おもしろメディア学

RGB範囲外の色を人工的に再現することは可能でしょうか?

2021年12月27日 (月) 投稿者: メディア技術コース

 RGBの三つの数値(光の三原色の強さ)は、コンピュータのディスプレイで表示する画像の各画素の色を指定するのに使います。数値の範囲は[0,255]の整数ですが、計算時には[0,1]の範囲の実数と想定する場合もあります。
 
 標題の質問は、メディア学部2年生向け講義「CG数理の基礎」での「色の表現」の授業回で履修生から出されたものです。結論から言うとその答えはYesです。
 
 RGBの値は特定のディスプレイが再現できる色です。ということは、ディスプレイ以外の光源であればその範囲外の色が出せる場合があります。もっとも典型的な例はレーザー光です。ほぼ単波長の光と言ってよい、純度の高い特定の1色が出せます。
 
 レーザー光と違い、液晶ディスプレイの光源である蛍光灯やLEDは多くの波長が含まれた光です。そのような光源からRGBを取り出すカラーフィルタは、絞り込んではいるもののやはり多くの波長を通す特性があります。結果的に、ディスプレイが再現できるRGBの範囲はレーザー光を含むことができません。
 
 図に示すxy色度図は、RGB範囲外の色も含め物理的に存在する可視光のすべての色の種類を含む模式図です。もちろん、ディスプレイに描いたxy色度図が本当にすべての色を表示しているわけではないです。だから模式図と呼びました。
 
 Xy
 
 RGBが再現できる色の種類は色度図の中の三角形で示される範囲(sRGBという標準)に限られます。レーザー光のような純粋な単波長の色は色度図の曲線輪郭部分(逆v字型)のスペクトル軌跡と呼ばれる線上に対応する色となります(波長の数値が小さく付してあります。単位nm)。各色がもっとも鮮やかになる部分です。内部に入るほど多くの波長が混じり合い、中央部は多くの色が混じった白となっています。
 
 ということはレーザー光をディスプレイのRGB光源として使えばかなり広い範囲の色を再現できそうですね。検索してみると確かに研究開発事例がありました。
 
[新倉栄二, 2016, RGBレーザーバックライト液晶ディスプレイ, ITUジャーナル, 46(2), 32-35.]
 
 タイトルで検索すればPDFが入手できます。この論文では色度図としてxy色度図ではなく、CIE1976 UCS色度図というのを使って説明しています(下図)。色度図上のどの場所でも距離の違いが人間の感じる色の違いに近い色度図です。
 
 Niikura2016rgblaserbacklight
  上記文献[新倉2016]より引用

 BT.709で示した三角形が前のxy色度図のsRGBの範囲に相当します。この研究で実現したレーザー光を使ったRGB(RGB LD Backlit)がより豊かな色を再現できていることがわかります。BT.2020というのがこのような高色域のRGBの世界標準として定められていて、これに準拠したディスプレイはこの研究以外でも開発されています。
 
 とはいえ、RGBの3原色でディスプレイの色を表現する限りは色度図の全部をカバーすることはできません。純粋なレーザー光(スペクトル軌跡)はほぼすべてRGBの範囲外にあるということになります。
 
メディア学部 柿本正憲

2021年12月27日 (月)

初音ミクのネギとインターネットミームの話

2021年12月12日 (日) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

本日はニコニコ動画がオープンから15周年ということで、色んな所で話題を見かけます。
オープン当時私は大学生で、2007年の初音ミク発売以降の盛り上がりをよく覚えています。
当時ハマった地球防衛軍3が最近Nintendo Switch向けに出たので、当時を懐かしみながら楽しんでいます。

しばらく追いかけられていないので最近の印象はわからないのですが、初音ミクと言えばネギを持っている姿が多く描かれていますね。
発端としてはこちらの動画ですね。初音ミクの発売が2007年の8月31日でこの動画の投稿が9月4日なので、最初期の投稿作です。
この動画が非常に多く再生され、ネギのイメージがついたという様子ですね。

なぜこの動画でネギを持っているかというと、歌われているIevan Polkkaという曲のイメージが引き継がれたためです。
この曲に合わせ、BLEACHの井上織姫というキャラがネギを振り回している動画が海外で流行しており、それに合わせてこの動画でもネギを持たせた形です。

ここで面白いのは、そもそも元の曲にはネギのイメージはもちろんありませんし、井上織姫にも別にネギのイメージはない点です。
ただアニメのある回のある一瞬の動きを切り取ったものが流行した結果、後から曲にイメージがつき、それを引用した動画が流行した結果初音ミク自身にネギのイメージが引き継がれました。

この流れが全て公式あるいは版権元とは無関係に、ネットユーザーによるn次創作の形で形成されています。(後に公式側もこのイメージを使用していたりもするようですが)
このようにインターネット上で文化やイメージが発生し、それが引き継がれていく様子をインターネット・ミームと言います。
文化が遺伝子を持つように変化しながら人から人へ伝播していく様子を指す言葉としてミームがあり、それのインターネット版というわけですね。

ミクといえばネギというイメージは、まさにこのインターネットミームが実感できるわかりやすい例ですね。

2021年12月12日 (日)

丸暗記ではなくつなげて憶える一例

2021年10月 7日 (木) 投稿者: メディア技術コース

 昨日のブログで「CG数理の基礎」での質問と回答を紹介しました。その中で「丸暗記を推奨することがらはあまりない」と言いました。とはいえ、原理あるいは理由を踏まえた上で結果的に暗記状態になるべきことがらならたくさんあります。というか、大学での勉強ってほとんどそれかもしれません。
 
 同じ授業の中での別の質問とその回答を今日は紹介します。RGBは色を表現するディジタルデータとして基本中の基本ですが、HSV(色相Hue・彩度Saturation・明度Value)というのも重要な数値表現の一つです。
 
質問:
 RGBの値を丸暗記するよう書かれていましたが、HSVで覚えておいたほうがいい数字などはありますか? 今までの授業でHSVを使う機会があったので気になりました。
 
回答:
 HSVについて暗記しておきたいこと(人が設定したことなので科学的理由から導けるものではない)は、H(色相)だけは数値の意味が「角度」(0°~360°)であること、「赤」が0°であることです。
 
 あと、強いて言えば、順番に「緑」が120°、「青」が240°ですが、これは私自身は暗記しておらず、自分でこの場で導きました。
 
 イエロー、マゼンタ、シアンのHの値はどうなるか、暗記しなくても導けるようになるといいですね。
 
(質問・回答は以上)
 
 上記回答での「H(色相)だけは数値の意味が角度である」という事項が「原理あるいは理由を踏まえた上で結果的に暗記状態になるべきこと」です。丸暗記(理由を考えずに憶える)すべきことではないです。
 
 「人が設定したことなので科学的理由から導かれるものではない」のに理由を踏まえるというのは少し矛盾めいた感じがします。でもHを角度とした人為的理由はあります。つまり人が考えるのに都合がよい尺度だからです。
 
 ではなぜ角度だと都合がよいのか。
 
 色相の変化は明度や彩度のように一方的に大きくなって最大値まで至るような変化ではなく、色の種類の緩やかな移り変わりです。色の種類の間にはどちらの方が一方的に尺度が大きい、という関係は人間の感覚的にはありません。しかも、赤から黄、緑、シアン、青からマゼンタを経て赤に戻ってくる循環する変化をします。
 
 そのため、色相の尺度としては角度が合理的(科学的というより人間にとって)なわけです。「色相は角度」と丸暗記するのではなく、このように考えて納得して、理由からつなげて憶えれば自然と記憶は定着します。
 
 ここで疑問が生じます。物理的には色は光の波長として数値化されます。確かに赤から青、そしてそのちょっと先の紫(マゼンタのちょっと手前)に至るまでは、波長700nmから380nmという可視光です。
 
 一方向の尺度ですね。
 
 物理的には一方向の尺度なのに、なぜ人間の感覚だと色相は循環するのか。またの機会に考えてみることにします。
 
メディア学部 柿本正憲

2021年10月 7日 (木)

September

2021年9月14日 (火) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

9月に入って、大学はまだしばらく夏休みです。さて、9月をテーマにした名曲のひとつに、Earth, Wind & Fireの"September"がありますが、先日この曲を聴きながらネットを見ていたときに、「Septemberは曲の途中でテンポが変わる」という記事を見つけました。以前から、この曲を聴くと微妙な違和感を覚えることがあったのですが、なるほどそういうことかと思いました。とはいえ、ここは自分でしっかり確かめないと納得できません。客観的な数値を見るために、BPM(1分あたりの拍数)検出のアルゴリズムを適用してみましょう。幸い、今はそういう目的のためのライブラリがすぐに見つかります。さっそくpythonでこんなプログラムを書いてみました。

import librosa
y, sr = librosa.load('SEPTEMBER.wav')
n = len(y) // (sr*20)
for i in range(n):
    z = y[sr*20*i:sr*20*(i+1)]
    onset_env = librosa.onset.onset_strength(z, sr=sr)
    tempo = librosa.beat.tempo(onset_envelope=onset_env, sr=sr)
    print(tempo)

20秒刻みでBPMを調べてみたのですが、オリジナル音源では、確かに最初はBPM=123ぐらいで始まり、後半はBPM=129ぐらいになっているようです。もちろん、あえてそのように演奏しているのでしょうが、念のため別のライブ音源でも調べてみたところ、そちらはずっとBPM=123でした。やはり状況によっていろいろなんですね。

私自身はそんなに音感が良い方ではありませんが、それでもコンピューターを使ってこんなふうに手軽に音楽分析ができるというのも、現代ならではという気がします。

2021年9月14日 (火)

べき乗演算子「^」の謎

2021年8月29日 (日) 投稿者: メディア技術コース

渡辺です。みなさんこんにちは。今回は、冪乗(べきじょう)演算子についてお話ししたいと思います。

冪乗というのは「a の b 乗」という演算のことで、指数演算とか累乗(るいじょう)演算と呼ぶこともあります。(ちなみに、「累乗」は指数が整数の場合のみでしか使えない用語だそうです。) 私の授業では、CG やゲームの基礎理論についてプログラミングによる課題を出すことがあるのですが、その中で頻繁に出てくる処理の一つに「二点間の距離を求める」というものがあります。数学的には三平方の定理で求めることができますが、平方根(√)の計算が必要となります。これは授業資料で事前に提示しているのですが(C#なら「Math.Sqrt()」になります。)、中には「平方根は a の 1/2 乗のこと」という事実を利用し、冪乗演算で求めようとする学生もいます。

これ自体は別に問題ないのですが、そういった学生が書くコードでよくあるのが

a^(1/2)

というものです。つまり、「a^b」で「a の b 乗」を意味すると解釈してのコードです。残念なことに、このコードはうまく動作しません。私が授業で用いているプログラミング言語は C# と呼ばれる言語なのですが、C# での「^」は「論理排他的ORビット演算子」というもので、ここでは本題と外れるので解説はしませんが冪乗とはまったく異なる演算です。しかし、数値同士の演算としては文法的には間違ってないので、普通にビルドはできてしまいます。算出する数値は当然おかしなものになりますので、実行結果はおかしくなるわけです。C# で冪乗演算をするには「Math.Pow(a, b)」を用います。

ちなみに、実は「a^(1/2)」は (1/2) の部分も問題で、両方とも整数として記述しているので 1/2 の演算も整数として処理がなされてしまいます。整数演算での割り算では余りは切り捨てられるので、結果的に「0」になってしまいます。実数演算を行いたい場合は「(1.0/2.0)」と記述すべきところです。

さて、毎年数人の学生が「^」を冪乗演算子として使用してくる(そして間違える)のですが、私は「何故学生は『^』を冪乗演算子と認識しているのか」ということを不思議に思いました。見た目には冪乗を連想するようなものではありませんし、「^」を冪乗演算子として採用しているプログラミング言語はそれほど多くないのです。有名どころな言語の中では Visual Basic, R, Haskell くらいで、今時の一般的な大学1,2年が事前に習得している言語としてはちょっと考えづらいものばかりです。もしこれらの言語を習得しているようなプログラミングマニアな学生であったとしても、そもそも C# で ^ を冪乗と勘違いするようなことはしないと思われます。

という疑問を SNS で呟いてみたところ、数人から意見が寄せられました。まず「LaTeX では?」という人がいました。LaTeX は理系にはお馴染みの文書整形システムで、私の研究室の卒論では Word のかわりに LaTeX を利用するように指導しています。理系分野ではプレーンテキストで冪乗を表すのに「^」を用いることが通例ですが、これも LaTeX が発祥です。ただ、学部1,2年が既に利用していると考えるのはちょっと無理があります。

他に「Excel でも冪乗は ^ でできる」という意見もありました。Excel はちょっと盲点でしたが、確かに上記の各言語に比べれば学生が触れている可能性が高そうです。ただ、学部1,2年の段階で Excel 内で冪乗を扱う場面ってちょっと想像しづらいんですね。

候補は色々とあったものの、どうも納得できずにモヤモヤしているところに、「数学の先生達がプレーンテキスト内で冪乗に ^ を使ってて、それを見たのでは?」という意見がありました。おそらくこれが私の求めていた答えなのだろうと考えています。この発想は自分だけでは絶対に出てこないものだったので、何気なく呟いてみて幸いでした。まあここ数年は SNS を自分から書くことはあまりなくなってしまいましたが...

(メディア学部教授 渡辺大地)

2021年8月29日 (日)

音の速さ

2021年8月 6日 (金) 投稿者: メディア技術コース

東京オリンピックも、いよいよ終盤となってきました。

オリンピックの花形種目の一つが100m走です。スターターがピストルを上に向け、「パンッ!」と鳴った瞬間にみんながスタートします。でも、あのピストルは実は鳴っていないって知ってました?

空気中の音の速さは、今の時期の気温だと、だいたい秒速340mぐらいです。ものすごく速いような気がしますが、条件によっては、音源から聞く人までの到達時間が問題になることがあります。オリンピックのトラックは幅1.22mmですので、第1レーンと第8レーンは約8.54m離れています。第1レーンの横でピストルを鳴らしたら、その音が聞こえる時間は、第1レーンと第8レーンで約0.025秒も違ってしまうのですね。百分の一秒を争う世界で、こんな差があっては不公平です。そこで今のレースでは、各走者の後ろにスピーカーがあって、そこから同時に音が出るようになっています。スターターのピストルは単なるスイッチです。ちなみに、ゴール地点にいる人が、ピストルの音を聞いてからストップウォッチで時間を測定するのは論外です。100mも離れていると、実際のスタートより0.3秒も遅く計り始めることになってしまいます。

雷や花火など、音の速さを実感できる現象は身近にもあります。秒速340mという値を覚えておくと、いろんな場面で使えるかもしれませんよ。

(大淵 康成)

2021年8月 6日 (金)

ストローで考える身近なSDGs PART2

2021年8月 3日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は、前回に引き続き、多面的なプロジェクト演習を実施している中から今年度から始まった「地域創生としてのSDGs的アイデアソン」という半年間14回実施する授業の一貫としてストローの例の続編を紹介させていただきます。

プラスチック製のストローの削減を考えるとき、リサイクルの3Rの①Reduceリデュース、②Reuseリユース、③Recycleリサイクル、で考えると、変わり易いです。

最も重要なのは1番目のリデュースの対策として、ストローの提供中止やストローとプラカップを使うのを止めて、マイボトルでドリンクを補給する考え方・ライフスタイルです。スターバックスがストローの提供中止したり、マイタンブラーの利用促進を応援しているのはその一環ですね。オシャレにカッコよくライフスタイルを変革していく取り組みをしているところがスターバックスらしいですね。

スターバックスのストローの提供中止(2021/04/15)

https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2021-4004.php

スターバックスのマイタンブラー

https://product.starbucks.co.jp/goods/tumbler/

https://www.starbucks.co.jp/howto/store/tumbler.html

次に重要なのはリユースです。ストローをリユースするって?と思う人も多くいると思いますが、洗いやすくリユースできるストローも各社から販売されています。

スターバックスのリユースできるストロー(2021/03/12)

https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2021-3927.php

3番目に重要なリサイクルは資源ごみとして利用されたプラスチックを資源として日本じゅうで広く実施されていますね。そして今回一番に紹介したいのは、一番重要なプラスチック製ストローの使用削減の取組です。最初は提供中止でしたが、注目に値するのはストローの素材を変更する取り組みです。先行したのは紙製ストローを使用例ですが、濡れてふやけるストローは不評でした。

そんな中で注目する商品が「美味しく食べられるストロー」です。これまでのアプローチは単にユーザーに不便を強いてストローの配布を中止したいましたが、ストローを食べられることにしたのはすごいです。廃棄するストローとは次元が異なります。美味しいドリンクを飲んでいるので、まずいストローでは不評になります。飴を使用したストローもありますが、砂糖を使用しているためカロリーが気になる為か高価格の為かあまり話題になりませんでした。

そしてお菓子メーカーのブルボンが発売した耐水性のあるクッキーで作った美味しく食べられる「コロネクッキー」というストローです。これはソフトクリームのコーンと同じ路線ですが、目からウロコな商品でした。一般的な製造工程はコーンと似ているので大量生産可能です。耐水性の部分が真骨頂です。これによりソフトクリームのコーンがストローに変身しました。冷たいドリンクに使用して30分間も耐水できるようです。

https://www.atpress.ne.jp/news/199342

https://www.bourbon.co.jp/product/detail/4901360339075.html

マイクロプラスチックでネガティブなストローを美味しく食べられるストローとして提供するライフスタイルは、地球環境に低負荷で持続可能な「美味しく食べられる」ストローとして社会に受け入れられるでしょうか。

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2021年8月 3日 (火)

ストローで考える身近なSDGs PART1

2021年8月 2日 (月) 投稿者: メディア技術コース

新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は、多面的なプロジェクト演習を実施している中から今年度から始まった「地域創生としてのSDGs的アイデアソン」という半年間14回実施する授業の一貫としてストローの例を紹介させていただきます。

Sustainable Development Goals、持続可能な目標と言われていますが、一般にはGrobal Goals、グローバル目標と17のグローバルな目標と世界中で広く使用されているようです。考え方は「地球にとってネガティブなことを抑えて、ポジティブなことを推進する」という解り易いスタンスですが、有史以降特に産業革命以降様々な取り組みがされてきた結果が今現在なので、実際には困難なことも多種多様です。例えば、植民地は植民される側にとっては不利益が多いですが、植民地を支配する側にとっては多大な利益を得ることができます。これによって利益が対立する2つの立場が発生していました。その解消には人権という永続的な思想を導入して非常に困難な道のりを経て、やっと解消されてきています。

今回は1つのトピックを取り上げて紹介したいと思います。それはこれから夏に向けて、冷たいドリンクに使用されるストローです。Google検索で「ストローとSDGs」と検索すると約150万件がヒットします。最も大きな潮流は地球温暖化対策としての脱CO2ですが、その重要な柱として脱石油、脱プラスチックがあり、この一環として石油を使用するストローの使用削減が象徴的に取り組まれています。

また普通のごみと違って分解されないプラスチックが問題を引き起こしています。脱プラスチックは地球の海洋環境における食物連鎖の生態系に影響を与えることも解ってきました。地球環境で分解されないビニールを餌と間違えて食べて死んでしまったウミガメや砂浜の細かい砂のように粉々になった直径5mm以下のマイクロプラスチックを餌と間違えて食べたイワシとそれを食べるマグロといった生態系に関連する生物自身の環境ホルモンに影響を与え、それを食べる人間にも悪影響が蓄積するという側面も研究されています。

石油由来のストローの削減やレジ袋の削減は脱石油という側面よりも、脱マイクロプラスチックからのアプローチとして注目されています。これは海洋プラスチックゴミを分析して、発泡スチロール、ビニール、ペットボトルから多く発生していることが分かってきたからです。そして広い海に浮かんでいるゴミごみを回収するのは大変ですが、マイクロプラスチックとなってしまうと回収が不可能でそれは分解されることなくどんどん蓄積していくことが大きな懸念となっています。そして特にレジ袋やストローやペットボトルは人間の生活スタイルの中で使用され、消費・廃棄される物なので、ここをストップするのが重要な対策となってきます。次回はその具体例を紹介していきたいと思います。

https://waterstand.jp/waterlife/water_environment/waterlife00067.html

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2021年8月 2日 (月)

研究室紹介:ビジュアル&コンテンツインフォマティクス

2021年6月23日 (水) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

昨日の研究室選択についてのお話では、プロジェクト名だけ出して説明をするスペースがありませんでしたので、この機会にビジュアル&コンテンツインフォマティクスプロジェクトについて紹介しようと思います。

ビジュアル&コンテンツインフォマティクスは、柿本先生と私の合同で行っているプロジェクトです。
今年度までは、イメージメディア/ビジュアルコンピューティングという名前で行っています。これは、柿本先生のご専門である画像処理に大きく寄った名称です。(私が合流する以前からの名称なので当然ですが。)
私が着任して以降、実際には学生のテーマとして私の研究分野についても研究を行いながら、プロジェクト名に私の対象領域が入っていないということもあり、来年度から変更することになりました。

そこで、私の研究内容について総括し、この分野に名前をつけるとしたらどうするか、という非常に難しい課題に直面しました。
さらに、当然ながら私の分野だけでなく画像処理の研究室でもあるので、その意味を包含する必要があります。
結論としては、ご覧の通りビジュアル&コンテンツインフォマティクスという形になりましたが、ここに至るまで丸々一か月以上かかりました・・・。
インフォマティクスとは情報学という意味で、接頭語が付くことで「〇〇についての情報学」という意味になります。
ビジュアルインフォマティクスは画像情報処理、コンテンツインフォマティクスはコンテンツについての情報学という意図です。

ちなみに、昨日の記事で三上・兼松先生のコンテンツプロデューシング/ゲームイノベーションと非常に似ていると書きました。
それは、私が本学の卒業研究で当時の金子先生・近藤先生・三上先生の研究プロジェクトである、コンテンツプロデューシング/コンテンツプロダクションテクノロジーの出身だからです。
学部の研究から修士・博士に至るまで、シナリオ制作支援の研究を行っており、自身の研究分野形成に大きな影響を受けています。

・・・また前段が長くなりました。なんで?
ここから研究室紹介です。

研究室の研究テーマですが、柿本先生の分野は2D・3Dを問わず画像処理/表現技術の研究です。
CGを作るのではなく、CGを作るための技術を考えプログラムの実装をするのが主な内容になります。
詳しくは過去の研究紹介などを見るのがわかりやすいため、学内者向けの研究室紹介ページをご覧ください。

私の分野は、映画やアニメなどの映像コンテンツを主体とはしますが、漫画や小説、あるいは歌詞や俳句(!?)などの作品制作において、よい作品がどのようにできているかを分析・可視化することを主なテーマにしています。
流石に歌詞や俳句はまだやったことがありませんが、興味のある方がいれば是非一緒に取り組んでみたいなと感じています。
その分野あるいは表現手法について分析し、そのコンテンツがどう成り立っているかを解明します。解明結果をうまく説明・表示できるように工夫し実現するところまでがセットです。
分析結果はそれ自体がコンテンツとして面白かったり、対象とした作品をより深く理解する補助になることが期待できます。先日紹介した絡みグラフなどはまさに分析結果自体が興味深い例です。

また、どうやって作られたかがわかれば、それを応用して次の作品作りに活かすこともできるかもしれません。
コンテンツ制作における優れた作品をつくるコツ、技芸というものを見つけ出すことが一番の目的です。
なので、本当は私の分野名は『アーツインフォマティクス』が一番正確に言い表す語になります。せっかく考えたのでここで披露しておきます。
アートではなくアーツ(Arts)というのが重要なポイントなのですが、アーツの意味があまりメジャーではないため誤解される恐れがあり、コンテンツインフォマティクスとしました。
長くなりましたが、「この作品はなぜ面白いのだろう」を解き明かすのが主な活動となります。作品を好きな気持ちと好奇心が原動力です。

ビジュアル&コンテンツインフォマティクスプロジェクトでは教員二名の専門分野の範囲で学生自身が好きなようにテーマを決め研究を行います。
ただし、昨日の記事で書いた通り、情熱次第では多少分野を外れていても歓迎です。過去には昆虫の研究がしたい!という方もいました。(素晴らしい情熱でした。)
まだ研究室選択で迷っている方の参考になれば幸いです。一・二年生の皆さんも是非覚えておいてください。いつかご縁があれば一緒に研究できることを楽しみにしています。

2021年6月23日 (水)

絡み可視化システムの公開

2021年6月 6日 (日) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
先日の記事で紹介した、力学モデルを用いたキャラクター同士の絡みの可視化について、プログラムの公開を行いました。

前回の記事と説明が重複しますが、絡みとは登場人物間で会話をしたり、同一の目的で行動したりといった、俗に「絡みがある」と言われるような行動を指します。
その絡み情報を、力学モデルと呼ばれるグラフ描画アルゴリズムにかけて計算しています。
これにより、ある作品についてその登場人物のリストと登場人物間の絡みを入力することで、その作品の登場人物の関係性をおおまかに可視化できるようにしています。

例として、スタジオジブリの名作『紅の豚』についての可視化結果を表示します。

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主人公の2人を中心に各登場人物が配置されています。カーチス(文字が見えにくいですがポルコの右下です)も中心近くにいますね。
マンマユート団や空賊連合のボス達など、団体で行動している人物は塊になっていることもわかります。
また、各登場人物をクリックすることで、他のどの人物と絡みがあるかを表示しています。(というより、絡みのない人物を薄くします)
意外な結果として、マンマユート・ボスとジーナは実は作中で一度も絡みがないことがわかりました。確かにお店での会合にも欠席してましたね・・・。
こういうことがわかるのも可視化の有効な活用法ですね。

上の図は最終的な全シーンの絡みを合わせた結果ですが、可視化システムのページでは絡みのあるシーンを一つずつ追加しながら力学モデルの計算をしています。
グラフの様子がリアルタイムにぐねぐねと動くので、ぜひ見てみてください。
こちらのリンクから確認可能です。

可視化システムはこちらからアクセス可能です。
https://www2.teu.ac.jp/lenz/karami/

この記事の執筆時点ではまだ1作品の例を表示しているだけですが、好きな作品について絡みの情報を入力できるよう現在プログラムの実装中です。
皆さんの好きな作品が、この絡み可視化システムでどのような結果になるのか気になるようであれば是非入力してみてください。
興味のある方はユーザー登録をお願いします。入力システムができ次第、登録頂いたアドレス宛に連絡します。
入力機能は近日中に公開予定ですが、まずは紅の豚の可視化結果を見て楽しんで頂けると嬉しいです。

2021年6月 6日 (日)

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