11月 5日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。

昨日の記事で書いた通り、石川県で開催されているNICOGRAPH2022に参加しています。
今回は先端メディアゼミナールⅡを受講していた三名がポスター発表として参加しました。

今日は飯田琴美さんの研究の紹介です。
飯田さんはこれまでに紹介した(記事1記事2)通り、一年後期からずっと受講してそれぞれの成果で毎年度学会発表をしてくれています。
今回で三度目ですが、これまではリモート参加だったので現地での発表は初めてです。
現地は初めてということで緊張している様子もありましたが、発表が始まると見に来た方にしっかり説明してくれました。

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今回の研究は、長期間の連載をしている漫画作品を題材に、登場人物の行動を分析し可視化する方法を検討しました。
連載が長期化すると登場人物の数が多くなり、それぞれの人物の行動を代わる代わる描写していると人物ごとの登場頻度が下がってしまいます。
すると、前回の登場からどれだけ経ったかや、前回登場時にどこで何をしていたかなどの情報が曖昧になってしまうことが起こりえます。

これを整理するため、「ONE PIECE」や「BLEACH」、「名探偵コナン」を題材に、各登場人物の登場時の行動をエクセルで分析しました。
分析にあたり、列方向に時系列(物語の進行)を取り、行方向に登場人物を列挙する形を取りました。
しかし、常に同じ登場人物同士が一緒に行動するわけではないため、ある場面で一緒に行動していた人物同士が遠く情報が把握しにくいという問題が発生しました。

そこで、登場人物について何行目に記載するかを固定せず、物語中で描写される度に一番上の行に移動して表示するという方法を検討しました。
これによって、ある時点で一緒に描写された(同じ行動を取っていた)人物同士が近づき、またこの入れ替えを描写ごとに行うことにより、しばらく登場していない人物が下の方の行に移動していく形になりました。
エクセルではそのような行の並び替えは行いにくいため、エクセルで分析したデータをもとに上記のルールで表示位置の変更を行うシステムの試作を行い、手法の有効性の確認を開始しました。

今回はその分析方法と情報のまとめ方についての発表がメインで、試作プログラムについてはこれから改めて仕様の検討と実装という形です。
今後の発展が楽しみです。

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2022年11月 5日 (土)

出張先での夕暮れ

2022年11月 4日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。
11月に入り、すっかり日が落ちるのが早くなってきました。

本日から開催している芸術科学会の大会、NICOGRAPH2022に参加していますが、今日は発表の話ではありません。
私の関係での発表は、明日土曜日に予定されています。そちらの報告はまた改めてする予定です。

NICOGRAPH2022ですが、今回は石川県にある北陸先端科学技術大学院大学というところでの実施となりました。
コロナ禍以降、遠方の学会には不参加かリモート参加をしてきたのですが、今回は現地で参加しようと思い久々の出張をしています。

学会に参加中の夕方、室内のある展示を見終え、時計を見ながら部屋の出口に向かいました。
16:58分ごろだったかと思います。歩きながら「もう17時か、外は真っ暗だな」と思いました。
本学は5限の授業が17:05から開始しますが、その前の休み時間中くらいに真っ暗になります。
ちょうど先日、5限開始直前に窓の外を見ていたので記憶に新しかったこともあり、時計を見て外の様子を想像したのでした。

ところが、実際に外に出るとまだ明るいのです。もちろん夕方で日は落ちてるのですが、西の空が赤いだけでなく空全体がまだ明るくて驚きました。
その時の空の様子を写真に撮っています。時刻としては17時0分14秒だったようです。

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どうして・・・?と思いましたが、よく考えてみれば普段とは違う場所にいるのでした。
八王子では17時には日は落ち切って真っ暗ですが、石川県はそこよりも約240Km西にあります。
日本は国内で時差をつけるほど広くはないですが、それでも北海道と沖縄では太陽の運行に1時間以上の差があります。
普段よりも遠く西の土地にいるならば、その距離分地球が自転するまではまだ日が落ち切っていないことになるわけです。(正確には日没後の薄明の時間ですが)

ちなみに、その後10分程度ですぐに真っ暗になってしまいました。秋の日はつるべ落としとはよく言ったものです。
ちょうど17時直前に時計を見ながら外に出たことと、つい先日の記憶があったのは運が良かったです。
もしも外に出たのが17:10ごろで、それで外が真っ暗でもこのことには気付けなかったのではないかと思います。

久々の出張で遠方に来ましたが、思わぬ形で遠方にいることを実感できました。

2022年11月 4日 (金)

最先端のARやVRの制作の前に②エイゼンシュテインのモンタージュ理論

2022年10月18日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

最近、プロジェクションマッピングやAR・VRの活用において多数のCG映像作品を見ることが増えてきました。そこで今回はその際に役に立つ映像テクニックあるいは心理学的効果として、前回のクレショフ効果につづき、最も有名なモンタージュについて紹介します。

モンタージュとは、日本の警察が犯人捜しで、目撃者がモンタージュ写真を選んでいくシーンがあまりに有名ですが、映画の世界ではちょっと意味合いが違います。今回はその中でもエンゼンシュテインのモンタージュ理論についての話題です。

Wikipediaによると
モンタージュ(montage)は、映画用語で、視点の異なる複数のカットを組み合わせて用いる技法のこと。元々はフランス語で「(機械の)組み立て」という意味。映像編集の基礎であるため、編集と同義で使われることも多い。

フィルムのつなぎ合わせが独自の意味をもたらすことは、映画の創成期から知られていた。たとえば米国エジソン社の『メアリー女王の処刑 (The Execution of Mary Stuart) 』(1895)では、撮影途中でわざとカメラを停止する「中止め」を用いて、首がギロチンで落ちるショッキングな演出を行った。また、映画の魔術師と呼ばれるメリエスは、編集によってさまざまな映像的トリックを試みただけでなく、『月世界旅行(Le voyage dans la Lune)』(1902)の最後のシーンでは「コマ撮り」のアニメーションを実現している。

この後のモンタージュ技法は、純丘曜彰によれば、大きく2つの方向へ分岐するとされる。一方はソ連の映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインに代表されるエイゼンシュテイン・モンタージュであり、他方は米国の映画監督D・W・グリフィスに代表されるグリフィス・モンタージュである。

エイゼンシュテイン・モンタージュは、当時流行し始めたソシュールの構造主義の影響を受け、台本の言語的要素を映像に置き換えて編集していく手法であり、エイゼンシュテインの映画『戦艦ポチョムキン(1925年)』の「オデッサの階段」がその典型とされる。

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この現在ウクライナにあるオデッサ(オデーサ)の階段は、当時ソビエト連邦にはポチョムキンの階段と呼ばれ、今でも戦争中な場所で今現在このままであるかどうかはわかりません。

この映画史上最も有名なポチョムキンの階段シーン(オデッサの階段、1925Movie, Russia)についてのさらに詳しくした解説が以下になります。
https://kokai.jp/escalera-de-odesa/
ウクライナのオデーサ(オデッサ)にある長さ142mの「ポチョムキンの階段」を舞台とした、世界の映画史上最も有名な6分間シーンです。ソビエト連邦の映画監督セルゲイ・エイゼンシュテイン(ロシア語:Серге́й Миха́йлович Эйзенште́йн Sergéj Michájlovič Ėjzenštéjn, Sergei Mikhailovich Eisenstein)により、1925年に製作・公開された名作映画「戦艦ポチョムキン」のオデーサ市民に対する虐殺シーンです。エイゼンシュテイン監督は映画「戦艦ポチョムキン」で、有名な映像編集の基礎「モンタージュ理論」を確立させています。

モンタージュ理論を確立できたのは、セルゲイ・エイゼンシュテイン氏が一時期、日本人教師に漢字を習っていたからだという説があります。漢字という象形文字の持つ抽象的な概念をデザイン描写的に表現しているという基本コンセプトから、「身」と「美」で「躾」とか「口」と「鳥」で「鳴」になる等、全く別の意味になるという事に興味を持ち、このコンセプトを基にモンタージュ理論を確立したということです。

エイゼンシュテイン、プドフキン、グリゴーリ・アレクサンドロフの共同署名による「トーキー映画の未来(計画書)」(「トーキー宣言」)に、「モンタージュ」についてこう書かれています。

現代の映画は視覚的映像を操作することで、人間に強力に働きかける。当然ながら、その力はさまざまな芸術のなかでも首位の座を占めるものの一つである。映画にこのような強力な働きかけの力をあたえている基本的で唯一の手段は、明らかにモンタージュである。

モンタージュこそ働きかけの主要な手段であるという主張は、疑問の余地のない公理となっており、世界映画文化の磁石となっている。ソヴィエト映画が世界のスクリーンで収めた成功のほとんどは、ソヴィエト映画がはじめて発見し、確立した数多くのモンタージュ手法によるものである。だから、映画をより一層発展させる重要な要素は、観客に働きかけるモンタージュ手法を強化し、拡大することだけである。
山田和夫「エイゼンシュテイン」より


ここでの気づきで象形文字である「身」と「美」からそれぞれの意味を融合したり統合したり超越した意味である「躾」(しつけ)が出来上がることろが興味深いです。「口」と「鳥」で「鳴」となるのも興味深いですね。そして日本にはこのかな混じり漢字を使った俳句や短歌があります。これについても次回以降に紹介したいと思います。

さらにこのように映像のカットを巧妙に組み合わせることで極めて強い印象を視聴者に与えることができる、ということも興味深いです。そしてこのエンゼンシュテインのモンタージュ理論は時代の別の違った利用法をされていきます。これについても次回以降に!


2022年10月18日 (火)

最先端のARやVRの制作の前に①クレショフ効果

2022年10月17日 (月) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

最近、プロジェクションマッピングやAR・VRの活用において多数のCG映像作品を見ることが増えてきました。そこで今回はその際に役に立つ映像テクニックあるいは心理学的効果として有名なクレショフ効果について紹介します。

Wikipediaによると、
「クレショフ効果」とは、映像群がモンタージュされ、映像の前後が変化することによって生じる意味や解釈の変化のことをいう。一般に映像の意味や解釈は、ほかの映像とのつながりのなかで相対的に決定されていく。本効果は、映画的な説話論の基礎である。

実験として、本効果のもつ意味論的伝染を強調するために、レフ・クレショフは、科学的経験(認知心理学)を開発した。クレショフは、ロシアの俳優イワン・モジューヒンのクローズアップのカットを選び、とくに無表情のものを選んだ。モジューヒンのカットを3つ用意し、3つの異なる映像を前に置いた。

第1のモンタージュでは、モジューヒンのカットの前に、スープ皿のクローズアップを置いた。 第2のモンタージュでは、スープ皿のかわりに、棺の中の遺体を置いた。 第3のモンタージュでは、棺の中の遺体のかわりに、ソファに横たわる女性を置いた。それぞれのシーケンスを見た後で、俳優(モジューヒン)があらわす感情を観客は述べなければならなかった。その結果、観客は、第1では空腹を感じ、第2では悲しみを感じ、第3では欲望を感じたと答えたのである。

とあります。実写映像出身者はこのクレショフ効果をきちんと学修していて、このをクレショフ効果をしっかりと活かしたカット割りを制作に取り入れています。端的に伝えたい意図を明確に鑑賞者に与えることができ、ナレーション不要です。これは言語不要とも言い換えることができます。つまり世界に通じる映像制作手法であると言えます。

このクレショフ効果を活かした作品制作は万能なので、知っているとより効果的な映像作品を制作できますね。

2022年10月17日 (月)

卒業生の執筆した記事がゲームメーカーズで公開

2022年10月16日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。
今回は卒業生の活躍と、おすすめの記事についてご紹介です。

ゲームメーカーズというサイトをご存知でしょうか?
名前の通り、ゲーム制作者やゲーム作りを志す方々のための情報発信メディアで、ゲーム制作のチュートリアルや技術系の記事など多彩なコンテンツを取り扱っています。
実はそのゲームメーカーズの編集長である神山大輝さんは、本学メディア学部及び大学院の卒業生です。

卒業後は音楽制作に向けたレコーディング機器の販売・コンサルティングに従事し、サイドワークとしてゲームに向けた楽曲提供を行っていました。
独立後は音楽事業のほか本学での演習講師も務めていただき、また開発ワークフローや各種DCCツールの知見があったことからテクニカル系の記事執筆業務に従事、2022年5月にゲームメーカーズの立ち上げをしています。

そして今回、CEDECの講演の一つについてまとめた『ダークファンタジーの空気感を描く、『ELDEN RING』の大気表現【CEDEC2022】』という記事が公開されました。
これを執筆されたのが、本学大学院で博士号(メディアサイエンス)を取得された竹内亮太さんです。
元々3DCGプログラムが専門で分野への造詣も深く、またそれを正しくわかりやすく説明する確かな文章力で素晴らしい記事を執筆されました。
注目記事ランキングでも第一位となったようです。

記事中に出てくる用語は3DCGや画像処理技術などの専門的なものが多く、難しい印象を受けるかもしれません。
しかし、紹介されている各種技術が作品創りにどのように活かされているか、工夫のしどころやその肝がどこであるかの解説が非常にしっかりしており、技術の理解を一段と深めてくれる形になっています。
多くの物事でそうですが、技術は技術そのものの説明を見るよりも、それをどのように使うのか、どう使えるから素晴らしいのかが理解できると技術自体への理解も大きく深まります。

技術についてよく知らない方は学習のとっかかりに、ある程度理解している方はその実用事例の参考にと、様々な理解度の方にお勧めの大変よい記事です。
本学のゲーム制作を志す皆様も是非参考にしていただければと思います。

2022年10月16日 (日)

脈拍と心拍数と運動強度

2022年9月 6日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は健康メディア研究室のテーマに関連する話題です。NHK総合で2022年9月1日19:57~20:42に放送された「あしたが変わるトリセツショー」では脈拍(心拍)がフォーカスされていて、以下のように番組内容が放送されました。

【トリセツ01 自分の脈拍を知って 未来のリスクを把握しよう】
■安静時脈拍が80超えだと・・・将来太るかも!? 自分の1分間の脈拍(心拍数)、把握していますか?近年、脈拍の値が高い人は、将来さまざまな病気になる可能性が高いことがわかってきました。(低すぎてもリスクになります)久留米大学が行った研究では、安静時の脈拍が80以上だと、将来肥満になるリスクが約2倍になったという結果が出ています。世界の研究者が大注目する「脈拍」☆脈が速いと将来肥満になるリスクが倍に!?☆ストレス解消に睡眠改善まで!脈下げヨガを大公開☆日々の脈拍で自律神経の状態を知ろう!

皆さんは、自分の脈拍数(心拍数)をご存じでしょうか?通常は朝起きた時が最低の心拍数で、日中の生活では運動量に応じて高くなったりします。また緊張すると心拍数が高くなったり、ぬるいお風呂でゆっくり入浴すると心拍数が下がったりします。

今回は、この自分の意志でコントロールすることが難しい心拍数について3つのトピックを紹介したいと思います。まず最初は安静時心拍数です。人間はリラックスすると心拍数が低下し、睡眠時の起床前が通常一番低い値になっています。この値を安静時心拍数と呼びます。心配事があって眠りが浅かったり、お酒を飲みすぎて熟睡できないときはこの値が通常ほどは低くなりません。若干の緊張状態にあるとも言いえます。

2つ目は最高心拍数です。人間は全力で運動していてもそれ以上に心拍数が高くならない値が存在します。考え方を変えれば、人間の身体が壊れる前に、それ以上の値にならないようにセーブしているとも言えます。通常は 最高心拍数 = 220 - 年齢 で概算できます。つまり、20歳の人はどんなに運動しても、心拍数は200以上にはならないということです。

そして3つめは、上記の2つの安静時心拍数と最高心拍数が決まれば、その人の心拍からみた運動に対する負荷を知ることができます。これを運動強度と呼びます。心拍数から運動強度を求める方法として、カルボーネンの式があり、運動強度(%) =(運動時心拍数-安静時心拍数)÷(最大心拍数-安静時心拍数)×100(%)
で求めることができます。

運動は運動強度が50%を上回った位置から、非常に軽い運動(50~60%)、軽い運動(60~70%)、普通の運動(70~80%)、きつい運動(80~90%)、最高にきつい運動(90~100%)、と運動の強さを5段階で定義できます。この運動強度を使用すれば、人によって値が大きく異なる心拍数によらず、その人にとっての運動の強度を数値化することができます。スポーツやジムにおけるトレーニング方法でよく使用されています。

以前は、トレーニング中に一旦停止して心拍数を測る必要がありましたが、スマートウォッチが普及した今、トレーニングを中断することなくリアルタイムに心拍数を計測することができます。便利になりましたね。

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2022年9月 6日 (火)

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