おもしろメディア学

September

2021年9月14日 (火) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

9月に入って、大学はまだしばらく夏休みです。さて、9月をテーマにした名曲のひとつに、Earth, Wind & Fireの"September"がありますが、先日この曲を聴きながらネットを見ていたときに、「Septemberは曲の途中でテンポが変わる」という記事を見つけました。以前から、この曲を聴くと微妙な違和感を覚えることがあったのですが、なるほどそういうことかと思いました。とはいえ、ここは自分でしっかり確かめないと納得できません。客観的な数値を見るために、BPM(1分あたりの拍数)検出のアルゴリズムを適用してみましょう。幸い、今はそういう目的のためのライブラリがすぐに見つかります。さっそくpythonでこんなプログラムを書いてみました。

import librosa
y, sr = librosa.load('SEPTEMBER.wav')
n = len(y) // (sr*20)
for i in range(n):
    z = y[sr*20*i:sr*20*(i+1)]
    onset_env = librosa.onset.onset_strength(z, sr=sr)
    tempo = librosa.beat.tempo(onset_envelope=onset_env, sr=sr)
    print(tempo)

20秒刻みでBPMを調べてみたのですが、オリジナル音源では、確かに最初はBPM=123ぐらいで始まり、後半はBPM=129ぐらいになっているようです。もちろん、あえてそのように演奏しているのでしょうが、念のため別のライブ音源でも調べてみたところ、そちらはずっとBPM=123でした。やはり状況によっていろいろなんですね。

私自身はそんなに音感が良い方ではありませんが、それでもコンピューターを使ってこんなふうに手軽に音楽分析ができるというのも、現代ならではという気がします。

2021年9月14日 (火)

べき乗演算子「^」の謎

2021年8月29日 (日) 投稿者: メディア技術コース

渡辺です。みなさんこんにちは。今回は、冪乗(べきじょう)演算子についてお話ししたいと思います。

冪乗というのは「a の b 乗」という演算のことで、指数演算とか累乗(るいじょう)演算と呼ぶこともあります。(ちなみに、「累乗」は指数が整数の場合のみでしか使えない用語だそうです。) 私の授業では、CG やゲームの基礎理論についてプログラミングによる課題を出すことがあるのですが、その中で頻繁に出てくる処理の一つに「二点間の距離を求める」というものがあります。数学的には三平方の定理で求めることができますが、平方根(√)の計算が必要となります。これは授業資料で事前に提示しているのですが(C#なら「Math.Sqrt()」になります。)、中には「平方根は a の 1/2 乗のこと」という事実を利用し、冪乗演算で求めようとする学生もいます。

これ自体は別に問題ないのですが、そういった学生が書くコードでよくあるのが

a^(1/2)

というものです。つまり、「a^b」で「a の b 乗」を意味すると解釈してのコードです。残念なことに、このコードはうまく動作しません。私が授業で用いているプログラミング言語は C# と呼ばれる言語なのですが、C# での「^」は「論理排他的ORビット演算子」というもので、ここでは本題と外れるので解説はしませんが冪乗とはまったく異なる演算です。しかし、数値同士の演算としては文法的には間違ってないので、普通にビルドはできてしまいます。算出する数値は当然おかしなものになりますので、実行結果はおかしくなるわけです。C# で冪乗演算をするには「Math.Pow(a, b)」を用います。

ちなみに、実は「a^(1/2)」は (1/2) の部分も問題で、両方とも整数として記述しているので 1/2 の演算も整数として処理がなされてしまいます。整数演算での割り算では余りは切り捨てられるので、結果的に「0」になってしまいます。実数演算を行いたい場合は「(1.0/2.0)」と記述すべきところです。

さて、毎年数人の学生が「^」を冪乗演算子として使用してくる(そして間違える)のですが、私は「何故学生は『^』を冪乗演算子と認識しているのか」ということを不思議に思いました。見た目には冪乗を連想するようなものではありませんし、「^」を冪乗演算子として採用しているプログラミング言語はそれほど多くないのです。有名どころな言語の中では Visual Basic, R, Haskell くらいで、今時の一般的な大学1,2年が事前に習得している言語としてはちょっと考えづらいものばかりです。もしこれらの言語を習得しているようなプログラミングマニアな学生であったとしても、そもそも C# で ^ を冪乗と勘違いするようなことはしないと思われます。

という疑問を SNS で呟いてみたところ、数人から意見が寄せられました。まず「LaTeX では?」という人がいました。LaTeX は理系にはお馴染みの文書整形システムで、私の研究室の卒論では Word のかわりに LaTeX を利用するように指導しています。理系分野ではプレーンテキストで冪乗を表すのに「^」を用いることが通例ですが、これも LaTeX が発祥です。ただ、学部1,2年が既に利用していると考えるのはちょっと無理があります。

他に「Excel でも冪乗は ^ でできる」という意見もありました。Excel はちょっと盲点でしたが、確かに上記の各言語に比べれば学生が触れている可能性が高そうです。ただ、学部1,2年の段階で Excel 内で冪乗を扱う場面ってちょっと想像しづらいんですね。

候補は色々とあったものの、どうも納得できずにモヤモヤしているところに、「数学の先生達がプレーンテキスト内で冪乗に ^ を使ってて、それを見たのでは?」という意見がありました。おそらくこれが私の求めていた答えなのだろうと考えています。この発想は自分だけでは絶対に出てこないものだったので、何気なく呟いてみて幸いでした。まあここ数年は SNS を自分から書くことはあまりなくなってしまいましたが...

(メディア学部教授 渡辺大地)

2021年8月29日 (日)

音の速さ

2021年8月 6日 (金) 投稿者: メディア技術コース

東京オリンピックも、いよいよ終盤となってきました。

オリンピックの花形種目の一つが100m走です。スターターがピストルを上に向け、「パンッ!」と鳴った瞬間にみんながスタートします。でも、あのピストルは実は鳴っていないって知ってました?

空気中の音の速さは、今の時期の気温だと、だいたい秒速340mぐらいです。ものすごく速いような気がしますが、条件によっては、音源から聞く人までの到達時間が問題になることがあります。オリンピックのトラックは幅1.22mmですので、第1レーンと第8レーンは約8.54m離れています。第1レーンの横でピストルを鳴らしたら、その音が聞こえる時間は、第1レーンと第8レーンで約0.025秒も違ってしまうのですね。百分の一秒を争う世界で、こんな差があっては不公平です。そこで今のレースでは、各走者の後ろにスピーカーがあって、そこから同時に音が出るようになっています。スターターのピストルは単なるスイッチです。ちなみに、ゴール地点にいる人が、ピストルの音を聞いてからストップウォッチで時間を測定するのは論外です。100mも離れていると、実際のスタートより0.3秒も遅く計り始めることになってしまいます。

雷や花火など、音の速さを実感できる現象は身近にもあります。秒速340mという値を覚えておくと、いろんな場面で使えるかもしれませんよ。

(大淵 康成)

2021年8月 6日 (金)

ストローで考える身近なSDGs PART2

2021年8月 3日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は、前回に引き続き、多面的なプロジェクト演習を実施している中から今年度から始まった「地域創生としてのSDGs的アイデアソン」という半年間14回実施する授業の一貫としてストローの例の続編を紹介させていただきます。

プラスチック製のストローの削減を考えるとき、リサイクルの3Rの①Reduceリデュース、②Reuseリユース、③Recycleリサイクル、で考えると、変わり易いです。

最も重要なのは1番目のリデュースの対策として、ストローの提供中止やストローとプラカップを使うのを止めて、マイボトルでドリンクを補給する考え方・ライフスタイルです。スターバックスがストローの提供中止したり、マイタンブラーの利用促進を応援しているのはその一環ですね。オシャレにカッコよくライフスタイルを変革していく取り組みをしているところがスターバックスらしいですね。

スターバックスのストローの提供中止(2021/04/15)

https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2021-4004.php

スターバックスのマイタンブラー

https://product.starbucks.co.jp/goods/tumbler/

https://www.starbucks.co.jp/howto/store/tumbler.html

次に重要なのはリユースです。ストローをリユースするって?と思う人も多くいると思いますが、洗いやすくリユースできるストローも各社から販売されています。

スターバックスのリユースできるストロー(2021/03/12)

https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2021-3927.php

3番目に重要なリサイクルは資源ごみとして利用されたプラスチックを資源として日本じゅうで広く実施されていますね。そして今回一番に紹介したいのは、一番重要なプラスチック製ストローの使用削減の取組です。最初は提供中止でしたが、注目に値するのはストローの素材を変更する取り組みです。先行したのは紙製ストローを使用例ですが、濡れてふやけるストローは不評でした。

そんな中で注目する商品が「美味しく食べられるストロー」です。これまでのアプローチは単にユーザーに不便を強いてストローの配布を中止したいましたが、ストローを食べられることにしたのはすごいです。廃棄するストローとは次元が異なります。美味しいドリンクを飲んでいるので、まずいストローでは不評になります。飴を使用したストローもありますが、砂糖を使用しているためカロリーが気になる為か高価格の為かあまり話題になりませんでした。

そしてお菓子メーカーのブルボンが発売した耐水性のあるクッキーで作った美味しく食べられる「コロネクッキー」というストローです。これはソフトクリームのコーンと同じ路線ですが、目からウロコな商品でした。一般的な製造工程はコーンと似ているので大量生産可能です。耐水性の部分が真骨頂です。これによりソフトクリームのコーンがストローに変身しました。冷たいドリンクに使用して30分間も耐水できるようです。

https://www.atpress.ne.jp/news/199342

https://www.bourbon.co.jp/product/detail/4901360339075.html

マイクロプラスチックでネガティブなストローを美味しく食べられるストローとして提供するライフスタイルは、地球環境に低負荷で持続可能な「美味しく食べられる」ストローとして社会に受け入れられるでしょうか。

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2021年8月 3日 (火)

ストローで考える身近なSDGs PART1

2021年8月 2日 (月) 投稿者: メディア技術コース

新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は、多面的なプロジェクト演習を実施している中から今年度から始まった「地域創生としてのSDGs的アイデアソン」という半年間14回実施する授業の一貫としてストローの例を紹介させていただきます。

Sustainable Development Goals、持続可能な目標と言われていますが、一般にはGrobal Goals、グローバル目標と17のグローバルな目標と世界中で広く使用されているようです。考え方は「地球にとってネガティブなことを抑えて、ポジティブなことを推進する」という解り易いスタンスですが、有史以降特に産業革命以降様々な取り組みがされてきた結果が今現在なので、実際には困難なことも多種多様です。例えば、植民地は植民される側にとっては不利益が多いですが、植民地を支配する側にとっては多大な利益を得ることができます。これによって利益が対立する2つの立場が発生していました。その解消には人権という永続的な思想を導入して非常に困難な道のりを経て、やっと解消されてきています。

今回は1つのトピックを取り上げて紹介したいと思います。それはこれから夏に向けて、冷たいドリンクに使用されるストローです。Google検索で「ストローとSDGs」と検索すると約150万件がヒットします。最も大きな潮流は地球温暖化対策としての脱CO2ですが、その重要な柱として脱石油、脱プラスチックがあり、この一環として石油を使用するストローの使用削減が象徴的に取り組まれています。

また普通のごみと違って分解されないプラスチックが問題を引き起こしています。脱プラスチックは地球の海洋環境における食物連鎖の生態系に影響を与えることも解ってきました。地球環境で分解されないビニールを餌と間違えて食べて死んでしまったウミガメや砂浜の細かい砂のように粉々になった直径5mm以下のマイクロプラスチックを餌と間違えて食べたイワシとそれを食べるマグロといった生態系に関連する生物自身の環境ホルモンに影響を与え、それを食べる人間にも悪影響が蓄積するという側面も研究されています。

石油由来のストローの削減やレジ袋の削減は脱石油という側面よりも、脱マイクロプラスチックからのアプローチとして注目されています。これは海洋プラスチックゴミを分析して、発泡スチロール、ビニール、ペットボトルから多く発生していることが分かってきたからです。そして広い海に浮かんでいるゴミごみを回収するのは大変ですが、マイクロプラスチックとなってしまうと回収が不可能でそれは分解されることなくどんどん蓄積していくことが大きな懸念となっています。そして特にレジ袋やストローやペットボトルは人間の生活スタイルの中で使用され、消費・廃棄される物なので、ここをストップするのが重要な対策となってきます。次回はその具体例を紹介していきたいと思います。

https://waterstand.jp/waterlife/water_environment/waterlife00067.html

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2021年8月 2日 (月)

研究室紹介:ビジュアル&コンテンツインフォマティクス

2021年6月23日 (水) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

昨日の研究室選択についてのお話では、プロジェクト名だけ出して説明をするスペースがありませんでしたので、この機会にビジュアル&コンテンツインフォマティクスプロジェクトについて紹介しようと思います。

ビジュアル&コンテンツインフォマティクスは、柿本先生と私の合同で行っているプロジェクトです。
今年度までは、イメージメディア/ビジュアルコンピューティングという名前で行っています。これは、柿本先生のご専門である画像処理に大きく寄った名称です。(私が合流する以前からの名称なので当然ですが。)
私が着任して以降、実際には学生のテーマとして私の研究分野についても研究を行いながら、プロジェクト名に私の対象領域が入っていないということもあり、来年度から変更することになりました。

そこで、私の研究内容について総括し、この分野に名前をつけるとしたらどうするか、という非常に難しい課題に直面しました。
さらに、当然ながら私の分野だけでなく画像処理の研究室でもあるので、その意味を包含する必要があります。
結論としては、ご覧の通りビジュアル&コンテンツインフォマティクスという形になりましたが、ここに至るまで丸々一か月以上かかりました・・・。
インフォマティクスとは情報学という意味で、接頭語が付くことで「〇〇についての情報学」という意味になります。
ビジュアルインフォマティクスは画像情報処理、コンテンツインフォマティクスはコンテンツについての情報学という意図です。

ちなみに、昨日の記事で三上・兼松先生のコンテンツプロデューシング/ゲームイノベーションと非常に似ていると書きました。
それは、私が本学の卒業研究で当時の金子先生・近藤先生・三上先生の研究プロジェクトである、コンテンツプロデューシング/コンテンツプロダクションテクノロジーの出身だからです。
学部の研究から修士・博士に至るまで、シナリオ制作支援の研究を行っており、自身の研究分野形成に大きな影響を受けています。

・・・また前段が長くなりました。なんで?
ここから研究室紹介です。

研究室の研究テーマですが、柿本先生の分野は2D・3Dを問わず画像処理/表現技術の研究です。
CGを作るのではなく、CGを作るための技術を考えプログラムの実装をするのが主な内容になります。
詳しくは過去の研究紹介などを見るのがわかりやすいため、学内者向けの研究室紹介ページをご覧ください。

私の分野は、映画やアニメなどの映像コンテンツを主体とはしますが、漫画や小説、あるいは歌詞や俳句(!?)などの作品制作において、よい作品がどのようにできているかを分析・可視化することを主なテーマにしています。
流石に歌詞や俳句はまだやったことがありませんが、興味のある方がいれば是非一緒に取り組んでみたいなと感じています。
その分野あるいは表現手法について分析し、そのコンテンツがどう成り立っているかを解明します。解明結果をうまく説明・表示できるように工夫し実現するところまでがセットです。
分析結果はそれ自体がコンテンツとして面白かったり、対象とした作品をより深く理解する補助になることが期待できます。先日紹介した絡みグラフなどはまさに分析結果自体が興味深い例です。

また、どうやって作られたかがわかれば、それを応用して次の作品作りに活かすこともできるかもしれません。
コンテンツ制作における優れた作品をつくるコツ、技芸というものを見つけ出すことが一番の目的です。
なので、本当は私の分野名は『アーツインフォマティクス』が一番正確に言い表す語になります。せっかく考えたのでここで披露しておきます。
アートではなくアーツ(Arts)というのが重要なポイントなのですが、アーツの意味があまりメジャーではないため誤解される恐れがあり、コンテンツインフォマティクスとしました。
長くなりましたが、「この作品はなぜ面白いのだろう」を解き明かすのが主な活動となります。作品を好きな気持ちと好奇心が原動力です。

ビジュアル&コンテンツインフォマティクスプロジェクトでは教員二名の専門分野の範囲で学生自身が好きなようにテーマを決め研究を行います。
ただし、昨日の記事で書いた通り、情熱次第では多少分野を外れていても歓迎です。過去には昆虫の研究がしたい!という方もいました。(素晴らしい情熱でした。)
まだ研究室選択で迷っている方の参考になれば幸いです。一・二年生の皆さんも是非覚えておいてください。いつかご縁があれば一緒に研究できることを楽しみにしています。

2021年6月23日 (水)

絡み可視化システムの公開

2021年6月 6日 (日) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
先日の記事で紹介した、力学モデルを用いたキャラクター同士の絡みの可視化について、プログラムの公開を行いました。

前回の記事と説明が重複しますが、絡みとは登場人物間で会話をしたり、同一の目的で行動したりといった、俗に「絡みがある」と言われるような行動を指します。
その絡み情報を、力学モデルと呼ばれるグラフ描画アルゴリズムにかけて計算しています。
これにより、ある作品についてその登場人物のリストと登場人物間の絡みを入力することで、その作品の登場人物の関係性をおおまかに可視化できるようにしています。

例として、スタジオジブリの名作『紅の豚』についての可視化結果を表示します。

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主人公の2人を中心に各登場人物が配置されています。カーチス(文字が見えにくいですがポルコの右下です)も中心近くにいますね。
マンマユート団や空賊連合のボス達など、団体で行動している人物は塊になっていることもわかります。
また、各登場人物をクリックすることで、他のどの人物と絡みがあるかを表示しています。(というより、絡みのない人物を薄くします)
意外な結果として、マンマユート・ボスとジーナは実は作中で一度も絡みがないことがわかりました。確かにお店での会合にも欠席してましたね・・・。
こういうことがわかるのも可視化の有効な活用法ですね。

上の図は最終的な全シーンの絡みを合わせた結果ですが、可視化システムのページでは絡みのあるシーンを一つずつ追加しながら力学モデルの計算をしています。
グラフの様子がリアルタイムにぐねぐねと動くので、ぜひ見てみてください。
こちらのリンクから確認可能です。

可視化システムはこちらからアクセス可能です。
https://www2.teu.ac.jp/lenz/karami/

この記事の執筆時点ではまだ1作品の例を表示しているだけですが、好きな作品について絡みの情報を入力できるよう現在プログラムの実装中です。
皆さんの好きな作品が、この絡み可視化システムでどのような結果になるのか気になるようであれば是非入力してみてください。
興味のある方はユーザー登録をお願いします。入力システムができ次第、登録頂いたアドレス宛に連絡します。
入力機能は近日中に公開予定ですが、まずは紅の豚の可視化結果を見て楽しんで頂けると嬉しいです。

2021年6月 6日 (日)

遅延聴覚フィードバック

2021年5月15日 (土) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

聴覚についての授業で、私がよく紹介する実験のひとつに、遅延聴覚フィードバックというものがあります。これは、自分が発した声を、ちょっとだけ遅らせて再生して聴かせる実験なのですが、遅れを0.1秒ぐらいにして、ヘッドホンでしっかり聴かせるようにすると、びっくりするほど話しにくくなります。突然、呂律が回らないようになって、まわりで見ている人は「何が起こったんだろう?」と思うほどです。

2012年には、この現象を指向性スピーカーと組み合わせた「スピーチジャマー」という装置で、産業総合研究所の栗原さんと塚田さんがイグノーベル賞を受賞されました。

この遅延聴覚フィードバックが、コロナ禍の中で以外なところに登場しました。感染が少し落ち着いていた頃、オンラインのミーティングを部分的に対面で行うことになり、会議室に集まった人たちがそれぞれ自分のパソコンでZoom会議に参加することにしたのです。会議室にいながら、Zoomにも繋いでいるのですが、この状態で発言すると、自分の声が他の会議参加者のマイクからZoomに入り、通信回線を経由して自分のヘッドホンから聞こえてきます。このときどうしても少しだけ遅延が生じるので、スピーチジャマーのように、なんとも話しにくい状態が発生してしまうのです。

この1年、いろんなところで、音声や聴覚の研究の大切さを痛感しています。遅延聴覚フィードバックの影響を簡単に低減させるというのも、ちょっとした研究テーマになりそうですね。

 

2021年5月15日 (土)

研究紹介:力学モデルを用いたキャラクター同士の絡みの可視化(優秀発表賞受賞)

2021年4月23日 (金) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
昨日に引き続き、芸術科学フォーラムで発表した研究の紹介です。
『力学モデルを用いたキャラクター同士の絡みの可視化』というタイトルで発表して、優秀発表賞を受賞しました。

作品を紹介する資料の中に、登場人物相関図というものがあります。名前の通り、登場人物間の関係性を図にしたものです。
登場人物相関図は登場する人物が多くなるにつれ作成が難しくなります。人物はもちろん、関係性を描いた矢印の数が多くなってしまうため、配置の難易度が高くなってしまうためです。

この研究では、人物間の関係性の中身には着目せず、「関係があった」という事実のみを扱って疑似的に相関図のようなものの作成を試みました。
登場人物同士が会話したり、同じ目的で行動をしたりしたシーンの数を記録し、その数が多いほど結びつきが強いという形です。
俗語的な表現ですが、上記のような状態を「絡みがある」と言ったりします。今回はこれを採用し、絡みの可視化というタイトルで研究しました。
また、可視化の際に人物を円、人物間の絡みを線で描画しますが、この線をランダムにぶれさせながら描画することで文字通り絡んでいるように見えるよう工夫してみました。

詳しく説明すると長くなってしまうので割愛しますが、配置の決定は力学モデルというグラフ描画アルゴリズムを使って行います。
登場人物同士は弾き合う力が働き、絡みのある人物間が絡みの数だけ互いに引っ張られるというもので、斥力と引力が釣り合うまで計算を続けることで関係性が可視化されます。

こちらはある映画作品の絡みの可視化結果です。

24_20210423020101

中心少し上にいる赤い1番が主人公で、主人公を含む七人組が主に活躍する作品です。
それとは別に、中心少し下の三人組がよく一緒に行動しているのでそれぞれ塊のようになっています。
力学モデルの計算をしていくことで、主人公を中心にそれぞれの登場人物の関係性に応じた配置に自動的に収まっていきます。

絡みと名付けた、比較的簡易に集められる情報をもとにおおまかな関係性の図示ができるようになり、優秀発表賞をいただくことができました。
今後も研究を続け、登場人物相関図の作成ができるようにできればと思います。
また進展があったら報告します。

2021年4月23日 (金)

研究紹介:話数を基にした伏線分布の可視化(優秀発表賞受賞)

2021年4月22日 (木) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
少し前の話になってしまいましたが、3/8に行われた芸術科学フォーラムでの発表のお話です。

芸術科学フォーラムはメディア学部の各研究室と親和性が高く、例年多くの研究が発表されます。
私の関係では、今年度は卒研からではなく先端メディア学の活動内容と、私自身の研究成果の発表を行ってきました。
『TVアニメーション作品における話数を基にした伏線分布の可視化』と、『力学モデルを用いたキャラクター同士の絡みの可視化』というタイトルです。
この2件が、それぞれ優秀発表賞を受賞しました!本日は一つ目の伏線分布の可視化について紹介します。

この研究は、私の開講する先端メディア学「コンテンツビジュアライゼーション」を履修していた、一年生(昨年度後期時点)の飯田琴美さんの分析結果を私がまとめたものです。
コンテンツビジュアライゼーションでは、受講者それぞれの興味を主軸にして映像作品の分析・可視化を行っています。

今回飯田さんは伏線について興味があるということで、まずは伏線を多く含むTVアニメーション作品を視聴しながら事例の抽出をしてもらいました。
伏線と思われる内容を列挙し、その性質を検討した結果「張り」「回収」「部分回収」「フェイク」の4種類に分類することができました。
また、伏線を抜き出す際に、第何話で描写されたという情報も一緒に記録してもらいました。
TVアニメーション作品は通常12~13話程度で制作されますが、その中で伏線の描写がどのように分布しているかを可視化してみるためです。

結果は次のようになりました。
ネタバレになってしまうため作品名は伏せておきますが、TVアニメーション作品2つの可視化結果です。(学会では作品名も書いてます。聞いていた方はネタバレしてすみません・・・)

11_20210422041201 12_20210422041301

横軸方向に話数をとって、張りから回収に至るまでの一連の内容を線で繋いで縦方向に列挙しています。
張り、回収、部分回収、フェイクそれぞれを描写された位置にアイコンで示しています。

1つめの作品は全12話、2つ目は全13話で、それぞれ前半はメインストーリーを進めながら伏線を多数散りばめています。
1つ目の方は中盤から回収が始まり、終盤にかけて次々と謎が解けていくよう演出しています。
一部偽の情報で回収したようにミスリードしたり、回収したと思いきやまだ隠された情報が残っていたというパターンもありました。
2つ目の方は終盤で一気に回収する回があり、その後メインストーリーの決着をしていて特に伏線は絡んでいません。
ただし、「張り」のような描写が追加され、最終回を迎えても回収されないという事例も見つかりました。

まだ2作品なのでサンプル数が不足していますが、伏線に関して演出方法に差がみられるという興味深い結果が得られました。
学会ではその点が評価されたのか、
優秀発表賞(ポスター)を頂くことができました。

この研究をするにあたり、始めはまず抽出だけのお願いだったのですが、結果を見ながらディスカッションを進めていくうちに上記のような分類や分布の可視化というアイディアが生まれてきました。
元々の想定では、本来はまず半期かけて抽出と分析、その後また半期かけて分析方法の見直しと実行、結果の可視化・・・くらいのスケジュール感でした。
しかし、飯田さんの抽出作業が大変早く、充実したディスカッションが行えて昨年度後期の半期だけで結果の可視化までできたため、芸術科学フォーラムに投稿できました。

頑張り次第では一年生のうちから面白い研究ができ、学会発表までできるという素晴らしい事例になりました。
飯田さんとは引き続き伏線の研究を進める予定です。また面白い結果が得られたら報告します。

2021年4月22日 (木)

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