おもしろメディア学

アンチエイリアシング(3)

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アンチエイリアシングの原理は、図形の輪郭部分にあたる画素(小さな正方形)の一部が図形に、残りが背景に重なる場合、その輝度を図形と背景の中間の値にすることです。中間の値を具体的に計算するには、図形の面積と背景の面積の比を使います。

Aaintersection_2

この例は前回示した例の中で薄緑で囲んだ画素(一辺1で面積1)です。図形は白(輝度255)で背景はグレー(輝度128)の設定です。この場合、左図の点Pの位置が下から1/3のところにあることは計算できます(詳細略)。すると白い直角三角形の面積は1/6と計算でき、画素の輝度も計算できます。結果は

255×(1/6)+128×(5/6)≒149

で、輝度は149です。

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アンチエイリアシング(2)

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CG数理の基礎(シラバス)の授業のうち、前回はアンチエイリアシングの授業の一部を紹介しました。図形と背景の中間の明るさを使うことで斜めの線でもギザギザにみえないようにする技術です。

Aaresult

線分を太さ1画素の長方形と見なした場合の描画

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アンチエイリアシング

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CG数理の基礎という講義(シラバスはこちら)では「画素の明るさ計算」に帰着してCGアルゴリズムを説明します。先日の授業ではアンチエイリアシングを解説しました。

簡単にいうと、アンチエイリアシングとは、CGで図形を描いたときに生じるギザギザの不具合を軽減する手法です。次の図は、上がアンチエイリアシング処理なしの結果画像、下が直線(黄色)にアンチエイリアシング処理を施した結果画像です。

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本を執筆するために:「視聴覚メディア,メディア学大系,コロナ社」に関するブログ記事

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先日,出版された「視聴覚メディア」のなかで,私は,「視覚メディア」に関係する第1章,第2章を担当しました.
この書籍の概要は,次の2つの記事をご覧ください.
「視聴覚メディア」:コロナ社メディア学大系第15巻の発行 2017.05.06
メディア学大系「視聴覚メディア」第3章 2017.05.07

9784339027952

このような本を書く前の準備として,3年以上前より,「おもしろメディア学」としてブログ記事を書きました.このように,書きたいことを少しづつ整理して,公開しながら執筆内容の構成を考えてきました.

このブログ記事では,書籍では紹介しなかったような内容やカラー画像として紹介できなかったような画像,アニメーションもブログ記事で見ることができます.
「おもしろメディア学」の記事は次のようです.少しづつ読んでください.もしより内容を体系的に理解したい場合は,書籍をぜひ購入してください.
【おもしろメディア学】 見ているものをそのまま信じてはいけない. 2016.04.16

No1

おもしろメディア学: 見る距離によって,違う画像が見える?! 2016.01.20
おもしろメディア学 第53話 「だます」ことはいいことだ!? 2014.11.12

Dsc_5181

おもしろメディア学 第39話 3Dプリンターとデジタルモデリングの展開 2014.10.09

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標本化定理

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(以下の話はフィクションです。登場人物は実在の人物とは関係ありません)

メディア学部のO淵先生(仮名)は、気分屋なことで有名です。実は1日おきに機嫌が良くなったり悪くなったりします。今年度は、4月1日の機嫌が良かったので、そのあと2日の機嫌は悪く、3日は良く、といった具体に繰り返していきました。カレンダーにするとこんな感じです。

2017年4月
1 (良)
2 (悪) 3 (良) 4 (悪) 5 (良) 6 (悪) 7 (良) 8 (悪)
9 (良) 10 (悪) 11 (良) 12 (悪) 13 (良) 14 (悪) 15 (良)
16 (悪) 17 (良) 18 (悪) 19 (良) 20 (悪) 21 (良) 22 (悪)
23 (良) 24 (悪) 25 (良) 26 (悪) 27 (良) 28 (悪) 29 (良)
30 (悪)

学生のA君は、毎週火曜日にO淵先生の「音響コミュニケーション論」の授業を取っています。初回の授業は4月11日でしたが、その日は先生はご機嫌でした。楽しくて良い講義だな、と思ったのですが、次の週の4月18日、O淵先生の機嫌は最悪で、授業の雰囲気もどんよりとしています。そしてまた次の週の25日の機嫌は良く、翌週5月2日は悪く、5月9日は良く、というパターンで繰り返していきました。

さて、A君の目に、O淵先生はどのように映ったでしょうか。「なんだか1週間ごとに機嫌の良し悪しが変わる、面倒な先生だなあ」と思ったに違いありません。おかしいですね。O淵先生の機嫌が変わるのは1日おきなのですが、A君の目には1週間おきのように見えてしまいました。これはやむを得ないことで、週に一度しか会わない人の変化は、2週間単位(機嫌が良かった日から、次に機嫌の良い日までが2週間)でしか観測できないのです。この一見あたりまえのような性質のことを、難しい言葉で「標本化定理」と呼びます。

音は空気の粗密波です。O淵先生の機嫌のように、「粗」と「密」を繰り返しています。この繰り返しが1秒に何回あるかを、その音の周波数といいます。一方、その音を1秒間に何回観測するかを、サンプリング周波数といいます。「サンプリング周波数の半分の周波数よりも高い音は観測できない」というのが、音に対する標本化定理の正確な表現です。そして、A君のように間違った周期で解釈してしまうことを、エイリアシングと呼びます。

(大淵 康成)

巨人の肩の上

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渡辺です。

タイトルにある「巨人の肩の上」という言葉は、学者の間では有名な言葉で、論文検索サイト「Google Scholar」(https://scholar.google.co.jp) のトップページにも表記されています。

この言葉の初出は12世紀フランスの詩人によるものらしいのですが、有名になったのは17,8世紀の物理学者アイザック・ニュートンと、同じく物理学者の友人であったロバート・フックでの手紙のやりとりによります。フックがニュートンに対し

「なぜあなたには、凡人には想像すらできない彼方の事象を思い浮かべることができるのでしょうか?」

という質問をしたのですが、それに対しニュートンは

「私が彼方を見渡せたのは、それはひとえに巨人の肩に乗っていたからです。」

と返信しています。

このニュートンの言う「巨人」というのは、偉大な先人達が発見してきた様々な理論や実績のことです。ニュートンは、これらの先人達の成果を誰よりも把握しているから、その先を見渡すことができる、それを「巨人の肩に乗る」と表現したわけです。この言葉は、人間が勉強をする根源的な理由の一つとして、よく引用されます。

今年度の研究室ミーティング初回で、私はこの言葉を学生に紹介しました。これは、私が研究を行っていく上でのスタンスの一つでもあります。研究の進め方は人それぞれ、色々な方法があって良いと思いますが、一つの参考になればと存じます。


(メディア学部准教授 渡辺大地)

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音声の認識に必要な情報はどれくらい?

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みなさん、こんにちは、

 
コンピュータによる音声認識には、高度の信号処理、複雑なプログラムと膨大な記憶装置を必要とします。人間の音声認識性能はそれ以上ですので、脳の中ににはさらに高性能で規模の大きな情報処理システムがあると考えられます。
それでは、次の音声を聞いてください。
 
何と言っていましたか?雑音っぽいですが、「おもしろい」ですよね?
さて、この音声のサウンドスペクトログラムを見てみましょう。

Noise_excited_omoshiroi_fdiv800

               図1 雑音っぽい「おもしろい」のサウンドスペクトログラム

 

サウンドスペクトログラムは、横軸が時間、縦軸が周波数を表し、赤いところが音の成分が強く、青いところが音の成分が弱いことを表しています。横軸の時間は0.8秒程度、縦軸の周波数は人の声を聴き分けるのに十分は5500ヘルツ程度までが表されています。

何か縦方向に7つの段がありますね?

実は、この音声は7つの雑音から出来ているのです!周波数の間隔は800ヘルツで、周波数の情報はなんと7つしかないのです。

 

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快挙! レジェンドのメディア学部卒業生がベンチャー企業のCEOへ

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 メディア学部卒業生、長坂剛さんの、快挙のお知らせです。彼は、約10年ほど前にメディア学部を卒業し、日本を代表する超一流企業から内々定9社を獲得。その後、株式会社ソニーに入社し活躍し、メディア学部のフレッシャーズゼミの集合授業、先輩からのエールに何度も登壇いただき、新入生に大いにインパクトを与えてもらいました。

 数年前に、ソニー社内の新規ビジネス提案で高い評価を得た後、社内で具体的なサービスプロダクト(ミンチャレ)を実現しビジネスインキュベーション(孵化器)のフェーズを得て、ベンチャー企業として独立し、代表取締役CEOに就任し、新しい門出をしたとのニューズが飛び込んできました。

 ニュースの概要は、以下を御覧ください。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000024217.html 

 

 長坂剛さんからのメッセージを以下に紹介します。

『本当に多くのお方に支えていただきました、「みんチャレ」ですが、ソニーからA10 Lab Inc.として独立いたしました!ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」からの初の独立案件となります。
同時にサービスの成長をスピードアップさせるために、ソニーなどへの総額6600万円の第三者割当増資を実施いたしました。
これからがスタートアップとして本当の第一歩の始まりです。今まで助けていただきました、ユーザー様や支援者、チームメンバーに感謝するとともに、「習慣化でみんなを幸せに」するために今後とも引き続き応援をお願い致します!』

 先輩の伸びやかで縦横無尽な活躍にエールを送るとともに、在校生、4月からの新入生も、自分の10年後に大きな飛躍があるように、しっかりとした目標をもって大学生活をエンジョイして下さい。

(MS 上林憲行)

もう少し桜らしく ~信号処理で花を描く~その2

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みなさん、こんにちは、

 
少し前に、信号処理ソフト Scilab  を使って花を描くお話を書きました。
そのとき、桜の花をもう少し本物らしくしたいと思った人もいると思います。
今日は、その方法を紹介しましょう。
花を描くには、中心からの長さとx軸からの角度で座標を表す極座標プロットを使います。
花は円周方向に規則的な形をしていますから、まず、0から2πラジアンまでの角度を作ります。πの256分の一の刻みでつくってみます。
omega = 0 : %pi / 256 : 2 * %pi ;
前回は次の式を使って中心からの半径方向の距離を角度に依存して作りました。
rc = 0.5 + 0.5 * sin( 5 * omega ) + 0.1 * sin( 15 * omega ) ;
そして、次の極座標プロットで花を描いたのです。
polarplot( omega , rc ) ;
これを通常の2次元平面でプロットするには
plot( omega , rc ) ;
とすればよいわけなのですが、角度とともに半径方向の距離がどう変わるかを見てみましょう。

Sakura_1_plot

                    図1 桜の花びらの展開図

 

これは、1周2πで5回振動する正弦波とその3倍の15回振動する正弦波を足し合わせたものなので、花びらの付け根にあたるところでも振動が現れてしまいます。3倍の振動は3倍波と呼ばれていることは、前回もご紹介しました。
そこで、この3倍波のほうに5回振動をかけ合わせれば、下のほうで振動が現れなくなるはずです。早速やってみましょう。
re = 0.5 * ( 1 + sin( 5 * omega ) ) + 0.3 * ( sin( 15 * omega ) .* ( 0.5 + 0.5 * sin( 5 * omega ) ) ) ;
さて、どんな振動になるでしょうか?

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おもしろメディア学 ~信号処理で花を描く~

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みなさん、こんにちは、

 
今日は、信号処理ソフトを使って花を描いてみましょう。
フリーで使える信号処理ソフト Scilab  をインストールしてください。
この関数として、中心からの距離とx軸からの角度によってグラフを描くpolarplotというものがあります。これを使ってみましょう。花びらは中心から円周方向に規則的に花びらがついています。角度に応じて距離を変えて曲線を描画することを考えます。
まず、角度をラジアンとして0から2πまで用意します。scilabで
omega = 0 : %pi / 256 : 2 * %pi ;
で作れます。0から2πラジアンまでπの256分の1の刻みで角度の値の列ができます。
まず、花びらが4枚のアブラナを作ってみましょう。円1周で4回半径が増減すればよいので、次のように半径を作ってみます。
rb = 0.5 + 0.5 * sin( 4 * omega ) ;
正弦関数のsinを使っています。omegaが数値の並びなので、rbは数値の並びになります。rbの値は0から1までの間を増えたり減ったりします。
これを半径とし、角度と半径の組で次の極座標プロットをしてみましょう。
polarplot( omega , rb ) ;
そうすると、次のような図が表示されます。

Aburana

                    図1 アブラナの極座標プロット

 

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